月別アーカイブ: 2013年10月

【朗文堂タイプコスミイク 書体使用例紹介】国宝興福寺仏頭展 東京藝術大学美術館

気にしていながらなかなか行けない展覧会が、《国宝 興福寺 仏頭展》、東京藝術大学美術館でした。
同展は2013年09月初旬-11月中旬と会期が比較的ながく、そのうちに行こうとおもっているうちに、いつのまにか、のこりの開催期間が少なくなっていました。国宝興福寺仏頭展《国宝 興福寺 仏頭展》の告知の一部に、小社販売の「四川宋朝体 龍爪」がもちいられていることは、はやくから友人の情報で知っていましたが、訪館の機会を逸しつつ時間だけが経過しました。
きょう(2013年11月01日)都営地下鉄に乗車したところ、《国宝 興福寺 仏頭展》の中吊り広報物を発見してカメラでパチリ。
なにぶん機械オンチで、つり革は邪魔をするし、黒ベタの一部がテカっているのはご容赦を。
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ということで、画像の品質に嘆いていたら、友人からの助け船が。これなら「四川宋朝体 龍爪」の魅力がバッチリです。やはり、持つべきものは、よき友人ですね。ありがとうございました。
国宝 興福寺仏頭展 東京藝術大学美術館

興福寺創建1300年記念
《国宝 興福寺 仏頭展》
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会   期  2013年09月03日-11月24日
開館時間  110:00-17:00
休  館  日  毎週月曜日
        (特別開館、閉館があります。詳細はWebsiteで確認を)
会   場  東京藝術大学美術館
        東京都台東区上野公園12-8
主   催  東京藝術大学
        法相宗大本山興福寺
        日本経済新聞社

【東京藝術大学:興福寺創建1300年記念 国宝 興福寺 仏頭展 】
【朗文堂タイプコスミイク:四川宋朝体 Combination 3 龍爪

四川宋朝体 龍爪

森永乳業 PARM Daily Premium Calender 11月の連載

パルム パッケージ 

平日のちょっと贅沢なライフスタイルマガジン
【森永乳業 Daily Premium Calender 】

渋いオジサン-寺尾聡というと、わたしの世代では「ルビーの指輪」が印象的です。
寺尾聡が TV CM に登場して「ワォ~」と叫んでいるのが森永乳業のアイスクリーム
「PARM」です。「PARM」は人気商品で、累計10億本を越える販売実績があるそうです。
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森永乳業の巨大な Website のなかに、平日のちょっと贅沢なライフスタイルマガジン
Daily Premium Calender 」があります。 
その担当者から、「知ると面白いけれど、気に留めたことがない」、タイポグラフィに関する
ことがらを
ひと月担当せよとのご下命が。
テーマは入門編とするが、ひと月まるごと読みすすめば、マニアも納得するコンテンツを。
しかも主たるターゲットは女性とのことでした。 ウ~ンなかなかに難しい。
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「らしくない」のは承知ですから、最初は辞退したのですが、担当者のご熱意に負けて

── タイポグラフィと活版印刷 ──
{文字とは文化と歴史の結晶 それは「知」と「技」と「美」の総合技芸} と題して
11月の毎週月曜日-木曜日[祝日はのぞく]、都合15 回にわたって
わたくし片塩と朗文堂 アダナプレス倶楽部:大石の共著のかたちで
連続エッセイを担当することになりました。

なにしろコンテンツの豊富なWebsiteですから、まずはリンクから入ってご覧ください。
11月だけの連載ですが、スタートの月曜日が祝日で、11月5日[火]からとなります。
ぜひとも「 Daily Premium Calender 」をご覧いただき、友人・知人にもご紹介
たまわりますようお願いいたします。

2013年11月

図書館総合展開催

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名 称: 第15回図書館総合展
会 場: パシフィコ横浜 展示ホールD
日 時: 2013年10月29日[火]-31日[木] 10:00-18:00
主 催: 図書館総合展運営委員会

