二十四節気の第14「処暑-しょしょ」
暑さが峠を越えて後退しはじめるころ。『暦便覧』では「陽気とどまりて、初めて退きやまむとすれば也」とする。二百十日・二百二十日とともに颱風襲来の特異日とされている。ことしは8月23日-9月7日頃、すなわち二十四節気の第15「白露-はくろ」までをいう。颱風は次次と襲来するが、暑さは後退せず、残暑というより猛暑・酷暑の日日。
黄色の花は明治期に鑑賞用に北米からもたらされた帰化植物で「ルドベキア」の栽培種。和名を「オオハンゴンソウー大反魂草」として、すでに定着・野生化している。花の少ないこの時期、暑さに負けず群落をなしてたのしませてくれる。
タグ別アーカイブ: 空中庭園
【花こよみ】夏至 ─ 夏にいたる ─|空中庭園とLingua Florens の艸花|’24年6月21日|
中国二十四節気のひとつ、日の出から日の入りまでの時間がもっとも長い日が 夏至 である。
いつが 夏至 かは天文学的に決まり、毎年、6月21日か22日。この日を境に、だんだんと日が短くなっていく。ちなみに、夏至という日本での名前は、二十四節気-にじゅうしせっき-という中国の古いこよみからきている。夏至は「夏に至る」ということばの通り、本格的な夏のはじまりを意味し、気温が上がってくる時期でもある。北極圏(緯度66.6度以北)では24時間太陽が沈まない。いわゆる白夜の到来である。
ところが「昼の時間が長い」というのは北半球での話で、南半球では同じ日が、もっとも昼の時間が短い日になる。おおきな地球的規模でみると、夏至と冬至が重なっていたりする。
吾らが花壇の艸木も、とりどりに咲いて、それぞれの実をつけている。まさに花のときである。
バイカウツギ(梅花空木)
ナスタチウム(金蓮花)
ユウゲショウ(夕化粧)
ホタルブクロ
花をつけたアカンサス(武蔵野美術大学キャンパス花壇)。長年ここにあるが、花茎はこの時期急速に成長してヒトの身長をこえる。しかし地味な花で観葉植物とおもっているむきもあるようだ。
いつのまにか空中庭園の中央を占めて、王者の風格を誇る「アーティーチョーク」。フランスでは高級食材ともされる。女王トロロアオイやアカンサスを圧する勇壮な葉茎をたのしんでいたら、威風堂堂と巨大なる蕾を成し、いつのまにか紫色の花弁があらわれた(食べるならこの直前)。これは食材には不適とされる。アーティーチョークの花をみることは、大根やキャベツと同様に稀らしい。
【艸木風信帖】空中庭園|Lingua Florens|ひそひそと秋がきた|10月神無月、神〻は出雲に集うているのに霜月11月がきた|寒いのは苦手である
寒いのは苦手である。例年長月ーながつき-終盤 9月28日にはストーブを焚いたし、エアコンを暖房に切りかえて嫌われてきた。逆に暑いのは平気だと信じていたが、10月神無月ーかんなつきーは暑かった。よろづの神が出雲に参集して宴に興じているのを幸、武蔵の国江戸のこおりに南方の神が潜入したらしい。エアコン暖房はいまも家ではつかっていない。ただ家人が便座の暖房を入れてくれて嬉しかった。それは神無月の終焉の日であった。武蔵の国神は宴をおえて帰國したらしい。
バジルの花-地味な花だけど、なぜか蝶と蜂には大人気。
文字どおり、日の出から日没まで4-5匹の蟲が蜜をあさっている。ときには雀も忍び足。
空中庭園の香草類はしばしば食卓にのるが、ノー学部はさすがにバジルは繁茂にまかせているようだ。その分隣の鉢のルッコラは鋏でチョッキンだけでなく、農薬をつかわないのでこのごろは青虫がムシャムシャやっている。吾輩のお気に入りのトロロアオイの花は豪華絢爛に咲きほこるが、こちらは蝶も蜂も寄りつかない。それだけではない、夕まぐれになると花は摘まれ、サラダやおひたしの具材になっている。無上、モトイ、無情かつ残酷をきわめるのである。10月ー神無月の花実である。
