タグ別アーカイブ: タイポグラフィ

【サラマ・プレス倶楽部】活版カレッジ 2018年冬期講座(昼間部 1─3月)終了しました

活版カレッジ[1]
<サラマ・プレス倶楽部 活版カレッジ>は、身体性がもたらす造形精神とそのよろこびをおもくみています。そのために、科学と、学術的根拠にもとづいた実技と実践を基盤とし、小型活版印刷機 Salama-21A を中心として、Salama シリーズによるケーススタディ ・ メソッドをふんだんに駆使し、あたらしい時代の活版印刷の現場での、現実的な課題の解決方法を学ぶことを目的とします。
DSCN6516[1] DSCN6513[1]<活版カレッジ>は、基本的に春期・夏期・秋期・冬期より、年に3回開講されます(イベント開催期は1期休講になります)が、ここ数回にわたって事前予約者が多く、ほとんど一般公募ができない状態がつづいています。
詳細は <サラマ ・ プレス倶楽部 教室のご案内 Salama-21A 操作指導教室 >をご覧ください。今回の活版カレッジ「昼間部」の開催は年に一度の冬期講座となります。
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◎ 活版カレッジ次期講座予約申込を受けつけております

活版カレッジは定員数の少ない講座ですので、参加ご希望の方はお早目にお申込みください。
受講ご希望の方は、下記要項をメールにて随時ご連絡ください。
受講料を全額納入いただきました方から、受付完了とさせていただきます。

1. 「活版カレッジ」受講希望
2. お名前
3. ご連絡先ご住所・電話番号(携帯でも可)
(予約確認の返信に必要な e-mail アドレスも忘れずにお書きください)
4. 活版印刷ご経験の有無、ご希望、また、お差し支えなければ、性別、ご年齢などもお書き添えください。各回の基本的な指導内容は統一いたしますが、参加者それぞれのご経験やご関心をお教えいただければ、できる限り講習内容として反映いたします。
(お教えいただいた個人情報は、朗文堂/サラマ・プレス倶楽部の内部だけで使用します)

【 お申し込み・お問い合わせ : 朗文堂 サラマ・プレス倶楽部  » send email

【イベント】 メディア・ルネサンス 平野富二生誕170年祭-16  東京築地活版製造所アンソロジー 全日程を無事終了しました

バーナー20171126221422_00001メディア・ルネサンス 平野富二生誕170年祭
東京築地活版製造所アンソロジー

全日程を無事終了いたしました
メディア・ルネサンスロゴ01メディア・ルネサンスロゴ03メディア・ルネッサンス

プレイベント : 「江戸・東京 活版さるく」をふくめ、全日程とも好天に恵まれ
本イベント : 日展会館新館での展示・WS・講演会にも多くのお客さまを迎えて
全日程を無事に終了いたしました。

協賛をたまわりました、株式会社 I H I、株式会社イワタ、株式会社モリサワをはじめ、力強い協力とご支援を頂戴しました、平野ホール、「平野富二生誕の地」碑建立有志の会、タイポグラフィ学会の皆さま、そしてサラマ・プレス倶楽部会員の皆さまにあつく御礼を申しあげます。
またプレイベント「江戸・東京 活版さるく」、本イベントにご参集いただきました多くの皆さまに、衷心より御礼を申しあげます。
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<メディア・ルネサンス 平野富二生誕170年祭>は、開港地の長崎にうまれ、27歳にして上京、それからの20年間、明治産業の近代化におおくの功績をのこして47歳で逝去した平野富二の生涯をつうじて、メディアの越したかたをさぐり、ゆくすえを見定める機会でした。

ご存知のように、「媒体・媒介物」をあらわす{medium ミィーディアム}の複数形が {media 媒体・手段}です。
産業革命の負の側面がまさに露呈したともいうべき、19世紀世紀末・英国でのメディアの大混乱と同様に、I T 革命進行中のいまは、メディアが多様化し、氾濫し、流動化して瞬発的・刹那的となって、まさに混乱のさなかにあります。

こんな時代だからこそ、あらためてメディアの原点をみつめ、メディアに降りつもった猥雑物や夾雑物を取りのぞいたとき、キラリと輝く原石のようなものがありました。その原石を平野富二がもたらした近代活字版印刷術 ≒ タイポグラフィとして、そのよき{Renaissance 復興・再生}をめざすために、今後ともかわらぬ精進を重ねてまいります。

【継続情報は、おもに { 朗文堂 花 筏 } になります。あわせて { サラマ・プレス倶楽部 イベントアーカイブ } に収録されますので、引きつづきご声援・ご支援のほどお願いいたします】
IMG_3036 main[1] Salama_lp_side[2]──────────
【速報写真集】
日展会館新館 一階講演会場 講師 : 平野正一氏 「子孫から見た 平野富二と縁者たち」、谷中霊園・明治産業人{掃苔会}を中心に
会員 : 春田ゆかりさん・真田幸治さん・中村将大さん提供写真_1040429R0064147 R0064178 R0064160 R0064208 R0063842 R0063972 R0063863 R0063873 image2 R0063808 R0063818 image3R0064021全日程終了後 一階講演会場で平野家・矢次家・山口家の皆さんの記念撮影

23b1e68c3c4de01a96de74855e4a9c45[1]平 野  富 二
弘化03年08月14日-明治25年12月03日 1846. 08. 14-1892. 12.03 享年47
OLYMPUS DIGITAL CAMERA前列右) 平野義和・順子夫妻〔富二曽孫〕、 前列左・後列左端) 山口家〔富二 三女・平野幾みが嫁した家〕のおふたり  後列右四名) 〔富二の生家〕矢次家の関係者、後列二名)平野正一氏〔富二玄孫〕・平野健二氏〔富二玄孫〕

【新宿私塾】 第31期新宿私塾 入塾募集中(募集終了)

私塾募集中
「新宿私塾」は15年余の歴史を有し、
本塾の修了生はすでに300名ほどの多くを数えます。
それでもあくまで、タイポグラフィをまなぶためのちいさな教育機関です。
書物と活字づくり、すなわち「タイポグラフィ」の 560 年におよぶ
魅力的な歴史をまなび、本格的なタイポグラフィの教育と演習を通じて
あたらしい時代の要請に柔軟に対処する能力を身につけた
タイポグラフィの前衛を養成します。
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イムさん02 西尾さん DSCN2847

新宿私塾では、開塾以来一貫して、科学と学術的根拠にもとづいた実践を教育・研究上の基盤とし、ケーススタディ・メソッドをふんだんに駆使し、編集・紙面設計・文字組版・デザインの現場での現実的な課題の解決方法を講師と塾生が一体となって研究します。

すでにタイポグラフィとグラフィックデザインの現場で働いているかた、他分野で実務に活躍されているかた、またこれからこの分野に就かれるかたと共に、実践的な編集工学・組版工学・デザイン工学をまなぶ場を提供して、思考力、創造力、問題発見能力、解決能力のある高度な専門職業人としての自立をめざすものです。

新宿私塾はまた、タイポグラフィにおける 「 知 ・ 技 ・ 美 」 のみっつの領域で、バランスのよい学習をモットーとしています。 それはまた 「 知に溺れず、技を傲らず、美に耽らず 」 という、つよい自戒をともないます。
半年の学習機関のあいだ、塾生の皆さんがおおきな収穫が得られるように、講師陣はもとより、300名をこえた 「新宿私塾修了生」 の皆さんも、精一杯の努力と応援をいたします。
 
◎ 教育期間
・ 週 1 回(火曜日)、半年、25 回を 1 期とする。
・ 18 時 30 分開塾、21 時 40 分閉塾。
・ 1 講座を 90 分として、1 日 2 講座を基本とする。
・ 1 時限:18 時 30 分 - 20 時    2 時限 : 20 時 10 分 - 21 時 40 分
◎ 費   用
・ 1 期授業料 : 300,000 円
◎ 教育現場
通学制 東京都新宿区新宿 2-4-9 中江ビル 4F 朗文堂内
◎ 講座定員
徹底した少人数教育になります。
1 講座最大10名
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新宿私塾第31期は本年9月下旬から講座開始。明年3月までの開講が予定されています。
詳細スケジュールは現在のところ未定ですが、基本的に毎週火曜日、午後6時30分から9時40分が講座開設日時となります。
全25回の講座のうち、土曜日に設定されるフィールドワーク、特別講座が 2 回予定されています。
講義内容は現在開講中の第30期とほぼ同様です。
カリキュラム、受講料などの詳細は〔新宿私塾のウェブ〕でご覧いただけます。
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こちらの募集は終了いたしました。
【 詳細データ : 新宿私塾

【新宿私塾】 新宿私塾 第30期 咲きそめし櫻花のもとでスタートしました

!cid_6F5DE446-1C47-48AE-B49C-C56937C9DA60 新宿私塾30期入塾Web2resizede《 新宿私塾第30期、櫻花爛漫の春、意欲満満でスタートしました 》
春まだ浅き夕べ。新宿御苑の、櫻、ミモザ、山吹などがつぎつぎに花をつけつけはじめた04月04日、新宿私塾 第30期が開塾しました。

