月別アーカイブ: 2015年2月

【会員情報】 林 昆範さん 静かな台湾春節の祝い

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ヴィネット02号改訂版  『 中国の古典書物 』
著  者 : 林 昆範  リン-クンファン
装  本 : B5判 並製本 112頁
発  売 : 2014年06月24日
価  格 : 本体2,500円 + 税
ISBN978-4-947613-89-9
全国有力書店、オンライン ・ ブックショップでご購入できます。
小社でも直売 ・ 直送をたまわります
崔護『都城南荘』DSCN4963DSCN5097動画 YouTube 林 昆範 『 中国の古典書物 』 増刷版 刊行記念講演会 筆書実演編 16 : 24
【 組込難航中につき画像はこちら →
 http://www.robundo.com/robundo/blog/?p=9403 】
会場となった 「 東洋美術学校 」 にちなみ、「 東洋 」 を篆書 ・ 隷書 ・ 楷書 ・ 草書で書き分けています。 また後半部では、右起こし縦組みの中国古典­書物の基本原型となった 竹簡による 「 簡冊 カンサク 」に、著名な唐詩 「 人面桃花 」 を隷書で書き上­げました。
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皆さまの親しい友人、台湾中原大学助教授 : 林 昆範さんから<春節>節日のお便りをいただきました。
林 昆範さんのご一家は優秀で、お父君は 「 中医医学博士 (漢方医学博士)」、ご本人は「 芸術学博士 」、弟さんはアメリカで学んだ 「 医学博士 」 です。

林 昆範さんは勤務地にちかい桃園県にお住まいですが、<春節>だけは別格で、ご両親の住む台北市内のご実家で、一族が寄りあつまっての <春節の祝い> だということです。
下掲写真は、旧暦正月にそなえた林 昆範さん製作の、縁起のよい < お年玉袋 > と、お父上の漢方薬調剤室の写真です。 
列印文元01文元02文元03文元04

【 関連情報 : 林 昆範氏講演 『 中国の古典書物 』 余 話
【関連情報 : 台湾の林 昆範さん 「Red Dot Award : Communication Design 2014」デザイン賞を獲得

【タイプコスミイク】 02月19日は元旦 ! (旧暦ですが)。 Human Sans Serif 銘石B Combination 3 をご紹介。

恭賀新年

祝羊年大吉、身体健康、万事如意、闔家安康 !

中国をはじめ、香港、台湾、韓国など、旧暦で正月を祝う習慣をご紹介したところ、使用書体に関してご質問を頂戴しました。
【 関連情報 : エッ !  いまごろお正月 ?!!  恭賀新年 中国/台湾/香港/韓国のみなさまへ  】

上掲図は、<Human Sans Serif  銘石B  Combination 3 > をもちいております。 元旦早早 !?  広告宣伝めいて恐縮ですが、その書体解説を以下に簡略にお示しいたします。

Human Sans Serif  銘石B  Combination 3

<Human Sans Serif  銘石B  Combination 3 > の書体設計は 欣喜堂 ・ 今田欣一氏によるものです。 欣喜堂 ・ 今田欣一氏は、日本 ・ 中国 ・ 欧米の、書写と印刷の歴史にはぐくまれた、正統的な活字書体の開発をめざしています。
販売は朗文堂タイプコスミイクによるものです。 小社はつねづねお客さまとの双方向の情報交換を希望しております。
本書体をお客さまがご愛用いただき、ご希望、改善点、ご叱声など、ご遠慮なくお寄せいただくことをお待ちしております。

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Human Sans Serif  銘石B  Combination 3

くれたけ 銘石 B   くろふね 銘石 B   くらもち 銘石 B
【 くれたけ くろふね くらもち かな三種の組版テストPDF KANA03 test 505KB 】

【 詳細情報 : 朗文堂タイプコスミイク Human Sans Serif  銘石B  Combination 3

銘石B銘石02L

《 ついにわが国でも ヒューマン ・ サンセリフが誕生! 銘石 B 》
十分なインパクトがありながら、視覚に優しいゴシック体、それもいわゆるディスプレー ・ タイプではなく、文字の伝統を継承しながらも、使途のひろいサンセリフ ―― わが国の電子書体にも 「 ヒューマン ・ サンセリフ 」 が欲しいとされるご要望が寄せられていました。
確かにわが国のゴシック体のほとんどは、もはや自然界に存在しないまでに鋭角的で、水平線 ・ 垂直線ばかりが強調されて、鋭利な画線が視覚に刺激をあたえます。

欣喜堂 ・ 朗文堂がご提案した 「 銘石 B 」 の原姿はふるく、中国 ・ 晋代の 『 王興之 オウ コウシ 墓誌 』 (341年、南京博物館蔵 ) にみる、彫刻の味わいが加えられた隷書の一種で、とくに 「 碑石体 ヒセキ-タイ 」 と呼ばれる書風を製作の源泉としています。

王興之墓誌。南京博物館蔵uu。
『 王興之墓誌 』。 この裏面には、のちに埋葬された
妻 ・ 宋 和之の墓誌が、ほぼ同一の書風で刻されています。
王興之墓誌の拓本uu。
 『 王興之墓誌 』 拓本。
右払いの先端には隷書に独特の
波磔のなごりがみられ、多くの異体字もみられます。
総キャラクター数はこの図版にみるように、わずかな文字種の参考資料でした。

王 興之とその妻 ・ 宋 和之は、中国晋朝の340年代に埋葬されたとみられています。
晋朝では薄葬が奨励され、石碑の建立は禁止されていましたので、墓地に生前の記録を埋設することがみられました。
その 『 王興之墓誌 』 は1965年に南京市郊外の象山で出土しました。

王興之 (309-40) は 王 彬の子で、また書聖とされる 王 羲之(307-65)の従兄弟イトコにあたります。
この墓誌は煉瓦の一種で、粘土を焼き締めた 「 磚 セン、カワラ、 zhuān 」 に碑文が彫刻され、遺がいとともに墓地の土中に埋葬されていました。 そのために風化や損傷がほとんどなく、全文を読みとることができるほど保存状態が良好です。
王家 家系図uu
王 興之の従兄弟 ・ 書聖/王 羲之の ( 伝 ) 肖像画。
同時代人で イトコの王 興之もこんな風貌だったのでしょうか。

魏晋南北朝 ( 三国の魏の建朝 ・ 220年-南朝 陳の滅亡 ・ 589年の間をさす。 わが国は古墳文化の先史時代 ) では、西漢 ・ 東漢時代にさかんにおこなわれていた、盛大な葬儀や、巨費を要する立碑が禁じられ、葬儀葬祭を簡略化させる 「 薄葬 」 が奨励されていました。

