月別アーカイブ: 2014年9月

【会員情報】 モトヤが平野富二賞受賞の報告と、モトヤ活字資料館のご案内

 

タイポグラフィ学会 <第 4 回 平野富二賞>
受賞者を 株式会社モトヤ に決定
授賞式開催のお知らせ

平野富二uu平野富二賞モトヤ平野富二賞  賞状 ならびに 記念品

 タイポグラフィ学会(会長 : 山本太郎)は、株式会社モトヤ(大阪市)を 「 第 4 回 平野富二賞 」 受賞者に選定いたしました。
タイポグラフィ学会では、日本の近代活字版印刷術の始祖ともいえる、本木昌造と平野富二の業績にちなんだ 「本木昌造賞」 と 「平野富二賞」 を設けております。
平野富二賞は、タイポグラフィの普及発展に著しく功績のあった個人及び団体に対するもので、その対象者は社会へのタイポグラフィの認識を高める行動及び啓蒙などにおいて、その事績がタイポグラフィ学会にとどまらず、広く社会に貢献していると認められるものです。

このたび株式会社モトヤにたいして、1949年(昭和24)に活字の基本書体の開発後、国内における活字鋳造の発展はもとより、たゆまざる<モトヤ正楷書体>の改刻、日本初となる文字のデジタル化にたいする業績などを高く評価いたしました。
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第 4 回  平野富二賞授賞式
タイポグラフィ学会 会長 : 山本太郎
日 時 : 2014年09月23日[火 ・ 祝] 午後 03 時から
会 場 : 学校法人 専門学校 東洋美術学校
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抜けるようにたかい秋晴れの空のもと、2014年09月23日、タイポグラフィ学会は <第10回 年次総会> を開催し、つづいて <第 4 回 平野富二賞授賞式> を開催しました。
ここに <第 4 回 平野富二賞授賞式> の模様を、写真画像をもってご紹介いたします。

平野富二賞 プレゼンター:平野正一氏。受賞者:モトヤ左) プレゼンター : 平野正一氏 (タイポグラフィ学会会員、平野富二玄孫)
中) 受賞者 : 株式会社モトヤ技術部課長 / 芳仲孝夫氏
右) タイポグラフィ学会副会長 : 木村雅彦氏 モトヤ 芳仲氏講演 モトヤ 吉仲氏講演02平野富二賞 受賞記念講演 株式会社モトヤ技術部課長 : 芳仲孝夫氏 平野富二賞授賞式後の記念撮影平野富二賞 授賞式後の記念撮影

【 詳細情報 : タイポグラフィ学会 URL 】

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《 モトヤ 活字資料館 貴重な活字見本帳を新展示―芳仲孝夫氏情報提供 》

活字資料館の新規展示_1 活字資料館の新規展示_2 活字資料館の新規展示_3
< 活字資料館の開設にあたって > ―― 平成9年2月 株式会社 モトヤ
株式会社モトヤは、平成8(1996)年7月31日、創業以来75年間にわたって、共に喜び、共に苦しんできた「活字」との別れの日を迎えた。
このことは後退を告げるものではない。モトヤの社是「顧客と共に栄える」を標榜し、21世紀に向け、100周年に向け、さらには永遠に歩み続けることを誓って、力強く、新たな一歩を踏み出したことを意味している。
まさに、モトヤがコンピュータ時代に対応して、「アナログ」の世界から訣別し、「デジタル」の世界で生きることを宣言した記念すべき日である。

しかしモトヤはアナログの世界を無視するのでなく、むしろそこで培ってきた知識をベースにして、そこから新しいデジタルの世界を築いていくのでなければならない。その関わりの中に明日の糧となるものがある。当資料館を開設した所以ユエンである。
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株式会社モトヤ大阪本社の2階には、「 モトヤ 活字資料館 」として、創業(大正11年)から平成8年まで営んでおりました鉛活字の製造や組版作業の様子をはじめ、今も引継がれるフォントデザインの過程を常設展示しています。
活字資料館についてのお問い合わせは、株式会社モトヤ大阪本社(担当/技術部課長 : 芳仲孝夫)までお願いします。

  モトヤ 大阪本社   〒542―0081
 大阪市中央区南船場1―10―25
 電 話 (06)6261―1931
 FAX  (06)6261―1930

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《 モトヤ 活字資料館 貴重な活字見本帳を新展示―芳仲孝夫氏情報提供 》
モトヤ活字資料館につきまして、主に貴重な見本帳を中心にショーケースでの展示を新設いたしましたので
関連資料をご紹介させていただきます。

