【展覧会】奈良国立博物館|第75回 正倉院展|’23年10月28日-11月13日|また ’24秋におあいしませう

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  南倉 平螺鈿背円鏡 南倉 平螺鈿背円鏡

奈良国立博物館
第75回 正倉院展
会  期  2023年10月28日[土]- 11月13日[月]
開催時間  月・火・水・木曜日   8:00-18:00
      金・土・日曜日、祝日  8:00-20:00
      * 入館はいずれも閉館の60分前まで
会  場  奈良国立博物館 東新館・西新館
      630-8213 奈良市登大路町50番地 TEL 050-5542-8600(ハローダイヤル)
休  館  日  会期中無休  
観  覧  料  一 般 2,000円、高大生 1,500円、小中生 500円
      * 観覧には原則、事前予約制の「日時指定券」の購入が必要(無料対象者を除く)。
      * 日時指定券は当日各時間枠開始時刻まで販売します。
       奈良国立博物館 観覧券売場での販売はありません
      * 各種割引、優待情報などは下掲詳細サイトを参照。
特別協力  読売新聞社
主  催  奈良国立博物館
────────────────────E275-3606北 倉  九条刺納樹皮色袈裟-くじょうのうじゅひしょくのけさ

聖武天皇の遺愛品の目録『国家珍宝帳』の筆頭。
仏教の信仰が息づく、彩りあざやかな樹皮色の刺納袈裟。
聖武天皇遺愛の品を東大寺大仏に納めた際の目録『国家珍宝帳-こっかちんぽうちょう』の筆頭に掲げられた袈裟。その存在は仏教を篤く信奉した聖武天皇を象徴しており、まさに天平期における国家最高の宝物といえる。
「刺納」とは刺し子縫いのことで、黄や緑、縹-はなだ-や赤紫に染められた絹の断片が細かに縫われている。これはぼろ裂を集めて袈裟にする「糞掃衣-ふんぞうえ」の伝統に則ったもので、あたかも樹木の皮のような風合いを見せるため、特に「樹皮色」と称された。

E275-3664北 倉  犀 角 杯-さいかくのつき (サイの角のさかづき)

インド イッカク サイの角から生まれた美しい器。
サイの角の内部を刳り抜いて作られたさかづき。茶褐色に白い斑が混じる色調から、インドイッカクサイの角を用いていると推定されている。素材の質感を活かした美しい器肌や、口縁部を花弁形に作った優美な器形が賞される。なお、『国家珍宝帳』には2口の犀角杯が記載されるが、これらは平安時代に出蔵されたことが「雑物出入継文-ざつもつしゅつにゅうけいもん」[出陳番号4]からわかり、今日では本品とは別物と考える説もある。

E275-3674

南 倉  平螺鈿背円鏡-へいらでんはいのえんきょう(螺鈿飾りの鏡)

螺鈿によって華やかに飾られた大型の銅鏡。
唐 (中国) 製と推定され、高度な技術を尽くして仕上げられた、歴史上最高峰の鏡の一つ。
背面を螺鈿(貝殻片で文様を表す装飾技法) によって華やかに飾った大型の銅鏡。ヤコウガイと琥珀で花文様を表し、地の部分は細かく砕いたトルコ石を散りばめるなど、大変豪華なつくりである。正倉院には螺鈿飾りの鏡が北倉・南倉合わせて9面伝わるが、本鏡はその中でも大型で、デザイン性も高い優品。唐 (中国) 製と推定され、各地の珍しい材を用い、高度な技術を尽くして仕上げられた、歴史上最高峰の鏡の一つ。

E275-3676

南 倉  楓蘇芳染螺鈿槽琵琶-かえですおうぞめらでんのそうのびわ(螺鈿飾りの四弦琵琶)