そのために、書聖とされる王 羲之の作にはみるべき石碑はなく、知られている作品のほとんどが書簡で、それを 法帖 ホウジョウ にしたものが伝承されるだけです。
この時代にあっては、地上に屹立する壮大な石碑や墓碑にかえて、係累 ・ 功績 ・ 生没年などを 「 磚 セン 」  に刻んで墓地にうめる 「 墓誌 」 がさかんにおこなわれました。

『 王興之墓誌 』 もそんな 魏晋南北朝の墓誌のひとつです。 『 王興之墓誌 』 の書風には、わずかに 波磔 ハタク のなごりがみられ、東漢の隷書体から、北魏の真書体への変化における中間書体といわれています。 遙かなむかし、中国江南の地にのこされた貴重な碑石体が、現代の ヒューマン ・ サンセリフとして、力強くよみがえりました。

よき日がいつも-日日之好日*03 【特別展】 紙幣と官報 2 つの書体とその世界/お札と切手の博物館

印刷局明治10年浮世絵「東京名所 常盤橋内 紙幣寮 新建之図」 広重画 御届 : 明治10年(1877年)01月25日
『 大蔵省印刷局百年史 』 ( 第一巻口絵、大蔵省印刷局 昭和46年06月30日 )
印刷局明治10年ころの写真明治10年ころの紙幣寮

『 大蔵省印刷局史 』( 口絵写真 大蔵省印刷局、昭和37年09月26日 )

1876年(明治09)  近代的なお札の国産化を実現するため、東京大手町に現在の国立印刷局の工場が建設された。 常盤橋はいまも皇居前、日本銀行との間に現存するが、東日本大震災のときの被害があって補修工事中である。
西洋式の赤煉瓦づくり。 正面上部には菊花紋章、その上に鳳凰像をいただいた建物は 「 朝陽閣 チョウヨウカク 」 と呼ばれ、その威容は東京の新名所となった。

「 朝陽閣 」は192年(大正12)、関東大震災によって崩壊したが、幸運なことに 鳳凰像 は事前に颱風にそなえて取り外されていて被害を免れた。
その後さまざまな流転があったが、現在は創建時の姿に補修されて、滝野川にある印刷局東京工場の玄関脇に設置されているという [ お札と切手の博物館ニュース  Vol. 35  2014年12月01日 ]。
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お札と切手の博物館が、まだ大日本印刷市谷工場の脇 ( 国立印刷局市谷工場跡 ) にあったころは、しばしばこの施設を訪れていた。

それが国立印刷局王子工場の脇に移転してからは、はじめての訪館となった。 ゆったりしたスペースだった市谷時代にくらべると、だいぶ手狭にはなっていたが、スタッフの努力で 展示内容はおおいにみるべきものがあった。
DSCN8112 こうぞ、みつまた、がんぴ DSCN8096 DSCN8099JR 王子駅からすぐ近くに印刷局王子工場がある。 その門扉にも「鳳凰」のマークが透かし彫りで入っていた。
工場脇の花壇には、虎ノ門工場にも、市谷工場跡にもあった、良質の製紙材料となる、<雁皮 ガンピ>、< 三椏 ミツマタ >、< 楮 コウゾ > なども植えられていた。
三椏は枝分かれするさい、必ず三つ叉に文枝するのでその名があり、早春のころ、櫻の開花に先だって、
沈丁花とともにつよい薫りを発する。

今回の特別展示は、「 紙幣と官報 ふたつの書体とその世界 」 がテーマであった。
紙幣の書体は、印刷局では紙幣の書体の中心を < 大蔵隷書 > においている。
「 近代的紙幣が発行され、公的書類に使用されていたこの [ 大蔵隷書 ] 書体が用いられてきたのは、この書体が国家の威厳を表すのにふさわしいと考えられたからである。
大蔵隷書は、紙幣に用いつづけられることで、さらなる威厳や信用を付与され、通貨の専用書体として認知されるにいたったのである 」 ―  同展図録より。

また印刷局には 「 官報 」 などにもちいられる、公共性のたかい本文用書体もあり、それを 「 印刷局書体 」 としている。
「 法令は官報の発行をもって効力を発する。 そのため、遅滞なく確実に印刷発行されることが官報の使命であり、安定的に入手できるという利便性が官報の文字にとっての第一義であった。
しかしながら、印刷局書体には公文書で用いられてきた楷書の趣がのこり、大正の書体改造でも正統性を重視していることから、伝統の保持が意識されていたようにおもわれる 」 ―  同展図録より。

《 印刷史研究においても看過されがちだった 印刷局の特異な活字製造 》 ― 同展図録より。
印刷局活版事業の系譜
上掲図は同展図録 「 太政官日誌の活版化 」 より。
明治最初期、印刷局の濫觴が 「 紙幣寮活版局 」 であったことはよく知られるところであるが、既存の、あるいは臨時的な組織が、どのように紙幣寮活版局に、そして印刷局に吸収されていったのかが、今回の特別展パンフレットには、詳細な図版で紹介があった。
同展パンフレットは引用に厳格な制限がみられたので、p.03 の図版をもとに、整理して新製作図版としてここに掲載した。

またp.07-08 にかけて掲載された 「 活版印刷作業工程 」 には、活字鋳造設備の導入時期に関する紹介が写真図版入りでみられた。

  1. [ 活字 ] 母型製造
    活版印刷事業創世時、電胎法 [ 電鋳法 ] によって切片状の文字部 ( ガラ版 ) をつくり、それを真ちゅう製の角材に取り付けたものを [ 活字 ] 母型としていた。
    しかしながら、[ 印刷局は ] 1912年(明治45)にベントン彫刻機を導入し、直接金属片に文字を彫刻して [ 活字 ] 母型をつくる方法に変更した。
     
  2. 活字鋳造
    [ 活字 ] 母型を活字鋳造機の鋳型に密着させて、地金を流し込み、活字を鋳造する。
    活字鋳造機には手回し式と自動式があり、印刷局ではカスチングと呼ばれる手回し式を印書局より引き継いで以降、昭和初年まで使用し、のちに自動式に切り替えた。
     

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上掲二項目は、いわば筆者の備忘録ともいえるものであり、もしも難解だとおもわれたら、当分は読み流していただきたい。

こころを打たれたこと ―― 二階展示室に組版台が置かれてあり、その引き出しに 『 日本国憲法 』 とラベルが貼られた 「 置きゲラ 」 が数枚あった。 わが国の新憲法は1946年11月03日に公布され、翌47年05月03日から施行された。

担当職員にお願いしたら、ゲラケースから半分ほどまでを引き出して見せてくれた。 しっかりと結束され、鉛の鈍い光彩をはなっていた。

すなわちこの 「 置きゲラ 」 は、すでに70年近くにわたって、独立行政法人 国立印刷局 の職員であり、印刷技芸家であり、タイポグラファによって、たいせつに守りぬかれてきたものである。

