月別アーカイブ: 2017年8月

【写真展】 Takafumi Ueno PHOTO EXHIBITION 「ARIKA」|’17年9月9日-9月28日|終了

上野隆文個展01
Takafumi Ueno PHOTO EXHIBITION
「ARIKA」

会    期 : 2017年9月9日[土]-9月28日[木]
開館時間 : 11時-20時00分(日曜・最終日は16時まで)
休  館  日 : 9月18日[月・祝]、9月23日[土]
会    場 : 634 展示室 (東京都国分寺市本町2-4-10 東京武蔵野美術学院B1)
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どこか遠くを見つめる瞳、視点が何かに合っていないことは少し離れた場所から
でもわかった。そんな時間が永遠に続くようにも思えたが、ふと顔を上げて、
今まさに久しぶりの再開を喜んでいるような目で私に手を振る。
認知症を患っていた父を撮影するとき、人間同士のコミュニケーションの間に
当然のように存在し、普段は意識もしない「記憶」という物の存在の大きさと
愛おしさを感じずにはいられない。 

父の死後、生と死、時間と記憶をテーマとした作品の制作を行って参りました。
本展示では、時間と共に移ろう生命の姿と、変化することが皆無となった死後の
生物の姿を、写真という手段を用いて写し取り、再び額の中で再構成することで
観た物の心に「瞬間と永遠」「感情」「欲」といった共存することのない様々な
記憶を同時に呼び起こさせます。また、その体験は、観た者の記憶と時間をかけ
て繋がりを深め、対象物の瞬間的な姿からは本来到達できないものとなります。

会期中、本作品のきっかけとなりました私家版写真集「そばえ」も同時に
展示しておりますが、
写真集をお手にとっての閲覧は、作家本人もしくは
スタッフが在廊時に限らせて頂いております。
ご希望の方は、作家本人もしくはギャラリーまで在廊予定をご確認の上
ご来場ください。

《作家在廊予定日》
9/16[土]、 9/17[日]、9/24[日]、9/22[金]12:00-18:00、9/28[日]
* 事前にご連絡いただければ調整させて頂きます。
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Photographer
takafumi ueno      上野 隆文
 tel. 03-3704-4143
ueno@fumikou.com
www.takafumiueno.com
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【艸木風信帖】 04 トロロアオイ 漢名/黄蜀葵 ゆく夏を惜しんで今を盛りと

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 歩きゐて  日暮るる  黄蜀葵かな  澄雄

吾が空中庭園の女王 : トロロアオイが次〻に大輪の花をつけている。
寝起きに「ロダンの椅子」に腰をおろしてこの花をみるのが最大の朝のよろこびである。
空中花壇にはトロロアオイを二鉢植えてあるが、ひとつは三年物、ひとつは二年物で、ときおりみる一年草という紹介はすこし違うようである。

ただし連作をひどく嫌うようで、ことし新潟長岡の「紙漉サトウ工房」からいただいた種子を播いた黒ポットに、迂闊なことにかつてトロロアオイを育てた土をもちいたら、発芽が貧弱で生育に失敗した。来年の再挑戦がいまからたのしみである。
もうすこし秋がふかまると、蒴果サクカ(種子)は黒ずんで硬くなり、風に吹かれておもく揺れる。中にはごま粒ほどの種がみっしりと入っている。
今回はみずからの学習と整理をかねて、辞典的な説明をさせていただいた。
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トロロアオイは中国原産のアオイ科の多年草で、漢名を「黄蜀葵 オウショクキ」と呼ぶ。
その根は胃腸炎・喉頭炎などの薬用となり、また流し漉き用の「ねり 粘剤」の原料、あるいは観賞用に栽培される。
「ねり」は楮 コウゾ や 雁皮 ガンピ などの紙料の繊維を、水中に均等に分散して漂浮させ、均等な厚みと強靭な紙をつくるのに利用する。工業用には化成品もあるが、手漉き紙にはトロロアオイかノリウツギの根から抽出する粘液が好適とされる。

茎は矮性種もあるが、ふつう高さ 1-2m。葉は長い柄があり、手のひら状にヤツデのように 5-9 に深裂する。
夏から秋にかけて直径10cmほどのおおきな花を、茎の上部にまばらな穂状につける。花は朝顔のように短命で、朝方開花し午後にはしぼむ一日花で、淡い黄色。中心部に鮮やかな赤紫色の目が入り美しい。おしべは多数、花柱は5本に分かれ青紫色。
蒴果サクカは角ツノで5稜あり、剛毛があって熟すと硬くなる。
根部は長さ20cmほどの紡錘形に肥大する。根は粘液を多量に含み、打ち砕いて(叩解)水につけたものを手漉き紙の「ねり」とする。本来は多年草であるが、「ねり」にもちいるためには蕾をとり、根に養分をたくわえる。したがって栽培上は一年草として扱う。季語は夏である。


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【図書紹介】 澤田瞳子『若冲 jakuchu』(文春文庫)

