朗文堂、新書体2種類を発表 !

正調明朝体B Combination 3

和字 たおやめ Family 7

【 OTF版 近日発売開始 】


皆さまからご愛用を頂いている 「正調明朝体」 のボールド・タイプが誕生しました。 正調明朝体 「金陵 キンリョウ」 は、中国 ・ 南京の雅称から名づけられ、その金陵にあった 大明南京国士監刊行の木版刊本 『南斉書』 にみられる端正な明朝体字様を現代に再生したものです。

明王朝(1386-1644)は、漢民族の朱元璋 ・ 太祖が、蒙古族の元王朝をたおして南京に建朝し、4代目の皇帝 ・ 成祖のときから都を北京に移しました。 また国子監とは、もともとは隋王朝のころに設立された大学のことですが、明王朝になってからは、中央官僚を養成する大学の機能とともに、国家によるすべての学問を統括する中央官庁となりました。 都が北方の北京に移転してからも 王朝による出版活動は 「南監本」 とされて 南京を中心に展開されました。その明王朝によるもっとも典型的な官刊本、すなわち 正調明朝体字様がうかがえる書物のひとつが 『南斉書』 といってよいでしょう。

「現代明朝体」 には近代化の名のもとに、機械メスや 電子メスが自在にはいって直線化がすすみ、水平線と垂直線ばかりが目立って、すっかり四角四面の 硬直した活字書体になってしまいました。 そんな 「現代明朝体」 から人間味をとりもどしたいあなたに、あるいは奇形や媚態をみせるデザイン書体にはすでに飽いたとおっしゃるあなたのために、明朝体の端正にしてもっとも原型にちかい明王朝木版字様を復刻した正調明朝体のボールド ・ タイプ、「正調明朝体 金陵B」 をおとどけします。和字書体 (平仮名と片仮名) 3書体が標準でセットされており 用途に応じた選択ができます。

「たおやめ」 和字書体の初登場は、欣喜堂和字シリーズの第1弾として発売された 『和字 Revision 9』 に収録されて好評を博しました。 「たおやめ」 の原姿は昭和10年代に発表された川口印刷所 (現 ・ 図書印刷の前身) の 「新刻五号明朝体」 にあります。
この時代にあって、大手印刷所 ・ 大手新聞社では、活字鋳造所から活字を購入するより、自家鋳造の企業が多く、各社が仮名書体を中心に独自開発を実施し、他社との書体面での差異化を計っていました。 それらの自社専用書体のうち、判別性と速読性に優れた書体として評価の高かった書体が 「新刻五号明朝体」 でした。

川口印刷所は1911 年(明治44)に創業された名門企業であり、傘下には教科書出版の学校図書もあります。その詳細は 『ヴィネット五号』 (今田欣一 朗文堂) に報告があります。
『和字 たおやめ Family 7』 では、もう一度原点に立ち帰り、形象をさらに検討するとともに、より一層汎用性を高めるために、ウェイトを 「メディウム ・ シック ・ デミボールド ・ ボール ド ・ エクストラボールド ・ ウルトラボールド ・ ブラック」の7ウェイトとしてファミリーを構築しました。

漢字書体との組み合わせも、一応参考 ・ 推奨書体はありますが、むしろすでに展開している多様なデジタル書体のなかから、お客様ご自身が 「和字 ・ 欧字 ・ 漢字」 の組み合わせの妙を発揮していただくことを期待しています。 名著を飾った、伝統のたかみにある和字書体が現代に甦り、あらたな伝統がうまれる契機となることを期待しています。