月別アーカイブ: 2010年3月

近刊のお知らせ


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活版印刷の楽しくてカワイイ入門書誕生 !!
{懐かしいのに新しい}魅惑の印刷、活版♡
見て美しい! 知って楽しい!
自分でやるともっと楽しい!!!
カッパン♥を愛する
アナタの必携書です。
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突起部にインキをつけて印刷をおこなう凸版印刷は、
凹版、平版、孔版とならぶ印刷四大版式のひとつです。
凸版印刷のプリミティブな仕組みは、印刷の原理を理解
するのに最も適し、五感を必要とする作業工程は、
ものづくりに対する純粋なよろこびをもたらします。
凸版印刷のなかでも、文字活字を必要な印刷版とするのが
活字版印刷術、略称:活版印刷、愛称:カッパン♥です。

本書は、単なる懐古趣味や感傷的な視点からではなく、
カッパン♥にはじめて触れる、スモール・プリンターや
アート・プリンターに向けて、まばゆいばかりに新しく、
コンパクトで愛らしい活字版印刷機Adana-21Jを誕生させ
たアダナ・プレス倶楽部が、21世紀の新技術として、
カッパン♥の魅力と可能性をトコトン追求した入門書です。

※  4月中にmailにてご予約いただいた方に限り、
刊行後本体価格にてヤマトメール便(送料小社負担)で
発送いたします。

●申し込みは下記を必ずお書きください。
お送り先ご住所及び郵便番号
電話番号(携帯可)
氏名
冊数
アダナ・プレス倶楽部編
B5判 オールカラー
136P 並製本 ジャケット付
2010年5月発売
定価:本体2,800円+税

活版凸凹フェスタ2010

第3回 「 活版凸凹フェスタ 」 開催のお知らせです。
わが国の 「 活版ルネサンス 」 も順調で、
従来の四谷会場が手狭になり
ことしは、上野の森 「 日展会館 」 での開催です。
《 ゴールデン・ウィークは カッパン三昧 !! 》 の標語はそのまま
カッパン未経験者も、活版実践派の皆さまも
ふるってご参加ください!

イベント終了のお知らせ

第6回活版ルネサンスフェア
たくさんのご来場ありがとうございました!

活版ルネサンスフェアが26日27日の両日開催されました。

新宿御苑には花見客が押しかけていましたが、朗文堂の会場には

カッパン・ファンと実践派の熱い熱気に包まれていました。

とりわけ「活版凸凹フェスタ」出展予定者の視線は鋭く

インキ、活字、機材等の補充におおわらわでした。

これから朗文堂アダナ・プレス倶楽部は

「第6回活版凸凹フェスタ」の準備と

『VIVA!! カッパン♥』刊行に備えた

慌ただしい毎日が続きます。

皆さまのご声援が

心地良く、心強く

響きました。

第6回 活版ルネサンス フェア

「第6回 活版ルネサンスフェア」が今週末、3月26日[金]―27日[土]の両日に開催されます。その準備のため、スタッフは3連休も返上して準備に余念がありません。皆さま、ご友人・知人とお誘いあわせの上、ご来場ください。

と き * 2010年3月26日[金]27日[土] 13:30―19:00
ところ * 朗文堂4F-B
160-0022 新宿区新宿2-4-9 中江ビル4F
Telephone : 03-3352-5070

アダナ・プレス倶楽部の会員と、活版ファンの皆さまを対象とした
新品・中古品のカッパン関連機材・資材の展示即売会です。
手狭な会場ながら、貴重アイテムから、
マニアックな商品までが溢れています!
創作の春に向けて、このチャンスをぜひともお役立てください。
[東京都公安委員会許可 第304380708865号]

林昆範講演会配布印刷物に関して

金属活字は元気です!    が……
一刻も早い改刻・改修の手が必要です。


去る2月28日、林昆範氏によるタイポグラフィ講演会「宋朝体と明朝体――書写系と彫刻系書体の相剋」に際し、朗文堂アダナ・プレス倶楽部では記念カードを印刷してご来場の皆さまに配布いたしました。なにぶん講演が主の会でしたので、このカードに格段の説明は加えなかったために、数名のお客さまから、使用活字に関するご質問がありました。ここに簡略ながら説明させていただきます。