ところで一階の展示には、お札の偽造防止のさまざまが解説されていた。 もともと紙幣の偽造などはまったく考えていないから、サラリとみただけである。
また、現在では前述の 「 大蔵隷書 」、「 印刷局書体 」 もデジタル化されているそうである。
それでも紙幣にあっては、「 大蔵隷書 」 をデジタル出力したものを、そのままもちいているわけではない。
モノクロ「 千円札 」 の表面の左側の図版を示した。 ここには < 日本銀行 > の文字が上下の行にもちいられている。 このふたつの < 日本銀行 > は、すべての字の、字画の一部に相異がみられる。 それでありながら < 日本銀行 > である。

< 字 > の玄妙さ、いいつくせぬ魅力とはこんなところにもある。

お札と切手_hyou


特別展示

平成26年度 第 2 回特別展
紙幣と官報 2 つの書体とその世界

書体とは文字の姿のことです。
活字印刷技術の誕生以来、これまでに多くの書体が生み出されてきました。
印刷局でも、独自の書体をつくっています。
印刷局の独自書体
は 2 種類あり、ひとつはかつて活版印刷物用として開発され、官報に用いられたもの、もうひとつはお札などの偽造防止対策が必要な印刷物用につくられたものです。
本展は、これらの書体が、官報が法令を伝えるために、あるいは、お札がお金としての信頼を得るためにどのような役割を担ったのか、その誕生背景などから探ります。

◯ 開 催  日
平成26年12月16日[火]-平成27年03月08日[日]
◯ 
開催時間
09 : 30 -17 : 00
◯ 
休 館  日
月曜日 ( 祝日の場合は翌平日 )
◯ 
開催場所
お札と切手の博物館 2 階展示室
◯ 
入 場  料
無  料

【 展示詳細 : お札と切手の博物館 特別展示
【 展示詳細 : お札と切手の博物館 特別展示 見どころ解説

【会員からの情報】 英国 BBC News, テムズ川河床から<Doves Type>を発掘と報じた。ー 故 松本八郎のこと

19世紀世紀末から20世紀の初頭、ロンドンテムズ河畔の
アッパーマル通りにあった、印刷と製本工房が Doves Press でした。
Doves Press は、Cobden – Sanderson と Emery Walker を中心に
Arts and Crafts movement の中核的な存在として知られ
多くの忘れられない図書をのこしています。

Doves Press の工房は、俗に Doves Type とされる
フィリップ ・ プリンスの活字父型彫刻による
独自のハウスフォントを所有していましたが、
1917年(大正06)に、両者のあいだのいさかいがもとで
工房裏のテムズ川にすべての活字と活字複製原型が
投げ捨てられたとされています。

それがこのたび、潜水作業をともなった涙ぐましい調査によって
活字の一部が発見されたことを
英国 BBC News が動画入りで報告しました。
[ 情報提供 : タイポグラフィ学会会員 K 氏 ]

【 元記事 英国BBC : Lost typeface printing blocks found in river Thames 】 動画あり 01:03
【 この項初出 : [会員からの情報] 英国 BBC News, テムズ川河床から<Doves Type>を発掘と報じた。2015年02月13日

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松本八郎_顔松本八郎 遺影 ( 大枝隆司郎氏提供 )

いまはむかし  ロンドンのテムズ河畔のわずかな砂地をさすらうひとりの日本人がいた。
その名を松本八郎という。
松本はときおり砂地にかがみこんでは、それを
掘りおこしたり、あちこちを眺めまわしたりしていた。 松本はここに、かつてのダヴス ・ プレスの活字の一本でもみつけたいとやってきた。

松本八郎からその報告をきいた、もうひとりの日本人がいた。
ならばとばかり、子供と潮干狩りにいった際のちいさな熊手をたずさえて、やはりテムズ河畔の砂地を三時間ばかり掘り起こしてあるいた。 すっかり腰が痛くなった。
まだ千葉の幕張海岸で潮干狩りができたころのふるいはなしである。

ふたりの酔狂な日本人の挑戦はむなしくおわった。 それだけに今回の Doves Type 発見の報告はうれしかった。 そして松本八郎、この世にありせしば、いかにかこの Doves Type 発見の報を喜んだだろうとおもわずにはいられないのである。

松本八郎は、朗文堂に公刊書 『 エディトリアルデザイン事始 』 (A5判 224ページ 1989年09月08日)をのこした。
9784947613219エディトリアルデザイン事始 』 の刊行はもう四半世紀も前になる。 さほど売れた図書ではない。 だからいまでも30冊ほどの在庫があるほどのものだ。
しかし1960-70年代うまれのグラフィックデザイナーのおおくは、本書でエディトリアルデザインの初歩をまなんだはずである。 図書とはそんな存在である。

松本八郎は 『 文字百景 』( 朗文堂 ) にも、三冊にわたって寄稿した。
033  いま再び 「 理想の書物をもとめて」 ケルムスコット ・ プレス逍遙
039  いま再び 「 理想の書物をもとめて」 ダヴス ・ プレス エッケ ・ マンダスの余波
041  いま再び 「 理想の書物をもとめて」   エルンスト ・ ルートヴィッヒ ・ プレッセ探訪
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松本八郎は2014年09月に逝去した。松本は晩年の10年ほどは、おもに出身地の関西方面に友人知己を得て、そちらでの活動がおおかった。そのためであろうか、関西から追悼記の刊行もあったし、ブログでの追悼文もみる。

ところが在京の先輩 ・ 知人から、やつがれが松本八郎の追悼文を < 花 筏 > にでも書けと責められている 。 やつがれ、松本八郎とはほぼ同世代。 だから勝手に先に逝ったというおもいがないでもない。 いずれにしても、もうすこし気持ちと資料整理の時間をいただきたい。
その間、スタッフが松本八郎著の三冊の 『 文字百景 』 を PDF データーにしてくれた。
ご高覧いただければ、黄泉のひととなった松本八郎も喜んでくれそうである。

【 『 文字百景 』 松本八郎著分三冊 matumoto hatirou  7.5 MB 】

テムズ河畔の図033 いま再び 「 理想の書物をもとめて」 ケルムスコット ・ プレス逍遙 ―― 松本八郎 1996年12月

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◎ イギリス  アーツ&クラフツ運動

ロンドン、アッパーマル12-26番地 19世紀末-20世紀初頭
【 この項初出 : タイポグラフィ あのねのね*014 烏兎匆匆 アルダス工房、ドベルニ&ペイニョ、アーツ&クラフト運動 】 一部を抜粋紹介

テムズ河畔、馬車はもちろん、車も入れない、せまいせまい路地がアッパーマル通り。
19世紀中葉からこの路地に造形者が集まり、産業革命の負の側面を解消し、労働の喜びを賛歌するひとつの運動体を形成した。 それが 「 アーツ & クラフツ運動 」 であった。