毎年秋に開催される恒例の《図書館総合展》も15回を迎えました。
年年図書館の予算も減少傾向にある時代です。
したがって選抜・推薦された図書を、自館に選定するライブラリアンの視線も真剣でした。
選抜・推薦期間が、8月締めきりで、『平野富二伝』の出品は間に合わず、朗文堂の
ことしの出品は『英語本の扉』(髙野 彰著)、『普及版 欧文書体百花事典』(組版工学会)
の二冊でした。
ご興味、ご関心のあるかたは横浜まで足をお伸ばしください。

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【朗文堂タイプコスミイク 書体使用例紹介】アダナプレス倶楽部が《Viva la 活版 Viva 美唄》イベントサインに『銘石B』を使用しました。

《アダナプレス倶楽部、Viva la 活版 Viva 美唄のイベントサインに、「銘石B」を随所に使用》
朗文堂/アダナ・プレス倶楽部では、本2013年07月13-15日、【Viva la 活版 Viva 美唄――すばらしき活版、すばらしい美唄】と題して、活版印刷の祭典を開催しました。
その新イベントサイン用の書体として選択されたのが【銘石B くれたけ】と、欧字【オンディーヌ】でした。
印刷設計士(グラフィックデザイナー)は松尾篤史さん。
はがき印刷(活版印刷機によるレター・プレス。宛名面:スミ1色刷り、絵柄面:バーント・シエンナ+スミ 2色刷り)の担当は、大阪・江戸堀印刷所/小野香織さんでした。

松尾さんは、日常業務としての商業印刷物製作には、しばしば【銘石B くれたけ】を愛用されていました。
ところが、アダナプレス倶楽部では印刷版式の相異をおもくみます。
そのために、オフセット平版印刷や、インクジェット出力によるポスターサイズからはじまり、上掲写真のように、亜鉛凸版をもちいてのレタープレスによる、はがき印刷までの、大小各種の使用と、過酷な使用状況が予想されました。
そこで設計士の松尾篤史さんは、まずディド・ポイントシステムにもとづく堅固な「グリッドデザイン」を製作し、果敢に【銘石B くれたけ】をご使用いただきました。

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美唄コラム黄uu【銘石B】の原姿は、いまから1670年ほど前、中国・晋代の墓誌に刻まれた字を標本としています。
この墓誌は、粘土を固く焼き締めた「磚 セン」に彫刻されて地中に埋められていました。すなわち、「帖学派」がおもくみた、書かれた文字というより、中国清王朝時代からひろく「碑学派」によって注目された、彫られた文字であり、書写系文字ではなく、彫刻系文字のひとつといえます。

そうした背景のせいでしょうか、【銘石B】は、過酷な使用環境に良く対応し、おおきく使うと、迫力と力感のある字となり、ちいさく使っても、判別性と可読性を損なうことがすくなく、またレタープレスのつよい印圧にもツブレの発生がなく、強靱さを発揮していました。
【詳細 アダナプレス倶楽部コラム:Viva la 活版 Viva 美唄の中間報告

《銘石B デジタルタイプについて》
かねてより、十分なインパクトがありながら、視覚に優しいゴシック体、それもいわゆるディスプレー・タイプではなく、文字の伝統を継承しながら、使途のひろいあたらしいサンセリフ ―― Human Sans Serif が欲しいとされるご要望が寄せられていました。

確かにわが国のゴシック体のほとんどは、もはや自然界に存在しないまでに鋭角的で、水平線・垂直線ばかりが強調されていて、視覚に疲労をあたえることがあります。
銘石Bパッケージ。デザイン:白井敬尚形成事務所欣喜堂・今田欣一氏と、朗文堂タイプコスミイクが提案した新書体「銘石B」の原姿はふるく、中国・晋代の『王興之墓誌』(オウ-コウシ  341年、南京博物館蔵)にみる、彫刻の味わいが加えられた隷書の一種で、とくに「碑石体」と呼ばれる書風をオリジナルとしています。
『王興之墓誌』は1965年に南京市郊外の象山で出土しました。王興之(オウ-コウシ 309-40)は王彬の子息で、また書聖とされる王羲之(オウ-ギシ  307―65)の従兄弟イトコにあたります。