印刷用紙は、アワガミファクトリーの提供による「竹和紙」を使用しました。カッパン印刷適性テストを兼ねており、斤量はさまざまです。使用活字は築地活字の提供によるものが右半分、左半分はアダナ・プレス倶楽部が所有している、12ポイントの「教科書体」です。この12ポイント活字は、千葉県の印刷所からいただいたもので、袖ケースをみると、元号が大正で、東京市と並んでいます。昭和や都ははじのほうに付けたされています。ですから大正末期から昭和初期のものとみられる活字が混入しており、両仮名だけを新鋳造活字と入れ換えて使用しています。

古い活字にはしばしばみられることですが、この書体メーカー(鋳造所)はいまとなってはわかりません。ただし日本活字鋳造所、岩田母型製造所のいずれのものでも無いことだけがわかっていますが、正確には鋳造所がどこであったのかは分明しません。書体名も「教科書体」というより「教育漢字もしくは教楷」と呼んでいた可能性が大です。

右側半分は築地活字の提供による、二号と三号サイズの新鋳造活字です。右から順に、三号岩田明朝体、三号行書体、二号長体宋朝(縦二号横三号)、二号長体明朝(縦二号横三号)、最終行は三号行書体と隷書体と明朝体となっています。

築地活字には、このほかにも草書体、弘道軒活版製造所清朝体などがありますが、五号と四号は比較的字種が揃っているものの、三号サイズでは極端に字種が少なくて、今回は使用を見合わせました。築地活字の明朝体とゴシック体をのぞくふるい活字は、先々代・平工栄之助(第3代)が、閉鎖される活字鋳造所から活字母型を収集したものがおおく、先代・平工愛子(第4代)、当代・平工希一(第5代)と家業が継承される間に、どこから、どのように持ちこまれた活字母型なのか、明確な資料も、伝承もありません。

そこで各種活字見本帳と、現存する活字母型の姿を見て推量することになりますが、とりあえず、長体宋朝と長体明朝は電鋳法(電胎版とも)による活字母型で、両者ともに戦前版津田三省堂母型、すなわち戦前版津田三省堂長体宋朝、戦前版津田三省堂長体明朝とみて間違いないでしょう。津田三省堂・津田太郎は、昭和20―40年代に、長体宋朝を写研・石井茂吉に、長体明朝を佐藤敬之助に依頼して改刻していますが、カッパン印刷界ではその改刻の評価は芳しくなく、むしろ戦前版の活字母型が珍重されるかたむきがみられます。

左より:南京母型、電鋳母型、機械式直刻母型

行書体、隷書体、草書体に関しても手がかり難ですが、これらの活字母型は、関西地区でよく見られる、いわゆる「南京母型」で、ガラ版が独立して存在し、マテにあたる支持材に嵌め込んで使用するものです。関東では、ほとんどが電鋳法によって得られたガラ版を、真鍮のマテ材に陥入させてカシメて使用するか、戦後は機械式活字彫刻機(いわゆるベントン)による直刻が多いのですが、同社の「南京母型」の使用は関西由来母型のものであることを想像させます。精査を終えていませんが、目下のところ、大阪・青山進行堂活版製造所系か、あるいは江川活版所系の活字母型とみています。

いずれにしても、これらの活字母型は半世紀乃至は一世紀近い歴史を重ねて、ここに現存していることになります。前述したように一部のサイズは字種も少なく、また相次いだ字体変更にはほとんど対応していません。「活字を守れ」というお声をしばしば耳にする昨今ですが、「守る」という後ろ向きの姿勢では文字活字書体は時代の中に埋没します。造りだす意欲、改刻への意志、これらの対応が求められるのはひとり金属活字にとどまらず、はやくも電子活字にも発生しているテーマです。


活版カレッジ Upper Class

カッパン・かるた
さては、この手できたか!

