カテゴリー別アーカイブ: 花筏

ギャラリーバー カジマの オーナー加島牧史、 WebSiteを開設する。

 

 ギャラリー バー カジマ 20140905192304067_0001比較的高齢者 モトイ 人生経験豊富なふたりが、最近あいついでパソコンメールを開始し、みずからの手で WebSite、ブログロール、短文ブログサイトなどのソーシャルメディアを開設した。
そのことを<タイポグラフィブルグロール 花筏>に、冷やかし モトイ こころからの応援の意をこめて紹介したところ、意外におおきな反響があっておどろいた。
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すなわち、すこしくらい年をかさねても、発表にたるコンテンツとテキストが十分にあるひとにとっては、ウェブデザイナーと称する、IT 技術者に依頼して製作された、小綺麗ながらも複雑すぎる「ホームページ」には、いいつくせないもどかしさがあり、なによりも自己表現の場としては不適切 乃至 物足りない場になっているということであろうか。
これはメディア産業の末流に居住している小社にとってもおおきな問題ではある。

これは、WebSite という、あまりに巨大化し、とらえどころが無く、関わりかたがさまざまにあるニューメディアに、年長者対応というあたらしいニーズが発生し、また、ソーシャルメディアの名のもとに、想定外だったかも知れないが、比較的デジタル情報にうとい年長者でも対応ができる、軽便なインターアクティブの場ができたことのあらわれでもあるのだろう。
ともかくこのふたりとも、自作のメディアの開設以来、水を得た魚のように、いきいきと、豊富なテキストの発表がつづいている。

とうぜんながら IT スキルが低いために、画面構成やデジタル処理に齟齬や瑕疵も見られないではないし、タイポグラフィカル ・ エラーにいたっては無数にみられる。
それでもこれらのブログの更新を楽しみにし、閲覧している多くの読者がいる現実がある。

【 URL : 一枚の絵はがき/Gallery Bar Kajima と オーナー 加島牧史のWebSite開設 】
【 URL : 【お知らせ】 ブログ新開設 <弁護士鈴木篤のつれづれ語り> 】

hanaikada_colorhttp://gbkajima.jimdo.com/

<ギャラリー バー カジマ> は銀座コリドー街の一画にある。
Gallery Bar Kajima  ギャラリーバーカジマ
東京都中央区銀座7-2-20 山城ビル2 階
営業時間 14 : 00-24 : 00 (日曜 ・ 祝日休業)
TEL : 03-3574-8720

白い色への憧れはいつの時代にもある。
白磁で有名な韓国の磁器に感動したことがある。大阪で名高い安宅コレクションを観たときだった。
こんなにも清廉な白さと、まるで浮いているかのような物体を観たのは初めてだった。
その背景には儒教精神の聖なるものへの憧れがあった。

近ごろ女性の陶芸作家の活躍が目立つようになった。電気窯の普及と共に手軽に窯場をもてるようになったからだろうか。
白さへの憧れにモダンな感性が加わり、より自由な表現となって現れてきた。
これほど女性陶芸家が輩出された時代はなく、まったく新しい現象だ。
この動きがどうなって行くのか興味深い。

そもそもアフリカでは、古代から器を作るのは女性の仕事だったといった本を読んだことがある。
縄文土器のあの曲線は、女性性を強く表現しているようにも思える。
日本でも古代、焼き物を作っていたのは女性なのだろうか。

ふと遠い昔を想像してみたくなる。( 加 島 ) ―― 改行/段落設定はやつがれによる。

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ところで、08月04日[木]、ギャラリーバー カジマから電子メールが届いた。内容はいつもは郵送の絵はがきによるギャラリーの次回展の案内で、
件名 : <榎本悦子 櫻木綾子 白磁器展  9/8―27 GalleryBar Kajima> とあった。
ついにギャラリーバー カジマのイベント告知も電子メールになったのか……、とおもいながらも削除はせず、メールとしては長文のオーナー加島牧史のテキストを読んだ。しかしいつもとちがって、すんなりとは頭に入らなかった。

翌日、08月05日[金]、ギャラリーバー カジマからいつものように絵はがきが届いた。
前日のメールと同一内容だったが、なにかホッとしたし、やはり馴れもあるのだろうが、すんなりと読めた。難しいものである。
宛名面をみたら、延期になっていたライブショーの告知がちいさくあった。

