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【書体使用例紹介】東京創元社 三木笙子氏著作シリーズ

 東京創元社 の『人形遣いの影盗み』(創元推理文庫)ほか、ミステリ・シリーズ 三木笙子氏の著作 に〈正調明朝体 金陵 M あおい〉をご使用いただいております。ここにご紹介いたします。
11063223751106083165 1106160344《ご好評をいただいている正調明朝体シリーズをご紹介いたします》
「現代明朝体」には近代化の名のもとに、機械メスや電子メスが自在にはいって、直線化がすすみ、水平線と垂直線ばかりが目立って、すっかり四角四面の硬直した活字書体になってしまいました。
そんな「現代明朝体」から人間味をとりもどしたいあなたに、あるいは奇形や媚態をみせるデザイン書体にはすでに飽いたとおっしゃるあなたのために、明朝体の端正にしてもっとも原型にちかい木版字様を復刻した「正調明朝体 金陵」をおすすめします。
正調明朝体s正調明朝体Bs「正調明朝体」とはすこしおおげさな名前かもしれません。このあたらしい書体はべつに古拙感を演出した筆写体でも、奇をてらった装飾体でもありません。正調明朝体「金陵」は中国・南京の雅称から名づけられ、その金陵にあった大明南京国子監刊行の木版刊本『南斉書』にみられる端正な明朝体字様を現代に再生したものです。大明南京國史監 南齋書「正調明朝体 金陵」には伝統のたかみにある和字書体(平仮名と片仮名)三書体が標準でセットされており、ミディアム・ウエイトの 〈正調明朝体 金陵 M 〉 と、ボールド・ウエイトの 〈正調明朝体 金陵 B 〉 があり、用途に応じた選択ができます。ご愛用をお待ち申しあげます。

【書体使用例】年頭ご挨拶に使用した書体は《和字おゝことのは》アンチック体です

おゝことのは01
あけまして_朗文堂
朗文堂年頭のご挨拶は、小社コーポレートカラーの「黄色から赤までの無限の階調色」をバックとして、おおらかに、のびのびと、「和字  おゝくれたけ H 」をもちいました。
漢字書体は、これも力づよく、 「Human Sans Serif  銘石 B 」をもちいています。
【詳細見本PDF版: type cosmique 見本帳 (13.5MB)】 
※ 無料冊子型パンフレットも用意しております。 ご希望のかたはお申し出ください。
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アンチック体活字の修復・復元と、シリーズ化に成功!
和字 おゝことのは Family 9
販売価格 ¥9,450(本体価格  ¥9,000)
好評発売中!
お申込み・ご購入は、朗文堂 タイプ・コスミイク までお願いいたします。
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《和字 ことのはの原姿は、いわゆる アンチック体 和字活字です》
和字書体「ことのは」は、アメリカからもたらされた活字書体 「アンチック Antique」 と同じ名称をもち、辞書などの見出し語として用いられてきました。
欧字書体としてのアンチックの名称は、ふるくは『活版様式』(活版製造所平野富二、1876)に登場しています。また、和字・漢字をともなった日本語総合書体としては、『新撰讃美歌』(警醒社、1888)で使用されていることを内田 明氏が指摘されています。

『和字 おゝことのは Family 9 』の原姿は、『辞苑』(新村出編著、1935年初版、書香文庫蔵)の見出し語活字で、いわゆる「アンチック体」とされる和字活字にあります。幸い資料が辞書でしたから、五十音それぞれのキャラクターを抽出できました。その「アンチック体」の原姿ともいえる資料をもとに、統一感をもって整理・整頓し、ウェイトを使途にあわせて多様化し、9 種類にしたものです。
その初登場は、欣喜堂和字シリーズ第2弾として発売された『和字 Tradition 9 』に収録されて、好評を博しました。

《アンチック体と混同されがちな 太仮名由来の和字書体》
アンチック体和字は、しばしば金属活字由来の「太仮名」と混同されています。このふたつの活字書体は、ともに明治期に誕生した優れた書体ですが、アンチック体の画線は比較的均一で、太さの差異がすくない特徴があります。太仮名由来の和字書体は画線に抑揚があり、脈絡を強調する特徴がみられます。そのために、このふたつの和字書体は異なる設計意図にもとづく書体とおもわれます。簡便に見わけるためには、ひら仮名「の」の頂点がほぼ同じ太さになっているのがアンチック体、頂点が細くなっているのが太仮名活字由来の和字書体ということができます。その詳細は『ヴィネット11号 和漢欧書体混植への提案』(今田欣一  朗文堂)に報告があります。

『 和字  おゝことのは Family 9 』では、もう一度原点に立ち帰り、形象をさらに検討し、字面率をおおきめにとり、ウェイトを 9 ウェイトとしてシリーズを構築しました。
漢字書体との組み合わせは、一応参考・推奨書体はありますが、お客さまご自身が「和字・欧字・漢字」の組み合わせの妙を発揮していただくことを期待しています。
銘石Bパッケージ。デザイン:白井敬尚形成事務所