アメリカの若き活字鋳造工/マーク夫妻アダナ・プレス倶楽部訪問

DSCN4796  <Mark マーク & Christine クリスティーヌご夫妻、アダナ・プレス倶楽部を訪問>
2014年06月25日の夕方、アメリカの若き活字鋳造工/マーク(Mark Sarigianis) & クリスティーヌご夫妻がアダナ・プレス倶楽部を訪問されました。

マークは学生時代にはグラフィックデザインをまなんだそうです。ところがアメリカではすでにグラフィックデザインで食べていくことはとても難しい状況にあり、卒業後、地元のビール会社に就職。そこで資金をためて、三年前からサンフランシスコの活字鋳造所に活字鋳造工として勤務しています。
クリスティーヌはマークとは同郷で、幼児教育のスペシャリストとして勤務する傍ら、趣味として版画製作に取り組んでいるそうです。
夕方から仕事を終えた活版カレッジ修了生の皆さんがつぎつぎとかけつけました。そこでのマーク夫妻との一問一答です。

  • アメリカでは趣味で活字鋳造をしているひとはたくさんいるが、商売として営業している活字鋳造所は、現在三ヵ所のみである。
  • マークとおなじ活字鋳造所で働いていた先輩も、最近独立して、自分で活字鋳造をやっている。将来はマークも活字鋳造所としての独立を目標としている。
  • 活字母型製造が頭痛の種である。アメリカでは活字母型製造所は現在一ヵ所稼動しているが、技術には難点がある。
  • 流行の強い印圧に関しての意見。
    クリスティーヌ : わたしは版画みたいで好き! わたしの場合は活字がどんなに磨滅しても、マークがいくらでも鋳造してくれるから大丈夫 ♡
    マーク : 活版印刷の製作は、自分の好きにやれるのが魅力。でもあんなに強い印圧では活字が全部つぶれてもったいないね。
    カードを印刷するひとは「bite impression」が好きみたいだけど、僕は本を印刷するから「Kiss impression」で印刷しているよ。

活版カレッジ修了生の皆さんがあらかたそろったところで、新宿駅東口の和食のお店に移動。ビール大好きのマークは日本のビールに舌鼓。
ふたりは来日の前に中国を旅してきたそうですが、あちらではスパイシーな中国料理が続いたそうで、辛くない日本料理のやさしさを堪能していました。

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その後、活版カレッジの「飲ュニケーション担当」のY島氏と、アメリカの活版印刷所に留学経験があり、英語が堪能なE子嬢といっしょに、夜の新宿の街へ消えていかれました。
活版印刷とお酒が好きな仲間同士、言語の壁を越えた楽しい一夜となったようです。
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翌日は、活版カレッジ修了生のM像氏と一緒に、飯田橋の凸版印刷博物館、佐々木活字さん、活版アトリエ愛花(あいか)さんを訪問されました。

M像氏は、活版カレッジ終了後に、シルクスクリーンと活版印刷のブランド「DODO ドードー」を立ち上げたばかり。少しずつ活版印刷の受注も増え、佐々木活字さんには、活字の買い足しの際にいつもお世話になっています。
http://thedodo.jp/

「活版アトリエ 愛花(あいか)」さんは、お父様が長年活版印刷所を営んでおられましたが、その後デジタルの印刷方式に移行されて、現在ではお仕事としては使用されなくなっていた活版印刷機材一式を、娘さんが趣味として再活用したいという目的のもとに、活版カレッジを受講されました。
お父様によって長年使いこまれた活版印刷機器は、いまや世代をこえて、「活版アトリエ 愛花」として復活しています。

<以下の写真は M像さんのご提供です>

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マークは特に、日本とアメリカの活字鋳造の違いや共通点、アメリカにくらべてコンパクトな日本製の印刷機などに興味津々。時間を忘れて熱心に説明に聞き入っていました。
マーク夫妻にとって、日本の活版印刷実践者の皆さんとの熱い交流は、多くの収穫と、思い出深いものとなったようです。