【公演】歌舞伎座百三十年 二月大歌舞伎 ─ 高麗屋三代襲名披露 + <歌舞伎座公式総合サイト 歌舞伎美人-かぶきびと> 草間彌生の祝幕発表

歌舞伎座二月

歌舞伎座百三十年 二月大歌舞伎
松本幸四郎改め  二代目 松本白 鸚
市川染五郎改め  十代目 松本幸四郎  襲名披露
松本金太郎改め  八代目 市川染五郎
平成30年2月1日[木]-25日[日]
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《昼の部》
一、春駒祝高麗(はるこまいわいのこうらい)

  開幕を祝う曽我物の舞踊
初春を迎えた工藤祐経の館に乗り込んだ曽我十郎と五郎の兄弟。春駒売りに身を窶(やつ)し賑やかに踊ってみせます。そして、親の仇である工藤と対面しますが…… 。

襲名の幕開きを祝うにふさわしい華やかな舞踊が舞台を彩ります。

二、一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)
  檜垣・奥殿
阿呆の姿に隠された真の思い
平家全盛の世、夫源義朝を亡くした常盤御前を妻に迎えた一條大蔵卿は、その阿呆ぶりが世間でも広く知られています。大蔵卿の館に潜り込んでいた源氏方の吉岡鬼次郎は、源氏再興の思いをなくした様子で楊弓に興じてばかりいる常盤を打ち据えます。しかし、常盤の振る舞いには訳があり、そこへ大蔵卿が勇ましい姿で現れると…… 。
義太夫狂言の大役を、新幸四郎が襲名披露狂言にて勤めます。

三、歌舞伎十八番の内 暫(しばらく)
魅力あふれる荒事の代表作
早春の鶴ヶ岡八幡宮、威厳を誇る清原武衡に対して、加茂次郎義綱が不遜な振る舞いを非難すると、武衡は義綱の首を刎ねるよう命じます。そのとき、「しばらく」と大音声がかかると鎌倉権五郎が颯爽と登場し…。
権五郎が見せる元禄見得や、幕切れの豪快な六方は大きなみどころです。歌舞伎十八番らしい荒事をお楽しみいただきます。

四、井伊大老(いいたいろう)
未曾有の国難に立ち向かう男の心情
時は幕末。開国を決断し、暗殺の危機に晒される大老井伊直弼。雛祭りを控えたある日、直弼の側室お静の方のもとに旧知の仲である仙英禅師が訪れ、直弼に危機が迫っていることを伝えます。自らの死すべき運命を覚った直弼は…… 。
桜田門外の変までの井伊直弼とお静の方との情愛を、繊細な心情描写で描く名作をご堪能いただきます。

《夜の部》
一、熊谷陣屋(くまがいじんや)
戦乱の世に翻弄された武将の心情
源氏方の武将熊谷直実が自らの陣屋に戻ると、妻の相模が息子小次郎の初陣を心配して訪れます。直実が敦盛を討った様子を語って聞かせますが、そこに敦盛の母である藤の方が姿を現し、直実に斬りかかります。藤の方と相模が悲しみに暮れるところ、直実が源義経のもとへ敦盛の首を届けようとしますが、そこへ義経が現れ、首実検が行われることになり…。
新幸四郎が高麗屋ゆかりの大役、熊谷次郎直実を襲名披露として勤めます。

二、壽三代歌舞伎賑(ことほぐさんだいかぶきのにぎわい)
襲名披露を祝う華やかな一幕
江戸の芝居町である木挽町。このたびの襲名を披露する高麗屋三代、二代目松本白鸚、十代目松本幸四郎、八代目市川染五郎が登場します。木挽町に集う皆々が出迎え、お祝いを述べます。
歌舞伎史上に残る二度目の親子孫三代襲名を寿ぐ、おめでたい一幕をご覧いただきます。

