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【良書推薦】吉田佳広さん 『文字の絵本 風の又三郎』 出版記念会!

表紙デザイン[1]


22-23ページ-馬が逃げ出します[1]46-47ページ-ラストシーンです[1]2-3ページ-導入部です[1]原作:宮沢賢治  デザイン:吉田佳広

宮沢賢治の名作世界を文字で表現!
グラフィックデザイナー歴50余年
タイポグラフィの先駆者である著者が挑む、実験的絵本。
『文字の絵本 風の又三郎』
原作:宮沢賢治 デザイン:吉田佳広
サイズ(判型)  21cm×21cm
ページ数     48ページ
発売日       2013年 08月
ISBN978-4-03-965110-5
発 売       偕 成 社
定価:¥1,785[税込]

【偕成社:オフィシャルページ
【吉田佳広氏のWebsite:名人のアート塾
【関連記事:花筏 吉田佳広氏の水彩画展
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文字の絵本『風の又三郎』出版記念会
 時 :2013年09月11日[水] 17:00-19:00
 所 :ART GALLEY KAGURAZAKA
     新宿区矢来町114 高橋ビルB1F
主 催:画材の森 ル・ポア 

挨拶をされる吉田佳広氏

DSCN1800三種類の『風の又三郎』
DSCN1805サイン会に応じる吉田佳広氏

左より、西野洋さん、伊藤勝一さん、進藤洋子さん、吉田佳広さん、志村守夫さん、やつがれ。───── 以下文責 片塩二朗
原作:宮沢賢治、デザイン:吉田佳広さんによる、文字の絵本『風の又三郎』には異装本が三種あります。

  • 第一次 吉田佳広自主制作 文字の絵本『風の又三郎』
               (原作:宮沢賢治、デザイン:吉田佳広、1977年)
    1974-84年にかけて「生活の中にタイポグラフィを」をスローガンとして、意欲的な活動をつづけた「タイポ・アイ」。吉田佳広さんはその設立メンバーであり、中心的存在でした。
    1977年《文字の絵本》と題した展覧会がひらかれ、そこに出品された作品が、第一次『文字の絵本 風の又三郎』でした。
    詳細は『タイポ・アイ 1975-1984 文字デザインのアイデア』(タイポ・アイ編著、ダヴィッド社、1984)に紹介されています。
  • 第二次 朗文堂(書館)発行 文字の絵本『風の又三郎』
               (原作:宮沢賢治、デザイン:吉田佳広)
    「タイポ・アイ」が一応の区切りをつけた1984年、小社朗文堂の最初期の書籍として刊行されたのが、第二次『文字の絵本 風の又三郎』でした。
    「タイポ・アイ」は活動の最後に、ニューヨークでの特別展を開催され、アメリカでも『文字の絵本 風の又三郎』が好感をもって迎えられました。その後しかるべき紹介者を通じて、英語版刊行の申し出があって、アメリカの出版社に「製版フィルム」一式をおくりました。
     

    ところがアメリカから英語版の色校正が送られてきた直後に、この版元は倒産し、その混乱のなかに『文字の絵本 風の又三郎』の「製版フィルム」は没してしまいました。情報を入手してすぐに現地に出かけましたが、すでにビルは空室で、オーナーは所在不明でした。
    これはデュープ(複版)を用意しなかった小社のミスであり、製作者の吉田佳広氏にはお詫びのしようもないほどのことでした。
  • 第三次 偕成社発行       文字の絵本『風の又三郎』
              (原作:宮沢賢治、デザイン:吉田佳広)
    第一次、第二次の『文字の絵本 風の又三郎』は、写真植字、レタリング、紙焼き複写、エアブラシなど、版下が幾重にも重なっていました。
    第三次『文字の絵本 風の又三郎』は、児童書・絵本の大手版元、偕成社からの刊行でした。その帯にはこのようにあります。

    宮澤賢治の言葉のリズムを
    文字とデザインでビジュアル化した
    実験的絵本!
    グラフィックデザイナーとして50年以上デザインの世界に携わり、タイポグラフィ(文字を素材とした印刷デザイン)の可能性を探究しつづけた著者[吉田佳広氏]が挑む「風の又三郎」。
    金属活字時代の1977年に自費出版、写植の時代の1984年に改訂版が刊行され、その新しさ・大胆さが反響を呼んだ『文字の絵本 風の又三郎』。根本のアイデアを生かしながら、さらに現代のデジタル技術を駆使し、全面的にデザインをあらためた最新版。
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    吉田佳広氏はいまではすっかりパソコンを縦横に駆使され、またまたあたらしい宮沢賢治像を描きだすことに成功されています。

    おもえば、第一次製作、第二次製作は写真植字と紙焼きによる「版下」が出稿データーでした。今回の第三次製作は、デジタルタイプを縦横に駆使し、フル・デジタルデータでの出稿でした。
    その間に36年の時間が経過しています。

    製作者/吉田佳広さんと、花巻の「宮沢賢治記念館」に同行したときのことをおもいだします。吉田さんは、賢治の手稿「春の修羅」の前で、黙って涙をぬぐっておられました。この宮沢賢治へのひたむきな憧憬が、36年という長い期間のモチベーションとなっておられたことと拝察いたしました。
    このあたらしい構想と、あらたな版元からの刊行をこころより祝福すると同時に、吉田佳広氏のますますのご壮健をこころより祈念いたします。