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【展覧会】しばしのお別れ|セゾン現代美術館|荒川修作+マドリン・ギンズ《意味のメカニズム》|全作品127点一挙公開 少し遠くへ行ってみよう|’23年4月22日-10月31日|会期延長 続いて 長期休館 + 奈義町現代美術館αβγ

20230411193523_00011 20230411193523_00012堤清二と荒川修作夫妻〔 フライヤー最下部写真:堤 清二 – 中央 – と 荒川修作+マドリン・ギンズ 〕

セゾン現代美術館
荒川修作  + マドリン・ギンズ《意味のメカニズム》
全作品127点一挙公開 少し遠くへ行ってみよう
会  期  2023年4月22日[土]- 10月9日[月・祝]    10月31日[火]* 会期延長
会  場  セゾン現代美術館

      389-0111 長野県北佐久郡軽井沢町長倉芹ケ沢2140
      tel:0267-46-2020 fax:0267-46-2021
開館時間  10:00 - 18:00(入館は開館の 30分前 まで)
休  館  日  木曜日(5月4日は開館・8月は無休)
入  館  料  一 般 1500円、 大高生 1000円、 中小生 500円
協  力  荒川修作 + マドリン・ギンズ東京事務所   Reversible Destiny Foundation
主  催  一般財団法人 セゾン現代美術館
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1936年名古屋に生まれた荒川修作(あらかわ しゅうさく  1936-2010)は、東京での作家活動を捨て、『もう少し遠くへ』と1961年ニューヨークに渡ります。オノ・ヨーコのアトリエを制作拠点として、マルセル・デュシャンをはじめとする多くのアーティストとの交流の中で、パートナーとなる詩人マドリン・ギンズ(1941- 2014)と出会います。二人が取り組んだのは <意味とは何か?> という問題です。私たちはいつも何かを <感じ/考え> ていますが、その多くは <言葉> を通した<意味>についてのものです。
二人はその<意味>の徹底的な追究に取り組んだのです。それから25年を経て、継続中のプロジェクトとして完成したのが「意味のメカニズム」です。作品は81点の大型平面と、44点のドローイング、さらに写真と模型を加えた総数127点。ライフワークと呼べる大シリーズ作品を一挙公開するこの機会に、見ることの意味を超えて、もう少し遠くへ行ってみませんか?

※ 会 期 2023年4月22日[土]- 10月9日[月・祝] 10月31日[火]* 会期延長
※ 同館 NEWS ’23年10月01日付け「セゾン現代美術館長期休館のお知らせ  2023年11月から2026年4月(予定)まで長期休館」が発表された。下掲詳細 NEWS 欄 参照。

※下掲公式詳細サイトで最新情報を確認の上ご観覧を。
[ 詳 細 : セゾン現代美術館

[ 関 連 : YouTube  セゾン現代美術館  PV 2:49 ]
軽井沢の森の中、アートと呼吸する/「Art Breathing」をテーマとした、自然と共生する美術館です。マン・レイやアンディ・ウォーホル、パウル・クレー等の、国内外の現代美術によるコレクション展と、同時代の作家を紹介する企画展を開催しております。美術館庭園では、野外彫刻と共に遠景の浅間山や四季折々の草花を楽しむことができます。


[ 関 連 : YouTube 庭園ツアー「彫刻家・若林奮と《軽井沢・高輪美術館の庭》」解説:山本鍾互(株式会社制作美術研究所 代表)19:23 ]
セゾン現代美術館にて開催された<若林奮 軽井沢・高輪美術館(現・セゾン現代美術館)の庭>展(2021年7月22日−11月21日)において、当時若林奮と共に美術館庭園制作に携わった山本鍾互(株式会社制作美術研究所 代表)による庭園ツアー「彫刻家・若林奮と<軽井沢・高輪美術館の庭>」を開催。 ©️WAKABAYASHI STUDIO 協力:株式会社 制作美術研究所、横田茂ギャラリー、東京パブリッシングハウス


{ 新 宿 餘 談 }
西武・セゾンの堤 清二というより、詩人であり、すぐれた文明批評家でもあった 辻井 喬 が掲げた<同時代の様々な実験的創造の場となる「時代精神の根據地」として>の精神が周到に張りめぐらされ、現存しているのが「セゾン現代美術館」といえる。
さりながら近年は感染症パンデミックの影響もおおきく、展覧会の開催も間遠くなった。そこで、今回の会期延長によって、晩秋から初冬にさしかかる、海抜千メートルほどの高原:軽井沢までお出かけになるか、せめて上掲同館の ウェブサイト の閲覧をお勧めしたい。夏の喧噪の軽井沢とはまったく別の世界が展開している。
同館の庭園設計にあたった 若林 奮(わかばやし いさむ  1936-2003)は、歿後20年にあたり、母校であり、のちに教授に就任した武蔵野美術大学が、武蔵野美術大学 美術館・図書館で回顧を開催し、これも前庭設計を担当した横須賀美術館が特別展を開催した。