これから半年間、ほぼ夏休みもなく新宿私塾は開講され、爽秋の09月12日に終了します。
その間講師、塾生の先輩ともども、全力で、あたらしいタイポグラフィの前衛を育成するために努力しますし、25回の講座は、いずれも内容の濃いものとなっています。
半年後、自信にあふれた塾生の皆さんの、お顔と、お姿を、再度紹介できたら幸せです。
DSCN0043 DSCN0044新宿私塾では、タイポグラフィにおける 「 知 ・ 技 ・ 美 」 のみっつの領域で、バランスのよい学習をモットーとしています。
それはまた 「 知に溺れず、技を傲らず、美に耽らず 」 という、つよい自戒をともないます。
この半年のあいだ、塾生の皆さんがおおきな収穫が得られるように、講師陣はもとより、300名におよぼうとする 「新宿私塾修了生」 の皆さんも、精一杯の努力と応援をいたします。

《 恒例 新宿私塾第30期 カリキュラム  表紙デザインの紹介 》
新宿私塾30期表紙新宿私塾 第30期 カリキュラム 表紙  ( Design : 講師 杉下城司さん )

新宿私塾 第30期 カリキュラムの表紙は、デジタルタイプ <FFフランジスカ FF Franziska> です。
新宿私塾では受講期間のあいだに、和文活字でも、欧文活字でも、どちらでもかまわないのですが、できるだけ 「 My Favorite Type ― わたしのお気に入りの活字書体 」 を獲得することが勧められています。

もちろん、世上の評価がたかい活字書体でも、まったく無名の活字書体でも、「はやり書体」 でも一向にかまいません。 むしろどんな活字書体にも、避けがたく付着している 「 長所と短所 」 をみつけだし、「 長所をいかし、短所を制御する能力 」 がとわれます。

──────── 杉下城司さんのコメント
新宿私塾第30期のカリキュラムに使用している欧文書体は、2014年に FontFont からリリースされた、ドイツ人デザイナーのヤコブ・ランジ(Jakob Runge)による <FFフランジスカ FF Franziska > というデジタル書体です。
この書体は手書きの流れからなるアシンメトリーなセリフをもち、そのセリフが斜めにカットされているために、アンブラケットでありながらブラケットのような見え方となっています。そのためスラブセリフ体でありながらもローマン体のようでもあります。

ストロークや、セリフの厚み、長さのコントラストは視覚的に調整され、アクシスは外側と内側のシェイプを変え、外側の輪郭のみを傾けることによって静的でありながらも動的な効果を得ています。
ペン書きの特性を機能させつつ、セリフやドット、ドロップターミナルにみられる柔らかさと鋭さを融合したエッジは個性的であり、大きいサイズで使用した場合の印象と、テキストサイズでの印象では大きく異なり、テキストでもディスプレイでも使える工夫がなされています。

<FFフランジスカ  FF Franziska> のイタリックは、ローマンとは独立した考えで作られていますが、ファミリー間での調和をもたらせるように作られています。
このイタリックでは筆脈から派生した二つの角度のストロークが空間をつくり、そのストロークの流れはスクリプト体のような効果をもたらせています。傾斜を維持しながらも垂直性をもたせた印象的なイタリックといえるでしょう。

スペーシングは小さいサイズでの使用を考慮し、グリフ間にスペースを持たせるといった、フルティガーのアプローチにしたがって考えられています。
全体的に大きな x ハイト、短いディッセンダーであるために和文との混植も面白いでしょう。
この書体では複数のアプローチを同時に満たす試みが伺えます。制作過程において一方向に絞り込まずに、また均質化することで解決をもとめるのではなく、多角的な考えを融合させて形作りをしています。

これまでの書体に多くみられるように「揃える」「整える」という意図から、「視覚的に揃える」段階を経て、次に、というより、元に戻ってかもしれませんが、手書きのような全体像を作ることを考えているようでもあります。
こうした試みが多くの書体で試されることによって、書体の幅が広がるのではないかと期待しています。

【 お問い合わせ : 朗文堂タイポグラフィスクール 新宿私塾 担当:鈴木 孝  » send email 】

【増刷出来】 VIVA !! カッパン──活版印刷の楽しくてカワイイ入門書(サラマ・プレス倶楽部 大石 薫)

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◯ 書  名  VIVA !!  カッパン
◯ 編著者  サラマ・プレス倶楽部
◯ 装  本  B5判 オールカラー 136ページ 並製本ジャケット付
◯ 定  価  本体 3500円+税
ISBN978-4-947613-82-0 (4月17日出来予定)
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活版印刷の楽しくて カワイイ入門書 増刷 !!

{懐かしいのに新しい}
魅惑の印刷、カッパン
見て美しい! 知って楽しい!
 自分でやるともっと楽しい !!!
カッパンを愛する アナタの必携書です。

 【 VIVA !! カッパン 目次 】
・懐かしいのに、あたらしい、魅力の活字版印刷術 ――― カッパン

・活字のおはなし
・文選箱ギャラリー
      文 選
      組版(植字)
      組みつけ
      印 刷
      活字鋳造
・Salama-21Aの使い方

・muccu が行く!
      活字鋳造所探訪 (築地活字編)
      活字版書籍印刷所探訪 (長瀬欄罫製作所編+豊文社印刷所編)
・あとがきにかえて
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◎ ご購入はお近くの有力書店,、デジタル書店か、小社直接購入も可能です。

◎ 直接注文は 朗文堂ブックコスミイク  » send email
詳細は下記のページ
◎小社から直接送付する場合 をご覧ください。

朗文堂 営業部
160-0022 東京都新宿区新宿2-4-9
Telephone 03-3352-5070
Facsimile 03-3352-5160
http://www.ops.dti.ne.jp/~robundo

《 活版印刷の楽しくて カワイイ入門書 増刷 !! 》
まえがきVIVA逕サ蜒十34-34 VIVA逕サ蜒十44-45 VIVA逕サ蜒十46-47 VIVA逕サ蜒十52-53 VIVA逕サ蜒十70-71 VIVA逕サ蜒十84-85 VIVA逕サ蜒十88-89《 あとがきにかえて 》 ・・・・・・ こんな時代だから
アダナ・プレス倶楽部( 現:サラマ・プレス倶楽部) の活動は、2006年、おもにタイポグラフィ関連の専門書を出版している朗文堂代表の片塩二朗と、印刷博物館の工房担当を前職としていた私(大石 薫)との、たったふたりからはじまりました。

このようなデジタル時代の真っ只中に、あたらしく「活版印刷機をつくる」というこころみは、ま
わりのひとびとの目からみて、まるでドン・キホーテの夢物語のように映っていたことでしょう。
片塩と私自身にも、そのことはよくわかっていて、どちらがドン・キホーテで、どちらがサンチョ・パンサであるかと、お互いを笑いながら、瀕死のロシナンテにも似た「カッパン」という痩せ馬に跨がったその旅路は今日でも続いています。

世界的に、あたらしい活版印刷機を製造販売している企業がまったく無いという事実から、はじめから採算のあわない事業となるであろうことは覚悟していましたが、プロジェクトを進めるにつれて、コストの面はもちろん、すでに30年近くも前に製造ラインが廃れてしまった機材も少なくないことがわかり、前途多難な道のりとなりました。
また、活版関連業者にかぎらず、わが国の産業のほとんどが、合理性と効率性の一辺倒から、大量生産と分業化を推し進めてきた結果、小ロットに対応でき、かつ部品製造から組み立てまでを一貫しておこなえる工場がなかなか見つからず、はからずも国内製造業の空洞化と、この国の行く末への危機感を実感しました。

どこへ行っても「あと10年早ければねぇ…… 」という答えばかりが返ってきました。しかし、幸運な偶然にも導かれつつ、ドン・キホーテ的発想の転換で邁進し、「あと少し遅ければ間にあわなかった」 → 「なんとかギリギリ間にあった」結果、二一世紀のあたらしいカッパン印刷機「Adana-21J」および、その後継機「Salama-21A」が誕生しました。

サラマ・プレス倶楽部( 前:アダナ・プレス倶楽部) は、この「Salama-21A( 旧:Adana-21J) 」を中核としながら、活版印刷の普及と存続につとめる朗文堂の一事業名ですが、カッパンを愛好する皆さんとの双方向の連携の場となることを目的として、そのおもいを「倶楽部」という名称に込めています。
当初はドン・キホーテとサンチョ・パンサの二人だけだった部員も、現在ではおかげさまで登録会員も増えて、気がつけば、すっかり倶楽部らしい様相を呈するようになりました。

I T 革命を招来した現代は、さながら19紀末の産業革命をむかえた時代と、とてもよく似ているといわれます。すなわち、機械化と大量生産・大量消費時代の幕開けにより、安くて早くて、大量で、奇抜な印刷物が出まわり、それまでの職人の技芸によって支えられてきたタイポグラフィの質は確実に低下するようになりました。このような技芸の衰退に警鐘を鳴らしたのが当時のアーツ・アンド・クラフツ・ムーブメントでした。

そのアーツ・アンド・クラフツ・ムーブメントの再来ともいえる、現代のあたらしいカッパン実践者の多くは、効率優先の情報処理に追われる日常に疲弊と疑問を感じ、「身体性をともなった、ものづくりがもたらす純粋なよろこび」をカッパンによって満喫しています。

また、パーソナル・コンピュータや携帯電話、インターネットの普及によって、組版やデザインなどの特別な職能が無くとも、だれもが気軽に文字を組んで(打って)情報を発信する機会も増えました。このような時代に、組版の原点であるカッパンを学ぶことは、よりよきコンピュータ組版のためのヒントとしても大いに有効です。

