タグ別アーカイブ: 杉本昭生

【会員情報】 ぢゃむ 杉本昭生さん、ブログ<活版小本>に新作発表

IMG_2169[1]京都で小型本の製作をつづけてこられた ぢゃむ 杉本昭生さんが、ブログを開設され
意欲的な更新が継続しています。
とても瀟洒で、すっきりとした画面構成ですし、テキストも丁寧に書きこまれています。
皆さまのご訪問をおすすめいたします。       やつがれ wrote
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<ぢゃむ 杉本昭生 活版小本>
朗文堂/アダナ・プレス倶楽部の皆さま

なかなか満足のいくものができませんが、本づくりとはそうしたものだと慰め
これからも精進します。

京都大学のそばに仕事場がある。
仕事が終わると、自転車で京大の構内を通って帰路につく。
正門を入ると左に旧科学何とかの赤いレンガ作りの建物がある。
その建物の上、陽が落ちたばかりの西の空は
青とも紺ともつかない深い神聖な色に満たされたばかりだ。
よく晴れた日は、電線のない空にいくつかの輝く星を見つけることも稀ではない。
やがて赤いレンガの建物が厳かな闇に包まれ、世界は夕暮れから夜になった。
授業が終わり百万遍の出口に向かう学生たちで通路はいっぱいになる。
注意深く自転車を漕ぎながら、私は宝物でも探すようにいつまでも空を眺め続けている。
きっとそのうちに事故を起こすに違いない。

ブログ<活版小本 コホン>のアドレスはこちらです。
杉 本   昭 生

【 ぢゃむ 杉本昭生  活版小本 http://kappan-kohon.blogspot.jp/ 】
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チェーホフ 『てがみ』 『二十一のことば』

ここしばらく<活版小本>では、途中でやめた本のことばかりでしたが、
今回は久しぶりにできあがった本を紹介します。
チェーホフ作、鈴木三重吉訳の『手紙』。形式は童話です。


母を亡くしたユウコフ少年は靴屋の奉公人として住込みで働いています。まだ9 歳の彼は毎日がつらいことばかりでした。クリスマスの夜、一人で留守番をしていたユウコフは、母が元気だったころ親切にしてくれたマカリッチさんに手紙を書きはじめました……。語りは童話ですが夢や希望を与えるお話ではありません。

 『二十一のことば』 は 『チェーホフの手帖』(神西清訳・創元社)から適当に選んだものです。優しくもなく明るくもなく突き放すような言葉ばかりです。
版画家佐久間嘉明氏の銅版画を付けた特装本も作りました。

 

【会員情報】 杉本昭生 小型本の世界Ⅵ

朗文堂 アダナ ・ プレス倶楽部会員、京都在住の杉本昭生さん製作の小型本 ( いわゆる豆本 ) 紹介の 第六弾です。  今回のご紹介は以下の二冊です。

1 )  森  鷗 外  『 電車の窓 』
2 )  夏目 漱石   『 夢十夜より-第三夜- 』

ともすると小型本の製作者は、なによりも小型であることと、装本のおもしろさにこだわりがつよいあまり、そのテキストが、読書のための 判別性 Legibility と、可読性 Readability を失っていることがみられます。
ところが杉本さんは、もともと読書家ですので、たとえ小型本であろうと、テキストを厳選し、みずからも読み、読者にも読んでもらおうというつよい意志を感じます。
DSCN8507 DSCN8513 DSCN85171 )  森  鷗 外  『 電車の窓 』
『 電車の窓 』 は森鷗外の小品です。
偶然おなじ市電に乗り合わせた女の寂しげなようすがきにかかり
あれこれ想像して書いた、いわば作者の妄想小説です。
小説の感想をいうならば
いつの時代も美しい女性は男の眼をひくものであること、
おおかたの男性は電車内で前の席に座った女性の行動を観察し、
その日常をいろいろ想像していること . . . . . . などなど。
なんの予定もない雨の日曜日にでもご一読ください。

DSCN8501 DSCN85042 )  夏目 漱石   『 夢十夜より-第三夜- 』
「 こんな夢を見た 」 という書き出しで知られる 『 夢十夜 』 は
明寺41年07月25日から08月05日まで 『 朝日新聞 』 に連載されました。
漱石としては珍しい幻想的な作品です。
第三夜は、淋しい道を子供を背負って歩いている 「 自分 」 と
背中の子どもとの会話が中心で、圓朝の怪談話を聞いているような気になります。

 < 既出紹介 >
【 リンク : アダナ・プレス倶楽部ニュース 杉本昭生 小型本の世界Ⅰ 】
【 リンク : アダナ・プレス倶楽部ニュース 杉本昭生 小型本の世界Ⅱ 】
【 リンク : アダナ・プレス倶楽部ニュース 杉本昭生 小型本の世界Ⅲ 】
【 リンク : 活版 à la carte 杉本昭生 小型本の世界Ⅳ
【 リンク : 活版 à la carte 杉本昭生 小型本の世界Ⅴ
【 リンク : 活版 à la carte 杉本昭生 小型本の世界Ⅵ

杉本昭生 小型本の世界

杉本豆本01uu

京都在住の造形家、杉本昭生さんの小型本の作品です。
杉本昭生さんは、三年ほど前からご趣味で、小型活版印刷機をもちいて、
小型本(いわゆる豆本)づくりをねばり強くつづけられています。
もともと読書家ですので、昔の著名作家の作品をテキストとして厳選し、
おもに樹脂凸版を印刷版とされ、
装本に粋を凝らしての挑戦がつづいています。

このお正月にも新作に挑戦されていたようですが、これまでのシリーズをご紹介いたします。
杉本豆本03uu杉本豆本04uu杉本豆本02uu

【製作者 杉本昭生さんのコメント】
自分の作った本について書くのは本当に恥ずかしいものです。
好き勝手に作っているだけなので、ひたむきな努力も不屈の精神にも縁がありません。
仕事も未熟ですし粗雑です。そんなわたしが苦労話や薀蓄を語るのは十年早いと思います。
ただ、言えることは、小さな印刷機があれば、自分一人で一冊の本を作ることができます。
本は読むのももちろん楽しいことですが、作るほうがもっとに楽しいものです。
これだけは実感しています。