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【艸木風信帖】 07 10月上旬「おかわかめ」が開花。どうかこのあいらしい姿を見て欲しい

DSCN3774 DSCN8259-627x470[1]《吾らが おかわかめ は愛称で、正しくはアカザカズラというらしい》
小社に「おかわかめ倶楽部」なるふしぎな会があって、数名の会員が存在している。
おそらくノー学部が気まぐれに、どこかから一鉢の「おかわかめ」を入手して、その挿し芽やムカゴをあちこちに配布したものらしい。{文字壹凜 おかわかめ Summary

吾が「空中庭園」にもすこしだけ植えてみた。はじめは緑のカーテンになることを期待していたが、かなり暴れもののつる性植物で、いつのまにかベランダの手すりに巻きついて繁茂していた。それと水遣りの難しい場所に鉢を移動したので、施肥もままならず、そのまま放っておいた。
九月上旬に東京でかなりの降雹があって、「おかわかめ倶楽部」会員からの被害報告がつづいた。幸い空中庭園での被害は軽微だった。
IMG_7756-627x627[1]ちょうどその頃、いつも莨(艹+良い → タバコ・莨は個人の意見にあらず。辞書にあたっていただきたい。Tabaco ポルトガル語、ひとにより煙草ともしるす)を買いにいく食材店の店頭に、沖縄食材のゴーヤとならんで、「おかわかめ」がパックいっぱいに入って売られていた。葉は肉厚でおおきく、周縁部にいくぶんうねりがある迫力あるものだった。悔しいが、吾が「空中庭園」のそれとは比較にもならない質量感があった。

食材店の店頭からゴーヤとおかわかめが消えてしばらくときが経過した。10月初旬、吾が空中庭園のおかわかめが花をつけた。開花はほとんど期待していなかったのでうれしかった。この花から種子ができるのかを調べようと手許の辞典にあたった。

そもそも「おかわかめ」は近年の愛称らしく、専門的にはアカザカズラ(学名: Anredera cordifolia)とされ、ツルムラサキ科のつる性多年草である。
南アメリカ原産の野菜で、観賞用にも栽培される。 多肉質の葉とムカゴを持ち、ながいつるとなって繁茂する。食用植物としては、生ではとても苦いので、ゆがいておひたしにしたり、味噌汁の具などに供される。このときの食感がぬるぬるとした粘りがあって、海のワカメに似た食感となる。これがして「オカヒジキ」と同様に「おかわかめ」とされたようである。

その栄養価は、葉物野菜の中では高く、葉酸、カルシウム、ビタミンA、ミネラルが豊富とされ、地下茎から葉、茎までのすべてが食用になる。こうした効用があるために近年では薬用植物として注目され、雲南百薬、琉球百薬とも呼ばれている。

「おかわかめ」の花はちいさな花弁ではあるが、淡黄色で房状をなし、ブドウの房のようにどんどん垂れさがってくる。そしてわずかな香りがあって、「紫蘇の花に似ている」と家人はいう。この花が種子となるのかはまだわからないが、ムカゴをドンドンつけるので繁殖には問題はなさそうである。

おもしろいことにグーグルの画像集には「おかわかめ」の画像が相当量紹介されていたが、食材としての葉の紹介や、調理後の写真がおおおく、開花報告は少なかった{グーグル おかわかめ画像集}。
考えてみれば、食用として栽培していれば、開花前に食してしまうことになるし、緑のカーテンのように観賞用としての栽培でも、10月中旬ともなればもはやその役割をおえているためとおもわれた。

つる草で観賞用の花としては春の藤が知られるが、「おかわかめ」は花の観賞用とはされていなかったので、たれもその開花に関心をむけなかったのかもしれない。
したがってモデルさんとしての「おかわかめの花」は写真映えはあまりないが、ここにご報告した次第である。
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