しかし、コンピュータが普及し、メディアが多様化し、それらが複雑に交差しあっている現在の「情報社会」で生活する私たちが、なぜこの「カッパン」にいいつくせない魅力を見いだしているのか、私自身、本書をまとめ終えた現在でも、正確に言語化できないもどかしさをいだいているのも正直なところです。
そして、その答えとカッパンの真の魅力を知るには、やはり実践をおいてほかにはないといわざるをえません。

願わくば本書が、カッパンの21世紀における存在意義を発掘し、カッパン実践者の皆さまにとっては更なる創作への糧となり、カッパン未経験者の皆さまにはカッパンの実践へのいざないとなることを、せつに祈っています。
                           サラマ・プレス倶楽部  大石 薫

【新宿私塾】 新宿私塾第29期 無事に終了しました

29期終了_塾生 !cid_F771F2F9-C44C-42AE-A3B8-15A2815A26DBいつものことですが、出あいはうれしく、別れはさびしいものです。
<新宿私塾 第29期>は、金木犀のかおりが新宿御苑からかすかにただよう、2016年09月27日に開講し、梅の香ただよう早春の2017年03月14日、全員が無事に全課程を修了し、おおきく成長して羽ばたいていきました。
最終講座を終え、これからは<新宿私塾修了生>の一員となった塾生の諸君は、わかれがたいおもいがあったのか教場での談笑がつづき、やがて再開を約して新宿の町に消えていきました。
金木犀[1]新宿私塾29期risized
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<新宿私塾>は毎回全25講座が開講されますが、「造形のよろこび」、「身体性をともなった造形のよろこび」をモットーとしています。 
同時に<新宿私塾>では、タイポグラフィにおける 「 知 ・ 技 ・ 美 」 の三領域で、バランスのよい学習をモットーとしています。
それはまた 「 知に溺れず、技を傲らず、美に耽らず 」 という、つよい自戒をともないます。
新宿私塾29期カリキュラム resized長いようで短かった半年間でした。ここのところ天候不順がつづき、きびしい残暑があり、秋の颱風が大暴れをし、寒波がなんども襲来しました。

最終講座の03月14日も肌寒い日でしたが、山本太郎さんによる特別講座:アプリケーション生成現場からと題する熱い講義がつづきました。
山本_129期終了講座終了後、塾生諸君は時計を気にしながら、しばしのお別れに際してメアドの交換を急ぎ、同期会の幹事をきめて再会を約しての修了となりました。
造形界にはきびしい逆風がみられる昨今ですが、新宿私塾29期修了生の皆さんは大きく羽ばたいて旅だちました。

【新宿私塾】 新宿私塾第30期 2017年04月04日スタート 募集〆切りました 

私塾新宿私塾第30期は定員となり募集を締めきりました
続いて第31期の事前申込を受けつけております

イム氏講義_2017.2.7-102月07日講座:ウェブデザインにおけるタイポグラフィの実践-講師:イム・ジョンホさん

西尾_2 西尾-102月18日特別演習:製本術入門― 講師 西尾 彩さん
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新宿私塾第30期は本年4月4日[火]講座開始。本年9月までの開講が予定されています。
詳細スケジュールは現在のところ未定ですが、基本的に毎週火曜日、午後6時30分から9時40分が講座開設日時となります。
全25回の講座のうち、土曜日に設定されるフィールドワーク、特別講座が 2 回予定されています。
講義内容は現在開講中の第29期とほぼ同様です。
カリキュラム、受講料などの詳細は〔新宿私塾のウェブ〕でご覧いただけます。
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入塾ご希望の方は、下記メールにご連絡をお願いいた します。メール受付順の入塾とさせていただきます。
◯ 朗文堂タイポグラフィスクール 新宿私塾
担当:鈴木 孝  
robundo@ops.dti.ne.jp  » send email
件名/新宿私塾 第30期申し込み
お名前(ヨミガナ)、送付物宛先住所、電話(携帯可)

その後の手続きは、メールをいただいたのちご連絡いたします。
新宿私塾に関してのご質問などがある方は電話連絡をしてください。
なお、本年9月開講予定の〔新宿私塾 第31期〕の入塾(仮)予約も受け付けております。
担当の鈴木が対応させていただきます。

【新宿私塾】 第29期順調に進行中-ベテラン・俊英・若手の講師陣紹介

!cid_4FB37547-4D75-4196-8850-D2B82EB5ED8A 「新宿私塾 」 は タイポグラフィをまなぶための、ちいさな教育機関です。
書物と活字づくり、すなわち「タイポグラフィ」の 650 年におよぶ魅力的な歴史をまなび
本格的なタイポグラフィの教育と演習を通じて
あたらしい時代の要請に柔軟に対処する能力を身につけた
タイポグラフィの前衛を養成します。

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《新宿私塾 第29期 第17回講座 有馬智之さん》DSCN9311 DSCN9307 DSCN9296 有馬トモユキ-1024x794[1]<講師紹介 : 有馬トモユキ デザイナー>
1985年長崎県生まれ。青山学院大学経営学部卒。
タイポグラフィスクール「朗文堂 新宿私塾」第9期を修了し、現在は新宿私塾講師。
複数の企業を経て、日本デザインセンターに合流。グラフィック、Web,  U I 等複数の領域におけるデザインとコンサルティングに従事している。
その傍ら TATSDESIGN 名義で商業コンテンツ作品とそのプロモーション活動を実施。音楽レーベル「GEOGRAPHIC」クリエイティブディレクター、SF レーベル「DAISYWORLD」主宰。
主な仕事に「ハヤカワSFシリーズJコレクション」装丁デザイン、TVアニメ『アルドノア・ゼロ』アートワークなど。
タイポグラフィを軸としつつ、対象に深くアプローチするデザインを得意とする。車好き。

著書:『いいデザイナーは、見た目の良さから考えない』(星海社)
 [ 関連URL : TATSDESIGN URL  / 星海社URL ]

《新宿私塾 第29期 第18回講座一 千星健夫さん》 DSCN9531 DSCN9537 DSCN9541 af80b86391610d415956227649237bfd-213x300[1]<講師紹介 : 千星健夫 Takeo Chiboshi  デザイナー>
1976年、兵庫県生まれ。
社会人向け専門学校の営業職からデザイナーに転身するという勘違いした経歴をもつ。
GRAPHIC・WEB・PRODUCT と ジャンルをはみ出したデザインを手け
PHOTOGRAPHY・LETTERPRESS(活版印刷)も自らおこなう器用貧乏プレイヤー。
デザイン事務所勤務を経て、2014年「NECKTIE design office」を立ちあげる。 新宿私塾第21期修了・現在新宿私塾講師、活版カレッジ修了
[ URL : NECKTIE design office
[ 活版 à la carte : 造形者・千星健夫 NECKTIE design office 移転を期に新企画商品・作品を続続と発表

《新宿私塾 第29期 第18回講座二 深津貴之さん》 深津貴之_1 深津貴之_2<講師紹介 : 深津貴之さん  Takayuki Fukatsu Interactive Designer>
大学で都市情報デザインを学んだ後、英国にて2年間プロダクトデザインを学ぶ。 2005年に帰国し、thaに入社。
2013年、THE GUILDを設立。Flash/Interactive関連を扱うブログ「fladdict.net」を運営。 現在は、iPhoneアプリを中心に UI デザインや Interactive デザイン制作に取り組む。 新宿私塾第15期修了・現在新宿私塾講師
[URL : THEGUID

《新宿私塾 第29期 第19回講座 イム・ジョンホさん》 イム氏講義_2017.2.7-1 イム氏講義_2017.2.7-2<講師紹介 : イム・ジョンホさん Jeong-ho Im  Art director >
わたしたち「mount」は、広告の一環としてのキャンペーンサイト、商品の魅力を伝えるためのプロモーションサイト、企業の情報サイト、ファッションブランドのオンラインショップなどのウエブサイト制作を中心に、映像、プリントなど、さまざまなモノを制作しております。
新宿私塾第11期修了・現在新宿私塾講師
[ URL : mount ]

《新宿私塾 第29期 第21回講座 特別演習:ブックバインディング 西尾 彩さん》 西尾-1 西尾_2<講師紹介 : 西尾 彩 ブックバインダー>
西 尾  彩 Nishio Aya ブックバインダー
1995年 武蔵野美術大学造形学部視覚伝達学科卒業
2001年 Guildfoord College Futher & Higher Education / Diploma in Fine Bookbimding & Conservation 修了
2002年 London College of Printing / BA Print Media Book Arts &  Crafts 修了
2004年 The Bookbinding Competition (Designer Bookbindinders)
Filio Society Prize for the Set Book 1 位 (受賞作品『Selected Poems / samuel Taylor Coleridge』)
2004年 武蔵野美術大学造形学部視覚伝達学科非常勤講師
工房シトラス・プレス主宰
[ URL : aya nishio citruspress ]

【新宿私塾】 第28期、熱く順調に進行中。「フィールドワーク 公版書籍印刷工場 理想社見学」 

私塾28期順調

DSCN8614Web16.4.5_第28期入塾resize《 新宿私塾第28期、櫻花爛漫の春のもと、意欲満満でスタートしました 》
隣接する新宿御苑の、櫻、ミモザ、山吹などがあでやかに花をつけた04月05日、新宿私塾 第28期が開塾いたしました。
偶然ですが、前27期は男女比が 8 : 2 と男性が多かったのですが、今期は男女半数ずつでバランスがとれました。

