タグ別アーカイブ: じゃむ 杉本昭生 活版小本

【会員情報】ぢゃむ 杉本昭生さん|活版小本 新作 ── 里見 諄『椿』

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里見諄の名作『椿』です。
川端康成が『新文章読本』で褒めていたのを読んだことがあります。
話は単純で、叔母と姪(叔母は三十歳ぐらい、姪は二十歳)が
布団を並べて寝ている時の出来事を描いたものです。
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この作品はずっと前に作っていましたが、後回しにしていました。
なんとなく出来上がりが想像できたからです。
しかし実際に印刷し製本してみると
頭の中で考えていたものとは違う存在感があり、
あっ、こんなふうになるのかと新鮮な驚きを感じました。
たぷん、そんな感触が楽しくて飽きずに続けているのでしょう。
よろしければご一読ください。
ねむらざる

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【会員情報】ぢゃむ 杉本昭生さん|活版小本 新作 ── 魯迅『孔乙己』- こういっき -

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魯迅の短編「孔乙己(こういっき)」です。
「狂人日記」の一年後に発表されたこの作品は、魯迅の実質的なデビュー作ともいわれています。
酒好きのエリート孔乙己は科挙の試験に落ち続け、生活も破綻し、盗みを働くように
なっていました。しばらく酒場に現れないので、店主が周りに訊いてみると、
盗みに入った家の者に見つかり、殴られた上両脚を折られたということでした……
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よく行くリサイクルシEツプが古い着物の取扱いを止めたので
表紙の布を選ぶのに時間がかかりました。
しかたなく手芸店に行きましたが、ほとんど女性しか出入りしない場所で、
爺がうろうろ布を探すさまは、どう見ても気持ち悪い光景だったでしょう。
いやはや、未だかつてあんなに緊張したことはありませんでした。
ぜひご一読ください。
かしこまる

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【会員情報】ぢゃむ 杉本昭生さん|活版小本 新作 ── K・マンスフィールド『パール・ボタンはどんなふうにさらわれたか』

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作者のキャサリン・マンスフィールドはニュージーランド生まれの作家で、
主にイギリスで作品を発表しました。34歳の若さで夭折しましたが、

人間心理の機敏を描く作家として現在も高い評価を受けています。
長いタイトルの「パール・ボタンはどんなふうにさらわれたか」は
5歳くらい(?)の少女が遭遇した事件を淡々と綴った作品です。
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今回は二つ失敗しました。
ひとつは表紙の紙の選定を間違ったこと。
凹凸がある紙なので、インキが定着せず小さな文字がかすれてしまいました。
もっとインキの乗りのいい紙を選ぶべきでした。
あとひとつは本文中に不要な改行があることです。
誤植がないか何度も見直したつもりでしたが見落としていました。
こんな初歩的なミスをしていると気持も落込みますが、
それはそれとして、気を取り直し、次回こそ「自信の一冊」をめざします。
活版小本タイトル03月

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【会員情報】ぢゃむ 杉本昭生さん|活版小本新作 ── 中島 敦『和歌でない歌』

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今回の「活版小本」は小説ではありません。
中島敦の『和歌(うた)でない歌』から34人を選び、
見開き1ページにその人の言葉とシルエット、かんたんな解説を加えたもので、
何と呼んでいいのかわからない代物です。
内容がこんなものなので、体裁が決められず、
ぐずぐずしていたら時間がたって、今になってしまいました。

版代の節約のため、しかたなく本文を2つ折りにしましたが、
紙が厚くなり、これは失敗でした。
何も決められないまま、タイトルに引かれて簡易な装丁にしましたが、
これも適正かどうか判りません。
というところで、作る時間より迷っている時間のほうがはるかに多かった
厄介な作品でした。まちがいなく消化不良の一冊です。
2、3ページ眺めて頂けたら幸いです。

行く秋

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【会員情報】 ぢゃむ 杉本昭生さん|活版小本新作 ── 佐藤春夫『指 輪』

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『指輪』は佐藤春夫の小品です。
男は妻が欲しがっている指輪を同じ職場の若い女に買い与え、
社員旅行に行くふりをして、二人だけで何処かへ出かける計画をしています。
正直この話はいやな気分にさせられます。
そこで「いやな気分のおすそ分け」のつもりで本にしました。

