【イベント】前橋文学館|萩原朔太郎大全2022|全国50余館の文学館・図書館・博物館・美術館が多様な企画で参加|会期 ’22年10月1日-’23年1月10日

A_萩原朔太郎大全2022ポスター*クレジット要原 画:横尾忠則 ポスターデザイン:榎本了壱

前橋文学館
萩原朔太郎大全2022
会  期  2022年10月1日-2023年1月10日
主  催  朔太郎大全実行委員会
共  催  開催各館、前橋市
後  援  前橋市教育委員会
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詩人・萩原朔太郎の没後80年にあたる2022年、朔太郎を介した企画展「萩原朔太郎大全2022」が全国52か所の文学館や美術館、大学等で開催されます。
本企画は自筆原稿や写真をはじめ、朔太郎に関する資料とその他の知的情報を各館で交換し、共にPRを図り、それぞれ特色ある展覧会を同時多発的に全国各地で開催するというものです。
分野を越えてこれほど多くの施設がそれぞれ独自の角度で同時期に朔太郎を展観する試みは、これまでに例がありません。本企画は全国的なネットワークで朔太郎を「共有する」ことの意義を感得する貴重な機会であり、また「言葉」の新しいあり方を創出するきっかけとなることでしょう。なお、テーマ・規模・展覧会期は各館の事情に合わせて、2022年10月1日-2023年1月10日の会期に重複する形で開催されます。

08萩原朔太郎朔太郎肖像写真30代半ば萩原朔太郎(はぎわら さくたろう)
1886(明治19)年11月1日-1942(昭和17)年5月11日
群馬県前橋市生まれ。詩人。
従兄である萩原栄次から短歌の手ほどきを受け、文学の道に入る。のちに詩に転じ、1917(大正6)年に第一詩集『月に吠える』を刊行。口語の緊迫したリズムで、感情の奥底を鮮烈なイメージとして表現し、後の詩壇に大きな影響を与えた。さらに、1923(大正12)年に出版した『青猫』で、口語自由詩の確立者として不動の地位を得る。享年55歳。

01萩原朔太郎『月に吠える』初版無削除版萩原朔太郎『月に吠える』感情詩社・白日社
1917(大正6)年2月 表紙絵:田中恭吉「夜の花」02萩原朔太郎『青猫』萩原朔太郎『青猫』新潮社
1923(大正12)年1月 装幀:萩原朔太郎

[ 詳細 : 前橋文学館  萩原朔太郎大全2022 ]

萩原朔太郎大全2022 プレスリリース6月8日版Ver.2.0
朔太郎大全実行委員会を代表して  委員長 松浦寿輝

ご 挨 拶

詩人・萩原朔太郎(1886−1942)の没後80年に当たる今年、全国の総計52にのぼる文学館などをネットワークで結んで、「萩原朔太郎大全2022」という展覧会が開催されます。
『月に吠える』『青猫』『氷島』など、数々の傑作詩集で知られる萩原朔太郎は、近代日本詩史に一時代を画した天才詩人です。なまなましい官能と神経の震えや近代人の宿命的な孤独を、因習的な五・七の定型に縛られない音楽的な口語体で謳い上げた朔太郎の詩は、日本の詩歌の「言語」に決定的な革新をもたらすとともに、その可能性を限界まで押 し広げる、壮大な文学的冒険でした。

今日、情報テクノロジーの発達とともに、言語メッセージの交換と流通はますます加速し、データとして日々大量に消費されつつありますが、その一方、言葉というものが本来持つ、豊かな陰翳や深い美、また真実を直接に表現し人の心を動かす力などは、むしろ貧困化の一途をたどっているように思われます。そうした美や真実や力を、いったいどうし たら回復することができるか。「萩原朔太郎大全2022」は、近代日本語に新しい富をもたらした萩原朔太郎の詩と、その人生を手がかりに、人間にとって言語とは何か、表現とは何か、そこにおいて文学は今日いかなる役割を果たしうるのかといった、喫緊の重要性を持つ様々な問いを、全国の52もの文学館などが相互に連携しつつ、それぞれの独自の角度から考察してみようとする、大がかりな企てです。

今日の日本には、設立の由来、運営の母体、顕彰の対象などをそれぞれ異にする多くの文学館があり、従来、文学館相互での資料の貸し借りなどは行ってきたものの、基本的にはそれぞれが独立した、別個の企画によって展示活動を継続してきました。今回、52もの文学館などが、「朔太郎の詩」という一つの中心テーマを共有し、連動しつつ、かつまた各文学館なりのかけがえのない個性を発揮しつつ、いわば「同時多発的」な展覧会を開催することになりました。これは未曾有と言ってもよい歴史的出来事であり、今年の後半以降、全国各地でいっせいに繰り広げられるこの「朔太郎祭り」を通じて、文学館の新しいありかたが、統一感のある多様性、ないし多様性のなかの求心性として追及されてゆくことになります。文学館という文化施設には、未だ開花していない豊かな可能性が多々眠っているように思います。

今回の「萩原朔太郎大全2022」が、そうした可能性の一端を開示するきっかけ になればと、我々は強く願っています。様々な問いを考察する企てと先に申しましたが、文学館は辛気臭い「考察」や「学び」や「啓蒙」の場である以上に、人間精神の躍動を体 感させてくれる「快楽」の場ともなり得るはずです。「同時多発的」な出来事としての本展覧会の開催とともに、詩の、文学の言葉の豊穣を賑やかに楽しむ祝祭の風が、日本列島を縦横に駆けめぐることをわれわれは心から願ってやみません。
朔太郎大全実行委員会を代表して  委員長 松浦寿輝

[ 詳細 : 前橋文学館  萩原朔太郎大全 ]