ただ熾烈なのは「ジャンボ」の名称争い ?  です。前期はドア枠に頭があたりそうなほど長身のジャンボ平澤クン(下掲写真後列中央)があっさりその座を奪取しましたが、今期はともにヒゲ面の上掲写真後列左端の半田クンと、右端のランスクンがいまだに争奪中です。
半田クンは<Viva la 活版 ばってん 長崎>に訪崎。即撮影担当に指名されていました。
27期終了_01新宿私塾第27期、後列中央 : ジャンボ平澤クン。新宿私塾修了後欧州研修旅行にでかけ、写メールを大量送付。近日紹介予定。 
前列左端:時盛クン。新宿私塾と平行して「活版カレッジ」受講。<Viva la 活版 ばってん 長崎>に広島から長崎まで自動車運転で参加。後輩の28期半田クンとあつい交流。

160521_10五月の連休をはさんで講座は順調に進行中ですが、5月21日[土]第7回講座:「フィールドワーク 公版書籍印刷工場 理想社見学」で江戸川橋まででかけました。
講座は90分の講義ののち、二班ににわかれて、同社田中社長と小林部長のご案内で理想社の工場見学。
はじめて間近に見る本格書籍組版と印刷の実際。塾生諸君にとってはおおきな刺激となります。その記録を塾生の福士大輔クン(上掲後列中央)からいただきましたので紹介します。

新宿私塾第28期はこれからもほぼ夏休みもなく続き、爽秋の09月20日に終了します。

DSCN8619カリキュラム表1新宿私塾 第28期 カリキュラム 表紙  ( Design : 講師 杉下城司さん )
160521_09 160521_05 160521_04 IMG_0698 IMG_0697 IMG_0700 160521_03 160521_09 160521_07 160521_08 IMG_0699 160521_02

新宿私塾第27期 意欲満満、順調に講座が進行中 ― +次期新宿私塾28期公募状況のお知らせ

27期順調《 新宿私塾第27期は、爽秋の風のなか、意欲満満で2015年09月末にスタートしました 》
新宿御苑の遊歩道に金木犀のかおりがかすかにただよい、さまざまな秋の艸花が咲きそろった2015年09月29日[火]、新宿私塾 第27期が開塾いたしました。
DSCN1556爾来ほぼ五ヶ月が経過し、講座は第21回までを順調に消化してきました。
新宿私塾第27期は、めずらしく男性が多い塾生で構成されました。それでもはじめのころのかたさは消えて、休憩時間や講座の終了後は和気藹藹としたふんいきに教場は包まれるようになりました。

27期カリキュラム部分WEB第27期入塾《新宿私塾第27期第07回特別講座 フィールドワーク 理想社》
2015年11月14日[土]、特別講座で理想社でフィールドワーク。田中宏明さん(社長)の一時間にわたる講義ののち、二班にわかれての工場見学にのぞみました。
理想社の印刷機器は大型で、商業印刷というより、図書印刷が大半を占めます。大手出版社との長年の取引をつうじて醸成された、独自の組版術、ハウスルールなどの紹介で、塾生諸君は熱心にメモをとっていました。

DSCN5420DSCN5425DSCN5422《新宿私塾第27期第08回講座 名刺のデザインとその製作実務》
2015年11月17日[土] 通常講座。永野有紀さんによる「名刺デザインとその制作実務」。
まず名刺の歴史と役割、基本構成などの講義があり、そのあとはふたりずつにわかれての、名刺製作の交流・交換がはじまります。
この講座のあとは、たがいにその趣味やデザイン嗜好までを知りますので、塾生同士の親密度はぐっと増します。まして講師の永野さんご自身が、新宿私塾第二期生とあって、教場はいっきになごやかなふんいきに変わります。

DSCN5429DSCN5431《新宿私塾第27期第09回講座 欧文組版の基礎》
2015年11月24日[火]講義  このころは暖冬だとされて、冬とはおもえないおだやかなまいにちでした。この日の講師:河野三男さんは新宿私塾開塾以来のベテラン講師。ページ物の欧文組版を中心に、行間と行長の設定、組版テクスチュア、段落の意味と種類などをユーモアを交えてわかりやすく解説。
DSCN5475 DSCN5470《新宿私塾第27期第15回講座 構造としての造形言語》
2016年01月19日[火] 特別講座 新年をむかえ、暖冬気味ではありましたがとかく天候不順な日日でした。新春二回目の講師は、新宿私塾の開塾以来講師を担っている板東孝明さんによる特別講座でした。
タイポグラフィにおける構造的視点を、リートフェルト、ミース・ファンダルローエ、バックミンスター・フラーなどを例として、豊富な資料と画像を駆使しての講座。
後半部には地域社会に根ざしたコミュニケーション・デザインのあり方と、板東さん製作のたくさんのタイポグラフィ作品の実物を眼前にしながらの講座となりました。
DSCN6254DSCN6248板東02板東孝明さんの新著作  板東孝明編『ホスピタルギャラリー』 深澤直人・板東孝明・香川征著 武蔵野美術大学出版局 

《新宿私塾第27期第20回特別講義 洋書の姿:印刷と折り丁/書物の構造と造形言語》
2016年02月16日[火] 特別講義 二月にはいると東京にも積雪をみました。また数十年ぶりという、南国九州の長崎や鹿児島でも、降雪のためほとんどの交通機関が三日間ほど停止を余儀なくされるほどの異常気象でした。
それでも新宿私塾は淡淡と設定カリキュラムを消化していました。02月16日は書誌学の定番書ともいえる『洋書の話 第二版』の著者:ベテラン講師の髙野 彰さん。
ベラムと紙から説きおこし、書写から書物の誕生、見開き・一対の紙葉、そのたたみかた、ページ割り付け、印刷用活字書体の誕生、タイポグラフィの進展と、熱い講義が続きました。
DSCN6342 DSCN6335プリント髙野 彰著『洋書の話 第二版』(朗文堂

《新宿私塾第27期第21回特別講義 フォーマットとグリッドの概略史とその展開》
DSCN6377DSCN63822016年02月23日[火] 特別講義 02月最後の講座。寒い日でしたが新宿私塾開塾以来の講師:白井敬尚さんの担当。タイポグラフィは活字版印刷術を源流とするだけに、グリッド(格子)構造は避けては通れない課題となります。さまざまなケーススタディの紹介に教場は熱い熱気につつまれていました。

《間もなく如月キサラギ二月がおわり、艸花の開花をみる弥生ヤヨイ三月を迎えます》
ことしにはいってから、竜巻・異常降雪・突風など、どこか妙な気候がつづきましたが、まもなく花の弥生三月となります。
新宿私塾第27期はのこすところほぼ一ヶ月、四講座、まだまだ重要な講座がつづきますが、03月22日[火]第25回演習講座をもって終了をむかえます。
ことしの菜の花

新宿私塾では、タイポグラフィにおける 「 知 ・ 技 ・ 美 」 のみっつの領域で、バランスのよい学習をモットーとしています。 それはまた 「 知に溺れず、技を傲らず、美に耽らず 」 という、つよい自戒をともないます。
この半年のあいだ、塾生の皆さんがおおきな収穫が得られるように、講師陣はもとより、200名を優にをこえた 「新宿私塾修了生」 の皆さんも、精一杯の努力と応援をいたします。

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私塾28期定員《新宿私塾第28期のお申し込み状況の報告と、ご予約のおすすめ》

新宿私塾では次期以降の入塾申込を随時受けつけております。
2016年04月開講予定の<新宿私塾 第28期>には相当数のご予約をいただいおりました。二月の声を聞くと、改めて入塾お申し込みの連絡が増加したため、02月下旬から、ご予約順に、予約の再確認、入塾者確定作業をおこないました。

その結果<新宿私塾第28期>は、一般公募をへずに、ご予約者で定員となりました。
したがいまして恐縮ながら、今後の新宿私塾入塾お申し込みは、2016年09月開講予定の<新宿私塾第29期>、ないしは、2017年04月開講予定の<新宿私塾第30期>へのご予約とさせていただきます。
ともあれ<新宿私塾>に入塾希望のご意向があるかたは、下記詳細情報をご覧いただき、 朗文堂担当鈴木 robundo@ops.dti.ne.jp
  までご一報ください。
演習・フィールドワーク以外の講座は見学申込も随時受けつけております。

【 詳細 : 朗文堂 タイポグラフィ・スクール 新宿私塾

新宿私塾第27期 意欲満満、順調に講座が進行中です

27期順調
《 新宿私塾第27期は、爽秋の風のなか、意欲満満で9月末にスタートしました 》

新宿御苑の遊歩道に金木犀のかおりがかすかにただよい、さまざまな秋の艸花が咲きそろった2015年09月29日[火]、新宿私塾 第27期が開塾いたしました。
爾来ほぼ二ヶ月が経過し、講座は第09回までを順調に消化してきました。
新宿私塾第27期は、めずらしく男性が多い塾生で構成されました。それでもはじめのころのかたさは消えて、休憩時間や終了後は和気藹藹としたふんいきに教場は包まれるようになりました。