著名なケルムスコット ・ プレスは この路地の入口、馬車のUターンのスペース ( 現在は駐車場 ) の前に、テムズ河畔に面してあり、路地にはダヴス ・ プレスなどの著名な印刷所と、製本 ・ 皮革工芸 ・ ステンドグラス ・ 刺繍の工房などが軒をつらねていた。

アーツ & クラフツ運動と、ウィリアム ・ モリスに関する紹介は、わが国でも多すぎるほど多い。 吾輩も英国 ・ 米国 ・ わが国の先行資料をそれなりにもっている。
さりながら、多くの執筆者たちは、このせまい路地に立ったことがあるのだろうか……とおもわせる記述が多い。 なによりも、この路地のテムズ川にせりだした 《 パブ ・ ダヴ 》 の珈琲はかなりうまいのだが、たれもそれにはふれないなぁ。
ピクチャ 1
Lost typeface printing blocks found in river Thames
7 February 2015 Last updated at 11:15 GMT

Printing blocks for a typeface called Doves Type have been discovered in the River Thames.
The font has not been used for nearly a century as the printing type blocks, used to print letters, were thrown into the river in 1917.

Nick Wilmshurst reports.

【展覧会】 「大 井上則人デザイン事務所 博」 装丁と割付!~筑摩書房からコアマガジンまで~……プロパガンダの甘い罠。

井上01井上02-「 大  井上則人デザイン事務所  博 」
装丁と割付! -筑摩書房からコアマガジンまで-…… プロパガンダの甘い罠。

日  時 : 2015年02月16日[月]-03月13日[金] 土・日・祝日は休館
09 : 00-19 : 00 ( ショップ営業は 17 : 00 まで )
会  場 : ペーパーボイス 東京

故 ・ 赤瀬川原平氏に師事し 「 トマソン 」 のメンバーでもあった
井上則人氏が率いる井上則人デザイン事務所の大博覧会を開催いたします。
「 写真時代 」 の本文割付から 現在に至るまでの仕事を一挙に公開。
豪華ゲストによるトークイベントのほか、
T シャツや 手拭いバッジなどグッズの販売、

デザイン作業に便利な用紙サイズ表&新聞 「 週刊いんど 」 の配付など
内容も盛りだくさんとなっております。

【 詳細情報 : 平和紙業ショップ&ギャラリー

【展覧会】 佐野研二郎展 「黒に白 MR_BLACK & WHITE」

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第17回亀倉雄策賞受賞記念 

佐野研二郎展  「黒に白 MR_BLACK & WHITE」

◯ 期  日 : 2015年03月03日[火]-04月02日[木]
11:00 am-7:00pm 日曜 ・ 祝日休館 入場無料
◯ 主  催 : クリエイションギャラリーG8
◯ 共  催 : 公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会 亀倉雄策賞事務局
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受賞のことば ―― 佐野 研二郎


いいたいことはたくさんあるが、

それはデザインで還す。

亀倉雄策の仕事で一番好きなのは1964年の東京オリンピックのエンブレムだ。 シンプルで力強く、唯一無二のデザイン。 いつの日かこのようなシンプルで骨太な仕事がしてみてみたい、と思うようになった。

ニッポンを、世界を、あっといわせる仕事。 一生に一度でいいからそういうデザインをしてみたい。 シンプルであること。 明快であること。 太くあること。 Simple. Clear. Bold.  ある日から僕のデザインの指針となった。
デザインとはなんだ。 デザインにはなにができる。 そういう自問自答を繰り返した。

去年、あるきっかけがあり、亀倉雄策の本を読み漁った。 そしてその本にあったポートレイトを見るとちょっと怒っているような、( まだだめだ ) といわれているような気がしたのでまた長いデザインの旅にでた。 それがあるとき再びそのポートレイトを見ると すこし微笑んでくれた気がした。 その後まもなく、まさかの受賞の電話がかかってきた。

忙しいなんて絶対に口にしない。 言い訳はいわない。 目の前の画面は世界に確実につながっている。
デザインはシンプルで深い。 考え、それを超えるべく手を動かし、また考え、また手を動かす。 邪念はいらない。 デザインは思想だ。 簡単に。 深く。 明快に。 太く。
でも簡単に。 ストレスはある。 でもいつも朗らかである。 そういうデザイナーでありたい。 デザインの道はまだまだ続くのだ。 負けない。
僕には亀がついている。 亀はゆっくり、確実にやってくる。

【 詳細情報 : クリエイションギャラリーG8 】

【展覧会】 ヴァチカン教皇庁図書館展Ⅱ-印刷博物館

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ヴァチカン教皇庁図書館展Ⅱ
書物がひらくルネサンス

会      期 : 2015年04月25日[土]―07月12日[日]
休  館  日 : 毎週月曜日(ただし05月04日[月 ・ 祝]は開館)、05月07日[木] 
開館時間 : 10 : 00 - 18 : 00 ( 入場は 17 : 30まで )
入  場 料  : 一般 800円、学生 500円、中高生 300円、小学生以下無料
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「 ヴァチカン教皇庁図書館展 ― 書物の誕生 」 (2002年) 開催から13年目となる2015年。
〈 書物 〉 と 〈 ルネサンス 〉 をテーマに 第 2 回展を開催します。

 
ヴァチカン教皇庁図書館が誕生した時代、書物の再生がルネサンスとともに到来しました。旧来の手写本や、新たに登場した活字本、そして書物を飾ろうという要望にこたえて生まれた木版 ・ 銅版画は、書物の輝きを推進する役割を果たします。

本展では、ヴァチカン教皇庁図書館所蔵の中世写本、初期刊本、地図、書簡類計21点を中心に、印刷博物館および国内諸機関所蔵の書物を加えた計69点を展示、ルネサンス精神の比類なき生き証人である書物の魅力に迫ります。

【 詳細情報 : 凸版印刷 印刷博物館

よき日がいつも-日日之好日*02 【歌舞伎鑑賞】 地球投五郎宇宙荒事 よかったですよ!

 

20150213145417033_0003 roppongi_ff[1]EXシアター六本木   六本木歌舞伎   平成27年02月03日[火]-18日[水]

地球投五郎宇宙荒事

ちきゅう なげごろう うちゅうの あらごと
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< 制作発表記者会見 より>
幕が上がるのは国際都市 ・ 六本木にある 「 EXシアター 六本木 」 である。
歌舞伎ファンならずとも、多くの人に親しんでもらえるような歌舞伎をつくってみたいという。
脚本は、現今売り出し/宮藤官九郎。 演出は、歌舞伎はまったく初挑戦の映画監督/三池崇史。
とことん歌舞伎様式にこだわり、生身の人間の、歌舞伎役者にしかできないことをやるというのがこの物語の面白さだという。 はたして、最後に地球はどう持ち上がるのか?
市川海老蔵、中村獅童、宮藤官九郎、三池崇史 ??  この強烈すぎる 4 人により、とんでもない化学反応的が起こりそうな予感だ。
さて、どうなることやら…。  しかし、これはなんとしても見逃すわけにはいかない !!!
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家の芸を大切に、古典を掘り起こしながらも、次々とチャレンジを重ねてきた市川海老蔵と、歌舞伎役者として舞台映えする 古風さと迫力、そして時代の最先端を駆け抜ける 幅広い魅力の中村獅童が、2015年2月、宇宙規模の新作 六本木歌舞伎 「 地球投五郎宇宙荒事 」  にチャレンジする !