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9月11日[木] 19:30 start  【LIVE】 M.C ¥1,500 要予約
能管 : 松田 弘之   トンバク ・ フレームドラム ・ 唄 : 蔡 怜雄
「古事記神代の巻を踊る」
ダンス : 斎藤直子、加藤由美子、武沢昌子、柳井真弓、加島牧史
(詳細はサイトをご覧ください) Web&Blog  gbkajima.jimdo.com
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さほど広いとはいえないギャラリーバー カジマの店内、まして奥のギャラリーでは陶芸展も開催中だというのに、荘厳な舞踏劇であろう 「古事記神代の巻を踊る」 のライブショーをオーナー加島は決行するらしい。
よくみれば、ダンスのメンバーの末尾に、なんと、まぁ、オーナー加島の名前まであった。
オーナー加島、いっときではあろうがカウンターをぬけだし、ダンスに狂奔 モトイ 幽玄な舞踏の世界に没入するらしい。
ひろい日本、さまざまなひとがいるものである。
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そしてやつがれ、明日は小社刊 <『 わたくしは日本国憲法です。』 出版記念のつどい> がある。
主催は「殺さないで!生かそう 日本国憲法 『 わたくしは日本国憲法です。』 出版記念のつどい 事務局」である。
『 わたくしは日本国憲法です。』 の著者:鈴木 篤氏も、つい最近、ブログロールと、短文ブログを開設した。
かれもまた、多忙な弁護士業務とあわせ、憲法改悪阻止に寝食をわすれて必死な奇妙人である。それがブログロールにあふれるから、勢いがある。
【 URL : 【お知らせ】 ブログ新開設 <弁護士鈴木篤のつれづれ語り> 】

鈴木 篤氏は、オーナー加島牧史氏より10数歳年嵩ということもあって、こちらのブログのサイトはいささか難航気味ではあるが、閲覧者数はとてつもなく多いことにおどろく。
明日はどんな会になるのか、報告を楽しみにしていただきたい。

<日本の>教育漢字:畑、人名漢字:畠。中国では?

Web畑・畠<畑>
教育漢字 小学校三年配当。常用漢字。シフトJIS : 94A8
常読 : はた/はたけ
意読 : はた/はたけ

<畠>
人名漢字。シフトJIS : 94A9
意読 : はた/はたけ

教育漢字<畑>、人名漢字<畠>。これらの字は教育漢字、常用漢字、人名漢字などと<漢字>といっています。つまり一見漢字にみえますが、ふつうは<わが国でつくられた漢字を模した字 ≒ 国字>とされています。
では、漢民族の国、中国における<字  ≒ 漢字>として、<畑><畠>をはじめ、およそ1,500余字が存在するとされる<わが国でつくられた漢字を模した字 ≒ 国字>をどうみているのか、どう使用しているのか……。そして中国では<国字>はどういう意味をもっているのか。
その手がかりを「朗文堂タイポグラフィ・ブログロール 花筏」と、「活版アラカルト」の双方で近近探ります。お楽しみにお待ちください。

hanaikada_color アダナ新コラム

タイポグラフィ・ブログロール〈花筏〉 〈活版アラカルト〉再生・誕生しました。

hanaikada_color 《三週間ほどのお休みをいただきました。花筏-復活・再生いたしました》
例年のことながら、ことしの3-4月は年度末と新年度で慌ただしいものがありました。
とりわけアダナ・プレス倶楽部では、新機種・アダナ式小型活版印刷機 Salama-21A の投入があり、かててくわえて、消費税の値上げ対応作業などがかさなりました。

うれしいことに〈タイポグラフィ・ブログロール 花筏〉には、固定読者ともいえる愛読者がおられて、更新督促メールまでいただきました。ありがとうございました。
再開した〈花筏〉では、これまでの「平野富二と東京築地活版製造所関連記事」とあわせて、初紹介資料を中心に「宋朝体活字の源流:聚珍倣宋版と倣宋体活字」シリーズを掲載いたします。
聚珍倣宋版表紙 商標_聚珍倣宋印書局マーク再開第一弾は、知られているようで、知られていない宋朝体活字です。またわが国をはじめ、中国・台湾・香港などの新進気鋭のタイプデザイナーが熱く注目しているのが「宋朝体・聚珍倣宋版・仿宋体」活字であり、元朝体字様ともども、未開拓ですし、おおきな可能性を秘めています。
その源流をさぐり、その魅力の一端をご紹介いたします。