27期カリキュラム部分 WEB第27期入塾
《新宿私塾第27期第07回特別講座 フィールドワーク 理想社》
11月14日[土]、特別講座で理想社でフィールドワーク。田中宏明氏の一時間にわたる講義ののち、二班にわかれての工場見学にのぞみました。
理想社の印刷機器は大型で、商業印刷というより、図書印刷が大半を占めます。大手出版社との長年の取引をつうじて醸成された、独自の組版術、ハウスルールなどの紹介で、塾生諸君は熱心にメモをとっていました。

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《新宿私塾第27期第08回講座 名刺のデザインとその製作実務》
11月17日[土] 通常講座。永野有紀さんによる「名刺デザインとその制作実務」。
まず名刺の歴史と役割、基本構成などの講義があり、そのあとはふたりずつにわかれての、名刺製作の交流がはじまります。
この講座のあとは、たがいにその趣味やデザイン嗜好までを知りますので、塾生同士の親密度はぐっと増します。まして講師の永野さんご自身が、新宿私塾第二期生とあって、教場はいっきになごやかなふんいきに変わります。

DSCN5429 DSCN5430 DSCN5431DSCN1556新宿私塾では、タイポグラフィにおける 「 知 ・ 技 ・ 美 」 のみっつの領域で、バランスのよい学習をモットーとしています。 それはまた 「 知に溺れず、技を傲らず、美に耽らず 」 という、つよい自戒をともないます。
この半年のあいだ、塾生の皆さんがおおきな収穫が得られるように、講師陣はもとより、200名を優にをこえた 「新宿私塾修了生」 の皆さんも、精一杯の努力と応援をいたします。

新宿私塾では次期以降の入塾申込を随時受けつけております。2016年04月開講予定の<新宿私塾>第28期にも相当の人数のご予約お申し込みをいただいているようです。
ともあれ<新宿私塾>への入塾ご希望のご意向のあるかたは、下記詳細情報をご覧いただき、朗文堂までご一報ください。

【 詳細 : 朗文堂 タイポグラフィ・スクール 新宿私塾

【展覧会】 ニッポンのニッポン ヘルムート・シュミット-京都dddギャラリー

京都dddギャラリー第205回企画展
2015年11月09日[月]-12月22日[火]
ニッポンのニッポン ヘルムート・シュミット

20151022181732461_0001 20151022181732461_0002【プリント用 PDF  kyouto-ddd02  2.13MB 】

まちが もみじに染まり、そして、比叡おろしの寒風が吹きつのるまでのあいだ。
京都の魅力が もっとも輝く、このよいときに、京都 ddd ギャラリーで
ヘルムート・シュミット <ニッポンのニッポン> 展が開催されます。
皆さまのご参観をおすすめいたします。

24歳ではじめて大阪の地を踏んで間もないころ、スイスのティポグラフィシェ・モナーツブレッテル(TM)誌の編集長から手紙を受け取った。タイポグラファの目を通して見た日本のフォルムや、暮らしの中の道具といったものを、紹介する記事を毎月TM誌に連載してみないかという誘いであった。
記事を書くということは、道具にふれるだけでなく、道具の作り手に会う機会も与えてくれた。このシリーズを私は 「Japan japanisch」(ニッポンのニッポン) と呼ぶことにした。
というのは、私自身が理解している日本、すなわち、かつて存在した、そして今も存在している日本、さらにこれから発見されるべき日本を伝えたいと思ったからだ。
この記事で使ったモノクロ写真は、わずかな例外をのぞいて、カメラマンの友人たちと撮影したものだ。

1969年、エミール・ルーダーから手紙を受け取った。
「TM誌の記事はすばらしい。日本滞在で貴君はなんと洗練されたことか、私にはよくわかります」
40年以上の時を経て、記事は新しい命を授かった。「 Japan japanisch 」 は 2012年に朗文堂より独・英・日本語で出版された。
京都 ddd ギャラリー での展示 「ニッポンのニッポン」 は、この本をきっかけに企画された。
展示に関わってくださったすべての人と、とりわけ日本 ―― 変わることなく刺激を与え続けてくれる国 ―― に感謝を捧げたい。 [ヘルムート・シュミット]

◯ 会場・会期
京都 ddd ギャラリー
2015年11月9日[月]-12月22日[火]
11:00-19:00(土曜は18:00まで)
日・祝日休館 入場無料
〒616‒8533 京都府京都市右京区太秦上刑部町10
TEL: 075-871-1480   FAX: 075-871-1267
地下鉄東西線 太秦天神川駅1番出口 徒歩3分
嵐電嵐山本線 嵐電天神川駅 徒歩5分

市バス・京都バス 太秦天神川駅前下車、駐車場無

◯ ギャラリートーク
日 時 : 2015年11月9日[月] 16:00 – 17:30
講 師 : ヘルムート・シュミット
会  場 : 京都 ddd ギャラリー 会議室
通訳付、入場無料、要予約、定員40名
※参加ご希望の方は、10月21日[水]以降にお申し込みください。

◯ オープニングパーティ
2015年11月09日[月] 17:30-19:00
会場 : 京都 ddd ギャラリー

◯ 作家略歴
ヘルムート・シュミット
1942年オーストリアうまれ。
西ドイツで植字工従弟期間を終了後、1960年代、スイスのバーゼルスクールで、モダンタイポグラファのエミール・ルーダーのもとで学ぶ。
1970年代中頃、西ドイツで社会民主党のウィリー・ブラント、ヘルムート・シュミット両首相のための制作活動に携わる。
1980年、大塚製薬の医家向け医薬品のパッケージや、ポカリスエットのアイデンティティの確立。
ヘルムート・シュミットは、現在大阪を本拠に、商業デザインの仕事と並行して、自主制作に携わっている。1992年以来、自主制作シリーズ「タイポグラフィック・リフレクション」を発行し、現在11号にいたる。また、専門誌「ベースライン」「アイデア」「TM」などへの寄稿者である。
著書 : 『タイポグラフィ・トゥデイ』(1980/2015年)誠文堂新光社発行、『バーゼルへの道』 (1997年) 朗文堂発行、『 japan japanese 』(2012年)朗文堂発行。フィヨルド・ゲイコの編集、デザインによる『 helmut schmid:design is attitude 』 が2006年ビルクホイザー社より発行。
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京都造形芸術大学 情報デザイン学科特別講義
タイポグラフィとタイポグラフィ

日  時 : 2015年11月26日[木] 17:00-18:30
講  師 : ヘルムート・シュミット
会  場 : 京都造形芸術大学 望天館1F B11ホール
共  催 : 京都造形芸術大学
      通訳付、入場無料、予約不要、定員100名、当日先着順

【講演会】 漢字文化圏タイポグラフィの変遷-日中韓共同研究/武蔵野美術大学造形研究センター

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 【プリント用 PDF  musabi-lecture 3.30MB 】

武蔵野美術大学 造形研究センター 研究プロジェクト「日本近世における文字印刷文化の総合的研究」においては、中国北京の清華大学から趙健教授、そして韓国東大邱の慶北大学から南権煕教授をお迎えし、日中韓の漢字文化圏におけるタイポグラフィデザインの問題、および、印刷技術や造本の歴史に関して比較考察をおこない、それぞれの国の特質や差異について講演をしていただきます。

本公演会は一般公開(無料)されています。
またここには<水曜会 ちいさな勉強会>の会員として、ともに研究をつづけている仲間、朴志勲 Park Ji Hoon さんが講師として参画されています。

皆さまのご参加をおすすめいたします。

【 詳細情報 : 武蔵野美術大学 美術館 図書館

【展覧会】 冬のおくりもの展 松尾和夏(sketch & note)、田中雄士(紙工房 泉)

20151019181242424_0003 20151019181242424_0004<Viva la 活版 Let’s 豪農の館>に出展された、アダナ・プレス倶楽部新潟会員
◯ 松尾和夏さん(sketch & note-活版印刷とシルクスクリーン)
◯ 田中雄士さん(弥彦 紙工房 泉-手漉き和紙)
がご参加されている<冬のおくりもの展>をご案内いたします。

【新宿私塾】 爽秋の風のなか、新宿私塾第27期 スタートしました

私塾27期スタート WEB第27期入塾《 新宿私塾第27期、爽秋の風のなか、意欲満満でスタートしました 》
隣接する新宿御苑の遊歩道に金木犀のかおりがかすかにただよい、さまざまな秋の艸花が咲きそろった2015年09月29日[火]、新宿私塾 第27期が開塾いたしました。

教場にはまだ終了したばかり、きわめて熱気のあった前期<新宿私塾26期生>の熱気がのこっていましたが、ここにあらたなタイポグラフィの俊英を迎え、これから半年間、ほぼ正月休みもなく新宿私塾は開講され、早春の2016年03月22日[火]に終了します。
講師、塾生の先輩ともども、全力であたらしいタイポグラフィの前衛を育成するために努力しますし、25回の講座は、いずれも内容の濃いものとなっています。
半年後、自信にあふれた塾生の皆さんの、お顔と、お姿を、再度紹介できたら幸せです。

DSCN1544 DSCN1556新宿私塾では、タイポグラフィにおける 「 知 ・ 技 ・ 美 」 のみっつの領域で、バランスのよい学習をモットーとしています。 それはまた 「 知に溺れず、技を傲らず、美に耽らず 」 という、つよい自戒をともないます。
この半年のあいだ、塾生の皆さんがおおきな収穫が得られるように、講師陣はもとより、200名を優にをこえた 「新宿私塾修了生」 の皆さんも、精一杯の努力と応援をいたします。