< 惹 句-あらすじ >
時は元禄。 浅草 ・ 浅草寺の空中に円筒形の宇宙船が現れた。 その船から降り立ったのは悪の親玉 ・ 駄足米太夫、衛利庵(えいりあん)である。
その妖気に怯えた江戸の庶民は 上を下への大騒ぎ。 すでに度重なる宇宙生命体の襲来により、江戸幕府はその機能を失っており、パニックを避けるためには、宇宙人の存在を隠蔽する必要があった。

法漢和尚は機転を利かせて、庶民に 「 これは歌舞伎だ! 芝居だ! 」 とごまかし、混乱を沈めた。 そこに花魁道中が通りかかる。 米太夫は地球侵略の手始めにと、吉原一の花魁 ・ 高窓を人質にとらえる。 正義の味方、五郎に扮した團九郎が登場するも、いとも簡単に高窓を連れ去られてしまい……。
團九郎と米太夫の 悲しくも数奇な運命、 團九郎と米太夫の決闘はいかに……。
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いやぁ、よかったですよ。
02月11日[水 ・ 祝]、六本木での成田屋と萬屋の大激突、波瀾万丈の舞台でした。
歌舞伎座が改修工事にはいり、こけら落としののちも、切符が入手難で、ここのところ歌舞伎鑑賞から遠ざかっていた。
たまたま悪友に 三代目松本錦吾(高麗屋) がいて、改修前の歌舞伎座にはしばしば通った。 松本錦吾は若手育成の担当などもしていたので、市川海老蔵も、中村獅童も、浅草公会堂や国立劇場で、子役のころからみてきた。
またこういう通ぶったいいかたはいやらしいが、先代の松本幸四郎(白鸚)、先代の市川團十郎もみてきた。

やつがれ、弱小のみぎり、戯作者 : 福地櫻痴、眞山青果らにあこがれた恥ずかしい過去がある。 これは非才をきつく指摘されてわりとあっさり断念した。
したがっていささか口惜しくもあるが、新作歌舞伎の戯作者として、宮藤官九郎という、あふれんばかりの才をゆうした人材と、時代をともにすることをとてもうれしくおもう。

また成田屋 : 市川海老蔵は お家の流儀、荒事を背負ってじゅうぶんであり、萬屋 : 中村獅童も 梨園の中核を担うにふさわしい熱演であった。
それにしても、やつがれの若き時代の一ページを飾った新劇は不振である。 そして梨園に次次と多彩なエンタテナーが登場するのが羨ましくおもわれるこのごろである。
なによりも、やつがれ、馬齢をかさねてきたことをただただ痛感させられた。

【 関連情報 :EX シアター六本木 地球投五郎宇宙荒事 】 08月に名古屋 ・ 大阪公演があります。

【展覧会】 ggg APPLE+ 三木 健|学び方のデザイン「りんご」と日常の仕事

MIKIKEN OMOTEMIKIKEN URA

第343回企画展
APPLE+  三木 健|学び方のデザイン「りんご」と日常の仕事

◯ 日   時
2015年03月05日[木]-03月31日[火]
◯ 会   場
ギンザ ・ グラフィック ・ ギャラリー ( ggg )

〒104-0061  中央区銀座7-7-2  DNP銀座ビル
Tel.  03-3571-5206
11 : 00 am- 7 : 00 pm ( 土曜日は 6 : 00 pmまで )
日曜 ・ 祝日   休 館  入場無料
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2015年03月のギンザ ・ グラフィック ・ ギャラリーの企画展は、独創的なデザイン教育で注目される、三木健の 『 学び方のデザイン 「 りんご 」 と日常の仕事 』 を展示する 『 APPLE+』 です。
「 りんご 」 という 世界中の誰もが知っている果物を通して デザインの楽しさや奥深さに気づく。 この教育メソッドは、AGI ( 国際グラフィック連盟 ) の講演で世界を代表するデザイナー達に高い評価を得て、スイスのラース ・ ミュラー ・ パブリッシャーズより国際出版されました。
「 デザインは単に見える化することじゃない。 何かが見えてくる化すること 」 という 三木 健 の授業そのものをデザインする 「新 しい授業のカタチ 」 にご期待ください。
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三 木  健 ( みきけん )

グラフィックデザイナー 1955年神戸生まれ。 1982年三木健デザイン事務所設立。
話すようにデザインを進める 「 話すデザイン 」 と、モノやコトの根源を探る 「 聞くデザイン 」 で物語性のあるデザインを展開。 「 気づきに気づく 」 をテーマに静かな表現の中にエモーショナルなコミュニケーションを潜ませる。
主な仕事に世界グラフィックデザイン会議コングレスキット、日本アイ ・ ビー ・ エム ThinkPad プロモーション、ベルメゾン、大阪薬科大学、京急百貨店のシンボルマークなど。
近年、学びをデザインするプロジェクト APPLE がスイスより国際出版。 著書にAPPLE ( ラース ・ ミュラー ・ パブリッシャーズ )、Ken Miki Selected Works 1994-2002 ( アムズ ・ アーツ ・ プレス ) など。 JAGDA、東京TDC、AGI会員。 大阪芸術大学教授。

http://ken-miki.net

【 関連情報 : ggg スケジュール APPLE+ 三木 健|学び方のデザイン「りんご」と日常の仕事

よき日がいつも-日日之好日*01 春を待つ日日。わっせクン、才助とかわす朝の挨拶

朗文堂 タイポグラフィ ・ ブログロール 花筏 > には、さまざまなカテゴリーをもうけているが、そのひとつに、「 朗文堂好日録 」 のカテゴリーがある。 このコーナーは、いつの間にか39回の掲載をみた。

もともと <花 筏> には、日日のよしなしごとを、気軽にしるしてきた。
なかんずく、「 朗文堂好日録 」 には、もろもろのことを、おもいつくままにしるしてきた。
それが良かったのか 悪かったのかしらないが、おもいのほか ( わがままきわまる ) 固定読者がいて、すこしでも掲載をおこたると、「 躰の具合でもわるいのか 」 と心配(のフリ)をしてお便りを頂戴したり、ときには 「 サボるな!」 とメールで叱責されたりする。
花筏 京都・哲学の道【 花筏 : タイポグラフィ ・ ブログロール 花筏での花筏 2013年12月28日
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あちこちに、なんどかしるしてきたが、ノー学部がベランダいっぱいに煉瓦を積みあげ(それ以降は放置
)、さまざまな艸艸を植え、たいせつにしてきた(やつがれ) 「 空中花壇 」 を、昨年、マンションの補修工事のために、ロダンの椅子 ( 100円ショップで購入のバケツを裏返したものダケド ) もろとも、完全に撤去されてしまった。