この墓誌は東漢の隷書体から、北魏の真書体への変化における中間書体ともいわれています。
遙かなむかし、中国江南の地に残された貴重な碑石体が、現代に力強くよみがえりました。
「銘石B」には、和字(平仮名と片仮名)3書体(くれたけ、くろふね、くらもち)が標準でセットされており、用途に応じた選択ができます。
皆さまの積極的なご用命、ご使用をお待ちしております。
【詳細情報:朗文堂タイプコスミイク 銘石B Combination 3  PDF データーつき
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【お願い】
朗文堂タイプコスミイクでは、単に書体製作、監修、販売にあたるだけではなく、デジタルタイプの効果的な展開と普及のために、当該書体の使用例を本欄にて順次紹介しております。ユーザーの皆さまからの積極的な情報ならびに資料提供をお待ちしております。
なお勝手ながら、本Websiteでの紹介にあたり、権利関係の調整と許諾は、情報ご提供者様のほうで事前に済ませてからのご提供をお待ち申しあげます。

【朗文堂タイプコスミイク 書体使用例紹介】『アイデア 353』特集に《硬筆風細明朝 杉明朝体》をご使用いただきました!

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【「ザック・カイズとの共同制作」詳細PDF版 『アイデア』編集部提供】 
『アイデア 353』特集に《硬筆風細明朝 杉明朝体》をご使用いただきました!

『アイデア 353』(誠文堂新光社、2012)に、「ザック・カイズとの共同制作」(p.197-220)の特集ページが掲載されました。この特集に使用された和文デジタルタイプは「杉本幸治制作 硬筆風細明朝 杉明朝体」(朗文堂タイプコスミイク発売)、欧文デジタルタイプは「Dear Sir / Madam」でした。

基本組版設計は、文字サイズ12Q、行送り18H(半角アキ)となっているそうです。
ここに誠文堂新光社『アイデア』編集部と、白井敬尚形成事務所の協力をいただいて、「杉明朝体」の書体使用例紹介をいたします(掲載図版詳細は上掲 の PDF 版でごらんください)。
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【杉明朝体と製作者:杉本幸治】
書体製作者・杉本幸治(1927-2011年)がのこした活字書体は、三省堂勤務時代の金属活字書体製作にはじまり、晃文堂明朝体、リョービ本明朝シリーズなどがありますが、その最晩年に、万感のおもいをこめて製作したデジタルタイプが「硬筆風細明朝 杉明朝体」でした。
【杉明朝体 詳細紹介 PDF版を含みます:朗文堂タイプコスミイク 杉明朝体】
【杉本幸治紹介:タイポグラフィ・ブルグロール 花筏 杉本幸治三回忌にあたって

【杉明朝体製作者:杉本幸治(1927年04月27日-2011年03月13日) 紹介】
1927年(昭和02)04月27日、東京都台東区下谷うまれ。
東京府立工芸学校(3-5年履修制の産学協同による特殊な実業学校。現東京都立工芸高等学校にその一部が継承された)印刷科卒。

終戦直後の1946年( 昭和21)印刷・出版企業の株式会社三省堂に入社。今井直一専務(イマイ-ナオイチ 1896-1963年05月15日 のち社長)の膝下にあって、本文用明朝体、ゴシック体、辞書用の特殊書体など、金属活字書体の設計・開発と、米国直輸入の機械式活字父型・母型彫刻システム(俗称:ベントン、ベントン彫刻機)の管理に従事し、書体研究室、技術課長代理、植字製版課長を歴任した。

またその間、今井専務の「暗黙の指示と黙認」のもとに、株式会社晃文堂(のち・株式会社リョービ印刷機販売 → リョービイマジクス株式会社。2011年11月同社デジタルタイプ部門が株式会社モリサワに移譲され、モリサワMR事業部 → 株式会社タイプバンク となった)の「晃文堂明朝体」の開発と、「晃文堂ゴシック体」の改刻に際して援助を重ねた。

1975年三省堂が苦境におちいり、会社更生法による再建を機として、48歳をもって三省堂を勇退。その直後から細谷敏治氏(1914年うまれ)に請われて、日本マトリックス株式会社に籍をおいたが2年あまりで退社。
【細谷敏治氏詳細:花筏 タイポグラファ群像*003 細谷敏治氏