《 恒例 新宿私塾第27期 カリキュラム  表紙デザインの紹介 》
27期カリキュラム新宿私塾 第27期 カリキュラム 表紙  ( Design : 講師 杉下城司さん )

新宿私塾 第27期 カリキュラムの表紙は、デジタルタイプの <バーグ・スラブ  Bague Slab Pro>です。
新宿私塾では受講期間のあいだに、和文活字でも、欧文活字でも、どちらでもかまわないのですが、できるだけ 「 My Favorite Type ― わたしのお気に入りの活字書体 」 を獲得することが勧められます。

もちろん、世上の評価がたかい活字書体でも、まったく無名の活字書体でも、「はやり書体」 でも一向にかまいません。 むしろどんな活字書体にも、避けがたく付着している 「 長所と短所 」 をみつけだし、「 長所をいかし、短所を制御する能力 」 がとわれます。

────────── 杉下城司さんのコメント
新宿私塾27期の書体は、< パラシュート Parachute >という、ギリシャのインディペンデント系タイプ ファウンドリーによって2014年にリリースされた<バーグ・スラブ PF Bague Slab Pro > です。タイプデザイナーは「バノス バシリウ  Panos Vassiliou 」 です。

バーグファミリーには、このスラブのほかに、サンズ、ユニヴァーサル、インライン、ラウンドのシリーズがあり、いずれも幾何学ベースのタイプフェースです。
サンズは20世紀初頭の幾何学的サンセリフ体に、ヒューマニスト系の特徴を取り入れ、メカニカルな固さを取り除いています。
ユニヴァーサルおよびそのインライン、ラウンドは、ヘルベルト・バイヤーのドローイングからインスピレーションを受けています。

今回使用している「バーグ・スラブ PF Bague Slab Pro 」は、20世紀初頭のスラブセリフ系書体からインスピレーションを受けているといいます。
このバーグ・スラブは、アップライトもそうですが、特にイタリックは、近年のサンセリフ体と同様に動的なつくりになっています。また半くさび形とするセリフが特徴的です。
細いウエイトは、ストロークとセリフがほぼ同じ太さのために、サンセリフに近い扱いができると思いますし、可読性のある本文組版用として期待が持てます。
太いウエイトは、従来のスラブセリフの誘目性をしっかりと発揮してくれます。
つまりウエイトによって可読性重視から誘目性重視に変化する面白い書体だとおもいます。
バーグはどのシリーズも興味深い書体です[杉下城司]。

【アダナ・プレス倶楽部 活版カレッジ】 2015年夏期講座 全課程を終了しました

活版カレッジ

<活版カレッジ>は、身体性がもたらす造形精神とそのよろこびをおもくみています。
そのために、科学と、学術的根拠にもとづいた実技と実践を基盤とし、小型活版印刷機 Adana-21J ,  Salama-21A によるケーススタディ ・ メソッドをふんだんに駆使し、あたらしい時代の活版印刷の現場での、現実的な課題の解決方法を学ぶことを目的とします。
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<活版カレッジ>は、ともかく少数の学習機関ですし、造形によろこびをみいだす仲間が中心となりますので、講座は和気藹藹としたなかにも、技芸者をめざすものとしての緊張がみなぎっていました。
晩夏のおとづれとともに、09月17日[木]に全課程を修了して<活版カレッジ2015年夏期講座>が終了いたしました。

<活版カレッジ 夏期講座>を見まもってきた百日紅(和名:さるすべり)を、ようやく涼風のたった夕暮れに、裏の新宿御苑のへりの歩道で撮影してきました。
いつもこの花の散りしくころ、<活版カレッジ 夏期講座>と、<新宿私塾 偶数期>が終了します。ですからいつのまにか、百日紅の花と、この季節に花をつける彼岸花に寂寥感をもつようになりました。

このときから<活版カレッジ 修了生>となられたみなさんは、これからは<活版カレッジ アッパークラス>のメンバーとして、あたらしいおつきあいがはじまります。
いつでも、どこでも、お会いできますね。

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<活版カレッジ>は、基本的に春季・夏季・秋季・冬季と、一年に四回開講されますが、ここ数回にわたって事前ご予約者が多く、ほとんど一般公募ができない状態がつづいています。
またことしは、秋から年末にかけて大型イベントが集中し、さらに新機種の開発が最終段階にはいってきわめて多忙となりますため、秋期講座は休講とさせていただきました。

それでもすでに、次回の冬期講座、来春の春期講座にも相当数のご予約をいただいているようです。ともかく受講のご意思のあるかたは、まずご一報をいただき、ご予約をお願いいたします。
詳細は <アダナ ・ プレス倶楽部 教室のご案内 Salama-21A 操作指導教室 >をご覧ください。 

【追悼】 20世紀後半のタイポグラフィを主導したひと、アドリアン・フルティガー氏逝去

Adrian Frutiger 氏が
2015年9月10日  スイス・ベルンにて逝去されました。
謹んでご冥福をお祈りいたします。
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追  悼
20世紀の壮大な Univers 宇宙をキャンバスとし
鮮烈な Meridien 子午線に軌跡をのこしたひと。

Univers,  Meridien,  OCR – B などの不朽の活字設計をなし
オルリィ空港、シャルル・ド・ゴール空港、パリ地下鉄道の
サインシステムと制定書体を製作し

旧約聖書にもとづき、記号学にもおおきく貢献したひと。
2015年9月10日  スイス・ベルンにて逝去
Adrian Frutiger   1928-2015

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Brief history  Adrian Frutiger

◯ 1928年5月24日  スイス・インターラーケンにて生れる。
のちオットー・シェフリー印刷所にて活字植字工となる

◯ 1949-50年 チユーリッヒ工芸専門学校にて力リグラフィを学ぶ
◯ 1951年  卒業制作の小冊子『Schrift, Ecriture, Lettering 』が縁で、シャルル・ペイニョ社長が率いる、パリのドベルニ & ペイニョ 活字鋳造所に勤務
◯ 仏匤、ドベルニ & ペイニョ 活字鋳造所、独匤・シュテンペル社ほかから、以下の主要活字書体を発表した

Phoebus (1953),  Ondine (1954),   President (1954), Meridien (1957),  Univers (1957),
Opera (1959-60),  Egyptienne (1960),  Apllo (1964),  Serifa (1967),  OCR-B (1968),  lridium (1975),  Frutiger (1976),   Breughel (1982),  lcon (1982), Versailles (1982), Centennial (1986)

◯ 1952-60年 パリの美術工芸学校「エコール・エティエンヌ」にて記号学とタイポグラフィ教育に従事
◯ 1954-68年 フランス国立高等美術工芸学校にてタイポグラフィ教育に従事
◯ 1959年  パリ・オルリィ空港のサインシステムと制定書体の製作
◯ 1962年  パリにアトリエを開設(スタッフ:アンドレ・ギュルトレール、ブルーノ・ブフェリ)
◯ 1070年  新設されたシャルル・ド・ゴール空港のサインシステムと制定書体を製作
◯ 1973年  パリの地下鉄道のサインシステムおよび制定書体を製作
◯ 1976年  シャルル・ド・ゴール空港の制定書体を写植活字用に改刻し「フルティガー」シリーズを製作
◯ エール・フランス社のシンボルマークを製作
◯ SNCF(フランス国有鉄道)ロワシィ駅に長さ250mのコンクリート・レリーフを製作(建築:ポール・アンドルー)
◯ 1980年代 この時代には、メリディエン、ユニヴァースなどの主要な活字書体を、活字自動鋳植機、写植活字、電子活字などのメディア変遷のために、既成活字書体のユニットの再設定や、リデザインに追われた。
◯ 1986年  グーテンベルク賞受賞

◯ 1996年  心臓疾患を患い、その克服後にスイスに住居を移し、ベルン郊外にて製作を継続
◯ 1999年  ドイツ・ライノタイプライブラリー社のために、ユニヴァース・ファミリーの全面改刻を実施。21のファミリーを59へと大幅に拡張した(ディレクター:オットマー・フォーファ)
◯ 2001年  『活字の宇宙』(朗文堂)刊行-品切
◯ 2015年9月10日  スイス・ベルンにて逝去。行年87

20151004215520954_0002世界中でひろく使われている本文用活字をかさねてみると、
ある基本的なパターンがもとめられます。
ギャラモンのようにふるい活字では a の下部のカウンターは小ぶりですし
 e の横棒はたかい位置にあります。
しかし、いろいろな活字をかさね合わせるという方法によってみえてくることは、
 a の下部のカウンターが次第におおきくなり、e の横棒が中央に下がってきていることです。
それは文字としての美しさと、文字の判別性 Legibility とのせめぎあいの結果であり
もっとも読みやすいという、文字の
基本的な目的に合致するのです。
                    Adrian Frutiger  [アドリアン・フルティガー]
──────────

9784947613530

アドリアン・フルティガーは朗文堂に上掲の図書をのこされました。
本体価格:10,000円+税  残部僅少 → 品切れ
A4判 260p 図版多数 2001年刊
朗文堂 ブックコスミイク 既刊書案内