もちろん従来どおり、タイポグラフィをめぐる「よしなしごと」も、折りにふれて記述いたします。再開した〈タイポグラフィ・ブログロール 花筏〉をよろしくお願いいたします。
アダナ新コラム
《アダナ・プレス倶楽部のWebSiteに、新コーナー【活版アラカルト】ができました》
アダナ・プレス倶楽部のWebSiteに、ブログロール【 活版アラカルト à la carte 】が誕生いたしました。
「活版印刷と タイポグラフィの 気軽なひとしな」を記録いたします。
また、アダナ・プレス倶楽部会員の良き交流の場として、会員からご提供の情報を中心に、展覧会、イベント情報なども 【 活版アラカルト 】 コーナーでご紹介いたします。
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タイポグラフィ・ブログロール 【 花筏 】 ともどもご愛読をお願いいたします。

アダナ・プレス倶楽部,新機種Salama-21A発売にあわせてWebSiteを更新。

《新コーナー、【活版アラカルト】ができました》
アダナ・プレス倶楽部のWebSiteに、ブログロール【 活版アラカルト à la carte 】が誕生いたしました。
「活版印刷と タイポグラフィの 気軽なひとしな」を記録いたします。
また、アダナ・プレス倶楽部会員の良き交流の場として、会員からご提供の情報を中心に、展覧会、イベント情報なども 【 活版アラカルト 】 コーナーでご紹介いたします。
タイポグラフィ・ブログロール 【 花筏 】 ともどもご愛読ください。
アダナ新コラムhanaikada_color《アダナ・プレス倶楽部,新機種Salama-21A発売にあわせてWebSiteを更新しました》
朗文堂 アダナ・プレス倶楽部では、2014年04月01日より、新機種、アダナ式小型活版印刷機Salama-21Aの発売を開始いたしました。

それにあわせまして、活版印刷関連の諸機材、諸資材のライン・アップをいっそう充実させて、価格も一部を変更いたしました。

今回の改変の最大の特徴は、
「モノ皆値上がりするこの時代、活版印刷機が購入しやすくなるってホント !?」
のスローガンのとおり、むしろお求めやすい価格への変更が中心です。
【製品のご紹介】ページ、「Salama-21Aのご紹介」、「キットのご紹介」をぜひご覧ください。
ブックマークやお気に入りにご登録されている皆さんは、更新ボタンをクリックされて、アダナ・プレス倶楽部の新布陣をぜひともご確認ください。

如月二月、二週連続の降雪・都知事選・オリンピック観戦と、なにかとあわただしかったですね。

欧文書体その後チラシ DSCN3250 DSCN3257

如月キサラギ二月、月はじめの02月08日[土]、南岸低気圧の襲来で関東地方も時ならぬ降雪をみました。つづいて翌週の14日[金]-15日[土]にも、さらに激しい降雪が太平洋岸一帯をおそいました。
皆さま、被害やお怪我などは無かったでしょうか。お見舞いもうしあげます。
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まもなく月が変わって弥生三月、朗文堂もあわただしい年度末を迎えています。
新宿私塾第23期は最終盤をむかえて、熱い講座がつづいていますし、まもなく新宿私塾第24期の塾生のみなさんを迎える準備も整いました。
DSCN2583 DSCN3030 DSCN3227[活版ルネサンス]を目標として活動をつづけてきたアダナ・プレス倶楽部は、04月10日から恒例の[活版カレッジ 春期講座]を開講いたします。
またアダナ・プレス倶楽部は設立から7年、第一段階のステージから、あらたなステージへの展開を計画してまいりました。ようやく近近、新機軸を発表できるところまできました。ご期待ください。

日陰にはまだなごり雪がのこりますが、朗文堂は弥生三月を迎えて一斉に展開する態勢を整えております。
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弥生三月〇二日[日]、下掲詳細記事にてご案内のとおり、まず[欧文書体百花事典 その後]連続講演会の第一弾が開催されます。
同書は刊行以来10年、四版を重ね、わが国の欧文活字研究の定番書としてのご評価をいただいて発行してまいりました。
この間の10年間、読者の皆さまともども、執筆者も研究の深化をはかってまいりました。そんな成果の一端をご披露し、基礎資料の現物をご覧いただく講演会を六回にわたって開催いたします。
お申込みが多数となり、ご後援の東洋美術専門学校と急遽相談して、会場をおおきめの講義室に変更いたしました。もしご参加ご希望のかたは残席ができましたので、至急お申込みたまわり、ご参加ください。
欧文書体その後ポスター

