日別アーカイブ: 2019年2月13日

【日々之好日】春節-己亥大吉 旧正月の祝|有朋自遠方来不亦楽乎 ── 朋有り遠方より来たる亦た楽しからずや|たくさんのご来客とお祝いの記念品が着到|

DSCN9641小さな花 kinn の古字《春は名のみの …… 寒い毎日ですが》
吾が空中庭園ではスミレがひっそりと開花している。
ここは南面しているので、晴天なら陽だまりになるが、この頃の曇天のなかではさすがに寒そうである。

【 スミレ 菫 菫菜-キンサイ 】
春、道ばたや森の中で深い紫の花を咲かせる。自生している場所や、その色から奥ゆかしい花とされ、「花のことのは」は、「誠実」「ひかえめ」。

歳時記では卯月-四月の花とされている。

日本では多くの種類のスミレが自生しているので香りは種類によって異なる。スミレを特定の種の和名として用いるほか、スミレ属各種を総称することも多い。
スミレの名は、下弁の形が、大工が使用する墨壺に似ているからつけられたもので、墨入れの略とされる。漢の字「菫」を与えて「菫-すみれ」とするのは俗用で、中国では「菫菜-キンサイ」と書かれることが多い。
英語では「violet バイオレット」と書くが、サンシキスミレ( V. tricolor L. ビオラ・トリコロル)系のものは、主として園芸品種の系統を「pansy-パンジー」、また主として野生種のものを「heartsease-ハートシーズ」とよんで区別する。

[参考:『日本大百科全書』(小学館)]

DSCN9660 DSCN9652 DSCN9657北京の印刷・出版社の中華書局数字出版中心:李 晨光さんから、『己亥大吉-きがいだいきち』のデスクダイアリーと、『唐詩之美日暦』『宋詞之美日暦』の春節を祝う携行カレンダーが到着した。
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中華書局は自社活字書体の「聚珍倣宋版」を有し、中国有数の印刷・出版企業の中核企業である。「中華書局数字出版中心」での数字はデジタルを、中心はセンターをあらわすので、李 晨光さんは同社のデジタル・パブリッシング部門の総括責任者ということになろうか。

李 晨光さんとの最初は2015年04月03日、東京での学会にパネラーとして参加されたおふたりが、中途で「脱出」して、小社を訪問されたことにはじまった。その後はやつがれが北京を訪問したり、招聘された際にお会いしていた。
政府系企業から招聘をうけて訪中した際に、主催者にお願いして前夜祭のパーティーに李 晨光さんをお招きしていただいた。驚いたのは並みいる有名大学の教授陣が競って李 晨光さんのもとに駆け寄って名刺交換にあたっている光景であった。

宴が終わったのちに、親しい某教授に伺ったところ、
「中華書局は学生の憧れの職場ですから。ねっ」と艶然と微笑まれた。
やつがれも現役時代にはそれなりに学生の就職先を気にしていたが、巨大大国となった中国では、著名企業への求職競争は熾烈なものがあることをのちに知った。

[ 関連: 朗文堂好日録-045 卯月四月がおわり、新緑と薫風の皐月五月のはじまり ]

2015年の記録ですが、ここに若干の補整を加えて紹介したい。
DSCN8622 DSCN8627お客さまご訪問 右から、中華書局(北京):李 晨光氏、商務印書館(香港):毛 永波氏 

《 2015年04月03日〔金〕、おふたりの中国の印刷・出版人がご来社に 》
朗文堂 サラマ・プレス倶楽部のホームページをプリントされ、それを提示されながらの、ほとんどノーアポでのご訪問でした。

日本で<活版ルネサンス>の動向が顕著なことと、朗文堂 サラマ・プレス倶楽部のうわさわを聞きつけてのご訪問でした。
◎背の高いかた) 李 晨光 さん (中華書局〔北京〕  数字出版センター)
◎メガネのかた) 毛 永波 さん (商務印書館〔香港〕有限公司 取締役・副編集長)
おふたりは <第18回 東アジア出版人会議> のパネラーとして来日され、その寸暇をぬすんで、まったく突然のご訪問でした。