【再紹介 在庫僅少】 島屋政一著 『本木昌造伝』-わが国活字ボディサイズ淵源に関する貴重な記録 修整部PDFデーターつき

朗文堂 ブックコスミイク 愛読者の皆さまへ

朗文堂刊行書のご愛読ありがとうございます。
今回あらためてご案内いたします 『本木昌造伝』(島屋政一、2001年08月20日) は、おかげさまで残存部数がのこりわずかとなりました。
島屋政一『本木昌造伝』は、1996(平成08)年07月、名古屋の旧津田三省堂(現ナプス)の筐底にひめられていた、島屋政一による未発表自筆稿本を原稿としています。この時点で島屋政一氏は物故していたとみられ、そのため著者校正を経ておらず、一部に正誤表を発表する必要が発生しております。

すでに島屋政一『本木昌造伝』をご購入済みのかたは、お申し出をたまわれば、正誤表とともに、板倉雅宣氏ご協力による索引を献呈させていただきます。
あわせて島屋政一『本木昌造伝』には、わが国の活字ボディサイズと、そのシステムに関し、類書にない貴重な資料が掲載されています。
目下愛読者の一部と考査中ですが、追試をかさねてみると、きわめて精度の高い資料であることが近年あきらかになりましたので、ここにその一部をご紹介いたします。

本項は<タイポグラフィ・ブログロール 花筏>における連続掲載記事の一環として、わが国の活字ボディサイズの淵源をたどる重要資料として再構成されて紹介されています。
あわせてご覧いただけましたら幸甚に存じます。
【花筏 [字学] わが国活字の尺貫法基準説からの脱却と、アメリカン・ポイントとの類似性を追う*04  島屋政一『本木昌造伝』における活字ボディサイズの新考証
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20150421193950685_0003島屋政一『本木昌造伝』の序文にあたる「例言」には、このようにあります。

筆者はすでに『印刷文明史』を著わし、本木昌造のことをしるしたが、いささか冗長にながれ、またいささかの訛伝の指摘もあった。
さらには畏友にして活字界の雄たりし、青山進行堂活版製造所・青山容三〔督太郎〕氏、森川龍文堂・森川健市氏の両氏から、活字の大小の格〔活字ボディサイズ〕のことのあらたな教授もえた。

この「例言」をうけた記述が『本木昌造伝』 p.117-120 にみられます。
そこでの島屋政一は、大阪の活字鋳造業者/青山進行堂活版製造所・青山容三〔督太郎〕氏、森川龍文堂・森川健市氏の両氏から、活字の大小の格〔活字ボディサイズ〕のことのあらたな教授もえて、<わが国では近代活字版印刷の創始のころから、 号数制金属活字とは本木昌造がさだめたものであり、鯨尺や曲尺による、尺貫法にもとづいた製品である > としたそれまでの立場を捨てています。 それに代えて島屋政一は、

英国においてはトーマス・ハンサード(Thomas C. Hansard)が1825 年(文政08)に 『Typographia』 (原著:p.387–8) を著し、活字の標準化を提唱して、1 フィートにたいする活字の全角の個数〔本数〕の標準をつぎのように定めていた。
○ 一号  1 ft に32 本        Two-Line English 
○ 二号  1 ft に41 本1/2  Two-Line Small Pica
○ 三号  1 ft に56 本1/4     Two-Line Brevier
○ 四号  1 ft に64 本         English
○  五号  1 ft  に83 本    Small Pica
○ 六号  1 ft に112 本1/2    Brevier

とし、わが国の号数制活字の淵源を、「English 系統 一号、四号」、「Small Pica 系統 10.5 pt 基準。初号、二号、五号、七号」、「Brevier 系統 三号、六号、八号」であることを解明しています。
さいわい原著『Typographia』 (Thomas C. Hansard,  1825 年(文政08),   原著:p.387–8)を所有しておりましたので、原典照合をしたところ、一部にあきらかな転記ミスがみられましたので、下掲図にそれを正した図版をかかげ、また正誤表を作成いたしました。

また現在、<朗文堂ちいさな勉強会 平野富二の会>の会員を中心に、この島屋政一説を追試・検討をかさねておりますが、現状ではわが国の五号活字のボディサイズは、Small Pica 10.5 pt 基準 とみられるものの、一部に異なったサイズがみられ、それが島屋政一が紹介した「五号 1 ft に83 本 Small Pica」にちかい数値を示していることまでが判明しています。

以下は平野富二の東京本格進出を控えて急遽作製されたとみられる「天下泰平國家安全」の活字販売用見本(『 崎陽 新塾餘談 初編一、初編二 』 巻末口上。ともに壬申二月〔明治05 年02 月〕)の製作のときに完成していた、活字ボディサイズの該当部を抜粋して紹介します。
この調査・研究はまだ端緒についたばかりで、ひろく『本木昌造伝』愛読者の皆さまのご参加をお待ち申しあげております。

20150421193950685_000320150601175842929_0001 20150601175842929_0002『 新塾餘談 初編一 』巻末口上(活字ボディサイズ見本ならびに価格表 壬申二月〔明治05年02月、1872〕 刊、印刷博物館蔵 ) PDFデータ  】

◎ 関連既出情報
【[字学] わが国活字の尺貫法基準説からの脱却と、アメリカン・ポイントとの類似性を追う*01 考察のはじめに 】
【[字学] わが国活字の尺貫法基準説からの脱却と、アメリカン・ポイントとの類似性を追う*02 〔松本八郎〕 活字の大きさとシステム 】
【[字学] わが国活字の尺貫法基準説からの脱却と、アメリカン・ポイントとの類似性を追う*03   〔川田久長〕 活字の大きさとシステム

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朗文堂 愛着版

本 木 昌 造 伝

島 屋  政 一 著
朗 文 堂 刊

A5判 480ページ
口絵カラー写真20点、本文モノクロ写真172点、図版196点
上製本 スリップケース入れ 輸送函つき
背革にベラムのバックスキンをもちいて

ヒラにはコッカレルのマーブル紙をもちいました。

本書(索引・正誤表つき)は在庫僅少で、輸送箱の一部に汚損があるため、直販のみとし、一般書店では取り扱っておりません。
恐縮ながら、本書の入手をご希望の方は直接 朗文堂 ヘお申し込みください。
本体価格:16,000円(税・送料別)
【 詳細情報 : 朗文堂ブックコスミイク 本木昌造伝

【 目  次 】
・ 本木昌造の誕生から通詞時代

・ 長崎製鉄所時代の本木昌造
・ 近代活字創製の苦心
・ ガンブルの来日と活版伝習所の創設
・ 新街私塾と長崎活版製造会社
・ 長崎から東京へ/活版印刷術の普及
・ 本木昌造の終焉と本木家のその後
・ 凸版印刷と平版印刷、ライバルの登場
・ 印刷界の二大明星
・ 本木昌造をめぐるひとびと
・ 野村宗十郎とアメリカン・ポイント制活字
・ 印刷術の普遍化とわが国文化の向上
・ 印刷界の現状
・ 編集子あとがき

【 例    言 - はじめに 】
島 屋  政 一
わが国の印刷事業は、とおく奈良平安朝のむかしに寺院において創始され、久しきにわたって僧侶の手中にあった。 江戸期にはいって勅版がでて、官版および藩版がおこり、ついで庶民のあいだにも印刷事業をはじめるものがあらわれた。
寛文(1661-72)以後、木版印刷術おおいに発達して、正徳、享保時代(1711-35)からは木版印刷術が全国に普及をみたが、それは欧米諸国の近代活字版印刷術にくらべてきわめて稚拙なものだった。

幕末の開国とともに洋学が勃興して、印刷術の改善にせまられた。そのときにあたり、近代活字鋳造と近代印刷術の基礎をひらき、善く国民にその恩恵をひろめたものが本木昌造翁だった。

筆者はすでに『印刷文明史』を著わし、本木昌造のことをしるしたが、いささか冗長にながれ、またいささかの訛伝の指摘もあった。
さらには畏友にして活字界の雄たりし、青山進行堂活版製造所・青山容三〔督太郎〕氏、森川龍文堂・森川健市氏の両氏から、活字の大小の格〔活字ボディサイズ〕のことのあらたな教授もえた。
さらに筆者は、すぐる太平洋戦争において、おおくの蔵書を戦禍にうしなった。また青山進行堂活版製造所、森川龍文堂の両社はその活字の父型や母型のおおくをうしなっている。

このときにあたり、ふたたび、日本の近代文明に先駆して、開化の指導者としておおきな役割を演じた本木昌造の功績を顕彰し、それに学ぶところは大なるものがあると信ずるにいたった。
本木昌造はひとり近代印刷術の始祖にとどまらず、むしろ研究者であり教育者でもあった。
本木昌造の設立にかかる諸施設とは、むしろ「まなびの門」でもあったのである。

そうした本木昌造のあらたな側面を中枢にすえて本書をしるした。

  昭和24年10月20日
                              著 者 識

【 本木昌造伝 修整部 PDF  motogi-denn-syuusei 】 

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THE ETERNAL LETTER(PAUL SHAW, THE MIT PRESS, 2015)が『トラヤヌス帝の碑文がかたる』(木村雅彦)を紹介

kimura 01

R0046004-2THE ETERNAL LETTER
TWO MILLENNIA OF THE CLASSICAL ROMAN CAPITAL
EDITED BY PAUL SHAW  2015

THE MIT PRESS
ISBN 978-0-262-02901-8
──────────
9784947613592
ヴィネット01号
トラヤヌス帝の碑文がかたる
木 村 雅 彦 著
B5判 76頁 並製本
増 刷 出 来
定 価 : 本体 2,
600円+税