三、仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
  七段目
遊興の中に交錯する仇討ちの本心
塩冶判官が殿中で刃傷に及び切腹してから半年。京都祇園で遊興三昧の大星由良之助のもとに仇討ちに加わりたいと寺岡平右衛門が訪れますが、相手にされません。そこへ、由良之助の息子の力弥が父に密書を届けにきたところ、平右衛門の妹の遊女お軽の知るところとなります。仇討ちを気付かれた由良之助のために、平右衛門はある決意をし…。
37年前、高麗屋三代襲名の際には、初代白鸚が由良之助、七代目染五郎が力弥を演じました。その舞台から時を経て、襲名披露にて新白鸚の由良之助、新染五郎の力弥という配役でご覧いただきます。

【 詳細情報 : 歌舞伎座 】 初出:01月08日
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<歌舞伎座公式総合サイト 歌舞伎美人-かぶきびと> 2018年1月23日

「二月大歌舞伎」高麗屋襲名披露の祝幕デザインを発表

kabukiza_iwaimaku_0123a3歌舞伎座「二月大歌舞伎」祝幕の完成イメージを前にした十代目松本幸四郎
ⓒ YAYOI KUSAMA ⓒ 松竹

2018年2月1日(木)、歌舞伎座百三十年「二月大歌舞伎」の二代目 松本白鸚、 十代目 松本幸四郎 、八代目 市川染五郎の襲名披露にお目見得する祝幕のデザインが発表されました。

「2月も引き続き、歌舞伎座で襲名披露興行をさせていただきます。それにあたり、日頃よりご贔屓いただいております中野道代様より、祝幕のご提供をいただくお話を頂戴しました。襲名する人の思いをかなえることが何よりのお祝いとの言葉を受け、私が(デザインを)お願いさせていただいたのが、草間彌生先生です」。
以前から作品が大好きだったという幸四郎の思いが、2月の襲名披露の祝幕となります。

世界の草間彌生が襲名披露の力になる 

kabukiza_0123iwaimaku_d2017年6月、草間彌生氏の美術館で、今回の祝幕となった3点のうちの一つの原画を前に
ⓒ YAYOI KUSAMA

無限に続くような水玉や網目をモチーフとした作品で、世界に知られる前衛芸術家の草間氏と、幸四郎が雑誌の取材で話をしたのは、20年ほど前のことでした。
初対面で幸四郎は、「永遠を信じますか」と、問いかけたと言います。「肉体が滅びる寿命は感じている、とおっしゃった時点で先生にはまりました。自分の思っている作品を、いかに限りある自分の肉体からつくっていくことができるか。それは戦いだと。そうして、つくられた作品が永遠になると」。草間氏の答えは、今回、20年近く経っても変わっていませんでした。
「世界を、時代をつくり、つくり続けていく方の、まだ新しいことをやっていこうというパワーが、2月の舞台へのエネルギー、力になる」。幸四郎は草間氏とその作品への思いをあふれさせました。

今回の祝幕に使用されたのは、2017年に制作された3点で、幸四郎がアトリエで見た時点では未発表でした。「今までになかった新しい作品だと感じました。高麗屋の襲名のおもてなしとして、お客様を最初にお出迎えする作品として、素晴らしいのではないかと」。
草間氏が歌舞伎座の間口に合わせたら、たとえばこういう形と見せたものが、そのまま今回のデザインになりました。「地色が黒色の祝幕はこれまでにないと思います。完成された形だと思いました」。ほかの作品も見た結果、「もうこれ以上はない」と、最終的にこの3点に戻りました。

選ばれたのは、2009年から草間氏が制作している「わが永遠の魂」シリーズのうちの3点で、祝幕は高さ7.1メートル、幅は30.3メートル。この大きさに草間作品がプリントされるのは世界初です。「実際に舞台に掛かったとき、どれだけ驚くか、今からわくわくしています」と、本当にうれしそうな笑顔を見せました。

1月とはまた顔ぶれの異なる大一座での2月の襲名披露。
「ありがたいことです。自分としても『一條大蔵譚』の大蔵卿と『熊谷陣屋』の熊谷、二つを一度に演ずるのは無謀だとわかっていますが、一生に一度のこれ以上はない興行なので、大変な思いをし、それに向かっていきたい」と、最後に幸四郎は意気込みを語りました。

【転載元記事:<歌舞伎座公式総合サイト 歌舞伎美人-かぶきびと> 2018年1月23日