そののち「タイポデザインアーツ」を主宰するとともに、謡曲・宝生流の師範としても多方面で活躍した。
金属活字「晃文堂明朝体」を継承・発展させた、リョービ基幹書体「本明朝体」写植活字の制作を本格的に開始。以来30数年余にわたって「本明朝ファミリー」の開発と監修に従事した。

2000年から硬筆風細明朝体の必要性を痛感して「杉明朝体」の開発に従事。2009年09月株式会社朗文堂より、TTF版「硬筆風細明朝 杉明朝体」発売。同年11月、OTF版「硬筆風細明朝 杉明朝体」発売。

特発性肺線維症のため2011年03月13日(日)午前11時26分逝去。享年83
浄念寺(台東区蔵前4-18-10)杉本家墓地にねむる。法名:幸覚照西治道善士 コウガク-ショウサイ-ジドウ-ゼンジ。


東日本大震災の襲来の翌翌日、2011年03月13日、特発性肺線維症 のため入退院を繰りかえしていた杉本幸治氏が永眠されました。
杉本氏は、わが国戦後活字書体史に燦然と輝く、リョービ基幹書体「本明朝体」をのこしました。また畢生ヒッセイの大作「硬筆風細明朝 杉明朝体」を朗文堂にのこされました。
わたしどもとしては、東日本大震災の混乱の最中に訃報に接し、万感のおもいでした。
これからは30年余におよぶ杉本氏の薫陶を忘れず、お預かりした「杉明朝体」を大切に守り育ててまいりたいと存じます。

在りし日の杉本幸治氏を偲んで

杉明朝体はね、構想を得てから随分考え、悩みましたよ。
その間に土台がしっかり固まったのかな。
設計がはじまってからは、揺らぎは一切無かった。
構造と構成がしっかりしているから、
小さく使っても、思い切り大きく使っても
酷使に耐える強靱さを杉明朝はもっているはずです。
若い人に大胆に使ってほしいなぁ。

-杉本幸治 83歳の述懐-

上左)晃文堂明朝体の原字と同サイズの杉明朝体のデジタル・データー
上右)晃文堂が和文活字用の母型製作にはじめて取り組んだ金属活字「晃文堂明朝」の原字。
(1955年杉本幸治設計 当時28歳。 原寸はともに2インチ/協力・リョービイマジクス)

杉本幸治愛用の雲形定規

ふたつの 「書」 の図版を掲げました。かたや1955年、杉本幸治28歳の春秋に富んだ時期のもの。こなたは70歳代後半から挑戦した新書体「杉明朝体」の原字です。

杉本幸治は2003年から、骨格の強固な明朝体の設計を意図して試作を重ねました。基本設計意図は、杉本が青春期を過ごした、三省堂の辞書に用いられたような、本文用本格書体の製作が狙いでした。
現代の多様化した印刷用紙と印刷方式を勘案しながら、紙面を明るくし、判別性を優先し、可読性を確保しようとする困難な途への挑戦となりました。制作に着手してからは、既成書体における字体の矛盾と混乱に苦慮しながらの作業となりました。名づけて「硬筆風細明朝 杉明朝体」の誕生です。

制作期間は実質6年の長期に及び、厳格な字体検証を重ね、ここに豊富な字種をともなった「硬筆風細明朝 杉明朝体」を完成させました。
痩勁ながらも力感ゆたかな画線が、縦横に文字空間に閃光を放ちます。
爽風が吹き抜けるような明るい紙面には、濃い緑の若葉をつけた杉の若木が整然と林立し、ときとして、大樹のような巨木が、重いことばを柔軟に受けとめます。
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【お願い】
朗文堂タイプコスミイクでは、単に書体製作、監修、販売にあたるだけではなく、デジタルタイプの効果的な展開と普及のために、当該書体の使用例を本欄にて順次紹介しております。ユーザーの皆さまからの積極的な情報ならびに資料提供をお待ちしております。
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【展覧会】清時代の書 ── 碑学派 東京国立博物館/書道博物館

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《清時代の書 ―碑学派―》 三館連携企画
東京国立博物館 平成館 企画展示室
台東区立書道博物館
台東区立朝倉彫塑館
2013年10月8日[火]-2013年12月1日[日]
※ 月曜休館。一部展示変え、特別開館日あり。詳細は各館のWebsiteで確認ください。 
東京国立博物館 《清時代の書-碑学派》Website