20170828180714_00001生誕三百年を迎えて若冲が話題である。昨年の東京都武術館での若冲展は、やつがれは開催早〻に駆けつけたが、次第に話題となり、終盤は入場までに五時間を要するほどの盛況だったとも聞く。
この『若冲』をしるした作家澤田瞳子のことはなにも知らなかった。はじめは立ち読みで「オール讀物」の連載「つくも神」を眺めた。若冲が妻帯していた設定になっていておどろいた。
二〇一五年文藝春秋社から単行本にまとめられ、直木賞候補になったことも知っていた。
お盆の休暇にようやく文庫版を購入した。

そこではじめてこの作家が京都相国寺に隣接する同志社大学の出身だと知った。若冲へのこだわりの原点をみたおもいがした。相国寺は若冲との縁が深く、同寺の塔頭:金閣寺の屏風を中心に展示した承天閣美術館に若冲の作品を展観にいったこともあった。ここでも図録はすでに品切れだった。
いずれにせよ、澤田瞳子『若冲 jakuchu』(文春文庫)は、季節はずれの牡丹の大輪をみたおもいがした好著だった。
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【展覧会】 根津美術館 ほとけを支える ― 蓮華 ・ 霊獣 ・ 天部 ・ 邪鬼 ―

img_supporting_the_buddhist[1]根津美術館 企画展
ほとけを支える
― 蓮華 ・ 霊獣 ・ 天部 ・ 邪鬼 ―
2017年9月14日[木]-10月22日[日](日)根津美術館

◯ 休  館  日   月曜日
* 9月18日(月・祝)、10月9日(月・祝)は開館し、翌9月19日(火)、10月10日(火)は休館

◯ 開館時間  午前10時-午後5時 (入館は午後4時30分まで)
◯ 入  場 料   一般1100円、学生[高校生以上]800円
* 20名以上の団体、障害者手帳提示者および同伴者は200円引き、中学生以下は無料
◯ 会    場         根津美術館 展示室 1 ・ 2
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仏教の多種多様なほとけを、“支えるもの”という視点から見てみようという趣向の展覧会です。
仏教を象徴する蓮の花(蓮華)は、ほとけを支える台座(蓮台)として最もポピュラーです。
文殊菩薩は獅子、普賢菩薩は白象の背にこの蓮台を乗せています。一方、甲冑に身を包んだ四天王は邪鬼を踏み、優美な女神の弁財天は蓮の葉の上に坐しています。そして密教の世界になると、ほとけや台座の種類はさらに多様になります。
 「金剛界八十一尊曼荼羅」、「善光寺縁起絵」「愛染明王像」(いずれも重要文化財)など、根津美術館コレクションより選りすぐった優品約40件を通して、仏教美術のシンボリズムや豊かな表現をご覧いただきます。

【 詳細 : 根津美術館 】  {文字壹凜 Summary

【艸木風信帖】 03 トロロアオイの開花報告をいただきました。ゆく夏を惜しんで大輪の花があでやかです

田中01 田中02サラマ・プレス倶楽部会員/田中智子さんから、新潟紙漉サトウ工房からお分けいただいた矮性のトロロアオイの開花報告をいただきました。
ことしの天候はどこか不安定でしたが、花のすくない晩夏の時期でも、つぎつぎと大輪の花をつける健気なトロロアオイです。
田中さんは五日市の軍道紙工房由来のトロロアオイの育成経験がおありですが、おなじ品種とはおもえない茎のみじかさにおどろかれていました。
夏、ほんとうに終わるんですね。

【展覧会】 ジョアン・ミロ版画展/須坂版画美術館|’17年8月3日-9月24日|終了

20170726155255_00001 20170726155255_00002 20170726173826_00001ジョアン・ミロ版画展 
JOAN MIRO Print Exhibition

◯ 会 場 : 須坂版画美術館
◯ 会 期 : 2017年8月3日[木]-9月24日[日]
前期 : 8月3日[木]-8月29日[火]
後期 : 9月1日[金]-9月24日[日]
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19世紀から20世紀にかけて、スペインでは偉大な画家が続けざまに誕生しました。
まずパブロ・ピカソ(1881)、続いてジョアン・ミロ(1893)、少し遅れてサルバドール・ダリ(1904)の三人です。
かられはダダやシュルレアリスムの影響を受けながら、絵画で様々な手法を試すとともに、作品制作は絵画だけに留まらずリトグラフや陶器、彫刻、巨大なモニュメント、壁画などのあらゆる手段を用いて自分のイメージを表現しています。
ただし、この中で最後までスペインにこだわり続けたのはミロのみでした。

ジョアン・ミロは生涯にわたって版画技法の実験と探求を続け、特に興味深い創造の分野として版画を位置づけていました。
35歳のときに本格的に版画作品を手掛けて以来、発表されたその作品は2,000点を超え、まさにミロのライフワークともいえるものでした。それぞれの版表現の領域で、独自の造形世界を繰り広げています。 

本展では、群馬県立近代美術館、群馬県立館林美術館、高崎市美術館コレクションより、ミロの貴重な版画作品をご紹介します。自由な画風と心躍る配色、ミロの版画世界をお楽しみください。

【 詳細 : 須坂版画美術館