美しく彩色された琵琶。盛唐期絵画表現を示す伝世品。
美しく装飾された琵琶で、「東大寺」との刻銘がある。槽 (背面) はカエデ材を蘇芳色 (暗い紫色) に染め、白色の貝や玳瑁ーたいまいーを切り抜いて嵌め込み、宝相華や鳥、雲の文様を表して飾る。撥-ばち-で絃を弾く部分には動物の皮が貼られ、白色を塗り込めた上で絵画が描かれる。図柄は、奥行きある風景の前方に、白象の上で奏楽し舞踊する胡人を表すもので、盛唐期絵画表現を示す伝世品として高く評価される。

正倉院B 正倉院C★ 活版アラカルト掲載図版のほとんどは、画面をクリック・タップすると拡大表示されます ★

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正倉院宝物は、東大寺の重要な資財を保管する倉であった正倉院正倉に伝来した宝物群です。正倉院展では、およそ9000件にも上る正倉院宝物の中から毎年60件前後が公開されます。75回目の開催となる本年も、調度品、楽器、服飾品、仏具、文書といった正倉院宝物の全体像がうかがえるラインナップで、宝物の魅力を余すことなく伝えます。

※ 本展は長年にわたる人気展で、全国規模で固定客もおおく、さらに作品保護のために短期間での開催です。ご理解とご協力を。
※【日時指定券の購入方法】同館特設サイト「利用案内 → 観覧料金」参照
※ 作品画像は 奈良国立博物館 から拝借しました。二次流用などはご遠慮ください。

[ 詳 細 : 奈良国立博物館  正倉院展 公式サイト

< 奈良国立博物館  第75回 正倉院展 展示概要 >

< 奈良国立博物館  第75回 正倉院展 展示概要 >

正倉院宝物の歴史は、天平勝宝8歳(756)6月21日、聖武天皇 (しょうむてんのう) の四十九日である七七忌に際して、光明皇后 (こうみょうこうごう) が、天皇遺愛の品を大仏に献納したことにはじまります。献納された品々は、そのときに作成された献納品のリスト『国家珍宝帳 (こっかちんぽうちょう)』に記載され、正倉院宝物の中核に位置付けられています。
本年はその中から、『国家珍宝帳』の筆頭に記載される「九条刺納樹皮色袈裟 (くじょうしのうじゅひしょくのけさ) 」(刺し子縫いの袈裟)をはじめ、「漫背八角鏡 (まんぱいのはっかくきょう)」(無地の花形鏡)や、「鳥草夾纈屛風 (とりくさきょうけちのびょうぶ)」(板じめ染めの屛風)などが出陳されます。中でも袈裟は、聖武天皇の仏教への篤い信仰を象徴する品として、正倉院宝物を代表する屈指の名宝です。

正倉院には、奈良時代に宮廷や寺院内で使われた楽器や調度品のほか、貴人たちのアクセサリーなども伝わっています。「楓蘇芳染螺鈿槽琵琶 (かえですおうぞめらでんのそうのびわ)」(螺鈿飾りの四絃琵琶)は、槽に施されたきらびやかな螺鈿の装飾が目を惹く一方、撥受 (ばちう) けには中国・盛唐期の画風にもとづく山水画が描かれ、奈良時代の異国趣味を濃厚に示しています。「平螺鈿背円鏡 (へいらでんはいのえんきょう)」(螺鈿飾りの鏡)や、「銀平脱鏡箱 (ぎんへいだつのかがみばこ)」(鏡の箱)、「斑犀把漆鞘黄金葛形珠玉荘刀子 (はんさいのつかうるしのさやおうごんかずらがたしゅぎょくかざりのとうす)」(腰帯から下げた小刀)といった品々にも、螺鈿・金銀・珠玉類など、高級な素材が惜しげもなく使われています。これらの宝物を通して、奈良時代の貴人たちの異国情緒あふれる、華やかな暮らしぶりが垣間見られます。

