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【展覧会】神奈川県立美術館 葉山館|企画展「矢萩喜從郎 新しく世界に関与する方法」|’21年11月27日-’22年1月30日

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神奈川県立美術館 葉山館
企画展「矢萩喜從郎 新しく世界に関与する方法」
会  期  2021年11月27日[土]-2022年1月30日[日]
会  場  神奈川県立美術館 葉山館 展示室 1-3
休  館  日  月曜(1月10日は除く)、12月29日-2022年1月3日
開催時間  午前9時30分-午後5時(入館は午後4時30分まで)
観  覧  料  一 般 1,200円、20歳未満・学生 1,050円、65歳以上 600円、高校生 100円
主  催  神奈川県立近代美術館
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アート、建築、評論など、多面的な活動で知られる矢萩喜從郎(1952– )。
1980年代より革新的なデザインの仕事で国際的に評価を確立し、眼振(眼球振盪:眼球が常に・微小に・無意識に動くこと)という現象から導かれた独自の造形概念で多様なジャンルの表現を展開してきました。本展では、400点を超える作品・資料によって、約35年にわたる矢萩の思索と活動の軌跡をたどります。

展覧会の見どころ
世界巡回展「HIDDEN JAPAN 自然に潜む日本」出品全点初公開
日本の風土と文化が底層で織りなされて生まれる、ざわめく現象、あるいは気配を、矢萩が独自の視点でモノクロームの世界に呼び込んだ写真集『HIDDEN JAPAN 自然に潜む日本』(1993)。国際交流基金の海外巡回展として1999年から2012年にかけて世界各地で展示されたのち、当館へ収蔵されました。世界巡回85点の全点展示は国内初となります。

コンセプチュアル・アートの仕事
矢萩の仕事で最大の特徴といえるコンセプチュアル・アートへの挑戦。B1サイズ(728×1030mm)のポスターと同じ形式を取っていますが、この作品群はサイズが自在に拡大できることをも想定した仮の姿といえます。視覚世界への思索に満ちた仕事が本展会場を天井まで埋めつくし、圧巻の展示空間となっています。

世界初の試行、その軌跡
ポスターとは、一枚の紙でなければいけないのか? その問いに、矢萩は前例を見出し難いデザインワークで応えてきました。薦(こも:酒樽などに巻く筵-むしろ)、異種・別寸の紙を縫合した紙面、焼鏝(やきごて)やバーナーで焦がした紙などを支持体とするポスター類ほか、内容のエッセンスを独自にグラフィック化した図録の仕事も必見です。

メッセージ (矢萩喜從郎)
宇宙の理(ことわり)を捕虫網で捉え、現実世界での具体化を標榜してヨーロッパで生まれた「具体芸術 Concrete Art」に共感しつつ、いかに優れた概念でも時に形骸化することがあると学び、新たな方策を模索して来ました。そこで、視覚や触覚への関心を踏まえ、もし静止すれば死を意味する「眼振」に注目し、「この世に静止した視点は存在しない」という概念を引き上げ、そこから、新しく世界と関与する方法の重要なヒントを得ました。
従来の規格や技術によって制作されるポスターや写真も、思索を具体化したコンセプチュアル・アートなのです。今回の個展では、28歳でポーランドの芸術雑誌『Projekt』から特集委託を受け発表し、脱領域的な創造の端緒になった101点のポスターから精選したものをはじめ、14年間にわたり62ヵ国・97都市・103会場を巡回した写真展「HIDDEN JAPAN 自然に潜む日本」の全点作品、彫刻作品、これ迄誰も行ったことのない形式のグラフィック作品などを展示します。また、国内外でのパブリック・アートやインスタレーションの仕事を紹介します。
今回の展覧会が、何か只ならぬものに接した時に感じる、あのざわつく感覚を、一瞬でも味わえる機会になればと期待しています。

矢萩喜從郎(やはぎ・きじゅうろう)プロフィール
1952年山形県生まれ。グラフィックデザイン、コンセプチュアル・アート、写真、彫刻、建築、家具、サインデザイン、出版等を行う。
著書に『平面 空間 身体』(誠文堂新光社/2000)、『多中心の思考』(誠文堂新光社/2001)、『空間 建築 身体』(エクスナレッジ/2004)、『建築 触媒 身体』(エクスナレッジ/2006)、『視触 多中心・多視点の思考』(左右社/2014)ほか多数。ワルシャワ国際ポスタービエンナーレ特別賞および金賞、原弘賞、講談社出版文化賞ブックデザイン賞、勝見勝賞ほか受賞多数。慶應義塾大学(2003-2019)、早稲田大学(2015-2021)非常勤講師。

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