梅便りについで、桜だよりが慌ただしいこのごろです。朗文堂アダナ・プレス倶楽部は週末に 《 第6回活版ルネサンスフェア 》 を控え、さらに5月のゴールデン・ウィークには 《 活版凸凹フェスタ 》 を控えて慌ただしい毎日です。

ところが、新宿私塾の春休みを利用して 「 活版カレッジ Upper Class 」 の皆さんが時折参集し、例の 「 カッパン・かるた 」 の制作に余念がありません。いちどブログでイヤミをしるしたせいでしょうか……、制作のピッチが急上昇し、なにやら海外から取りよせた 「 オーナメント・花形活字 」 を駆使して制作に熱中しています。

「 オーナメントをいじると、文字活字だけでは解らなかった、活字組版の本当の面白さがすぐに解っちゃう。だからカッパン中毒になっても知らないよ……」堂主の忠告(イヤミ?)ももののかわ、黙々とオーナメントを組み合わせ、テスト刷りを重ね、時折どっと歓声がわきあがる活版カレッジ Upper Classの皆さんのこのごろです。1ピースのオーナメントが、向きを変え、組みあわせを変えるだけで、どんどんあらたな形象を産みだしていきます。「 どうやらみんな、はまったな……」。

4年前の春のことです。ある大手の活字母型製造所が閉鎖されました。それに際して、まだスタート直後のアダナ・プレス倶楽部でしたが、活字鋳造にほとんど利害関係がないだけに、残念ながら閉鎖せざるをえなかった活字母型製造所と、稼働している活字鋳造所の双方から相談をうける立場にありました。

もちろん非力なアダナ・プレス倶楽部ですから、さしたるお手伝いはできなかったのですが、せめて複製原型としての活字母型を、できるだけたくさん継承し、今後とも混乱無く活用できる方途を探るお手伝いだけはしました。おおづかみには、号数体系の母型と、ポイント体系の活字母型を峻別して、それぞれを、意欲的かつ継続鋳造が可能な活字鋳造所に収蔵してもらう算段をつけました。

閉鎖を間近に控えたある日、活字母型製造所に出向いたところ、大量の「オーナメント・花形活字」の母型が、まだケースに入ったまま残っていました。

「オーナメントのたぐいは引き受け手がなかったの?」

「そう、活字っていうとみんなが文字活字だから……。アダナ・プレス倶楽部で買ってよ。地金代だけでいいからさぁ」

おりしも北京オリンピックの直前で、マテ材に使用されている真鍮は異常な高値を呼んでいました。

「真鍮は、いま1キロいくら?」

「高いよ! すごく!!  あぁ活字母型をあんなに安くするんじゃなかったな」

こんな会話があって……。また、同社のオーナメントは出自がいくぶん不明瞭でしたし、細い画線部の母型には損傷もみられました。結局のところ「オーナメント活字母型」はすべて金属商の手にわたって溶解されてしまいました……。

昭和15―20年代にかけて水面下で展開した「変体活字廃棄運動」もそうですが、カッパン関連機器には、意外なほど非鉄金属が使用されています。そして非鉄金属の相場は、戦争や大型公共投資によって価格が乱高下します。ですからすぐる時代の印刷界のリーダーは、聖戦遂行のためと称して「印刷所は金属鉱山」だとする論文を発表して晩節を汚しました。

そんなわけで「カッパン・かるた」に使用しているオーナメントは海外からの輸入品です。そしてその効果的な使用法を説いたテキストはわが国には残念ながら存在しません。ですから「活版カレッジ Upper Class」の皆さんは、オーナメントの効果的な使用法に関しても、おさおさ情報交換にぬかりないようです。

新宿私塾第15期生修了発表会

半年間の成果がギッシリつまった
素晴らしい発表会でした!

新宿私塾第15期は、まだ残暑が厳しい2009年9月15日に開講し、毎週火曜日24回のカリキュラムを無事消化してきました。その間塾を飛び出してのフィールド・ワークや、各種イベントへの参加などを通じ、実技と実践に支えられたタイポグラフィの前衛たるべく、なごやかななかにも、講師陣と塾生がお互いに学びあい、切磋琢磨しあった半年間でした。

新宿私塾は、塾生の定員が10名で、講師陣が12名いるという、いっぷうかわった私塾ですが、毎週忙しい業務を終えて駆けつける塾生と講師の間で、タイポグラフィの真髄に肉薄する熱い講義の連続でした。そしていつのまにか塾生同士が同志的連帯を深め、自立した職業人としての自覚と自信を週ごとに確実に深めていくことが喜びでした。