────── 同館フライヤーより[一部に補筆しました]
中国・清時代(1616-1912)では、考証学の盛行を背景に、書においても金石(きんせき)資料が注目され、従来の王羲之(おうぎし)を中心とする法帖(ほうじょう)に代わって、青銅器の銘文や、石碑に刻まれてのこされた書、すなわち金石の書が尊ばれるようになりました。

この時代、金石に書の拠りどころを求めた人たちを「碑学派(ひがくは)」と称し、これまでもっぱら法帖を学んでいた「帖学派(じょうがくは)」と区別しています。
かれらは、はじめのうちは、漢時代の隷書や、唐時代の楷書に注目していましたが、やがて山野に埋もれていた青銅器や石碑にも視野を広げ、野趣あふれる楷書や篆書・隷書を中心とする、あらたな書風を形成しました。
また阮元(げん げん)や包世臣(ほう せいしん)らが、「北碑の書」[代表作:洛陽郊外 龍門石窟古陽洞 龍門二十品など]を称揚する理論を提唱したことで、碑学派は清時代の書の主流を占めるようになりました。

今回で11回目を迎える連携企画は、東京国立博物館、台東区立書道博物館のほかに、台東区立朝倉彫塑館を加え、台東区内に近接する3館が連携して、碑学派の主な書人の代表作を紹介し、碑学派の流れを概観します。

東京国立博物館では、碑学派の前期に重きを置き、主として碑学派の勃興期に焦点をあてます。
書道博物館では碑学派の後期を中心に、同館の創設者/中村不折(なかむら ふせつ)と、楊守敬(よう しゅけい)・康有為(こう ゆうい)とのつながりや、日本における「碑学派の書」の受容なども紹介します。
朝倉彫塑館でも、一部に日中の文化交流を彩る清時代の書画を展示します。

従来の書の流れを大きく変えることとなった、清時代の碑学派。学問に裏付けられて生まれた、碑学派の書の魅力をたっぷりとお楽しみください。

《主要展示作品》
・瘞鶴銘
   中国 梁時代・天監13年(514) 台東区立書道博物館蔵
・篆書白氏草堂記六屏
   鄧石如筆 中国 清時代・嘉慶9年(1804) 個人蔵
・行書七言律詩軸
   阮元筆 中国 清時代・18-19世紀  京都国立博物館蔵
・楷書嬌舞倚床図便面賦軸
   包世臣筆 中国 清時代・18-19世紀 東京国立博物館蔵
・篆書八言聯
   呉熙載筆 中国 清時代・19世紀 個人蔵(2013/11/6から展示)
・楷書斉民要術八屏
   趙之謙筆 中国 清時代・同治8年(1869)頃 個人蔵

────── 清朝末期の参考資料
◎ 光緒帝
中国清王朝末期第11代の皇帝・徳宗期の年号を光緒といい、徳宗のことを光緒帝ともいう。1875-1908。
◎ 変法自強――法と制度を変えて自ら強くするの意――と光緒帝
中国清朝末期に康有為、梁啓超らがわが国の明治維新にならって、憲法制定、国会開設、教育・学校制度の変革などを唱えた政策が変法自強[変法自彊ともする]。
1898(明治31)年、徳宗・光緒帝がこれを採用して、立憲君主制にもとづく国体変革「戊戌変法 ボジュツ-ヘンポウ」をおこなおうとしたが、西太后(1835-1908)らの守旧派勢力から武力弾圧をうけて失敗。康有為、梁啓超らは日本に亡命した。これを「戊戌政変」という。光緒帝はその後幽閉され、西太后の逝去とともに薨去した。
◎ 康有為 Kang Youwei
中国清朝末期の政治学者。号は長素、江東南海のひと。清朝末期日本にならった「変法自強」を唱えて「戊戌新政」を推進したが、政争にやぶれてわが国に亡命した。
亡命後も「清朝保皇」を唱え、立憲君主制による清朝擁護の論陣を展開し、孫文らの革命運動と対立した。1858-1927。