《明治産業近代化のパイオニア『平野富二伝』 好評理に販売継続中です》

平野表紙uu 東京築地活版製造所の創設者であり、石川島造船所をはじめとする様様な事業を興し、明治産業の近代化に貢献した平野富二。このひとに関する資料はこれまであまりに少なかったという事実があり、近代産業史、明治文化史、近代造形史、タイポグラファなど、様様な分野の教育・研究機関や図書館からのご注文がつづいています。
『普及版 欧文書体百花事典』、『平野富二伝』は、朗文堂の基礎図書と位置づけ、間断のない刊行をつづけてまいります。ご購読ご希望のかたは、最寄り書店にご注文いただくか、小社営業部までご発注ください。
【リンク:朗文堂ブックコスミイク 新刊書ご案内
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《勝井三雄さん、新刊『勝井三雄 1954-2013』を刊行されました》
勝井先生図書
勝井三雄(1931年東京うまれ)さんが、意欲的に新刊を刊行されました。
勝井三雄さん(ふだんは勝井先生とお呼びしています)は、東京教育大学(現筑波大学)を卒業後、味の素株式会社式をへて、1961年に勝井デザイン事務所を設立されました。その精力的な造形活動は1954年(昭和29)からこんにちまでの長きにわたります。

この間、造形はもとより、造形教育にも熱心にかかわり、関係諸団体の役職もはたしてこられました。

先般《勝井三雄展 兆しのデザイン》(ggg 第329回企画展 2014年01月09日-31日)の開催にあたり、新企画をもってまとめられたのが新刊『勝井三雄 1954-2013』です。
勝井三雄さんとはながらく親しくお付きあいいただいてまいりました。先生がますますご壮健で、「比類なきデザイン宇宙」を飛翔されますよう祈念しております。
皆さまのご購読をお勧めいたします。
【詳細:公益財団法人 DNP文化振興財団
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《台湾で活躍する 林昆範さんが、ドイツ iF 賞 二部門を受賞されました》
iF 傳達設計獎 iF 包裝設計獎林昆範さん(台湾中原大学助教授、タイポグラフィ学会会員)は、精力的に中国との関わりをもって造形活動を展開されています。
春節の休暇あけにも、すでに中国桂林、陽朔などを訪問されています。
そんな林昆範さんが、ドイツ iF 賞として、「iF communication design award 2014」、「iF packaging design award 2014」の二部門を受賞されました。いただいた写真をご紹介いたします。

毎+水≒ひとつの字です。なんと読みますか? 設問編と回答編

毎+水=?

【 設 問 編 : 朗文堂花筏 2013年12月31日

朗文堂ニュース 2013年03月11日】に、上掲の図版を掲げて、皆さんに質問を投げかけました。
おりしも年度末、慌ただしいときでした。
回答は、【朗文堂 タイポグラフィ・ブログロール 花筏】で報告するとしていましたが、忙しさにかまけ、いつの間にか忘れていました。
その回答のため、設問編を少し加除添削して、あらたな「設問編」として上記花筏にアップしました。ブログロールの性質上、ふるい資料ほど下部に入っていますので、まず上記リンクから「設問編」をお読みください。

毎+水=?
【 回 答 編 : 朗文堂花筏 2014年01月04日

空海回答はこちらにアップいたしました。
─────── まぁ お気軽に、わらってお読みください ───────

タイポグラフィ・ブログロール『花筏』新規投稿 朗文堂-好日録030 漱石公園-夏目漱石終焉の地 漱石山房と、イオキ洋紙店

 
俗に「猫はひとになつかず、家につく」といいます。文豪・夏目漱石を猫にたとえたら叱られるでしょうか ? 
漱石の人生をおいますと、英国に留学したり、松山の英語教師であったりしますから、いかにも英語通で旅行好きのひとかとおもわせます。ところが旅行や外出からもどると、まるで家に駆けこむ猫のように、牛込から早稲田という徒歩範囲の、とても狭い場所ですごしています。

東京メトロ東西線/早稲田駅で下車し、2分もあるくと「漱石生誕の地」があります。そこから7-8分、「漱石山房通り 新宿区早稲田南町7」に「新宿区立漱石公園――夏目漱石終焉の地・漱石山房」があります。

