朗文堂-好日録001 西尾綾さん「製本術入門」

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朗文堂-好日録
ここでは肩の力を抜いて、日日の
よしなしごとを綴りたてまつらん
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◉本日の新宿私塾は、西尾彩さんを講師に迎えての特別講座「製本術入門」ワークショップ。西尾さんには開塾以来ずっと新宿私塾の講師をお願いしている。外連味 ケレンミ のない、堅実な製本術の講座である。隣室ではヨスト・アマンの職人絵図さながらの作業がつづいている。道具もこの絵図とさして変わらないものがもちいられている。いつも技芸の伝統、書物の歴史におもいを馳せるワークショップとなる。


◉11月17日、タイプコスミイクが「正調明朝体B Combination 3」、「和字たおやめ Family 7」を発表した。月内での発売開始に向けて、スタッフは最後のチェックに余念がない毎日である。ご予約、発売日のお問い合わせもいただいているようで嬉しいことである。もうほんのしばらくお待ちいただきたい。

◉木版刊本や浮世絵の例をあげるまでもなく、かつての版画はメディアであり、庶民の身近な存在だった。幕末のほぼ同時期に伝来した、銅版画と石版画も同様な歴史を背負って導入された。それがいつから、実用の工芸や技芸としての存在を失って、額縁のなかに鎮座し、ギャラリーの壁展示によって鑑賞するだけの芸術乃至は美術に変わったのだろう。

◉12月4-5日、第35回全国大学版画学会による版画展が町田市立国際美術館で開催される。アダナ・プレス倶楽部は昨年につづいて公開セミナーとワークショップに協力。昨年はとかく忘れられがちだった「リノカット」の魅力を再現することにつとめて反響を呼んだ。ピカソが、ダダイストたちが、そしてエミル・ルーダーが、「リノカット」を自在に駆使して、膨大な作品や書物をのこしていたことは意外に知られていなかったようだ。とりわけルーダーの作品は写真製版の網点だとしかおもっていないようだ。そこで愚考! 「そうだ! ふたたび、みたび、新島さんに、ドットのスタディ」の講習会を依頼しよう。

◉版画展はことしも意欲的なセミナーとするべく、9月から当番校の日本大学藝術学部と協議をはじめた。こころは「版画よ、額縁から脱出せよ!」。11月にはいってからは、4F- Bが空いている日には、ときおり製本担当者を交えて深夜までの準備作業がつづいている。テーマは「版画と活字」。公開制作では「製本した作品をみながらの、版画と活字作品制作のデモンストレーション」である。詳細はアダナ・プレス倶楽部ニュースに紹介されている。昨夜は早朝5時までの作業だった。武井武雄による『地上の祭』の完成を見守る志茂太郎の心境だった(すこし大げさかな?)。それでもチョット凄いものができそうなうれしい予感がした。

◉朗文堂Websiteの一隅に、あたらしいブログ「花筏 はないかだ」を開設。水面 ミナモ におちたひとひらの花弁のように、はかなくアーカイブの大海に沈むのがよい。乞い願わくば、アーカイブをふくめてのご愛読を。

◉本日、快晴。日日之好日。