  1. 明治末期発行 大阪青山進行堂の活字見本帳
  2. 大正末期発行 大阪青山進行堂の活字見本帳
  3. 1912年発行 米国『AMERICAN TYPE FOUDERS』社の通しナンバー付き活字総合見本帳
  4. 昭和初期発行 森川龍文堂の活字見本帳・印刷機器一覧
  5. 1950年代発行 イタリア『NEBIOLO ネビオロ』社の活字見本帳
  6. 1950年代発行 ドイツ『LINOTYPE ライノタイプ』社の活字見本帳
  7. 大正15年発行 共同印刷の花形見本帳
  8. モトヤが昭和30年代にデザイン・活字製造・輸出を行っていた、ビルマ(現ミャンマー)、タイ、サンスクリットなど、当時の東南アジア文字のデザイン原字

CDD ・ VD ・ ブルーレイ ・ 各種メモリなどのデジタルメディアは、100年後にその情報をみることができるかというと、再生機器の問題や、メディアの保存性の観点などから、それは不可能に近いとされています。
しかし紙媒体は、100年以上、いや丁寧につくられ保存状態が良ければ数百年後であってもその情報をみることができます。整理をしつつ、改めて紙媒体のすばらしさを知った次第です。
【 詳細情報 : モトヤ 活字資料館

十五夜のお月さま――月に叢雲ムラクモ、花に風といいますね。月餅と最中、Flea Market 蚤の市

    DSCN7232 DSCN7238 DSCN7255《十五夜お月さまをきれいに撮影したかったが、叢雲 ムラクモ が邪魔をして……》 
長月ナガツキ 九月、09月08日は十五夜であった。旧暦 (陰暦 ・ 太陰暦) だと、この日は八月十五日となるので、この十五夜の名がうまれたようである。<活版 à la carte>にふさわしい話題かもしれない。
この日のお月さまを 「十五夜の望月 モチヅキ-満ち足りた月 ≒ 満月」と呼び、「仲秋の名月」とするのは、陰暦では07月を初秋、08月を仲秋、09月晩秋といい、その08月 仲秋の十五夜が満月となることからその名がうまれたとされる。

秋の名月をたのしもうとすると、雲が邪魔をし、また春の花(櫻)を愛でようとすると、風や雨が邪魔をすることがある。この日の夜も新宿の空には叢雲ムラクモがわき、なかなか「十五夜の望月」が撮影できなかった。
古人はそれを、<月に叢雲 花に風> とし、せっかくの風情をだいなしにしてしまうと嘆いていた。さらにそれが転じて、<よいことには、えてして邪魔が入りやすい> ことのたとえともする。

《中国の友人、清華大学 副教授 原 博 (yuán bó) 先生のおみやげは月餅だった》
中国 ・ 北京の友人/清華大学美術学院の副教授 原 博 (yuán bó) 先生が来日されて、2014年08月23日[土]、朗文堂アダナ・プレス倶楽部を訪問された。
原先生とは、昨年末、ことしのはじめと、二度にわたって北京でお会いしたが、日本でお会いするのははじめてであった。

おみやげに、
「まだすこしはやいのですが、北京の月餅です」
とはなされながら、下掲写真中央奥の赤い箱 「北京福香月餅-四味」 をいただいた。
目敏いノー学部は、中国の生活用品を描いた包装紙に、「月餅の型」 があるのをみつけた。

「この月餅の型と同じようなものは、ことしの一月、北京のフリーマーケットで買ってきました」
といって、木製の素朴な月餅の型を引っぱりだしてきた。
「あら、壽 字が彫ってありますね。よく見つけられましたね。これは実際に使われたものですよ」

この型は、ちょうど手鏡ほどの大きさのものであるが、月餅の包装紙の一部が開封のときに痛んでしまったので、そこに乗せて撮影してあるのでご覧いただきたい。
【 関連情報 : アダナ・プレス倶楽部ニュース 中国の友人、原 博さんがご来社に!】

DSCN7264 DSCN7290 DSCN7293《お菓子の 月餅と 最中モナカ の季節感とは
わが国の暦コヨミから季節感が乏しくなって久しいものがある。
そもそもほとんどのひとが、祝日(特に国でさだめたいわいの日)と、祭日(皇室の祭典をおこなう日。神道シントウで死者の霊をまつる日。祝日の俗称の意もある)の違いがわからなくなっている。またかつて存在した「旗日」などということばは、ほぼ死語となっている。
また、暦ならぬカレンダーのおおくは、日曜と祝日が平日とは色違いで表示されるくらいで、その日はいったいなんの祝いの日で、どうして休日になっているのかわからないままのことが多い。

