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【新宿私塾】 爽やかな秋の風のなか、新宿私塾第31期がスタートしました

私塾31期スタートWeb31期入塾2《 新宿私塾第31期、さわやかな秋の風のなか、意欲満満でスタートしました 》
新宿御苑の遊歩道に金木犀のかおりがかすかにただよい、さまざまな秋の艸花が咲きそろった2017年09月26日[火]、新宿私塾 第31期が開塾しました。

教場にはまだ終了したばかり、きわめて熱気のあった前期<新宿私塾30期生>の熱気がのこっていましたが、ここにあらたなタイポグラフィの俊英を迎えました。 これから半年間、ほぼ休みもなく新宿私塾は開講され、早春の2018年03月13日[火]に終了します。 名も知れぬ秋の艸

新宿私塾では、タイポグラフィにおける 「 知 ・ 技 ・ 美 」 のみっつの領域で、バランスのよい学習をモットーとしています。
それはまた 「 知に溺れず、技を傲らず、美に耽らず 」 という、つよい自戒をともないます。
この半年のあいだ、塾生の皆さんがおおきな収穫が得られるように、講師陣はもとより、300名をこえた 「新宿私塾修了生」 の皆さんも、精一杯の努力と応援をいたしますし、25回の講座は、いずれも内容の充実したものとなっています。
半年後にふたたび、自信にあふれた塾生の皆さんの、お顔とお姿を再度紹介できたら幸せです。

《 恒例 新宿私塾第31期 カリキュラム  表紙デザインの紹介 》

20171005101428_00002新宿私塾 第31期 カリキュラム 表紙   ( Design : 講師 杉下城司さん )

新宿私塾 第31期 カリキュラムの表紙は、デジタルタイプの<Ecam>という欧文書体です。
新宿私塾では受講期間のあいだに、和文活字でも、欧文活字でも、どちらでもかまわないのですが、できるだけ 「 My Favorite Type ― わたしのお気に入りの活字書体 」 を獲得することが勧められます。
もちろん、世上の評価がたかい活字書体でも、まったく無名の活字書体でも、「はやり書体」 でも一向にかまいません。 むしろどんな活字書体にも、避けがたく付着している 「 長所と短所 」 をみつけだし、「 長所をいかし、短所を制御する能力 」 がとわれます。

────────── 杉下城司さんのコメント
新宿私塾31期のカリキュラムで使用している欧文書体は、2012年に設立された、パリのFonderie Long Type から2014年にリリースされた Ecam という書体です。
デザイナーは、マロー・ヴェロム(Malou Verlomme)とマシュー・シェバラ(Mathieu Chévara)のふたりです。

この書体は19世紀後期のサンセリフに触発されてデザインされています。ただし特定された書体があるわけではなく、当時のサンセリフ、つまりコンデンス系の雰囲気を持たせた書体といえます。 20世紀前後のATF系コンデンスサンセリフや、紙面に詰め込むためのコンデンス木活字の復刻ではなく、ユニヴァースなどのファミリー展開で考えられた、活字書体としての可読性や判別性を加味したコンデンスに昇華されているといえます。
この書体には通常のレギュラーの幅はありませんが、カウンタースペースが大きく、あたかもレギュラーがファミリーにあるような作りです。ドイツ系のコンデンスとも違います。

最近よく見られる角のエッジを落としているのも特徴です。この角丸エッジはイメージを柔らかくすることと、凸版的でノスタルジックな雰囲気を加味して、この書体の時代背景コンセプトにも合致しています。小さいサイズ、細いウエイトでは目立たないので邪魔にならず、大きなサイズ、太いウエイトではカスレたような木活字に見える効果を発揮しています。
とはいえ、ウエイト展開は角丸エッジが目立たない細いものの方が多いため、特徴的にさせているよりも、写真植字の時代にエッジを尖らせてつぶれないようにしていた工夫とは、逆の効果を狙っているのかもしれません。

いずれにしても、高精細になった印刷において、とげとげしくならないようにするための工夫だといえます。
スワッシュレターは華美でも装飾的でもなく、オルタネート展開は少ないものの、シンプルな展開のため、むしろちょっとしたアクセントとして使いやすく感じます。
一見スラブセリフ書体に見まがうような、ステム系キャラクターに付いているセリフも、コンデンス体におけるスペーシングの癒着を防いで、可読性を高め、またキャラクターごとの判別性も高めています。

この書体の制作における考え方は、特定の書体を復刻するということではなく、その時代の良いエッセンスを復刻するとうという、考え方捉え方自体の復刻であり、またその時代では考えられていなかった、進化した書体制作のフィルターを通すことであって、とても興味深い書体制作の有りかたではないかと感じています。 [杉下城司]
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