【公演】国立能楽堂|開場35周年記念 特別企画公演|苦難を乗り越えた能楽|1月25日

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国立能楽堂
開場35周年記念 特別企画公演

苦難を乗り越えた能楽
開催日時  平成31年1月25日[金] 午後6時開演
狂言  棒   縛   山本 東次郎(大蔵流)
  能    道 成 寺   梅若  実 (観世流)
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明治維新から数えて百五十年。江戸時代二百六十余年、太平の世を誇った幕藩体制の崩壊は、扶持を得て舞台生活を送っていた当時の能役者にとって大激震となって襲ってきました。
実は、国立能楽堂には、明治維新を想起させる二つの装束が所蔵されています。そのうちの一つが能装束「紅地雪持椿模様唐織-べにじ ゆきもち つばきもよう からおり」です。この唐織は、宝生流で能「道成寺」に着用する装束です。もともと宝生宗家に伝来したものを、幕末から明治・大正
にかけて活躍した十六世宝生九郎知栄-ともはる-が維新後の困窮のなかで観世流の初世梅若実に手渡したものと考えられます。

能「道成寺」は能の中でも特に大切に扱われる演目です。それほどの装束を手放し、能の道を諦めかけた九郎でしたが、その後流派を立て直して能界を主導、やがて梅若実、金春流の櫻間伴馬とともに明治の三名人と讃えられ、現代の能楽繁栄にまで繋がる礎を築きました。
平成30年12月(終了)と、平成31年1月の特別企画公演では、この装束を使用して、宝生・梅若の現当主が時代を超えて能「道成寺」を演します。

そして、もう一方の明治維新を想起させる装束が、狂言装束「黒地紋尽模様半袴-くろじもん もようづくし はんばかま」です。この装束は、現在も続く狂言の大蔵流・和泉流で使用されている袴と違い、模様の丸紋に彩色が施されているのか特徴です。これは、明治の混乱を経て廃絶した鷺流が使用していた装束だと言われています。今回は特別にこの装束を復元した袴を用いて狂言を上演します。

幕藩体制が崩壊して扶持を失い、能・狂言を演じる場を失った明治の能役者たちの困窮はいかばかりだりたでしょう。あるいは道を諦め、あるいは廃絶の憂き目に遺いました。しかし、先人遠は再び力を振り絞って後世に能・狂言を残し伝えました。
明治百五十年の記念すべき年に、明治の先人達に想いを馳せるとともに、今後の能楽の繁栄を築くべく、ゆかりの装束を活用した必見の舞台を開催します。

狂言  棒   縛   山本 東次郎(大蔵流)
酒好きの二人の家来か留守中に酒を飲まないよう、主人は棒や縄で縛ってしまいます。どうしても酒が飲みたい二人は……。手を縛られながらも酒盛りをはじめる二人の姿か笑いを誘う人気作す。

  能    道 成 寺   梅若  実 (観世流)
紀州・道成寺の鐘供養に現れた白拍子は、供養の舞を舞う中ウチに鐘の内へと飛び入
り、蛇体となって再び姿を現します。「安珍・清姫伝説」を題材とした作品で、シテ
と小鼓による緊迫感あふれる乱拍子、鐘入り等、見どころの多い能の代表作です。

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