東大寺など大寺院を飾った多彩な仏具類も見逃せません。「碧地金銀絵箱 (へきじきんぎんえのはこ)」(花鳥文様の脚付き箱)は、明るい青の色彩が目にも鮮やかな品ですが、一方で「刻彫梧桐金銀絵花形合子 (こくちょうごとうきんぎんえのはながたごうす)」(花形のふたもの)といった花葉の生き生きとした彫刻に目を見張る品もあり、正倉院の仏具の多様な装飾表現をご覧いただくことができます。
また、東大寺初代別当 (べっとう) をつとめた良弁 (ろうべん)(689-773)の1250年御遠忌にあたる本年、良弁自ら署名した文書を含む「正倉院古文書正集 (しょうそういんこもんじょせいしゅう) 第七巻」(少僧都良弁牒 (しょうそうずろうべんちょう) ほか)が出陳されることも注目されます。そのほか、道教思想にもとづく仙薬 (せんやく) の容器ともいわれる「青斑石鼈合子 (せいはんせきのべつごうす)」(スッポン形のふたもの)などを通じ、奈良時代の信仰世界の奥行きと広がりにも触れていただけます。

正倉院では、長い歴史の中で残片となったものも大切に守り継がれてきました。正倉院事務所による最新の研究成果では、「漆六角厨子残欠 (うるしろっかくのずしざんけつ)」(厨子の部材)の、それぞれのパーツの特定が試みられ、長六角形の平面をもつ奈良時代の厨子の当初の姿が浮かび上がってきました。本年は、こうした厨子や正倉院の塵芥文書 (じんかいもんじょ) の復元研究の成果を通し、宝物が織り成す歴史のロマンを体感していただきたいと思います。

今回の出陳宝物】:59件(北 倉 9件、中 倉 24件、南 倉 23件、聖語蔵 3件)うち6件は初出陳

【主な出陳宝物】
北倉 1  九条刺納樹皮色袈裟(くじょうしのうじゅひしょくのけさ)(刺し子縫いの袈裟) 1領
北倉 16 犀角杯(さいかくのつき)(サイの角のさかづき) 1口
北倉 44 鳥草夾纈屛風(とりくさきょうけちのびょうぶ)(板じめ染めの屛風) 2扇
中倉 15 正倉院古文書正集(しょうそういんこもんじょせいしゅう)第七巻〔少僧都良弁牒(しょうそうずろうべんちょう)、法師道鏡牒(ほうしどうきょうちょう)ほか〕(良弁や道鏡らにまつわる文書) 1巻
中倉 50 青斑石鼈合子(せいはんせきのべつごうす)(スッポン形のふたもの) 1合
中倉131 斑犀把漆鞘黄金葛形珠玉荘刀子(はんさいのつかうるしのさやおうごんかずらがたしゅぎょくかざりのとうす)(腰帯から下げた小刀) 1口
中倉151 碧地金銀絵箱(へきじきんぎんえのはこ)(花鳥文様の脚付き箱) 1合
中倉202 漆六角厨子残欠(うるしろっかくのずしざんけつ)(厨子の部材) 一括
中倉204 漆六角厨子基趾椊(うるしろっかくのずしのきしほぞ)(厨子の部材) 1枚
南倉 36 刻彫梧桐金銀絵花形合子(こくちょうごとうきんぎんえのはながたごうす)(花形のふたもの) 1合
南倉 54 紫檀小架(したんのしょうか)(台付きの架(か)け具) 1基
南倉 70 平螺鈿背円鏡(へいらでんはいのえんきょう)(螺鈿飾りの鏡) 1面
南倉101 楓蘇芳染螺鈿槽琵琶(かえですおうぞめらでんのそうのびわ)(螺鈿飾りの四絃琵琶) 1面
南倉180 赤地鴛鴦唐草文錦大幡脚端飾(あかじおしどりからくさもんにしきのだいばんのきゃくたんかざり)(幡の下端につけた飾り)1枚

※ 観覧ご希望のかたは、下掲詳細公式サイトで最新情報を確認の上ご参加を。
[ 詳 細 : 奈良国立博物館  正倉院展 公式サイト