「漱石公園」は無料ですが、あっけらかんとあかるく、なにもありませせん。それがまた、妙に味わいがある場所でもあります。
夏の涼をもとめて、知人とのそぞろ歩きにはよい場所です。
タイポグラフィ・ブログロール『花筏』にてご紹介します。

 【紹介:タイポグラフィ・ブログロール『花筏』朗文堂-好日録030 漱石公園】

タイポグラフィ・ブログロール『花筏』新規投稿 タイポグラファ群像*005 長瀬欄罫製作所/小池製作所を記録する


タイポグラフィ・ブログロール『花筏』に2013年07月08日、新規投稿がされました。 
★  タイポグラファ群像*005 長瀬欄罫製作所/小池製作所を記録する

長瀬欄罫製作所は、初代/長瀬利雄(1914-84)によって、1958年01月、江戸川に沿い、文京区と新宿区が交錯する、いわゆる江戸川橋印刷村(文京区関口所在)に創業された、活版印刷のみえざる工程 ── 罫線製造・装飾罫製造・金属インテル製造・自動活字鋳植機 KMT ── などの業務を担ってこられた企業です。

上掲写真は、二代/長瀬慶雄(1942-)氏ですが、惜しいことに、従業員の高齢化と、ご本人が体調をくずされたこともあり、2011年12月、66年の歴史をもって長瀬欄罫製作所の歴史に幕を下ろされました。

長瀬慶雄氏には、朗文堂 アダナプレス倶楽部の設立以来、積極的にご支援をいただきました。また活版印刷の力つよい継続をのぞまれ、いまなお強力な支援者のおひとりです。
その長瀬欄罫製作所の歴史の一端を、タイポグラフィ・ブログロール『花筏』に記録いたしました。 
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あわせて、活字鋳造機を中心に、活版印刷の、これもまたみえざる基盤を支えてこられた「小池製作所」の記録も、簡略ながらご紹介いたします。

★  タイポグラファ群像*005 長瀬欄罫製作所/小池製作所を記録する

【資料発掘】これってな~に? 活字列見 or 並び線見



タイポグラフィ・ブログロール『花筏』に、二度にわたって上掲の器具に関する記事を掲載してきました。
タイポグラフィ あのねのね*016 これはナニ?  2012年02月23日
タイポグラフィ あのねのね*018 活字列見 2012年03月13日

その一応のまとめともういうべき記録を、
タイポグラフィ あのねのね*020 活字列見 or 並び線見 2013年07月07日
に掲載しました。ご関心のあるかたは『花筏』をご覧ください。


二回にわたった『花筏』での紹介後、この「器具」の愛らしさがこのまれたのか、あちこちで図版や図像としてご利用いただいたのは嬉しいことでした。ところが期待していた情報の提供がいただけなかったのは残念でした。
できたら過誤の指摘をふくめて、今後ともこの「器具」に関する情報のご提供をいただけたら嬉しく存じます。
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◎  『英和  印刷-書誌百科事典』
              (日本印刷学会、印刷雑誌社、昭和13年1月12日)
    lining gauge (Linienmass
    活字の Line を測定する器具。aligning gauge ともいふ。[図版あり]
◎  『第五版 印刷事典』(日本印刷学会、印刷朝陽会、平成14年1月7日)
    ならびせんみ 並び線見  lining gauge, aligning ; Linienmaβ
    欧文活字の並び線を測定する器具。(同)版面見、筋見[図版あり]
◎ 『KOBUNDO’S TYPE-FACES OF TODAY』
       (株式会社晃文堂 千代田区神田鍛冶町2-18、p.67、1958) 
    LINING TESTER  列見[写真図版あり]

◎ まとめ
この器具は、活字鋳造現場、とりわけ欧文活字のベース・ラインの測定・設定にもちいられる。英語では Lining gauge, Aligning, Lining tester などとされ、 ドイツ語では Linienmass とされる。わが国では「並び線見、版面見、筋見、列見」などと呼んだ。

糸 絵 文 紋 字 を考える旅-台湾大藝埕の茶館で



《2012年11月23-25日、台北の茶館で林昆範老師と歓談》
関与先の台湾企業から、訪台の要請があり、22日の最終航空便の手配をされました。翌23日[金]は早朝からその用件に追われましたが、ここで報告するような内容ではありませんので割愛。