そんな塾生の皆さんが、2010年3月13日(土)に修了制作発表会を開催。延々
6時間におよぶ発表に、せまい教場は熱気にあふれ、頬を紅潮させながら、懸命に半年間の成果を発表する姿は感動的でした。新宿私塾はこれからわずかな春休みをいただき、4月6日からは第16期生を迎えます。この短い休暇中に、講師陣はテキストの再検討に入り、春風とともに登場する第16期生を迎えます。

《 新宿私塾第15期修了制作テーマ一覧 》

◎ 今、オールドスタイル数字を使うために
◎ 紙面空間における陰影の考察
◎ 物を造るための art (伎倆 )
◎ タイトルページの空間分析
—ボドニからチヒョルトまで
◎ 絵本における絵と文字の歴史
◎ 装飾に秘められた思想
◎ ピクトグラムと文字の有用性について
◎ 書物の物質性/ことばの物質性を考える
—1930年代の前衛詩を通じて
◎ 現代におけるカーニングペアの汎用性


第6回 活版ルネサンス フェア

と き * 2010年3月26日[金]27日[土] 13:30―19:00
ところ * 朗文堂4F-B
160-0022  新宿区新宿2-4-9 中江ビル4F
Telephone : 03-3352-5070

アダナ・プレス倶楽部の会員と、活版ファンの皆さまを対象とした
新品・中古品のカッパン関連機材・資材の展示即売会です。
手狭な会場ながら、貴重アイテムから、
マニアックな商品が溢れています!
創作の春に向けて、このチャンスをぜひともお役立てください。

[東京都公安委員会許可 第304380708865号]

アダナ・プレス倶楽部が製造・販売している、新品のカッパン印刷関連機器、独自企画開発商品はもとより、カッパン印刷所で長年の使用に耐えてきた優秀な中古品もドッサリ用意いたしました。これらは現在では生産中止となったカッパン関連機器や、個人では入手しにくい活版専用インキなどの器材・資材を含みます。カッパン印刷のサポーターとして、アダナ・プレス倶楽部ならではの、懇切丁寧な使用方法の解説もいたしますので、狭い会場ながらも魅力溢れる展示販売会となります。

折しも「活版凸凹フェスタ2010」をはじめ、春の展覧会や、春の創作活動のシーズン到来。「今年も(今年こそ)、活版凸凹フェスタに出展しよう!」と意気込む皆さまには絶好のチャンスです。創作に活用できそうな機材の補充、実制作での疑問解決、技術の向上に、どうぞこの「活版ルネサンス フェア」をご利用ください。

◎ ◎ ◎ 今回の目玉 ◎ ◎ ◎

※ 会期中は両日とも「リノリウム版画」と「ゴム版画」を、Adana-21Jを用いて印刷するデモンストレーションをおこないます。
※ 樹脂凸版よりも厚みのあるこれらの版画を活版印刷機で印刷するためには、樹脂凸版用のメタル・ベースよりも高さが低い「版画用ベース」が必要となります。今回の「活版ルネサンス フェア」では、この「版画用ベース」を「中古現品限りの会場特別価格」で大放出いたします。活版印刷・凸版印刷の可能性を大きくひろげるアイテムを、皆さまこの機会にぜひともご入手ください。

版画制作:ササイ  ユウコ

エッ! 活版印刷機が版画プレス機に変身!?
版画用ベース

海外のレタープレス・プリンターの間では、活版印刷とリノ・カット(リノリウム版画)を組み合わせて楽しむ姿が多くみられます。いっぽうわが国では、リノリウム版や版木をもちいた凸版画は、木版用の版画プレス機で印刷するか、バレンで擦ることが主流とされ、最近流行のゴム版やビニール版では「判子」として手で押印すことがほとんどで、同じ凸版の一種である活版印刷とは切り離して考えられる傾向があります。しかし、凸版用の版画プレス機の類は巨大で、家庭には気軽に導入できませんし、バレン摺りや押印では力も要るし量産も大変です。

そこでアダナ・プレス倶楽部では「版画用ベース」を用いて、活版印刷機でリノリウム版やゴム版を楽しく気軽に印刷する方法を提案しています。活版印刷でよく用いられている樹脂凸版は、厚さ約0.98ミリ、亜鉛凸版は厚さ約1.3ミリが主流です。これらの厚みの樹脂凸版や亜鉛凸版を、活字と近しい高さに調整して印刷するために、アダナ・プレス倶楽部で通常販売している「メタル・ベース」は、厚さ22.39ミリの規格を採用しています。

