【展覧会】ギンザ・グラフィック・ギャラリー|第386回企画展|ソール・スタインバーグ  シニカルな現実世界の変換の試み|’ 21年12月10日-’ 22年3月12日

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ギンザ・グラフィック・ギャラリー 第386回企画展
ソール・スタインバーグ  シニカルな現実世界の変換の試み
会  期  2021年12月10日[金]- 2022年3月12日[土]
      冬期休館:2021年12月28日[火]-2022年1月5日[水]
会  場  ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)
      104-0061 東京都中央区銀座7-7-2  DNP 銀座ビル
      Tel : 03-3571-5206 / Fax : 03-3289-1389
開館時間  11:00 am – 7:00 pm
休  館  日曜・祝日
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アメリカでもっとも愛された芸術家の一人、ソール・スタインバーグ(1914-1999)の逝去から22年。スタインバーグの名前は日本でもおなじみですが、今もっとも再発見、再評価を必要としている芸術家です。

スタインバーグは、ドローイングを「紙上で推論する方法」と捉え、神話化されたアメリカの理想像と現実とのギャップや、不気味で滑稽な不条理、たとえば、古いものと新しいもの、優雅と狂暴といったものの混在とその見えない裂け目(クレバス)を、ユーモアと風刺を備えた、軽妙でしかも鋭利な線(line)で描きました。
彼は、「見えない線」、「見えないもの」、「見えない言葉」、「見えない構造」を視覚化し、意味の変換、概念の変換に生涯挑戦し続けました。

自分自身の肩書の曖昧さを積極的に受け入れてようで、世間からも「描く文筆家」、「言葉と音の建築家」、「境界線上の芸術家」、「新しい思想の起案者」など様々に評され、常に未知の視覚的領域を超えて、子供の絵や大人の落書きから、クラシック、バロック、マニエリスム、表現主義、キュビスム、構成主義まで、あらゆるスタイル、あらゆる表現方法を試みました。
「私は読者に共犯を呼びかけている」と、スタインバーグは見る側を、現実の理不尽さに目を向けるために当事者になることを煽ります。スタインバーグが生み出した造形は、このような思索と思想を武器に、イタリアの風刺新聞『ベルトルド』やアメリカを代表する雑誌『The New Yorker』誌をはじめ、数々の新聞や雑誌の紙面を、美術館の壁にあるピカソの絵と同じくらい明確に、芸術の場に変えたのです。

今回、日本初の大々的な個展となる本展では、ニューヨークのソール・スタインバーグ財団よりご寄贈いただいたポスター、リトグラフ、エッチング、木版画など 62 点、和田誠事務所よりご寄贈とお貸出しいただいた 7 点のポスター、フランスのマーグ画廊の作品集 5 冊、さらに、ドローイングを中心とした代表作の複製作品などを含む、合計約 280 点の作品を一堂にご覧いただきます。
本展の監修をいただいた矢萩喜從郎氏曰く、
「スタインバーグのドローイングを見せられたほとんどの人が、有り得る筈がない情景、と最初笑って反応したとしても、すぐに戸惑い、思考が停止し、宙吊りにされてしまう」。
ぜひこの感覚を、会場の作品に直接対面して、ご体験ください。

ソール・スタインバーグ 略 歴
1914年ルーマニアのブカレスト近郊、ルムニク・サラト生まれ。ブカレスト大学で哲学と文学を学んだ後、イタリアのミラノ王立工科大学(現ミラノ工科大学)で建築を専攻し、1940年卒業。ミラノでは、風刺新聞『ベルトルド』に積極的に関与したが、1941年、ファシスト政権下の反ユダヤ的なイタリアを逃れアメリカに渡る。
戦時中は海軍に入隊、戦後はニューヨークに居を構え、『The New Yorker』誌の仕事に携わるようになり、その後、50年以上にわたり同誌の表紙を89点、中面のドローイングを1200点以上手がけた。知的で洗練されたスタイルで、漫画(cartoon)の世界に革命を起こし、美術の領域(ドローイング、絵画、版画、コラージュ、彫刻等)にグラフィックを取り入れた第一人者。
1946年、ニューヨーク近代美術館「14人のアメリカ人展」に選出、1952年、ニューヨークのパーソンズ=ジャニス画廊と、続いて翌年、パリのマーグ画廊にて初の個展を開催。1978年、ホイットニー美術館で回顧展、2006年を皮切りに大々的な巡回展『Steinberg: Illuminations』を開催した。作品集に『ALL IN LINE』、『The Art of Living』、『The Passport』、『The Labyrinth』、『The New World』、『The Inspector』他多数。日本でも藤子不二雄や柳原良平、和田誠等、多くの漫画家やイラストレーターに影響を与えた。

【詳細  : ggg  ギンザ・グラフィック・ギャラリー