ローマのトラヤヌスの碑文は西暦114年に建立されて、すべてのローマ大文字の淵源とされるものです。ここからアイデアを得て、出発した欧文書体は数えきれないほどあります。
本書では18世紀のナポレオン3 世による複製以来の拓本採取に成功して、その写真と拓本、大判折り込み 2 点を含む豊富な写真と図版によって、トラヤヌスの碑文の魅力をくまなく紹介しました。
──────────
『 THE ETERNAL LETTER 』に紹介されたとおり、『 トラヤヌス帝の碑文がかたる』 は
イタリア政府との事前のながい交渉の末、木村雅彦、春田(木村)ゆかり夫妻の
「 遅くなった新婚旅行 」 として1999年05月10日、原寸拓本採取と、撮影が完了
したものです。
『 トラヤヌス帝の碑文がかたる』のテキストは日本語だけですが、欧米でもやはり
関心がつよく、外国向け販売もすくなくありません。
『 THE ETERNAL LETTER 』(PAUL SHAW,THE MIT PRESS,  2015)は
オンライン・ブックショップなどで入手できますが、ここにあらためて
トラヤヌス帝の碑文がかたる 』(木 村 雅 彦 著、朗文堂) をご案内いたします。
ご愛読のほど、よろしくお願いいたします。
トラヤヌス帝 トラヤ02 トラヤ03トラヤ04──────────
<トラヤヌス帝の碑文のおもいで>  ヘルマン・ツァップ
朗文堂未刊書『ヘルマン・ツァップ 活字と夢と』より。(初出記事『Calligraphic Type Design in the Digital Age』 (ツァップ・フェスト、2001年、サンフランシスコ)
ツァップ夫妻左) Gudrun Zapf von Hesse グドゥルン・ツァップ・フォン・ヘッセ
       1918年01月02日 ドイツ、メクレンブルクうまれ
右) Hermann Zapf ヘルマン・ツァップ
        1918年11月08日-2015年06月04日 ドイツ、ニュルンベルクうまれ

Zapf 型押し用亜鉛凸版uu1950年の秋、わたしたちは活字書体のインスピレーションをもとめてイタリアへでかけました。この旅ではもっぱらスケッチブックとカメラを手に、フィレンツェ、ピサ、ローマをおとづれて、ふるいローマ時代の碑文を探しました。
 
ここでの数数の碑文との出会いと、フィレンツェとバチカンの図書館で見たすばらしい書物が、その後のわたしたちの活字設計におおきな影響をあたえました。とりわけ刺激がおおきかったのはトラヤヌス帝の碑文との出会いでした。
文字の美しさを理解するひとならだれでも、西暦114年にローマのフォロ・ロマーノ地区に建造されたトラヤヌス帝の大円柱にしるされた碑文をみて、わたしがいかに有頂天になったかを理解していただけるでしょう。
 
ところが残念なことに、この碑文の位置がたかすぎて、歪みのない、まともな写真を撮ることができませんでした。それでも諦めきれずに奮闘するうちに、どうやらわたしはだれの眼にも明らかなほど夢中になっていたようです。
たまたまそばを通りかかった警備員は、メジャーをもって大円柱に詰め寄るわたしを見て、碑文をはぎ取って地面に引きずりおろすとでもおもったのでしょうか、あわてて制止されたことが懐かしく思いだされます。

【 詳細情報 : 朗文堂ブックコスミイク トラヤヌス帝の碑文がかたる 】

【会員情報】 新造形空間の創出<co – lab 墨田亀沢>/株式会社サンコーと有薗克明・有薗悦克父子

<co-lab 墨田 亀沢>について
Locations / SUMIDA-KAMEZAWA

logo-w499P1030725 DSC_9829 ◎ <co-lab 墨田 亀沢>のコンセプト
「墨田区のものづくり  および 印刷業を再考し、新産業を作る」。

<co-lab 墨田 亀沢>は、町工場と住宅街が密集する墨田区の下町にありながら、水辺の安らぎが感じられる大横河親水公園と、相撲や浮世絵といった江戸文化が息づく北斎通りの交差するエリアに存在します。
江戸時代からもの作りと文化を創出してきた、墨田に根ざしたクリエイティブ・プラットホームとして、印刷業などの地場ものづくり産業と、地域のクリエイターをつなぎ、墨田という街にクリエイティブなビジネスと活気を創出する場として、2015年02月にスタートしました。

◎ シェアオフィスとしての<co-lab 墨田 亀沢 : re-printing >
co-lab は、クリエイターとクリエイティブワーカー専用のシェアオフィスです。 定常的に同じ場所を利用でき、PC や荷物も置いたままで、メインオフィスとして使いやすい 『 レジデンスタイプ 』 と、フリーアドレス型の 『 ノンレジデンスタイプ 』 の 2 種類の利用方法があります。
また、総勢300名を超えるco-lab の、
ユニークで質の高いクリエイティブ・コミィニティに参画できるプラットフォームであることに加えて、印刷工場に併設されてオフィスがあるため、オフセット印刷や活版印刷等の業務用印刷機、熟練した印刷職人の技術など、プロフェッショナルのための印刷ファシリティー(施設 ・ 設備)とノウハウを享受しつつ、仕事ができるというのが大きな特徴となっています。

◎ 場に付随する まちのクリエイティブ相談窓口< co-factory : re-printing >
co-lab 所属のクリエイターをはじめ、地域の方にとって、まちのクリエイティブ相談窓口となる<co-factory : re-printing> では、実務的な印刷にまつわる制作業務を請け負うほか、既存の制作工程にデジタルファブリケーションなどの新しい技術を取り入れて、次世代の印刷業を思考実践する場にしたいと考えています。

また、墨田やその周辺で起きているものづくりなどの地場産業の新しい変化をキャッチし、クリエイティビティのコンバーターとなる、クリエイターや各種専門家、地域の子ども達などと、地場産業の方々とを橋渡しし、実験的なワークショップやイベントを開催するなどして、地域の創造性に還元する役割を担う拠点として機能したいと思っています。
DSC_0092 DSC_0067 DSC_0007 DSC_0107 DSC_0185DSC_3499◎ ご見学の申し込みや施設に関するお問い合わせはこちらまで。
【 詳細情報 : co-lab 墨田 亀沢  Facebook

特 徴

  • 総勢300名を超えるco-lab の ユニークで質の高いクリエイティブ ・ コミュニティに参画できるプラットフォームです。
  •  印刷コンシェルジュやコミュニティ・ファシリテーターが駐在し、気軽に印刷や各種制作実務に関するプロフェッショナルな相談ができるなど、「印刷」や「ものづくり」がすぐそばにある仕事場として実用的なインフラが整備されています。
    また、活版印刷機やカッティングプロッターなどが整備されており、講習を受ければ自分でも使うことができます。
  • クリエイターや地域の子ども達、地場産業の方々と一緒に行う、実験的なワークショップやイベントへの参加など、場を通じて行うまちづくりへのアプローチや各種情報発信に参画できます。(ご自身の活動でもスペースを優待料金で利用可)
  • スカイツリーや浅草からほど近い「イースト東京」の魅力にあふれた錦糸町と両国の間に位置し、城東や北関東エリアにお住まいの方にとってもアクセスのよい東京の拠点として使えます。
  • 所在地
    〒130-0014 東京都墨田区亀沢4-21-3
    最寄り駅
    JR総武線・地下鉄半蔵門線[錦糸町駅]北口徒歩9分
    JR総武線 [両国駅] 徒歩20分/地下鉄大江戸線[両国駅]徒歩14分
    JR東武線 [業平橋駅]下車 都バス新橋行[ 亀沢四丁目]下車 徒歩3分
  • 建 物
    地上 5 階建て
  • 事業主/施設運営
    株式会社 サンコー
    【 詳細情報 : 株式会社サンコー COMPANY OUTLINE
    企画運営協力 : 春蒔プロジェクト株式会社

受 付
tel : 03-6658-5292 fax : 03-6658-5293
mail : sumida_recept@co-lab.jp
受付時間 : 平日11:00-12:00、13:00-17:00
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あたらしいカタチの、あたらしい造形空間が東京都墨田区亀沢に誕生しました。

その名は<co-lab 墨田 亀沢>。
<co-lab 墨田 亀沢>は、ふるく、江戸時代からもの作りと文化を創出してきた、墨田に根ざしたクリエイティブ・プラットホームとして、印刷業などの地場ものづくり産業と、地域のクリエイターをつなぎ、墨田という街にクリエイティブなビジネスと活気を創出する場として、2015年02月にスタートしました。

<co-lab 墨田 亀沢>の事業主・施設運営は、1967年設立の、歴史ある写真製版と印刷業社/株式会社サンコーです。 同社社長/有薗克明 Arizono Katsuaki さんと、経営企画室/有薗悦克 Arizono Yoshikatsu さんの夢をのせ、周到な準備期間ののち<co-lab 墨田 亀沢>はオープンを迎えました。
<co-lab 墨田 亀沢>には 当初から 小型活版印刷機 Salama-21A の導入がはかられ、そのため有薗ご父子は、Salama-21A 操作指導教室、活版カレッジ を周到に事前受講されておられます。
アダナ・プレス倶楽部のあたらしい仲間の輪がどんどん広がっています。お近くの皆さんは、ぜひとも<co-lab 墨田 亀沢>をおたづねください。