万事にしまりが無く、だらしないやつがれではあるが、唯一自慢できるのは、こよなく喫煙を愛するがゆえに、布団にはいっての 「 寝たばこ 」 をしないことである。
この誇るべき、うるわしき習慣は、まだ田舎の中学生のみぎり、布団をひっかぶって 「 かくれたばこ 」 を吸っているうちに、ついつい心地よくなってうたた寝をし、布団を焦がし、火傷を負ったあげく、オヤジに張りとばされたことによる。
したがってそれ以来、寝室というより自宅内では喫煙はしないし、もちろん灰皿もおいていない。 ただし、ばんやむを得ず、日中はきりなく喫煙するので、最近やたらに威勢の良い、嫌煙家の諸君 ・ 諸嬢からはきらわれることはなはだしい昨今の嘆かわしい窮状である。

DSCN7958 DSCN7987 DSCN7990 DSCN7989 DSCN7994 DSCN7977というわけで、寝起きのたばこは、寒かろうが、暑かろうが、ベランダで吸う。
これがまた、ことのほか美味いのである。 思索に耽る ?!  ための 「 ロダンの椅子 」はまだ復元していないし、もちろん 「 空中庭園 」 は、姿、形とも無い。

それでもベランダには徐徐に植物が増えてきた。 鉢植えの、花屋で買ってきたようなものだが、この冬は 「 ナデシコ 」 の寄せ植えが色とりどりの花をつけ、目を楽しませてくれた。
昨年の11月に鹿児島で買ったイチゴ(品種はわすれた)は、寒さにふるえながらも、けなげに花をつけ、実になろうとしているようだ。

ところで、ベランダを占拠している異物が < わっせクン > である。 < わっせクン > はバレンタイン モトイ ハロウィンのときに ノ ー学部がなにかのついでに100円ショップで買ってきた。
価格は安いが、ソーラーパワー ( 太陽電池 ) がどこかに内蔵されているらしく、陽射しがつよい日には 「 わっせ、わっせ 」 と左右に躰をはげしく振動させる。
ただそれだけのものだが、目覚めの一服のさなかは、たったひとりの朋輩であり、見飽きることがない。 だからベランダにでると、まず、勝手に名づけた < わっせクン > と挨拶、顔合わせをつづけている。

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< 才助 > は、鹿児島市長田町の五代友厚生誕地をたずねたとき、石垣の割れ目にチンマリと張りついていたちいさな野艸を、三株、たばこの空き箱にいれて持ち帰ったものである。
かにかくに、五代友厚 ( 1836-85  幼名 : 徳助、通称 : 才助 ) は、そのうちに各方面であらたな震撼をあたえるとおもわれるが、いまのところは静かにしておこう。 【 ウィキペディア : 五代友厚

鹿児島からもちかえったこの艸に、油かすの肥料をたっぷりあたえ、鉢植えにした。 残念なことに移植の直後に一株はカラスにもちさられたが、冬だというのにみるみる成長した。 石垣の割れ目では、いかんせん気の毒な感じがしたものだ。
この艸の名前はいまだにわからない。 名前がないのもなにかと不便だから < 才助 > と名づけて成長をみまもっているが、どうもたんなるデージーのような気がしないでもない。
それならそれでも良い。 やつがれ、五代才助こと、五代友厚の 稚気にみちた才覚が好きであるから……。
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2013年清明節に咲いた菜の花。
DSCN9993上掲02点の写真は、上が菜の花、下が野沢菜である。
菜の花はかつて 「 空中庭園 」 での栽培で、昨年年末にアダナ ・ プレス倶楽部忘年会に供した 「 野沢菜 」 は、ベランダでの鉢植えで育てた。

やつがれのふるさと、信州最北部では、菜の花よりも野沢菜の開花をたのしむふうがあった。
ことしは菜の花のふりをした野沢菜の開花をみるために、正月元旦に(ひまだったから)鉢いっぱいにレンゲ草とまぜまぜにして播種した。 いまはようやくフタバをつけたところである。
やつがれ、雪国うまれではあるが、関東平野のこの乾燥した寒さは苦手である。
春をまつこころ、切なるものがあるこのごろである。

春を待つこころ ー 早春賦の碑

早春賦20141125122934304_0002

唱歌 『 早春賦 』(そうしゅんふ)は、1913年(大正02年)に発表されたもので、吉丸一昌作詞、中田章作曲の日本の唱歌。
この時代の唱歌によくみられるように、モーツァルト作曲の歌曲 『 春への憧れ 』 K.596 との曲想の類似性が指摘されている。

この歌碑は、春の訪れがおそい、長野県安曇野市穂高の穂高川の岸辺に建っている。
その脇には、北アルプスの湧水をもちいた「わさび田」がひろがっている。
如月、二月、このあたりは丈余の雪にうもれている。 春をまつこころ、せつなるものがある。
[ 2014年11月23日 撮影 ]
DSCN9371DSCN9376DSCN9360DSCN9379DSCN9365DSCN9367

【 YouTube : 早春賦   由紀さおり & 安田祥子
【 関連情報 : 早春賦の碑

【展覧会】 おいしい東北 パッケージデザイン展 in Tokyo

oishii_exh_MGM073206_みちのく塩辛(新) 仙台での展示風景と、優秀賞作品 (画像データ提供 :JAGDA )

東京ミッドタウン ・ デザインハブ ( 東京 ・ 六本木 )では
2015年3月6日[金]より 第50回企画展となる
「 おいしい東北パッケージデザイン展 in Tokyo 」 を開催いたします。
 
東北経済産業局と日本グラフィックデザイナー協会は
デザインの力によって東北地域の魅力をより強く発信するため
東北の個性溢れる10社、10商品にたいする新しい
パッケージデザイン案を全国のデザイナーから募集し

優秀なパッケージデザインの実用化 ・ 商品化を目指しています。
本展では、審査によって選ばれた受賞作品と入選作品、
合計270点を一堂に展示します。

本展は、昨年仙台で開催された
「おいしい東北パッケージデザイン展2014」の巡回展です。
東北地域の商品の魅力と価値を掘り起こす
多種多様なパッケージデザインの展覧会を、ぜひご覧ください。

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<開催概要>
◯ 名 称
東京ミッドタウン ・ デザインハブ第50回企画展
「 おいしい東北パッケージデザイン展 in Tokyo 」