ところで月餅である。わが国ではいまや、ほぼ四季を問わずみかけるお菓子であるが、08月23日に来社された原 博先生は、
「まだすこしはやいのですが、北京の月餅です」
と述べておられた。つまり中国の習慣では、08月23日はまだ月餅を贈りあうにはすこしはやいのである。
そう、月餅も最中モナカも、もともとは秋の、それも秋のさなか、仲秋(中国では中秋)のお菓子である。

気候の苛烈な中国にあっては、餡アンを主体として水分の多いこれらのお菓子は、夏ならすぐに腐敗するし、冬ならまもなく凍結してしまう。
これがおだやかな気候のわが国にもたらされ、さまざまに工夫され、また保冷 ・ 保温設備(かてて加えて防腐剤)の普及などもあって、四季を問わずに食せる、わが国にすっかり同化したお菓子となった。

「最中」とはおもしろいことばである。
すなわち漢の字の最中は、「最中 さなか ・ さいちゅう ・ もなか」とさまざまによまれる(和訓)。
お菓子の「最中モナカ」は、餅米の粉を蒸し、それをうすくのばして、餡をつつみこんで、月餅と同様に、陰暦の初秋、仲秋、晩秋の 「秋の最中サナカ、仲秋 ・ 中秋」 につくられ、食されていたものである。

この最中の由来には若干異論もあろうが、本来は望月 ≒ 満月を模して丸い形をしていた。それがいまや各地の名産品となって、形もさまざまに変化し、パンダ最中、くまモン最中までが登場するようになって、日持ちのよい、わが国のお菓子となった。
したがっていまや、秋よりは食感がおとるものの、真夏や真冬に「月餅 ・ 最中」を食そうと、それはそれで良いのではないかとおもっている。

 中国 ・ 北京の友人/清華大学美術学院の副教授 原 博 (yuán bó) 先生(中央)  DSCN7282

長月ナガツキ 九月、09月08日十五夜に、近くのコンビニエンス・ストア(便利商店)で買った月餅

《中国の中秋節は09月下旬に設定され、おおむね三連休となって秋の行楽のときとなる》
古来の暦法にならい、中国では翌年の祝日を、12月中旬になってから法定祝日として政府が発表するそうである。これではカレンダー製作業者などはおおごとかとおもえるが、
「秦の始皇帝のころから、暦はそうなっています」
と、平然としているのが中国人の奇妙さでもある。
【リンク:中国の祝日 2013年/2014年 カレンダー】。

いまの中国の法定の祝日には、元旦 ・ 春節 ・ 清明節 ・ 労働節 ・ 端午節 ・ 中秋節 ・ 国慶節などがあり、元旦(新暦の正月)は01日、春節(旧暦の正月)と、国慶節(1949年中華人民共和国建国記念日。10月01日)は07日、それ以外の祝日は03連休となる。
ちなみにことしの中国の中秋節は09月27日で、26日[金]-28日[日]の三連休となっている。

ノー学部がはじめて中国を訪れた2011年は、たまたまこの「中秋節」のときにぶつかって、各地で観光バスでやってくる観光客の大混雑に巻きこまれて閉口した。
中国南宋のみやこ、杭州(臨安)を訪れた日がまさにその日で、日中は残暑と人混みですっかり疲労した。
ところがノー学部は中国がはじめてというのに、どこでどうやって調べるのか知らないが、夜の水上ショー <印象西湖> を勝手に予約していていた。

 
夕暮れの西湖1 西湖の中秋の月夜のとばりがおりるころ、杭州西湖に中秋の望月が顔をだした。 それはそれはみごとなものだった。
灯ともしころになると、喧噪をきわめた団体客は宴会でもはじめているのか湖畔に静寂が訪れた。
そして西湖のほとり、岳飛(北宋末期の武将)廟前の湖岸(西湖岳湖区)に、昼間はみえなかった「収縮式ひな壇型客席」があらわれ、さまざまな国から訪れた観光客で1,000余人ほどの客席はびっしり満員となった。
さすがに国際観光都市 : 杭州だけに、おおきな団体客の姿はなかったが、バケーション ・ シーズンの混乱を避けていたとおぼしき、物腰のおだやかな欧州の老夫婦の姿もたくさんみかけた。またインド系やアラブ系の顔立ちや服装のひとも多かった。

<印象西湖>は西湖岳湖区の水上を舞台として、中国の山水を融合させたもので、中国江南地方の四季折折の自然の風景描写が幻想的な世界を演出していた。
このショーの監督は、中国映画の巨匠、北京オリンピック開会式の演出家 : 張芸謀ジャン イー モーで、音楽は日本の音楽家 : 喜多郎だった。幾多郎は、ドキュメンタリー番組 『 NHK 特集 シルクロード』 のテーマ曲で鮮烈な印象をのこしたひとだった(ウィキペディア : 喜多郎)。

