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精神構造論仮説と育児論

【主な内容—目次より】

1 章 精神構造論仮説


1. 精神の下部構造(第一の仮説)

大悲/他者愛

2. 精神の上部構造(第二の仮説)

悲しみ/自己愛

3. 精神の原則

安定の原則と発展の原則

2 章 育児論


1. 子どもの欲求

2. 母親の優しさと思いやり

3. 母親の不在

A. 現実における母親の不在

B. 母親の優しさの欠如

C. 母親の思いやりの欠如

4. 安らかな精神と不安な精神

5. 子どもについて

6. 人間性への信頼

精神の開かれた両面性

善悪について

他者愛と自己愛

愛の法則

7. 青年、そして自立

児童期

少年期

青年期

8. 大人

求める愛と与える愛

大きな愛と小さな愛

3 章 雑記


1. 労働と愛

2. 大悲と不安

3. 少年非行と親業

少年非行

親業

4. 保育園の問題

5. 愛と戦争

精神構造論仮説と育児論

白石勧

白石勧

理論づけられないままの存在 ── 愛。

愛。人間にとってもっとも大切なもの。

その愛を、他者愛と自己愛という

対になる概念として位置づけたのが本書です。

四六判上製本 212 ページ 定価:本体 1800 円+税

発行日 2001 12 4

カバーのパステル画は立原道造「飛行船」1927 – 31 年頃

立原道造記念館提供

朗文堂

精神構造論仮説と育児論

精神構造論仮説と育児論

白石勧 著

本書「まえがき」より

愛。人間にとって最も大切なもの。その愛が今まで理論づけられてきませんでした。理論としてとらえなければ、科学の対象とはなれません。

 今まで、愛が論じられることなく、育児が論じられ、教育が論じられてきました。この現状を変えたいのです。

 わたしがこの本で論じたかったのは愛です。愛を理論として提出し、科学の対象とすることです。多くの学者が愛を理論としてとらえ、理論として展開するようになる、それがわたしの夢です。

「精神の下部構造 ── 大悲」より

 人間は一生の間に何回となく悲しい出来事に出会うでしょう。しかし、私たちが記憶として留めている悲しい出来事というのは、みな物心がつく前のことなのです。乳幼児期では悲しいことは日常茶飯事です。日々が悲しいことの連続です。赤ん坊には空腹も悲しみです。オムツが濡れていても泣きます。些細な不快をも悲しみとして表現します。

 大人は少しくらいの空腹は悲しみとは感じません。大人にとってかなしい出来事というのはそうざらにはありません。成長するに従って、悲しい出来事にたいしての対応能力を身につけていくものだと考えられます。

 赤ん坊は未熟です。ほんの些細なことでも悲しみを生み出す原因となります。大人が悲しみを現せば、それはかなりのことを意味しており、誰もが同情するでしょう。しかし、赤ん坊や幼児の悲しみは、「なんだ、そんなことか」と軽視されがちです。ところが「なんだ、そんなことか」というそんな些細なことでも、赤ん坊や幼児にとっては悲しみの原因となるのです。

 赤ん坊の悲しみを生み出した原因は些細なものです。しかし、赤ん坊や幼児が表現し、感じている悲しみは、大人が表現し感じている悲しみとなんら変わりがない同じ悲しみなのです。大人の悲しみはかなりなことを意味しています。ですから、赤ん坊や幼児にとっても、悲しみは「かなりのこと」を意味しているはずなのです。

 そんな「かなりのこと」を、赤ん坊や幼児は毎日のように経験します。時には一日に何度も経験します。もしも大人が、泣くような悲しみを一日に何度も経験し、それを毎日のようにくり返したとしたなら、いったいどうなるのでしょうか。普通の大人ならばとても堪えられないでしょう。生まれて間もない赤ん坊や幼児が、そんな悲しみの日々を送るのです。かれらは一体どうやってこの悲しみの日々を乗り越えていくのでしょうか。

著者紹介

白石勧(しらいしすすむ)

1949 11 20 日神奈川県藤沢市生まれ。

小学校二年生の夏、長崎県大村市へ。長崎県立大村高等学校卒業。

三年浪人し国際基督教大学へ入学、四年で退学。

パンの職人などを経て現在は印刷工。

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