24日[土]は無事に解放されたので、久しぶりに 林昆範 さんとお会いすることに。
林昆範 リン-クンファン さんは、日大藝術学部大学院の修士課程・博士課程履修のあいだ、当時の指導教授・松永先生のご指示で、実に律儀に、誠実に、夏休みもなく朗文堂に毎週 1 回かよわれたかたです。

博士課程履修の後半は「グループ 昴」の一員としても活躍され、その成果を朗文堂 タイポグラフィ・ジャーナル ヴィネットに、『中国の古典書物』『元朝体と明朝体の形成』『楷書体の源流をさぐる』『石の書物-開成石経』などにまとめられました。
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林さんは博士号取得後に帰国され、現在は台湾中原大学助教授として、しばしば学生を引率して大陸中国で「中国少数民族の文化」の調査・研究にあたっており、今回は中国南西部での調査から、前日に帰国されたばかりでした。
それでも疲れもみせず、ホテルのロビーまでピック・アップにきていただきました。
★朗文堂ニュース:林昆範関連図書のおすすめ 2010年03月11日

久しぶりの再会のあとは、もうすっかり日程管理は林さんにお任せ。
「大藝埕 ダイゲイテイ にいきましょう。もともと日本統治時代に開発され、銀行や商事会社がたくさんあったまちですが、いまは東京の代官山のように再開発がすすんで、若者に人気のお店がたくさんあります」
「大藝埕は、日本のガイドブックには、美食街とされていますね」
「美食はカタシオさんは苦手でしょう。ご案内したいのは、隍廟(コウビョウ 道教)の隣の茶館です。ここは日本統治時代のビルを改装して、現代台湾のデザインショップや、ギャラリーもありますし、なによりも、ふるい臺灣と、あたらしい台湾がみられますから……」

しばらく大藝埕ダイゲイテイのまちをぶらついて、隍廟コウビョウの隣のふるいビル・民藝埕ミンゲイテイにはいりました。
このあたりは日本統治時代の築70年余のビルが多いのですが、さりとて日本風というわけではなく、コロニアル・スタイルというか、大正ロマンというか、アールデコというか、つまり無国籍なふしぎな感じをうけます。
漢方薬や骨董品などの、日本人観光客めあてのお店もありますが、いまはガイドブックの紹介も減って、日本人の姿はあまりみかけません。

ブック・カフェやデザイン小物の店がならぶ、まちあるきのあいだに、林さんの教え子たちとしばしば出会いました。なかにはかつて林さんに引率されて、朗文堂までこられた学生さんもいて、道教の廟「台北霞海城 隍廟」では道教式の礼拝の作法なども教わりました。

「林さん、埕テイ とはどういう意味ですか ?」
「商店街とか、マーケットということでしょうか」
帰国後に調べてみましました。「埕」とは本来口が細長い素焼きの酒瓶であり、ふるい製法の塩田の名称にももちいられます。この「細長い」の意から、細長くつづく商店街やマーケットのことになるようです。



民藝埕ミンゲイテイにはいくつもの商店やギャラリーが入っていましたが、どの施設も、あまりにむき出しで、素朴な、バウハウス・スタイル、1925年代国際様式、あるいは「白の時代」で溢れていて、こちらが照れてしまうほどでした。
それでも茶館「陶一進民藝埕トウイッシン-ミンゲイテイ」に入って、しばらくして「なるほどなぁ」と納得させられました。

ちなみに、茶館「陶一進民藝埕」で、80種類ほどもある「お茶」のなかからオーダーしたのは、写真手前が林さんのもので、インド北東部ヒマラヤ山脈南麓産の「ダージリン紅茶」でした。写真奥がやつがれのもので、中国江蘇省蘇州産の緑茶「璧羅春 ヘキラシュン 茶」です。なかなか国際色ゆたかです。
茶館「陶一進民藝埕」のパンフレットを簡略に紹介すると以下のようになります。

当店は台湾民藝100年の伝統と、現代日本のデザインを弁証法的に融合させた茶館です。
日本の民藝と美学の大家である柳宗悦氏、工藝デザインの大家の柳宗理氏の父子両代の理論と作品の数数と、喫茶を通じて対話していただきます。

