【艸木風信帖】Lingua Florens|クサノオウとチューリップ|きれいな花には毒があるというけれど|

くさのおうとチューリップ02「Lingua Florens」とは、「ことのは の 花園」の意から、河野三男さんが名づけられた三坪ほどの小庭で、人工地盤の浅い土壌の上にある。
既報のとおりゴシャゴシャと様〻な艸花が植えてあるが、写真左、黄色の花をつけたクサノオウと並んで、チューリップが花をつけている。
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「クサノオウ Chelidonium majus はユーラシア大陸一帯とその周辺に広く分布する、ケシ科クサノオウ属に属する一年生(越年草)の草本植物。わが国でもほぼ全国でみられ、またヨーロッパから北アメリカへも移植され、アメリカにも広く分布している。

「クサノオウ」は繁殖力が旺盛で、植えた記憶はなく、おそらくなにかの花卉といっしょに紛れ込んで、Lingua Florens のあちこちに勝手に自生しているらしい。したがっていつの間にか五株ほどのクサノオウをみるまでになった。
ところがこの艸は意外に厄介で、茎や花といった植物体を傷つけると、有毒アルカロイド成分を含む黄色い乳液を出し、これが皮膚に触れると炎症を起す。そのため皮膚の弱い人は、植物体そのものに触れるとかぶれる危険がある。日曜園芸家などはゴム手袋の着用がお勧めだそうである。

「クサノオウ」には多様な別名もあるが、和名クサノオウについては以下の命名由来説がある。
・植物体を傷つけると黄色の乳液を流すので「草の黄-クサノオウ」。
・皮膚疾患に有効な薬草とされていた時代があり、その意味で「瘡-くさ-の王」。
・鎮痛剤として内臓病に用いられた時代があり、そこから「薬草の王様-草の王」。

ところでチューリップ。水仙、ムスカリといった早春の球根艸が咲き終わったあと、春の王者登場といった趣で、小庭のあちこちで威勢良く開花した。
いまやチューリップは、鑑賞用だけではなく、食用や化粧品の原料としても採用されていると聞くが、多くの品種で全草に心臓毒であるツリピンを含み毒性がある。すなわち食用に適するものは専用の品種で、一般の園芸品種は灰汁-あく-が強く、また農薬などの問題もあり食用は避けるべきとされている。
古人曰く「きれいな花には毒がある」

[参考:ウィキペディア/クサノオウ  グーグル/画像集
[参考:ウィキペディア/チューリップ グーグル/画像集