ゴシック写本」タグアーカイブ

【展覧会】国立西洋美術館|内藤コレクション展|「ゴシック写本の小宇宙 ─ 文字に棲まう絵、言葉を超えてゆく絵」|’19年10月19日-’20年1月26日

国立西洋美術館
内藤コレクション展「ゴシック写本の小宇宙 ── 文字に棲まう絵、言葉を超えてゆく絵」
会  期  2019年10月19日[土]-2020年1月26日[日]
開館時間  9:30-17:30
      毎週金・土曜日は 9:30-20:00、12月27日[金]は9:30-21:00
      * 入館は閉館の30分前まで
休  館  日  月曜日 *’19年12月28日[土]-’20年1月1日[水・祝]、1月14日[火]は休館
会  場  国立西洋美術館 版画素描展示室
主  催  国立西洋美術館
観覧料金  一般 500円、大学生 250円
      * 本展は常設展の観覧券、「ハプスブルク展」の観覧券でもご覧いただけます。
──────────────
いまだ印刷技術がなかった西欧中世のキリスト教世界においては、修道院を中心に制作された手写本が、ひとびとの信仰と知を担う特権的なメディアでした。ただしそれは、もっぱら言葉だけを保存し、運搬する媒体ではありませんでした。
獣皮紙に書かれた中世の写本には、さまざまな挿絵が描かれ、テクストの頭文字やページの余白は、しばしば豊かな装飾なり紋様で彩られたからです。写本ページの小さな平面は、より大きな画面を備えた壁画や板絵に劣ることのない、中世の絵画芸術のまぎれもなく最重要な舞台でした。

そんな中世の彩飾写本に強く魅せられた日本人のひとりに、中毒学を専門とする学者/医師として知られる内藤裕史氏(筑波大学・茨城県立医療大学名誉教授)がいます。数十年にわたって一枚ものの写本零葉を蒐集してこられた氏は、ご自身のコレクション約150点を、2016年春に一括で当館にご寄贈くださいました。日本のミュージアムには、西欧中世のコレクションが欠けているとの思いからでした。
以降、当館では館外の研究者のかたがたに多大なご協力をいただきつつ、従来のコレクションの範囲を押し拡げるそれら寄贈作品の調査をしてきました。またその後も、内藤氏に賛同なさった長沼昭夫氏から寄付金を頂戴し、写本葉のさらなる蒐集をおこなってもきました。

このたびの小企画展は、その内藤コレクションをまとまったかたちでお披露目する最初の機会となります。内藤氏が蒐集した作品は、制作地域/制作年代ともに多岐におよびますが、中核となるのは13世紀以降のゴシック写本です。
この時代の彩飾写本では、絵が文字のなかに寄生するようにして物語や空間をつくりだしたり、欄外の余白へと居場所をもとめながらテクストを注釈したり逸脱したりしてゆきました。そうしたゴシック写本の小宇宙の一端を開示してくれる内藤コレクションの作品群を、東京藝術大学附属図書館からお借りするファクシミリ版の写本とともにご紹介します。

[ 詳細: 国立西洋美術館 ]