ご面倒でも電話口の向こうの知人に、電話番号、ビル名、マンション室名をゆっくり丁寧に伝えてください

20160106172931979_0001電話番号、ビル名、マンション室名など、数字が所〻に混じった文を口頭で、まして顔がじかにみれない電話でひとに伝えるのは面倒なものです。
恐縮ながら上掲の文を、声にだして、ゆっくりおよみください。

もしかすると「0 → ゼロ まる」とまじってよみませんでしたか。
{ 渋谷109 } は 「 シブヤ イチ マル キュウ」、イマドキの若者は「マルキュウ」がふつう。
これを「縦組み前提」でデジタル機器に入力すると、数字はテンキー使用だ、とばかりもいっていられない意外な事故が発生中です。

というのは、いわゆる「漢数字のゼロ 〇 」は、字(文字)としては日中台ともに扱っていないためです。ですから最近発行された簡便なものをのぞき、わが国のほとんどの「漢和辞典」、中国・台湾の「字書」には登場しません。
なによりも「◯ ゼロ」とカタ仮名表記したくなることからもおわかりのように、造字活動がさかんだった漢代をふくめ、古代の中国人は「◯ ゼロ」を発見しておらず、「〇 ゼロ」の発見はインド地方であり、それがアラブ諸国を経由して、14-15世紀にヨーロッパに伝えられたとされています。
古代の中国人は、知らなかった「〇 ゼロ」に、字義・字画・字音(よみ)をあたえることはできなかったことは当然といえるでしょう。

「字」をうんだ中国・台湾はもとより、わが国でも「字」であるための条件とは簡単明快で、
「定まった意味(字義)、さだまった形象(字画)があること」とされます。
いわゆる「漢数字のゼロ 〇 」は、その点、「〇 ゼロ」、「一〇 ジュウ」、「一〇〇 ヒャク」となり、「字であることの条件」、「定まった意味(字義)、さだまった形象(字画)があること」に反することになります。
したがって現代のパソコン搭載のデジタルタイプは、「漢数字のゼロ 〇 」を、下掲図のように「準仮名・(準)漢字」という奇妙なコーナーにおくことがあります。すなわち「字」になりきっていない、記号的な扱いにとどまっているということです。
その記号的な扱いの危険性は、 {他人事} とともに、いずれゆっくりと解明しましょう。
ATOK 文字パレット 準仮名・準漢字