◯ 会 期
2015年03月06日[金]-03月29日[日] 11:00-19:00
会期中無休 ・ 入場無料

◯ 会 場
東京ミッドタウン ・ デザインハブ
( 東京都港区赤坂9-7-1  ミッドタウン ・ タワー5F )
◯ 主 催
東京ミッドタウン ・ デザインハブ   HP  
◯ 企 画 ・ 運営 : 東北経済産業局
公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会 (JAGDA)

◯ 詳 細 : JADGA Topics

※  JAGDA プレスリリース    Hub_pr_oishii_150204

アダナ・プレス倶楽部会報誌 第27号 完成・配布中です。

アダナ ・ プレス倶楽部の会報誌
『 Adana Press Club NewsLetter   Vol. 27』 ( Early Spring  2015 )を
刊行し、会員の皆さまへ配布中です。
会報誌27表紙
『 Adana Press Club NewsLetter  Vol. 27』 (Early Spring 2015)
表紙使用活字 : 30pt.  ギャラモン ・ イタリック
             24pt.  花形活字 各種

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 主な内容(目次) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・ イベント情報   第18回活版ルネサンスフェア 開催のお知らせ
・ 研究報告     『 タイポグラフィ学会誌  07 』
                             江川次之進の事績と江川活版製造所の変遷
・ 豆知識27       活版印刷 人物伝 ③ 《 15世紀 》
・ 活版まんが19  活版第一たいそうの巻
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『 Adana Press Club NewsLetter 』 の定期購読をご希望の方は、
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なお、毎号バックナンバーの在庫がございませんため、
会報誌の配布はお申込みの次号からとなります。ご了承ください。

【展覧会】 第6回筑波大学版画展-版の上にも六年

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本展は、筑波大学で版画を専攻している学生による展覧会です。

平成22年に文房堂ギャラリーで展示をはじめてから
ことしで06回目となります。
学群2-4年生と、博士前期・後期大学院生が
銅版画 ・ 木版画 ・ リトグラフ ・ スクリーンプリント ・ ステンシルの
各分野で表現した版画作品およそ30点を展示いたします。

◯ と  き : 2015年03月02日[日]-03月07日[土]
                   10:00-18:30(最終日は17:00まで)
◯ とこ ろ : 文房堂ギャラリー  HP
◯ 主 催 : 筑波大学版画研究室

【 詳細 : 筑波大学版画研究室

【展覧会】 塔本シスコ展 文化フォーラム春日井 ・ ギャラリー

20150116_塔本シスコ展_A4チラシ_オモテ面_再入稿データ_ol 20150122144924062_0002塔本シスコ(1913-2005)は熊本県うまれ。 サンフランシスコにあこがれた
父親の夢にちなんで、シスコと名づけられたとされます。
50歳を過ぎてから本格的に絵を描きはじめました。

そして92歳で亡くなるまでのあいだ、膨大な数の作品を残しました。
創りたいという衝動が生み出した作品からは、圧倒的なエネルギーと共に
塔本シスコの明るく朗らかな人柄が伝わります。
塔本シスコは、「 岡本太郎とアールブリュット」 展、日経新聞 ( 2014/10/24 )、
雑誌 「 ku:nel 」No.71 (2014.11.20発売号)などで紹介され、注目が高まっています。

◯ 会  場
文化フォーラム春日井 ・ ギャラリー
◯ 開催日

2015年02月14日[土]-03月29日[日]  ※ 月曜休館 ( 祝日の場合は翌平日 )
◯ 時  間

10 : 00-17 : 00
◯ 入場料

¥300 ( 65歳以上 ・ 中学生以下 ・ 障がい者手帳を持参の方とその介助者 1 名 無料 )
◯ 主  催

かすがい市民文化財団

【 企画詳細 : かすがい市民文化財団 塔本シスコ展 ~こどもの心を持ったおばあちゃん画家~
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なんとも、ときのたつのが早く感じられます。

愛知県春日井市の 「 かすがい市民文化財団/文化フォーラム春日井 」 にお招きいただき < アダナ ・ プレス倶楽部 in かすがい市 > を開催したのは2010年11月13日[土]―14日[日]のことでした。

2006年に発足した朗文堂 アダナ ・ プレス倶楽部が、 Adana-21J の設計 ・ 試作を終えて、本格的に Adana-21J を発売したのは2008年のことでした。
ですからアダナ・プレス倶楽部にとって、新製造の活版印刷機 Adana-21J をひっさげ、東京をはなれて、
最初の大型イベントが < アダナ ・ プレス倶楽部 in かすがい市 > でした。

ふり返ってみると、< アダナ ・ プレス倶楽部 in かすがい市 > は、たった02日間のイベントだったのか、とおどろきます。 それほど充実して、成果とインパクトのおおきなイベントでした。 その成果の一環でしょうか、中京地区、とりわけ愛知県には アダナ ・ プレス倶楽部の会員のかたがたくさんいらっしゃいます。
多くのご来場者を会場に迎え、ワークショップに、展示に、そして中京地区の会員と、東京から出張った会員との交流にと、ともかく春日井市でのイベントは忘れられない存在です。

うれしいことに当時のスタッフが在籍されており、折にふれて催事案内などをいただいております。
そこに添えられた 「 一筆箋 」 は、さすがに 「 書のまち春日井 」 ―― 書家/小野道風生誕の伝承地とされるのが春日井市 ―― だけあって、嬉しく、また懐かしくなると同時に、あまりの達筆に、悪筆のやつがれはいつも赤面するばかりです。

【 関連情報 : アダナ・プレス倶楽部 in かすがい市 活版ルネサンスの進展を実感! 2010年11月16日  20150122144924062_0003

上掲図版は、かすがい市文化財団情報誌 『 Forum Press  Vol. 65 』 ですが、文化フォーラム春日井は、映画 ・ 音楽 ・ 講演会 ・ 展示 と、じつに様様なイベントを丹念に積みかさねています。

20150131002711812_000120世紀美術と アウトサイダー ・ アート <パラレル ・ ビジョン > 展
1993年09月-12月  世田谷区立美術館 図録表紙

今回の展覧会 <塔本シスコ展> のような作品群を、なんでもカテゴライズしたいひとの一部では、アウトサイダー ・ アートといいます。
アウトサイダー ・ アート (英 : outsider art ) とは、特に芸術の伝統的な訓練を受けておらず、名声を目指すでもなく、既成の芸術の流派や傾向 ・ モードに一切とらわれることなく自然に表現した作品のことをいうようです。 【 ウィキペディア : アウトサイド ・ アート

ところが 「 アウトサイダー 」 には局外者 ・ 部外者の意がありますし、「 アウトサイダー ・ アート 」 には健常者と障害者の二項対立することばの影をみないではありません。
うれしいことに、文化フォーラム春日井のキューレーターの姿勢には、そんな影はみじんもみられません。 さすがです。
いずれにしても、みんなで努力して、「 アウトサイダー ・ アート」 にかわる、あたらしいことば、あたらしい概念をつくっていきたいものですね。

【再掲載】 アダナ・プレス倶楽部 in かすがい市 活版ルネサンスの進展を実感!

