【艸木風信帖】感染症が猛威を奮っていた昨今、Lingua Florens に咲いていた花〻をソッと紹介

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 ハニーサックル
ハニーサック(画像集リンク)はウィリアム・モリスの壁紙のモチーフにもみられる、つる性植物である。Lingua Florens のハニーサックルは アメリカンドリーム という栽培品種で、ピンクとオレンジ色の花びらが合わさった色をしている。
ハニーサックルは、日本固有種のスイカズラやニンドウとおなじスイカズラ属の仲間である。

スイカズラは、花の蜜を吸うと甘いことから「吸葛-すいかずら」という名前がついた。花の形が特徴的で、上下に大きく分かれた花びらの真ん中から、雌しべと雄しべが飛び出すように付いている。スイカズラの英名は Japanese Honeysuckle で、日本原産の野草に近い植物だったが、ヨーロッパで品種改良され、香りの良さと強靭さから人気が出た植物とされる。

スイカズラの花は品種によって咲き始めから次第に色が変化するものがあり、1本の株に白花と黄花が咲いているようにみえることから「金銀花」という別名を持つ。また、冬も緑の葉を絶やさないので「忍冬-ニントウ」という別名もあり、ノウゼンカズラとともに、気候が峻厳な北京紫禁城の花園でも、容易に外出できない妃嬪らに大層好まれていたとされる。

IMG_20220707_150524桔 梗
桔梗が花をつけると、秋のはじまりを感じ、秋桜-コスモスが開花すると、秋の終わりを感ずる。

本来は日中両国が原産地らしいが、いまや原種はほぼ消滅して、栽培品種になっているようだ。
いまは、もう秋……、を感じさせる花である。

IMG_20220825_144056柳葉ルイラ草(ヤナギバ ルイラソウ)
長崎の市内を中島川が貫流している。その上流を辿ると、諏訪神社の近くで中島川は左に蛇行し、右側から西山川が合流してくる。西山川を辿るとすぐに右岸に松の森神社がある。
「長崎松ノ森ナル千秋亭ニテイト厳粛二」(千秋亭は1889・明治22年、総理大臣伊藤博文の命名により富貴楼と改名)ときいて、ハッと反応するような奇妙人を、長崎では〝ふうけもん〟という。

その富貴楼の前の西山川河川敷から一本の野草を抜いてきた。吾輩は「因幡の白兎」に登場する蒲ーがま-かとおもったが、ノー学部は河川敷をうめる淡紫の花「ヤナギバルイラソウ」であろうとして Lingua Florens の片隅に植えた。
それから6-7年、すでに富貴楼は廃業して取りこわ
されたが、Lingua Florens に移した「ヤナギバルイラソウ」は花も実もつけなかった。そして今年、はじめて柳葉ルイラ草は小さな花を次次とつけた。きくところによれば、柳葉ルイラ草は繁殖力が強すぎるがゆえに駆除の対象になっているという。ゆとりと寛容さの無い時代になったものだ。