【ブックコスミイク】『平野富二伝』(古谷昌二編著)刊行を控えて、朗文堂関連既刊書を紹介いたします。

この既刊書紹介ページは、近刊 『平野富二伝』(古谷昌二編著/2013年11月刊行予定) の刊行に先駆けて、朗文堂ブックコスミイク刊行書のうち、近刊『平野富二伝』と関連性がつよく、残部僅少の書籍3点を、あらためてご紹介するものです。
   Ⅰ 朗文堂愛着版 『本木昌造伝』(島屋政一著)
   Ⅱ 『VIVA!! カッパン ♥』(朗文堂アダナ・プレス倶楽部 大石 薫 編著)
   Ⅲ 『富二奔る ── 近代日本を創ったひと・平野富二 Vignette 08 』(片塩二朗著)
既刊書のため、現在では書店での店頭展示販売はほとんどございませんが、書店注文方式、オンライン書店経由、あるいは小社より直送でお求めいただけます。この機会にご愛読たまわれば幸せに存じます。
本木昌造伝

朗文堂愛着版 本木昌造伝

島屋政一著
朗文堂刊
上製本 A5判 480ページ
発 行:2001年08月20日
定 価:16,000円[税別]
     ISBN4-947613-54-8 C1070

口絵カラー写真20点、本文モノクロ写真172点、図版196点
特上製本 スリップケース入れ 輸送函つき
背革に羊皮の特染めバックスキン
ヒラは英国コッカレル社の手工芸マーブル紙

本書をご希望の方は直接朗文堂ヘお申し込みください。
本書は直販のみで通常書店では取り扱っておりません。
梱包送料・振り込み料金ともに、本書に限り小社負担にて直送いたします。
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【目 次】
・本木昌造の誕生から通詞時代
・長崎製鉄所時代の本木昌造
・近代活字創製の苦心
・ガンブルの来日と活版伝習所の創設
・新街私塾と長崎活版製造会社
・長崎から東京へ/活版印刷術の普及
・本木昌造の終焉と本木家のその後
・凸版印刷と平版印刷、ライバルの登場
・印刷界の二大明星
・本木昌造をめぐるひとびと
・野村宗十郎とアメリカン・ポイント制活字
・印刷術の普遍化とわが国文化の向上
・印刷界の現状
 新街私塾の印本書の元原稿は、昭和24年(1949)10月に島屋政一氏によって脱稿されたものの、太平洋戦争の直後の混乱のなかで刊行をみることはなく、ほぼ半世紀にわたり、名古屋の活字製造業者・旧津田三省堂の篋底キョウテイふかく秘められてきました。

朗文堂愛着版『本木昌造伝』は、再発見された島屋政一氏による原稿をもととして、図版などに大幅な編集をくわえるとともに、ふたたびこの書物が篋底に秘められることがないように、朗文堂愛着版と銘うって上製本仕立てで刊行したものです。

本木昌造の裏紋とされるBmotoSozo[1]

【 例 言 】――島 屋  政 一
わが国の印刷事業はとおく奈良平安朝のむかしに寺院において創始され、久しきにわたって僧侶の手中にあった。江戸期にはいって勅版がでて、官版および藩版がおこり、ついで庶民のあいだにも印刷事業をはじめるものがあらわれた。

寛文(1661-72)以後、木版印刷術おおいに発達して、正徳、享保時代(1711-35)から木版印刷術は全国に普及をみたが、それは欧米諸国の近代活字版印刷術にくらべてきわめて稚拙なものだった。

幕末の開国とともに洋学が勃興して、印刷術の改善にせまられた。そのときにあたり、近代活字鋳造と近代印刷術の基礎をひらき、善く国民にその恩恵をひろめたものが本木昌造翁だった。

筆者はすでに『印刷文明史』を著わし、本木昌造のことをしるしたが、いささか冗長にながれ、またいささかの訛伝の指摘もあった。さらには畏友にして活字界の雄たりし、青山進行堂活版製造所・青山容三[本名:青山督太郎]氏、森川龍文堂・森川健市氏の両氏から、活字の大小の格[活字ボディサイズ]のことのあらたな教授もえた。

さらに筆者はすぐる太平洋戦争において、おおくの蔵書を戦禍にうしなった。また青山進行堂活版製造所、森川龍文堂の両社は、その活字の父型や母型のおおくをうしなっている。