アダナ・プレス倶楽部 in かすがい市

本項の初出は2010年11月16日、アダナ・プレス倶楽部ニュースでした。当時はブログ型メディアの容量がすくなく、画像などはちさく紹介しておりました。このたび<活版 à la carte>において久しぶりに春日井市を取りあげましたので、ここに画像の一部を入れかえて再掲載いたしました。
【 関連情報 : アダナ・プレス倶楽部 in かすがい市 活版ルネサンスの進展を実感! 2010年11月16日 】 

◯ 日 時     2010年11月13日[土]―11月14日[日]
◯ 会 場     文化フォーラム春日井
◯ 主 催     財団法人かすがい市民文化財団

*  活字版印刷ワークショップ   クラス 1 ――  学童向け  クラス 2 ――  一般向け
*  企画展示  < 活版印刷の歴史と未来展 >

書の町として著名な、かすがい市民文化財団様からの熱心なお誘いをいただき、アダナ ・ プレス倶楽部が、愛知県かすがい市に出張して、 「活字版印刷ワークショップ」 と、 「企画展示 ―― 活版印刷の歴史と未来展 」 が盛況裡に終了いたしました。

かすがい市民文化財団の皆さま、そして東海地区にとどまらず、京阪神地区、北陸地区からお越しいただいた皆さまにあつく御礼を申しあげます。
また在京のアダナ ・ プレス倶楽部会員の皆さまも、遠路を春日井市まで駆けつけてご協力いただきました。 本当にありがとうございました。

02日間、04回、各回10名の定員のワークショップは、各回とも事前申込みが定員を大きく上回り、参加者は相当な倍率の抽選をくぐり抜けてのご参加だったそうです。
そのためご夫婦で申し込まれたのに、おひとかただけが当選となって、どちらが参加するのかちょっとした 「 家庭騒動 」 もあった、と笑いながら漏らされた参加者もいらっしゃいました。
ですから毎回の参加者の意気込みはひとかたならぬものがあり、スタッフも熱気にたじたじの内容の濃いワークショップでした。

企画展示は、テーマを 「 活版印刷の歴史と未来展 」 として、従来あまり論究されることがなかった東海地区の活版印刷と活字鋳造に関して、あたらしい資料をご紹介し、この地で製作された図書などの実際をご覧いただけるように努力いたしました。
また、活版関連機器や資材は重量があって出張展示には適さないのですが、できるだけ多くの実物を運搬し、活版印刷の魅力と可能性をご紹介するべく努力いたしました。

通常、アダナ・プレス倶楽部のイベント報告は写真紹介が少なかったのですが、主催者のかすがい市民文化財団様から写真データをご送付いただきましたので、百聞は一見にしかず、今回の報告は写真画像を中心にご紹介いたします。

7198e3da_4ce08ae9まずはお行儀良く着席して説明を聞きます。
a45b8082_4ce08ae2活字を組み終え、印刷に突入、踏み台に乗っての作業。 
b7d68395_4ce08ae6 合間をぬっての特製名刺ホルダーの製作作業。

a27e84fb_4ce08af2  花形活字も名前も組んだ。 あとは印刷機で刷るぞ!
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花形活字入りの名刺がドンドン刷り上がります。
d9518372_4ce08aef 360f9de_4ce08e2f  一番お気に入り名刺は誰にも見せないでおこう!
\(^O^)/>^_^<\(^O^)/(^◇^)\(^O^)/(^o^)\(^O^)/
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ドウダ! ボクもワタシも活版印刷やさんだぞ!
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自作の詩を和様三号活字から文選作業。活字初体験!

78d55f6f_4ce08a1f  文選した活字を組版ステッキに組み並べる参加者。
9de287a_4ce08e1b  読みにくい和様三号活字でも、要領さえわかれば独りでも。
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* * *
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* * *
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ゆったりとした会場に心地好い緊張がはしる会場。
14463b51_4ce08cc2 2955044d_4ce08e21 dc037fd7_4ce08e26  脈々と継承された活字の全貌がわかる展示に熱い会場。

【会員からの情報】 英字紙 The Guardian は古代都市ヘルクラネウムから発掘されたパピルス紙から、一部文書抽出に成功したと報告。

イギリスの新聞 < ガーディアン The Guardian > は、2015年01月20日に、ベスビオ火山の噴火によって、ポンペイとともに分厚い火山灰におおわれ、埋没していた、古代都市ヘラクラネウムから発掘された 「 パピルス上の文書 」 の一部の解読に成功したと報道した。
その情報を会員の I 氏から提供いただきましたので紹介いたします。
ヘラクラネウム01 ヘラクラネウム02イタリア西南部、ナポリにちかいまちが ヘルクラネウム である。
この忘れられていた古代都市「 ヘルクラネウム  Herculaneum 」 は、ポンペイとおなじく、西暦79年の 「 ベスビオ火山 Mount Vesuvius 」 の噴火で、300度を超える熱風におそわれ、さらに20メートルをこえる火砕流 ・ 土石流と、降りつもった火山灰におおわれ、その存在すらながらく明らかではなかった。

ヘルクラネウムはその後、1709年に井戸掘り職人によってを偶然発見されるまで、1600年以上ほぼそのままの姿で地中に眠っていた。
この発見以来発掘作業が進められており、ポンペイより規模はちいさいものの、より豊かなひとびとが居住していたことがあきらかになりつつある。
この発掘作業は、積み重なった火山性凝灰岩を取りのぞきながら現在も進行中であるが、数百巻におよぶパピルス(古代の紙の一種)の一種の巻子本が発見されて入れている。

これらの巻子本はすっかり炭化しており、解読は不可能とされてきたが、「 ビトー ・ モセッラ Vito Mocella 氏 」 らは、1802年に贈り物として 「 ナポレオン ・ ボナパルト Napoleon Bonaparte 」 に献上され、現在は 「 フランス学士院 Institute of France 」 が所蔵する炭化した巻子本を、最新のレントゲン撮影術を駆使して、広げないまま断層的に撮影し、そこからいくつかのギリシャ文字の抽出に成功した。

今後さらに解読が進むことによって、、伝統的な文学の最も重要な発見が出現するかもしれない。
ことばでは簡単そうだが、印刷された図書を読むのとは違って解読は大変そうである。 全部解読するのに何年かかるのだろう。

【 この記事に関連する外部のサイト 】
◯ https://soundcloud.com/bbc-world-service/2000-years-old-herculaneum-scrolls-are-greek