湖畔に喜多郎の曲のしらべがながれ、やがてとおい湖面にポツンとちいさな月があらわれ、それがしだいに湖畔にこぎ寄せられ、おおきな月影となって水上ショーの幕が切って落とされた。
物語は杭州を舞台した民話<白蛇伝>をモチーフとして、若い僧と蛇の化身の恋物語だったが、湖面に設置された舞台でおどる200余名の華麗な舞踏と、喜多郎の哀切をおびた音楽がマッチして、観客は固唾をのんで見守っていた。
それを天空たかく、望月 ・ 満月の冴え冴えとした月が照らしだしていた。

こうしてノー学部にとって、二日目の中国の夜はしんしんと更けていった。
ホテルからは、ずっしり重い、おおきな箱入りの中秋の月餅が、宿泊客には無料でくばられた。

参考 : アダナ・プレス倶楽部ニュース エッ、いまごろお正月 !? 上海在住の会員がご来社に

印象西湖1 印象西湖2 印象西湖3 印象西湖5 印象西湖6

《中国公営のフリーマーケット 潘家園舊(旧)貨市場 のみの市ってなんでしょう》
2014年01月19日[日]、北京の友人の案内で、潘家園旧貨市場をたずねた。このときに買い求めたのが、先に紹介した「月餅の木型」である。
潘家園旧貨市場はふるくからあって、露天のもとで古物(中国では二手)や、安価な雑貨などを扱う、ちいさな個人商人が雑然と群れていた地区だったという。

近年これを整備し、一部を屋根付きの商場とするとともに、出店人 ・ 業者を2,000店(人)ほどとして、 細部はわからないが、登録制かつ時限を切った交代制として、行政の一定の規制のもとでの民衆市場イチバとしたそうである。したがって猥雑さのなかにある面白みはへったが、しつこい押し売りは無いし、治安もわりと良い地区に変貌した。
そのために、いまも潘家園旧貨市場という正式名称より、潘家園ハンカエン二手市場、百姓跳蚤市場とよばれて、おおくの民衆が訪れる場所となっている。
ただ、地下鉄の駅から潘家園旧貨市場までのわずかの間の道には、登録から漏れた(ときには悪質な)業者がしつこくつきまとうので用心が必要である。
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<二手市場> とはいいえて妙で、英語でも 「古物商店 Secondhand Store 」とあらわされる。どちらが先か、あるいは、たまたまなのかは知らない。
ところでここまで、この場所を <フリーマーケット> と紹介してきた。やつがれ、まこともって恥ずかしいことながら、この <フリーマーケット> とは 「 Free Market 」 だとばかりおもっていた。
まさか 「フリーマーケット Flea Market 」とは……。 露 しらなんだ。

賢明なる <活版アラカルト> コーナーの読者のみなさんは、上掲写真三枚目をご覧いただきたい。そこには赤地に黄色の字で <百姓跳蚤市場> とある。
「百姓」は、わが国とはいくぶんことばの位相がことなり、人民 乃至 民衆 ・ 市民の意である。そのあと、蚤ノミが跳びはねる市場イチバ、すなわちここは「蚤の市イチ」である。

ここですこし考えた。 「蚤 ・ のみ ・ ノミ  Flea だよな。発音はフリーで良かったかな ?  ……アレッ ! 」
あとはもう恥ずかしいから、「フリーマーケット」 でも、「蚤の市」 でもなんでも辞書で調べていただきたい。

「蚤の市」 の語源はフランスにあるようだが、英語での 「Free Market」 はむしろ経済学の学術用語であり、「自由競争によって価格と数量の決まる市場シジョウ」とされる。市場 シジョウ と 市場 イチバ は、どういう定義がなされるかつまびらかにしないが、あきらかにちがうのである。
したがって英語でも、ロンドンや、ウィーンの「蚤の市イチ」、そしてこの潘家園旧貨市場のようなところは、多くの英和辞書では、<Flea market   露天の古物や安物市場イチバ ノミの市イチ> とされている。
これからは 「蚤の市」 の主催者は、「Free Market」 と気取って英語表記すると……。

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と、まぁいろいろ考えさせられる場所が潘家園旧貨市場である。民衆は出店者と値段交渉の駆け引きをたのしみ、もしかするとめぼしいものでもないかと、気楽に散策していた。同行した友人は、
「ここの出土品というのは、ほとんど嘘だからね」
とわらってのんびり歩いていた。幸いやつがれも古物愛玩趣味は無い。

