Associtation Typographique Internationale
2019年9月4日[水]-7日[土]、日本科学未来館で開催された「AtypI 2019 Tokyo」。
AtypI カンファレンスは、タイプとタイポグラフィのあらたな可能性と普遍的な価値を、世界に向けて発信する場となることを期して開催されている。
ことしのテーマは「Rediscover ── 変化と伝統の都市、東京でタイポグラフィを再発見しよう!」であった。そのカンファレンスで、タイポグラフィ学会会員の山本太郎さん、春田ゆかりさんが登壇しました。
山本太郎 Taro Yamamoto
戦後日本の二人のタイポグラファとモダニズム
第二次世界大戦後の日本のタイポグラフィとブックデザインの領域で活躍した二人の傑出したタイポグラファ、清原悦志とヘルムート・シュミットによる作品を入念に吟味する。
そして西洋から導入したモダニズムの様式上の影響、彼らの独自の解釈、戦後とそれ以後の歴史的な状況について詳しく論じる。20世紀のモダニズムが日本でつくられたタイポグラフィの実作にいかに反映されたか、その重要な側面を明らかにする。
春田ゆかり Yukari Haruta
明治初期に「活字の版下を書いた」人物、池原香穉について
明治初期より隆盛した近代活字については、それらを長崎で導入・実用化させた中心人物である本木昌造、事業として全国に広めた平野富二、また当時製造された活字そのものについても丹念な調査や研究が進められている。
しかし、本木昌造らによって製造されたその「活字の版下を書いた」人物、池原香穉(かわか)については、近代活字書体成立の源点ともなりうる人物であるにもかかわらず、タイポグラフィ史においてはまだ充分な周知がされていない。またその書体は、江戸時代末までに育まれた日本独自の書(和様)が、明治時代にはいって活字用書体へと転換していく、まさに「過渡期の姿」といえるものでもあり、文字史のうえでもより注目をされるべきであると考えている。
今回は、この池原香穉という人物とその活字について、日本語タイポグラフィ史における明確な位置づけとさらなる周知をおこないたいと思う。
[ 参考: タイポグラフィ学会 ]