何かくたびれた、華のない本になってしまいました。
洋本か和本か迷ったあげく、和本にしたのですが、案の定失敗しました。
横組の題簽も、本文の赤い枠も落着きのないものになっています。
見た目から自然に内容に導いていくような造本が
いつになったらできるのか、めざすところはまだ雲の上です。
よろしければご一読ください。

◉ 杉本昭生つぶやき:同じ体裁に少し飽きています。次回はもっと美しく格調高く。
◉ 吾輩つぶやき:過剰な感染症情報に身も心も萎え気味な昨今であったが、そろそろ ……. かな。
朝顏

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【会員情報】 ぢゃむ 杉本昭生さん|活版小本新作 ── フランツ・カフカ短編集『 兀鷹-はげたか』

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カフカ短篇集「兀鷹」です。
カフカの作品は「道理の前で」『あるじの気がかり』「観察」に続いて4冊目です。
ときどき作りたくなります。
内容は表題の「兀鷹」の他に「橋」「出発」「諦めが肝心」「舵手」の5篇です。
今回もいつも通り計画もなく本体を作りはじめました。
並製でシンプルなものにしようと思いましたがうまくいかず、結局上製にしました。
背文字だけにするつもりがこれも不満で、本体と合体する前に文字を印刷しました。
こんな行き当たりばったりでは完成度の高いものができないのも当然でしょうね。
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さらにお詫び
最後の「舵手」は、はじめ別の作品を入れていましたが頁数の関係で差替えました。
そのとき目次の訂正を忘れ、気付かずそにのままでき上がってしまいました。
汚くて不細工ですが上から貼って直しています。
まあ長い人生のうちには、そういうこともあるだろうとご寛恕を請う次第です。

この秋は

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活版小本
2019年7月22日 月曜日
次の本が出来るまで その136
小野篁歌字尽
古来より小野篁歌字尽と伝えられるものあり。果して篁の作か聊か疑いなきにしもあらず。

参考までに掲載す。
短句 短句2 短句3

* 杉本昭生つぶやき:全部で119首ある。すこし多すぎる。
* 新宿餘談:小野 篁-おののたかむら(参議篁-さんぎ たかむら)
菱川師宣画『小倉百人一首』 1680年(延宝8) 国立国会図書館所蔵
『小倉百人一首』 1680年(延宝8) 国立国会図書館所蔵〈上の句〉わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと
           わたのはらやそしまかけてこぎいでぬと
〈下の句〉人には告げよ あまの釣舟
           ひとにはつげよあまのつりぶね
定まり字(決まり字):歌を特定する字(音)/わたのはらや

【会員情報】 ぢゃむ 杉本昭生さん|活版小本新作 ── 永井荷風『罹災日録抄 偏奇館炎上』

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永井荷風の『罹災日録抄 偏奇館炎上』です。
昭和二十年の日記をまとめた「罹災日録」の中から
三月九日未明の東京大空襲の記録を一冊にしました。
荷風六十六歳、この戦争がなければ悠々自適の老後だったかもしれません。
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連休中、毎日毎日古書展で本の背をながめたせいか、
食傷気味で、作る気持ちが起こらず放っていました。
気持ちの伝わるものを作りたいと思ってはいるのですが
なかなか昇華できません。
難しい事を考えだすと迷路に迷い込むので。
ふわふわと気楽に本造りを楽しむようにしています。
お暇な時にご一読ください。

青楼や

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【会員情報】 ぢゃむ 杉本昭生さん|活版小本新作 ── フランツ・カフカ『観察』ゟ

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散文詩風の小品18編を収めた作品集「観察」から
「独身男の不幸」「走り抜けて行く人々」「拒絶」「通りに向かう窓」の
4篇を選びました。
カフカの生涯や作品については省略します。

今回は表紙にデ・キリコの「通りの神秘と憂愁」
(少女が輪っかを転がしている絵)を
使うつもりでいましたが、カラーコピーが安っぽくて、やめました。
印刷も自分でしておきながら、雑で不満です。
最近はコメントも愚痴ばかりで、作る楽しみが感じられません。
で、この本をきりにして、次回からは
新しい気持で取り組もうと決心(今さら!)しました。
とりあえず次回から背にターター(本の背に貼る紙の筒)を
つけようと思っています。
時間があればご一読ください。
秋成

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