はじめての京劇鑑賞*そのⅡ 老北京 梨園劇場

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《2014年01月16日[木]、商用にて北京を訪問》
羽田発09:25 全日空NH1255便でのフライトだった。だから早朝から目をこすりながら羽田にかけつけた。
チケットはネットで安いチケットをとったため、ルックJTBの団体チケットだという。団体旅行は苦手なので抵抗したが、空港からホテルまで送ってくれるし、ともかく安いのだという。
むかしはこの団体送迎バスがくせ者で、お土産物やなどに連れていかれて閉口した。

羽田-北京までのフライト時間は、羽田-北京がおよそ4時間、北京-羽田がおよそ3時間半となる。重度喫煙依存症のやつがれにとって、この4時間の禁煙強制は限界にちかい。近いようで遠いのが中国である。往復に差があるのは偏西風の影響によるらしい。
機内ははやくも春節(旧正月)で帰省する中国のひとで満員。機内いっぱい賑やかに中国語が飛びかっていた。
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JTBの団体ときいていたが、同行は吾吾ふたりだけで、出向かえてくれたガイドと、運転手つきの10人乗り、おおきなマイクロバスがおもはゆい。道中心配していた土産屋に寄ることもなく、無事北京城地内の日航ホテルこと、「京倫飯店 JINGLUN HOTEL」に直行。
ここ数回、北京のホテルは「胡堂 フートン」を改造した、あたらしいペンションのようなところに宿泊していたので、大型ホテルはかえって落ち着かない。

ホテルで荷物をとき、ホッとしたのは夕方の04時ころだが、日本と中国には1時間の時差があるので、現地時間ではまだ午後3時ということになる。そこで部屋に備え付けの、おめでたい蝙蝠コウモリ模様でいっぱいの茶器で、午後のお茶を一服。
DSCN2775 DSCN2777 DSCN2782《午後の散策 「中国国際貿易中心センター」、「国貿飯店ホテル」。クリスマスとお正月がいっしょに 》
日航ホテルこと、ホテル「京倫飯店 JINGLUN HOTEL」では、さすがにBSテレビでNHKがみれたが、せっかくの中国でテレビを、ましてNHKをみてもつまらない。そこで晩ご飯のレストランを探しながら、ホテルの周辺を散策することにした。
「京倫飯店 JINGLUN HOTEL」は地下鉄01号線、永安里駅と国貿駅の中間で、どちらからも徒歩で5分ほど。国貿駅は「中国国際貿易中心センンター」と直結している。

なにぶん昇竜の勢いの中国だから、地下商店街には世界の有名ブランドが競って出店していた。かつてわが国の銀座や新宿の繁華街を占拠していたこれらの店舗は、こんなところに移動していたのかと驚いた。
そんな一画に、紀伊国屋のような高級食材店があって、そこには日本の食材、それも生鮮食材がたくさん列んでいた。育児用粉ミルクなどは日本製が多いとはきいていたが、お菓子はもとより、日本製をうたった野菜や果物が豊富にならんでいた。

「中国国際貿易中心センンター」は、東京ビッグサイトというか、幕張メッセのように広大な敷地であり、しかも地下街を中心に歩いたので、地上にでたら方向を見失って、併設の「国貿飯店ホテル」に入ってしまった。
脚が棒になってくたぶれていたので、ホテルのロビーでしばし休憩。
なかなかにして豪華なホテルだったが、ロビーに燦然と黄金色に輝く、一対の「金の成る木」がデンと鎮座していた。あまりに正直というか、いかにも現世利益を重くみる中国ならではの風景だった。
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 《梨園劇場でふたたび京劇をみる》
北京城区前門の近く、梨園劇場(宣武区永安路175号前門建国飯店1階 公演時間:19:00-20:40)にいった。ここは前回の湖廣會館とはちがって、近代ホテル「建国飯店」の一階にある劇場である。
こちらも客席は閑散としていた。開演前に役者のメイク実演などもあり、わかりやすいといえばそれまでだが、なにか違うなという感じ。やつがれは、役者は舞台でこそ勝負して欲しいし、楽屋や楽屋裏なぞはみたくもないほうであるから……。
ただしわが国の「京劇 口コミ」では、楽屋までいって役者と写真まで撮れた……など、湖廣會館より好評だった。

DSCN2643 DSCN2639 DSCN2660 DSCN2632 DSCN2624 DSCN2646 DSCN2685 DSCN2701 DSCN2706 DSCN2699 DSCN2695 DSCN2699 DSCN2693湖廣會館とおなじく、やつがれ、シモテ最前列で観劇した。残念だったのは弦楽器はこれみよがしに前面にでてきていたが、京劇の最大の魅力、煩いまでに鳴り響き、役者とともに演技を盛りあげる打楽器はテープで流れていた。したがって役者は、テープのリズムに無理やり合わせて躍っていた。
歌舞伎でいう「荒事」のように、動きが激しいうちはまだよかったが、後半の「世話物」のような、ゆったりとした芝居となると、テンポも、リズムも崩れており、メリハリにも欠けて、もういけなかった。
ありていにいうと、やつがれ後半はいつのまにか眠っていた。

《友人に前夜の芝居をこぼしたら、こんど本当の京劇をみせてくれるという……》
翌日[金曜日]は早朝から夜まで仕事だった、その合間に昨夜の京劇鑑賞のことをはなしたら、
「北京には、湖廣會館、長安大戯院、正乙祠戯楼、梨園劇場などで京劇をやっていますが、これらは観光客向けです。こんど、民衆の、本当の京劇にご案内しましょう」
といってくれた。友人は最初は版画印刷や石版印刷の専門家だったが、いつのまにかすっかり活版印刷術 ≒ タイポグラフィに方向を転じてきている。嬉しくもあり、困ったものでもある。

結局友人は翌日の休暇、土曜日一日を、やつがれらといっしょに「老北京 —— ふるき よき 北京」をたずねて、ガイドブックには載らない各所をいっしょにあるいた。
別れ際に、ちいさな本『毛首席最新指示』を手渡してニヤリとした。
「あのころはいささか暴走したけど、面白いことが書いてある。しかもこの図書のおもしろいところは、毛首席が好きだった活字書体で組んであることです」
毛沢東が好きだったという活字書体……。これはいずれ詳しく紹介したいが、ここにはとりあえず、『毛首席最新指示』を紹介しよう。
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