しかし、リノリウムやゴムなどの版画材料は厚みがあるために、現在販売している「メタル・ベース」では版面が高くなりすぎて、活版印刷機では刷ることができません。今回入荷した金属ベースは、大量ページ物印刷所で紙型鉛版用に使われていたもので、高さは19.65ミリ前後と、通常のメタル・ベースよりも低く「版画用ベース」としてお勧めです。リ・ユース品ですので、「第6回 活版ルネサンス フェア」の会場で直接ご覧のうえ、お求めください。


林 昆範氏関連図書のおすすめ

林 昆範氏タイポグラフィ講演会
宋朝体と明朝/書写系と彫刻系書体の相剋

たくさんの皆さまにご来場いただいた林 昆範氏の講演会でした。あらためまして厚く御礼申しあげます。その折、林 昆範氏の著書 4点を展示コーナーに配置しましたが、会場となった新宿区立産業会館は物販禁止になっておりましたので、ご購入ご希望の読者様にはご要望に沿うことができませんでした。

ここに改めて林 昆範氏と、同氏が在日中にともに研鑽を重ねたグループ昴(すばる)による著書 4点をご紹介いたします。いずれも残部僅少ですが、なかでも 『 ヴィネット 02 中国の古典書物  』 は残りがあと1梱包だけとなっておりますので、ご希望のお客さまは書店ではなく、小社宛てご発注をお急ぎください(ご注文先着順)。

ついでながら、アダナ・プレス倶楽部のWebsite 「 コラム No.012 」に、「活字書体明朝体の成立と将来展望 」 に関する関連記事がございます。ご関心のあるかたはご一読ください。

関連記事:http://www.robundo.com/adana-press-club/column/column012.html

ヴィネット02号

中国の古典書物

林 昆範 著

112頁 定価・本体2500円+税

残部僅少 弊社直送のみ

文字の発生期から印刷の発明へ。悠久の歴史を有する中国の書物の歴史に、気鋭の研究者が挑んだ力作です。文字と書物はなにをどう伝達してきたのか。回シリーズの幕開けです。

ヴィネット06

元朝体と明朝体の形成

林 昆範 著

160頁 定価・本体3000円+税

『ヴィネット02 』に展開された、中国刊本千年の歴史探求をへて、東アジア漢字圏における印刷用文字活字の失われた輪をさぐる林昆範の鋭い視点は、ついにモンゴル族王朝の元朝に歩をすすめて趙子昂(ちようすごう)の行楷書がもたらした元朝刊本の書体と字様の展開を探求した。

それにつづいて漢民族が権力を奪還した明王朝における官刻、藩刻、家刻、坊刻の研究をつうじて「明朝匠体字(みんちようしようたいじ)--明王朝における職人書体」としての明朝体の登場までの歴史を豊富な図版と詳細をきわめた論文によって解明した。漢字書体史研究に必備の研究書。

ヴィネット09

楷書体の源流をさぐる

林 昆範 著

112頁 定価・本体2900円+税

ヴィネット2号、6号につづく、林 昆範氏三部作の完結の巻。

現在もちいられている楷書体活字とは、唐代の楷書の系譜にはなく、清代康煕帝の命名による軟字の系譜にあることを解明した衝撃的な書。

ヴィネット10

石の書物──開成石経

グループ昴 編

72頁 定価・本体2600円+税

グループ昴とは、既刊ヴィネット中国刊本三部作の著者である林 昆範氏を師とした刊本学の学習会をもとにしています。日本語タイポグラフィの基礎づくりをこころみる、グループ昂の第1作目は、現代の漢字活字書体のみなもととなった石の書物として、837 年に唐の都長安に建立された『開成石経』の歴史をひもときます。

活版カレッジ Upper Class

Upper Class

カッパン造形実践者の笑い声が絶えません!