このときにあたり、ふたたび日本の近代文明に先駆して、開化の指導者としておおきな役割を演じた本木昌造の功績を顕彰して、それに学ぶところは大なるものがあると信ずるにいたった。

本木昌造は、ひとり近代印刷術の始祖にとどまらず、むしろ研究者であり、教育者でもあった。本木昌造の設立にかかる諸施設とは、むしろ「まなびの門」でもあったのである。
そうした本木昌造のあらたな側面を中枢にすえて本書をしるした。
昭和24年10月20日
                                                   著 者 識

長崎港新町活版所印

長崎活版製造会社之印

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『VIVA!! カッパン ♥』

編 著:朗文堂アダナ・プレス倶楽部 大石 薫
装 本:B5判 136ページ オールカラー ジャケット付
発 行:2010年05月21日
定 価:本体価格2,800円[税別]
     ISBN978-4-947613-82-0

活版印刷の楽しくてカワイイ入門書誕生!!
{懐かしいのに新しい}
魅惑の印刷、活版印刷。
見て美しい!知って楽しい!
自分でやるともっと楽しい!!!
カッパン♥ を愛する アナタの必携書です。
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突起部にインキをつけて印刷する凸版印刷は、凹版印刷・平版印刷・孔版印刷とならぶ印刷四大版式のひとつです。そのプリミティブな仕組みは、印刷の原理を理解するのにもっとも適し、五感を駆使する作業工程は、ものづくりに対する純粋なよろこびをもたらします。その凸版人札のなかでも、文字活字を主要な印刷版とするのが活字版印刷術、略称:活版印刷、愛称:カッパンです。

本書は、たんなるふるき良きものにたいする懐古趣味や、「作品紹介中心」の視点からではなく、活版印刷にはじめて触れる、スモール・プリンターや活版造形者に向けて、まばゆいばかりに新しく、コンパクトで愛らしい活版印刷機 Adana-21J を、21世紀の日本で誕生させたアダナプレス倶楽部が、活版♥の魅力と可能性をトコトン追求した入門書です。

【VIVA!! カッパン 目次】
懐かしいのに、あたらしい、
魅力の活字版印刷術 ――― 活版
活字のおはなし
文選箱ギャラリー
文 選
組 版(植字)
組みつけ
印 刷
活字鋳造
Adana-21Jの使い方
muccu が行く!
   活字鋳造所探訪(築地活字編)
   活字版書籍印刷所探訪(長瀬欄罫製作所編+豊文社印刷所編)
あとがきにかえて
   こんな時代だから…………
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アダナ・プレス倶楽部とは
朗文堂/アダナ・プレス倶楽部と、活版印刷をたいせつにされる造形者の皆さまとのゆるやかな連帯の倶楽部です。面倒な規則や決まりはありませんが、21世紀日本においてあらたに誕生した活版印刷機 Adana-21J を中核にして、活字・組版・印刷・周辺機器や情報の交換・販売と、交流会・展示会をおこなっています。

富二、奔る

 『富二奔る ── 近代日本を創ったひと・平野富二』
 Vignette 08  平野富二没後百十年記念出版

著  者:片塩二朗
装  本:B5判 174頁 モノクロ 並製本
発行日:2002年12月03日
定  価:本体3,000円[税別]
      ISBN4-947613-66-1 C1070

なにもかもが草叢のなかからわきあがった明治の初期、小指のさきほどもないちいさな活字と、巨大な艦船を、ふたつともにつくった面白い人物 ── 平野富二がいました。その足跡は、金属活字製造、活字版印刷、機械製造、造船、航海、海運、土木と、その貢献は多方面で、めざましいものがありました。そんな平野富二の実像に鋭くせまりました。本格人物評伝『平野富二伝』(古谷昌二編著)と照合しながらご一読ください。

【富二 奔る  目次より】
・序の章  ちいさな活字、おおきな船
・一の章  平野ホールの歴史と所蔵品
・二の章  新資料紹介
・三の章  長崎に埋もれていた平野富二碑
・四の章  平野富二と、いっときの敗者たち
・終の章  平野富二の体臭のごとき活字

【アダナプレス倶楽部】第15回 活版ルネサンスフェア 終了しました!