<SEZON STORY> 同館ウェブサイト「沿革」ゟ 記録にのこしておきたい。
セゾン現代美術館の前身は、1962年に東京の高輪に開館した高輪美術館であり、故堤康二郎の日本伝統美術の保存、公開をしておりました。1981年に故堤清二(元当財団理事長)の意向により「現代美術」に対象を定め、伝統的な価値の承認者 = 保護者としての 美術館 から脱皮した、同時代の様々な実験的創造の場となる「時代精神の根據地」として軽井沢の地に設立され、開館記念展「マルセル・デュシャン」展と共に開館いたしました。1990年に大規模なマン・レイの個展を開催、その翌年の1991年に開館十周年を迎えて、美術館の設立目的や活動方針の根拠となる「現代美術」を館名に表示し、「セゾン現代美術館」と改称して再出発いたしました。美術館建築は、建築家の菊竹清訓氏による設計であり、美術館の前に広がる庭園は、美術作家の若林奮氏によって基本プランがつくられ、当館コレクションの彫刻作品が常設されています。

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[ 参 考 : 奈義町現代美術館 常設展示作品 太陽 ≪遍在の場・奈義の龍安寺・建築する身体≫ 荒川修作+マドリン・ギンズ ] 


◉ 荒川修作+マドリン・ギンズの作品 ≪遍在の場・奈義の龍安寺・建築する身体≫ は、奈義町現代美術館 常設展示作品 <太陽の部屋> で 常時観覧できます。 

❖ CREATOR COMMENT ❖
   展示室「太陽」
   遍在の場・奈義の龍安寺・建築する身体
   今から一億年のイベントに向かってここに進み入りましょう。
荒川 修作 + マドリン・ギンズ  訳:GA JAPAN編集部) 愛子

「始まり」「過去」「未来」「私が」「私に」そして「あな た」はここではすべて意味がありません。それらは一億年という過程にとっては余分なものです。
永遠とは化石じみた愚かな夢あるいは解釈です。不死とは無論まったく別物です。どのようにして死から逃れるかを知るために、《遍在の場・奈義の龍安寺・建築する身体》へと入りましょう。
不均衡な均衡状態の中で肉体は磁気を帯びたように動き、人は肉体を離れてアイデンティティを得ます。シンメトリーがアイデンティティに取って替わるでしょう。シリンダーの中ではそれは可能であり、事実、そうなのです。
シリンダー内には、かつて肉体が動作を制御していたようなものは何もありません。
あなたはシリンダーの中に入っていく、しかし、もしあなたが動作をつかさどる肉体として入っていったのなら、途端に無に帰するでしょう。一度均衡状態が崩れると、おそらく同じようにシリンダーによってしか、それを回復することはできないのです。
シリンダー内には一度にたった一人 -もし二人が本当に一つに成り得るならたぶん二人- しか入れません。シリンダーは人の領域を拡張するのです。
シリンダー内では肉体が、かつてないほど完璧に環境の中の存在として人間を認知させます。肉体はシリンダーあるいはシリンダーのシンメトリーに対して自己を失います。シリンダー内のすべての物体、あらゆる面、さまざまなズレが、かわるがわる、肉体によって自己を導きます。
人間がつくりだした世界と完全に適応する自分を見つけだすとは奇妙なことですが、さらに奇妙なのは、来館者がこのシリンダーの中に入ると肉体があやつり人形のようになってしまうことです。例えば、シリンダーの壁に固定された岩は、訪問者の内部に表われた目に見えぬ岩のイメージよりもさらに身近に感じられるのです。
前室を通って生理的にも精神的にもほどよく疲れた後、訪問者は形も時間も自分自身へとうねり返ってくるカプセルの中へ、階段を登って入り込みます。そこには大きな今のほか何もありません。
大きな今において肉体をつかさどるのは、シリンダー内のあらゆるものと、初めてシリンダーへと導いてきた肉体を構成するすべての要素とのアマルガムであり、人はすべてを新鮮に感じる永久のバージンとなるのです。永久のバージンにとって先立つ龍安寺は存在しません。このシリンダーの庭がオリジナルなのです。シリンダー内のものはすべて、ごくありふれた、この上もなく身近なものなのに、シリンダー内で動くと誰もこのことに気づきません。ひとたびシリンダー内に入ってしまうと、誰もが、何もかも新鮮でオリジナルな永久のバージンになるのです。
シリンダー内には新たなものなど何もないのに、どうして大きな今や永久のバージンが浮かび上がってくるのでしよう? 位置がすべてなのです。あらゆる知的なイメージ操作と建築的な場が疑問の余地なく正確に配置されることで、「心」はついに心と出会い、包み込んで共振し、どのようにして死から逃れるかを教えます。私たちは長い間、シンメトリ一が、そしてシンメトリ一だけがこの状態をもたらすに違いないという強烈な直感的洞察を養いつつそれと共生してきましたが、今、大変うれしいことに、本当にそうだということに私たちは気づくのです。
距離感を喪失させるために補色が天井と床に用いられていますが、「大きな今」は補色的な色使いに、それぞれが自己を必ず発見するというより大きな役割を与えるのです。

[ 参 考 : 奈義町現代美術館 常設展示作品 太陽 ≪遍在の場・奈義の龍安寺・建築する身体≫ 荒川修作+マドリン・ギンズ ]