ウツギの実
オカワカメの花
ハナミズキの実
メドーセージ(サルビア・ガラニチカ)
ヤブガラシ
源平菊(エリゲロン)
トレニア
【艸木風信帖】空中庭園|Lingua Florens|まだ残暑の欠片はみられるものの、空は高く澄み、月が大きくなった|秋がきた
【空中庭園】君ハ イッタイ ナニモノデ、ナニヲ 考エテ イルノデスカ ? ソコハ モウ 天井デス
花冷えだろうか。「自粛要請」下の日曜日、外出も儘ならぬままに「空中庭園」にいる。
エアコンの室外機の上に「ハシモト」と呼んでいる平底の植木鉢がある。昨年の秋、ノー学部が八王子の美大に出講した折、そのあたりの野面から名も知れぬ艸草をコンビニ袋に摘んできて、此処に植えた。
春先から慌ただしくレンゲ草、タンポポ、スミレ、カタバミなどが咲きつづけた。「ハシモト」は賑やかな一画となって、なにかと話題になった。そのうちに少し大きめの艸が顔をだし、牛の舌のようにおおきな葉が出現した。この葉っぱは、すこしでも水遣りをさぼると、すぐにぐったりと萎れてくるので、せっせと水遣りに勤めていた。
ウチのノー学部は育種科の出身だから、植物とはいえ、花が咲き、種をつけるまでは知らんぷりである。また「空中花壇」には香草や食草とされる艸〻がおおく、食草にはこだわりがあって、いつのまにかサラダになったりして、気がつかぬうちに食卓に並んでいたりする。
ところが、ノー学部はカタバミだけは容赦なく抜こうとする。このカタバミ、海外ではスーパーフードとして高値で販売されているとも聞く。しかしながら、酸っぱくて食しにくく、繁殖力も旺盛なため、ノー学部は根こそぎ抜いてまわる。(どうも、抜いたカタバミを煮出してこっそりと白髪染めに使おうとしているらしい …… )
ちなみに「カタバミ」はわが輩の生家の家紋「◯に剣かたばみ」のルーツで、早春に真黄の小さな花を一面につける。それを片っ端から抜きまくるとは …… 。
さすがに腹が立つので、抜くか抜かないでいつも攻防戦をくりかえしている。
さてノー学部は、このニョキッと芽ばえた艸は、最初は「スイバ」だとおもったようで、ジャムにしようと囓ってみたら、味も素っ気も無い代物だったので、ギシギシだとわかったようだ。けっきょく塩漬けにして、高菜漬けのようになったこのギシギシを、おにぎりに巻きつけたものを食べさせられた。まったくお勧めできない代物だった。
「スイバ」はほうれん草のようないくぶん尖った葉をなし、シャキシャキと歯触りがよく、食すと酸味がある。中国では「酢葉」、信州北部では「スイッコ」ともされ、食糧不足のわが輩の幼少時代には、野面でムシャムシャと食した記憶がある。
それに混じって「ギシギシ-おおば」が生えていることが多く、間違えて食すと、ただ青臭いだけで、吐きだしていた。悪童の間では馬も喰わないとされていた。
「ハシモト」から芽ばえたのは、どうやら「スイバ」ではなく、この「ギシギシ」らしいとわかった頃、にわかに茎が生長して天井に届くまでになった。この間十日も無かったとおもう。
「ギシギシ」の名称の由来はわからない。これがその「ギシギシ」であれば、秋になる頃には、艸というより花茎が木質化して、アメリカ背高泡立ち草と同様に始末のわるい植物になる。
それにしても写真でみると、ゴチャゴチャと植えまくり、生えまくっている昨今の「空中庭園」ではある。
[ ウィキペディア : ギシギシ画像集 スイバ画像集 ]
[ 参考ブログ : この花なんだ-スイバ/ギシギシ-すわ ]