《デジタルプリントの話題はほどほどに、中華書局:聚珍倣宋版、商務印書館:倣宋体活字で話題がおおいに盛りあがる》
中華書局には「聚珍倣宋版」があり、商務印書局には「倣宋体活字」という、すぐれた本文用活字書体がある。

このふたつの活字書体はわが国にも昭和前期にもたらされ、中華書局系は名古屋・津田三省堂らによって「宋朝体」の商品名で発売された。商務印書館系は大阪・森川龍文堂によってもたらされ、「龍宋」の商品名で発売されていた。

この宋王朝刊本字様を淵源とする活字書体を、故・毛沢東首席が好んだことはかつて紹介した。 また現代中国では、宋体(わが国の明朝体)にかえて、倣宋体(わが国のいわゆる宋朝体)が本文用活字書体として再評価されている。 たまたま小社でも「宋朝体研究」が進行中で、その資料をみたおふたりとも、おおいに驚き、喜んでいただいた。

おふたりとも職掌上デジタルメディアにたずさわっているが、やはり印刷 ・ 出版人の <活字好き> は日中ともに変わらないようであった。

《邢 立 老師、ことしの春節をご夫人とともに日本ですごす》

<上海に営業所を有する知人からの情報>

今年の中国春節の休暇は 2月4日[月]-10日[日]、実質 3 日[日]をあわせて連続 8 日間の休暇となっています。弊社の上海事務所は政府の規定どおりの休暇ですが、生産工場などは 2 週間から 1 ヶ月間を休業としているところが多いようです。

’19年11月末、長崎で開催された<「平野富二生誕の地」碑建立祝賀祭>に北京から参加され、会話翻訳機を駆使して、すっかりサラマ・プレス倶楽部会員とも親しくなられたのが邢 立-シン リツ- さん。
[ 参考: Notes on Typography 【ことのは】春節 シュンセツー旧正月|中国:春節 連続8日間の休暇|長崎新地地区を中心に「2019長崎ランタンフェスティバル」2月5日-19日 ]

さきに愛娘が結婚されて、まもなく出産ということで(邢 立 老師はオジイサンになる)、北京印刷大学教授でもあるご夫人は、日本の温泉を楽しみ、またベビー用品のお買い物に忙しいとか。
そこで邢 立さんはひとりで朗文堂に来社して、いつものタイポグラフィ論議。
中国の春節のすごしかたも、少しずつ変わってきているようです。

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【展覧会】東京国立博物館|特別展「顔真卿 王羲之を超えた名筆」|1月16日-2月24日

bnr_ganshinkei_3_224_1先行チラシ_A4_表東京国立博物館
特別展「顔真卿 王羲之を超えた名筆」
会  期  2019年1月16日[水]-2月24日[日]
会  場  東京国立博物館 平成館(上野公園)
開館時間  9:30-17:00(入館は閉館の30分前まで)
      * 会期中の金曜・土曜は21:00まで開館
休 館 日  月曜日 * 2月11日[月・祝]は開館、翌12[火]は休館
観覧料金  一般1600円、大学生1200円、高校生900円、中学生以下無料
主  催  東京国立博物館、毎日新聞社、日本経済新聞社、NHK
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中国の歴史上、東晋時代(317-420)と唐時代(618-907)は書法が最高潮に到達しました。書聖・王羲之(おうぎし、303-361)が活躍した東晋時代に続いて、唐時代には虞世南、欧陽詢、褚遂良(ぐせいなん、おうようじゅん、ちょすいりょう)ら初唐の三大家が楷書の典型を完成させました。
そして顔真卿(がんしんけい、709-785)は三大家の伝統を継承しながら、顔法と称される特異な筆法を創出します。王羲之や初唐の三大家とは異なる美意識のもとにつちかわれた顔真卿の書は、後世にきわめて大きな影響を与えました。

本展は、書の普遍的な美しさを法則化した唐時代に焦点をあて、顔真卿の人物や書の本質に迫ります。また、後世や日本に与えた影響にも目を向け、唐時代の書の果たした役割を検証します。

* 本展は「祭姪文稿」コーナーを中心に相当な混雑が広報されています。
* 混雑状況は Twitter @ganshinkei2019 にて確認できます。
   また下掲ページ、本館開催の関連展 王羲之書法の残影-唐時代への道程-もお勧めです。

【 詳細: 東京国立博物館