とき * 2013年09月27日[金]28日[土] 13:30―19:00
ところ * 朗文堂4F-B
160-0022  新宿区新宿2-4-9 中江ビル4F
Telephone : 03-3352-5070
[来場ご案内マップ]

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抜けるような青空と、吹きわたる涼風のもと、2013年09月27日[金]28日[土]の両日にわたって開催されました《第15回 活版ルネサンスフェア》が終了いたしました。
ご来場たまわりました多くの皆さま、ありがとうございました。

両日とも、開場直後からお客さまの足が途切れることなくつづき、うれしい悲鳴の両日でした。
撮影担当者が接客に追われ、調子が悪い写真でのご紹介となりましたがご容赦を。
アダナプレス倶楽部では、ことしは恒例の5月の都内でのイベント《活版凸凹フェスタ》を一旦中止し、あたらしい舞台としての《Viva la 活版 ―― すばらしき活版》が、まず北海道美唄市でスタートしました。

そのために昨年秋のほぼ同時期の《第14回 活版ルネサンスフェア》以来、一年ぶりにお会いするアダナプレス倶楽部会員と、お客さまもたくさんご来場され、
「お元気でしたか? ことしの夏は暑かったけど、活版印刷はつづけていますか?」
と、あちこちで歓談の輪ができていました。

《2020年東京オリンピック開催も決定しました! 
      あたらしい時代の、あたらしい活版造形をめざす旅がはじまりました》
2020年、夏季オリンピックの開催都市に東京が決定しました。久しぶりの明るいニュースでした。
皆さまの力つよいご支援をいただきながら、アダナプレス倶楽部は意欲をあらたに、あたらしい活版造形者の増加をめざす地道な活動をつづけてまいります。
次回の《活版ルネサンスフェア》は、2014年春の開催を予定しております。
ご支援、ご協力ありがとうございました。

【アダナプレス倶楽部】活版カレッジ秋季講座スタート!

活版カレッジ

朗文堂 アダナ・プレス倶楽部の直接指導により
本格的な活字版印刷術の
知・技・美の三領域をバランス良く学べます。

活版カレッジでは、科学と学術的根拠にもとづいた実践を基盤としながら、活版印刷機 Adana-21J によるケーススタディ・メソッドをふんだんに駆使し、あたらしい時代の活版印刷の現場での、現実的な課題の解決方法を学ぶことを目的とします。
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「活字版印刷術 Typographic Printing」は、印刷による視覚伝達技術のなかでも、文字情報の主要な複製・伝達の手段として、ひろく「活版印刷・活版・カッパン」などと呼ばれて親しまれてきました。

そして今、印刷複製技術の原点として560年余におよぶ長い歴史を有し、メディアの変遷とともにさまざまな浮沈を経た「活版」が、ふたたび熱く注目され、関心をあつめています。
活版カレッジは、あたらしい活版ユーザーに向けた活字版印刷機 Adana-21J の製造・発売をおこなっているアダナ・プレス倶楽部が開講する活版講座です。
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  • 活版カレッジ2013年秋季講座 木曜日コース(夜間部)19:00 ─ 22:00 
    【講座教室】 東京都新宿区新宿 2-4-9 中江ビル
                          4FB 朗文堂内(通学制)
    【講   師】 朗文堂 アダナ・プレス倶楽部

◎ 3 ヶ月 木曜日 全9回(毎月3回) 19:00-22:00
   ※ 各コース定員4名(お申込先着順)
   ※ 毎月第1-3週木曜日の開講。
      第4-5週は基本的にお休みです。
   ※ GW・夏期休暇などに際して若干の変動があります。
◎ 徹底した少人数講座のため、お申込先着順とさせていただきます。
◎ 受講希望者多数の場合には、次期講座への予約をお勧めする場合がございますのでご了承ください。
◎ 次期の開催日時と募集の開始は、 アダナ・プレス倶楽部ニュース にて随時お知らせいたします。
◎ 《活版カレッジ》受講をご希望の方は、お気軽に、できるだけ事前に、アダナ・プレス倶楽部の@メールまで受講希望の意向をご連絡ください。一般公募に先だって、あらためてご案内をさしあげます。
◎ 次回は昼間部も開講の予定です。積極的なご参加をお待ちしております。