新宿私塾、活版カレッジがスタート

イベントの秋です! お元気ですか?

《新宿私塾16期-17期》

秋たけなわのこのごろです。残暑ももうしばらくの辛抱のようです。皆さまお変わりなくご活躍のことと存じます。猛暑・酷暑・残暑をものともせず朗文堂は8月を乗りきり9月に突入しました。

陽春の4月にスタートした「新宿私塾第16期」は、真摯で意欲的なメンバーによって構成されました。開塾日にはいつも定時で終わることなく、遅くまで講師を交えて熱いタイポグラフィ談話を交す風景が毎週のように見られました。

そんな「新宿私塾第16期」は、さまざまな成果とおもいを込めて、9月11日「新宿私塾第16期生終了制作会」に堂々と各自の研究成果を発表して旅立っていきました。塾生の皆さんの前途に幸多かれと祈るとともに、いつも変わらぬ多くの講師陣と特別講師の皆さまの献身的なご協力に感謝いたします。

新宿私塾第17期カリキュラム

新宿私塾の教場に、まだ16期生の熱気がこもっているような9月14日「新宿私塾第17期生」が入塾して、簡単なオリエンテーションののち、さっそく第1回目の講座がスタートしました。造形界に吹く風は、必ずしも順風とはいえないさなか、さまざまなおもいと熱意とを抱いて結集した17期生です。当然講座は熱気を帯び、瞬時のゆるみも許されない緊張感に教場は包まれていました。

新宿私塾後期の修了はこれから半年後、3月末の予定です。担当講師陣の皆さんも、カリキュラムの見直しと、さらなる充実を計って臨んでいます。例年とは違って残暑の中でのスタートとなりましたが、秋から冬を経て、早春を迎える頃には17期生も先輩に負けない、実技と実践を基盤とした、たくましいタイポグラファになってくれることを期待してのスタートとなりました。

《活版カレッジ第7期》

アダナ・プレス倶楽部による「活版カレッジ第7期」が9月2日から3ヶ月の研修期間の予定でスタートしました。このところアダナ・プレス倶楽部は極めて多忙で、Adana-21Jの出荷に追われ、Adana-21Jの購入希望・予定者に向けた「Adana-21J操作指導教室」が間断なく開催されています。そんななかでの「活版カレッジ第7期」のスタートです。

活字版印刷術における技・知・美をバランス良く学ぶことを目的とする「活版カレッジ」は、Adana-21J実機を用いての講座となりますので、徹底した少人数の講座が特徴です。ところが……、3ヶ月の講座修了後も、「活版カレッジ」のメンバーは、まだAdana-21Jを持たない修了生を中心に「活版カレッジ・アッパークラス」と称して、毎月2回ほどのペースで集まり、Adana-21Jを用いての印刷と情報交換が盛んです。
活版印刷は、重い活字を用い、実際に活版印刷機を駆使しての「身体性をともなった造形」が特徴です。自らの五感にもとづく造形の結果は、すべて言い訳が許されずに「活版印刷物」として眼前に現出します。ですからその賑やかなことといったらありません。ましてイベントの秋とあって、修了生同士がかたらってちいさな展覧会を開いたり、ほかの活版仲間との交流も盛んです。

「活版カレッジ・アッパークラス」では、既報のとおり「活版カルタ」を製作中。イロハ順かあいうえお順か知りませんが、目下のところ「け」まできたようです。この連中ときたら、手漉き紙に関心が向くと、とろろアオイを苗から育てて、10月初旬にはその根っこをもって、手漉き紙体験会に出かけるそうですし、12月には突如「餅プレス倶楽部」を結成して、セイロ・臼・杵まで持ち出して「大餅つき大会」を企画しています。それまでにカルタができたらまるで奇跡ですね。

《美術館巡り》

なにしろ9月の声を聞いた途端に、魅力的な展覧会が目白押し。あれも行きたい、これも行きたいと思いつつ、もともと出不精ですし、これまた書店の書棚いっぱいに新刊書が並んで、あれも読みたい、これも読みたいで……。とどのつまり、宇都宮美術館で展覧予定だった「ザ・コレクション・ヴィンタートゥール/スイス発―知られざるヨーロピアン・モダンの殿堂」が巡回した、世田谷美術館に出かけました。

ヴィンタートゥール美術館は、15年ほど前、スイスのバーゼルで訪れたことのある、とても雰囲気の良い美術館でした。それでも美術館の雑踏を抜け、木陰に立って煙草を一服したとき、結局大好きなユトリロの「白い家」だけが鮮烈な印象としてのこり、ほかの絵画や彫刻は、わたしの貧弱な図像記憶メモリーから溢れ出てしまいました。

19日(日)は、どうしても気になっていた書道博物館での「漢字のはじまり—古代文字の不思議をさぐる」に出かけました。学芸員の中村信宏さんともお会いでき、甲骨文の魅力を堪能。それでもやはり甲骨文は地味ですし、難解です。10月からは特別展示「中村不折ベストコレクション展」が予定されており、皆さんにはこちらをご案内することにしました。

そんなわけで、せっかくの3連休も、ただ疲れた! のひとことで終わりました。