朗文堂 アダナ・プレス倶楽部は、既報のとおり、3月26―27日に【 活版ルネサンスフェア 】 を控え、また5月の連休にあわせて開催予定の 【活版凸凹フェスタ 2010 】 の準備におわれています。それに加えて、年度末・新年度にあわせての、小型卓上活版印刷機 Adana-21J のご購入がかさなり、その慌ただしさに嬉しい悲鳴の毎日です。

ですから、3月間9回にわたって開催される恒例の【 活版カレッジ 】 は5月いっぱいまで休講としましたが、その間隙をぬって? 活版カレッジの修了生で構成される 【 活版カレッジ Upper Class 】の皆さんがときおり参集されています。朗文堂堂主としては正直なところ、かれら、かのじょらが、なにが面白くて参集し、笑いころげているのか良くわかりません。おそらくカッパン造形実践者にとっては、活字を組みあげ、印刷するだけで十分に楽しいのだと思うばかりです。

この皆さんは、昨年の10月頃から、【カッパン・かるた】をつくると称して、紙選びからはじまり、あれやこれやと文案を考え、公募したりと賑やかでしたが、暮れになってもいっこうに【カッパン・かるた】が完成したふうにはなく、いつのまにか【餅っこ・プレス】と称して、足立区のアモール商店街の会員のところに遠征して、セイロ、臼、キネを使っての本格的な【餅つき大会】を開催しました。

12月23日という、すっかり年の瀬も押し詰まった日に、28名の会員が参集しての【餅つき大会】でした。皆さんはつきたての餅を頬ばりながら、「餅もカッパンも、プレスが必要ですね……」と解ったような、解らないような解説つきで、寒風ももののかわ、かつ喰い、かつ飲みで、すっかり盛り上がっておりました。さらに呆れたことに、搗くことと、食べることに夢中で、たれも写真を撮っていなかったので、ここに画像紹介はできません……。


【カッパン・かるた】ですが、梅も咲こうかという昨今、ようやくプロジェクトが本格化したようです。堂主が「やっとかね」とイヤミのひとつも述べると、「なにも慌てることはなく、かるたの制作をつうじて、みんなの技倆が向上することがもくてきですから……云々」。「ハイハイ、わかりましたです」なのです。

ちなみに云う。写真のかるたの刷りだしは(あ)です。印刷はイロハ順にはじめたのではなく、あいうえお順にはじまったようですけど……。

活字ホルダーの歴史

外国のふるい活字見本帳にも紹介されています!

カッパン愛好家の一部に、製本までを手がけられるかたが多くみられます。アダナ・プレス倶楽部ではそんな皆さまのご要望にお応えして、初号5倍角・真鍮製《 活字ホルダー 》を開発・販売しています。もう皆さんにはすっかりお馴染みの《 活字ホルダー 》ですが、この道具の歴史はふるく、1907年版( 明治40 )アメリカ活字鋳造所( ATF )の活字見本帳に、American Lettering Pallet の商品名で、挿図入りの紹介をみます。そこには丁寧な解説があって、活字を挟み込んで箔押しなどに使用する道具であるが、その活字は Brass Type( 真鍮活字 )が好ましいとされています。

ついで登場するのは、キャズロン社フランス支店の 1920-30 年頃の見本帳で、ここにも挿図入りで大きく【 DORURE 】の商品名をみます。これは仏語で「 金箔押し 」を意味しますので、ルリユール( 製本術 )の盛んなフランスでもこの簡便な道具が愛用されていたことがわかります。

アダナ・プレス倶楽部特製 活字ホルダー 42pt.  ( 初号5倍角 )サイズ

受注受付 税込価格10,500円

詳細はhttp//www.robundo.com 特別企画・限定商品内へ進んでください。

アダナ・プレス倶楽部では、《 活字ホルダー 》のように、皆さまからのご要望にはできるだけお応えしたいと努めております。この小さくても凄い道具《 活字ホルダー 》を、ヤケドなどの事故が無いように気をつけてご愛用ください。

林昆範氏講演会 盛況裡に終了

ご来場ありがとうございました!

タイポグラフィ講演会
 「宋朝体と明朝体―書写系と彫刻系書体の相剋」
講師:林昆範氏  主催:タイポグラフィ学会

2月28日、新宿区立産業会館において開催の、タイポグラフィ講演会 「 宋朝体と明朝体 — 書写系と彫刻系書体の相剋 」は、140人を超える皆さまにお越しいただき、盛会のうちに終了しました。来場者の方々に深く感謝申し上げます。