つまり「民藝埕」に関与したとされる柳 宗悦( やなぎ むねよし、1889年3月21日-1961年5月3日)は、旧制学習院高等科から東京帝國大学在学中に、同人雑誌グループ白樺派に参加。
のちに香港うまれの英国人で、画家・デザイナー・陶芸家として知られるバーナード・リーチの知遇をえて、英国19世紀世紀末の「アーツ&クラフツ運動」に触発されて、手仕事の復権や日用品と美の問題などを語り合い「民藝運動」を起こし、生活に即した民藝品に注目して「用の美」を唱えました。また1936年(昭和11)東京都目黒区に「日本民藝館」を設立して、1957年(昭和32)文化功労者となりました。

またその子息、柳 宗理 (やなぎ そうり、本名:宗理 むねみち、1915年6月29日-2011年12月25日)は、惜しいことに昨年暮れに亡くなりましたが、日本の著名なプロダクトデザイナーでした。
柳宗理は1934年東京美術学校洋画科入学。バウハウスまなんだ水谷武彦の講義によってル・コルビジェの存在を知り、工業デザインに関心を持つようになり、プロダクトデザイナーとして活躍したひとでした。

柳宗理の師となった 水谷武彦 (みつたに たけひこ、1898年-1969年)は、日本の美術教育、建築の教育者です。また日本人として最初にバウハウス(Bauhaus)へ留学した人物としても知られます。帰国後には様様な活動をつうじて、日本にバウハウスを紹介し、その教育を実践した人物です。

これらの「アーツ&クラフツ運動」や「バウハウス国際様式」にまなんだ人物が、どのようなかたちで、どこまで「大藝埕」の景観づくりと、「民藝埕」ビルと、茶館「陶一進民藝埕」などの再開発に関わったかは不詳です。
それでも「国際様式」とはたれが名づけたものか知りませんが、全体に激しい色彩とインパクトの強い形象が目立つ台湾のまちのなかで、この大藝埕あたりのランドスケープは、かなり異なった風合いがありました。

茶館「陶一進民藝埕」の食器(テーブルウェア)は、すべて柳宗理のデザインによるもので、純白の器のなかに、お茶の淡い色彩が浮かびあがります。
おおきな急須に、ときおり従業員のお嬢さんがお湯を注いでくれますので、ほどよく蒸れたころ、それをガラスの器にうつして、ちいさな茶碗で喫茶します。
「陶一進民藝埕」には3時間余も、写真のお茶だけで長居しましたが、べつに嫌がられもせず、つぎつぎとお湯を注いでくれました。料金はそこそこの値段で、お菓子もついて日本円で500円ほどだったでしょうか。
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林さんとのはなしに夢中になっているうちに、いつの間にか、かつての新宿邑の雑然とした朗文堂社内にいるころとおなじように、たがいにあつくなって、タイポグラフィ論議を展開していました。
テーマのほとんどは文+字=文字でした。蒼頡 ソウケツ 神話をかたり、そして許愼キョシン『説文解字』をかたりあいました。
「糸 繪  文 糸 紋 宀 子 字」そして「文+字、文字」でした。

先述したように林昆範さんは、中国大陸における観光産業との共同作業で「中国少数民族の文化」を考察・研究されていましたが、その途中経過をパソコン画面で提示しながら中間報告をしていただきました。
中国にはいまでも 54 ほどの少数民族があって、それぞれに守護神をもち、それを象徴化した図画・紋様をもつということでした。そして民族が守護神を失ったとき、その紋様とともに滅亡にいたるという報告は新鮮でした。
────
帰国からしばらくして、写真が添付された@メールに、以下のようなうれしい報告がありました。

久しぶりにゆっくりおはなしができて、刺激的でしたし、発奮しました。
近年、大陸における観光産業との共同研究で、中国少数民族の文化を考察しています。それらの考察はデザインに使われる素材〔紋様〕として扱い、その素材収集が中心でしたが、これでは研究とはいえなくて悩み、まして論文発表までは考えてもいませんでした。
ところが、片塩さんのご指摘により、伝統紋様は原始の〔ことば〕であることを理解しました。即ち、「文」の造形性が強調されて「紋様」になりました。そして「文」の記号性が強調されて「字」になりました。この両者が結合したものが「文字」ということでいいですね……。
来年の夏までに、先日のご指摘と、これまでの収集の成果を見なおして、なんらかの発表ができるようにまとめることに全力をあげます。
日本と台湾でお互いにがんばりましょう。 林  昆範
(写真はすべて林昆範氏撮影)