もう少しお待ちください『japan japanese』



シュミット家の皆さん。左より スミ夫人 ヘルムート氏 ニコールさん

《ギリギリ頑張っています! もうしばらくお時間をいただきます》
本日3月21日は『japan japanese』の発売予定日でした。たくさんのお電話や、たくさんの@メールを頂戴しました。少し遅れています。申しわけございません!
いまは3月末、また年度末ということで、ここのところ製本所、とりわけ折り屋さんが爆発状態です。リーマン・ショック、東日本大地震の影響と続いた製本業界の不況が、まるでウソのような活況を呈しています。

そこで最終打ち合わせのために、3月17日に大阪のシュミット家を訪問しました。もちろん手づくり・手製本の見本誌を携えて……。残念ながら販売用書籍は間に合いませんでした。シュミット家の皆さまをはじめ、発売をお待ちいただいている読者の皆さまには、深くお詫び申しあげます。

おもえばシュミット一家とのお付き合いも長くなりました。ヘルムート氏、スミさんのご夫妻とは、右端の愛娘、ニコールさんが誕生する前からのお付き合いです。ですからシュミット氏も小生も、ニコールさんの成長の分だけ、それぞれ年を重ねたことになりました。
シュミット氏とそのご家族は、この写真のように、とてもこころの暖かい、すてきなご家族です。そしてタイポグラフィにはきわめて厳格で、一点の妥協もゆるさない厳格さを失わないのも魅力です。

《本書の魅力の一端をご紹介》
書物とは、その内容で評価されるべきものです。本書の内容のすばらしさはいうをまちません。それは本書をみていただくしかありませんが……。
ところがタイポグラフィに厳格なシュミット氏のことです。本書にも微に入り細をうがつ配慮がこらされています。遅延のお詫びに、プロのノウハウを冒さない程度に、本サイトをご覧の皆さまにだけ、ソッとほんの一端をご紹介。

『japan japanese』 の基本設計は、ドイツ語・英語・日本語が組み込まれています。基本書体は Universe 55 Roman, 中ゴシックBBBです。
うっかりすると見逃しがちですが、このみっつの言語表記は、それぞれ根拠をもって、無理なく、微妙に、ポイント・サイズや字間・行間のスペースが異なっています。
この手法は、皆さんの日常デザイン業務における、バイリンガル、トリプルリンガル表記の実施に際して、きわめておおきな手がかりと、示唆をあたえてくれるはずです。
こうしたこまやかな配慮を尽くしながらも、それをそれと気づかせないさりげなさ、こうした書物が『japan  japanese』です。

《もうしばらく、ほんとうにもうしばらくお待ちください!》
年度末に教科書対応がかさなって、小社の製本所のラインは混雑をきわめています。その間隙を縫うのではなく、ゆっくり、じっくり書物づくりに取り組んでいます。
本書には製本にも微細な工夫がこらされています。
上製本においては、表紙が本文用紙の天・地・小口の三方からはみだしている部分の幅を「ちり・散り」と製本用語では呼びます〔広辞苑〕。この「ちり」を極力少なくするようにと製本所に依頼しています。ふつうの「表紙巻き」とは違う作業になりますので、製本所も意欲的に取り組んでくれていますが、何分時期がまずかっった……。

そんなわけで、言い訳じみて恐縮ですが、4月中旬にあらたな発売日を設定いたしました。もうしばらくのお時間を頂戴いたします。