武蔵野美術大学美術館図書館企画で、京都府立総合資料館『圓光寺所蔵伏見版木活字の実見』の機会を得た

奈良朝―室町末期の九世紀におよぶ印刷文化はほとんど仏教文化の影響下にあったが、秀吉の朝鮮出兵によってもたらされた活字印刷器具を採用するや様相を一変させ『平家物語』『枕草紙』など重要な古典のおおくが古活字版印刷で花が開いた。『伊勢物語』も一六〇八年(慶長一三)に書写を脱して古活字版で刊行された。一五〇年ほど先行したグーテンベルクの高度な印刷術と同様、伏見版・嵯峨本など慶長年間古活字版の製品群を超克するのは現代でも容易ではない。

京都府立総合資料館 伊勢物語(嵯峨本 国立国会図書館蔵)

投稿