【朗文堂タイプコスミイク 書体使用例紹介】アダナプレス倶楽部が《Viva la 活版 Viva 美唄》イベントサインに『銘石B』を使用しました。

《アダナプレス倶楽部、Viva la 活版 Viva 美唄のイベントサインに、「銘石B」を随所に使用》
朗文堂/アダナ・プレス倶楽部では、本2013年07月13-15日、【Viva la 活版 Viva 美唄――すばらしき活版、すばらしい美唄】と題して、活版印刷の祭典を開催しました。
その新イベントサイン用の書体として選択されたのが【銘石B くれたけ】と、欧字【オンディーヌ】でした。
印刷設計士(グラフィックデザイナー)は松尾篤史さん。
はがき印刷(活版印刷機によるレター・プレス。宛名面:スミ1色刷り、絵柄面:バーント・シエンナ+スミ 2色刷り)の担当は、大阪・江戸堀印刷所/小野香織さんでした。

松尾さんは、日常業務としての商業印刷物製作には、しばしば【銘石B くれたけ】を愛用されていました。
ところが、アダナプレス倶楽部では印刷版式の相異をおもくみます。
そのために、オフセット平版印刷や、インクジェット出力によるポスターサイズからはじまり、上掲写真のように、亜鉛凸版をもちいてのレタープレスによる、はがき印刷までの、大小各種の使用と、過酷な使用状況が予想されました。
そこで設計士の松尾篤史さんは、まずディド・ポイントシステムにもとづく堅固な「グリッドデザイン」を製作し、果敢に【銘石B くれたけ】をご使用いただきました。

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美唄コラム黄uu【銘石B】の原姿は、いまから1670年ほど前、中国・晋代の墓誌に刻まれた字を標本としています。
この墓誌は、粘土を固く焼き締めた「磚 セン」に彫刻されて地中に埋められていました。すなわち、「帖学派」がおもくみた、書かれた文字というより、中国清王朝時代からひろく「碑学派」によって注目された、彫られた文字であり、書写系文字ではなく、彫刻系文字のひとつといえます。

そうした背景のせいでしょうか、【銘石B】は、過酷な使用環境に良く対応し、おおきく使うと、迫力と力感のある字となり、ちいさく使っても、判別性と可読性を損なうことがすくなく、またレタープレスのつよい印圧にもツブレの発生がなく、強靱さを発揮していました。
【詳細 アダナプレス倶楽部コラム:Viva la 活版 Viva 美唄の中間報告

《銘石B デジタルタイプについて》
かねてより、十分なインパクトがありながら、視覚に優しいゴシック体、それもいわゆるディスプレー・タイプではなく、文字の伝統を継承しながら、使途のひろいあたらしいサンセリフ ―― Human Sans Serif が欲しいとされるご要望が寄せられていました。

確かにわが国のゴシック体のほとんどは、もはや自然界に存在しないまでに鋭角的で、水平線・垂直線ばかりが強調されていて、視覚に疲労をあたえることがあります。
銘石Bパッケージ。デザイン:白井敬尚形成事務所欣喜堂・今田欣一氏と、朗文堂タイプコスミイクが提案した新書体「銘石B」の原姿はふるく、中国・晋代の『王興之墓誌』(オウ-コウシ  341年、南京博物館蔵)にみる、彫刻の味わいが加えられた隷書の一種で、とくに「碑石体」と呼ばれる書風をオリジナルとしています。
『王興之墓誌』は1965年に南京市郊外の象山で出土しました。王興之(オウ-コウシ 309-40)は王彬の子息で、また書聖とされる王羲之(オウ-ギシ  307―65)の従兄弟イトコにあたります。

この墓誌は東漢の隷書体から、北魏の真書体への変化における中間書体ともいわれています。
遙かなむかし、中国江南の地に残された貴重な碑石体が、現代に力強くよみがえりました。
「銘石B」には、和字(平仮名と片仮名)3書体(くれたけ、くろふね、くらもち)が標準でセットされており、用途に応じた選択ができます。
皆さまの積極的なご用命、ご使用をお待ちしております。
【詳細情報:朗文堂タイプコスミイク 銘石B Combination 3  PDF データーつき
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