このコーナーにもしるしたことだが、欧州諸国と同様に、中国でも図書と雑誌は明確に区別されている。すなわち図書(書籍)は、二手書店と呼ばれて、潘家園旧貨市場に隣接したビルに、わりと良質な古書店が十数件ある。こちらは鍵付きの堅牢な書棚がずらりとならんでいる。
ところが雑誌類は、こういう蚤の市の地べたか、せいぜいビニールシートの上に並べておかれ、二次循環の客を待つ。また二手書店で買い手がつかなかったわずかな図書も、ここには安い価格で陳列されている。 DSCN2798 DSCN2802 DSCN2804 DSCN2807 DSCN2809 DSCN2812 DSCN2813 DSCN2814 DSCN2850 DSCN2852 DSCN2857 DSCN2859

【会員情報】 フジグラフィックス版画工房さんが出展されています。

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日 程:   2014年09月10日[水]-2014年09月14日[日]
時 間:   10 : 00-19 : 00
備 考:   プログラムによって開催日時が異なります。
料 金:   入場無料
備 考:   紙の対話、オープンフォーラムは登録制
会 場:   1F メインギャラリー、1F コミュニティスペース、1F 103、1F ラウンジ

第2回国際木版画会議のサテライト事業 「版画スタジオ / AIR」は、アーツ千代田3331 (会場アクセス : 101-0021 東京都千代田区外神田6丁目11-14) を会場とし、国内外の版画レジデンス • 工房の担当者会議、オープンフォーラム、展覧会、懇親会、また版画用品の見本市、素材の知識 • 流通についての意見交換を行います。

海外から100人以上のアーティスト、版画家、研究者が来日し、専門家相互の情報交流が行われます。 現在、海外ではたくさんのアーティストたちが木版画制作をしています。 近年、木版画の技術、道具、素材、市場、教育に関するアカデミックな研究発表の場が欲しいとの要望が高まり、2011年、京都と淡路で、第1回国際木版画会議が開催されました。

第2回目となる東京大会は、東京藝術大学がホスト校となり、アカデミックな研究発表は東京藝大で、版画制作(木版画に限らない)に関する問題解決とネットワークづくりのための意見交換は、アーツ千代田3331のサテライト会場で行われます。

入場無料(登録制)で、海外のレジデンスに興味がある人は、どなたでも参加でき、情報収集とネットワークを広げる機会にして頂けます。
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■ 版画AIR / スタジオのショーケース 「Inter-Nation & Interpretation」(入場無料)
版画スタジオ • AIRで制作された作品紹介と、カタログやビデオによるスタジオ紹介。さまざまな場から生まれるさまざまな表現の展覧会。
会    場 : アーツ千代田3331 メインギャラリー
日    時 : 2014年9月11日[木]- 9月14日[土]10 : 00-19 : 00 最終日15 : 00まで
【 詳細情報 : 第2回国際木版画会議のサテライト事業「版画スタジオ / AIR」
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以下は朗文堂 アダナ ・ プレス倶楽部会員の皆さんと楚山俊雄さんの フジグラフィックス版画工房 さんにお邪魔したときの様子です。フジグラフィックス版画工房でのワークショップの様子1 フジグラフィックス版画工房でのワークショップの様子2 フジグラフィックス版画工房でのワークショップの様子3 フジグラフィックス版画工房でのワークショップの様子4

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以下は 「活版凸凹フェスタ2012」 で開催した活版ゼミナール 【印刷の四大版式の違いを学ぼう!】 で、フジグラフィクス版画工房さんに出張 ・ 指導 ・ 実演いただいた際の様子です。
活版凸凹フェスタ2012での出張ワークショップの様子1 活版凸凹フェスタ2012での出張ワークショップの様子2 活版凸凹フェスタ2012での出張ワークショップの様子3

東京ミッドタウン・デザインハブ第47回企画展 <本・ことば・デザイン>

絵柄面 本・ことば・デザイン_宛名面
名  称 : 東京ミッドタウン・デザインハブ第47回企画展 「本 ・ ことば ・ デザイン」 展

会  期 : 2014年8月29日(金)-9月28日(日) 11:00–19:00 会期中無休 ・ 入場無料
主催 ・ 企画 ・ 運営 : 東京ミッドタウン ・ デザインハブ
 (構成団体 : 公益財団法人日本デザイン振興会、公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会、武蔵野美術大学デザイン ・ ラウンジ)
協  力 : 王子エフテックス株式会社、株式会社脇プロセス
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この企画展は、「本とそこに記されたことばを読み取り、いかに豊かに伝えられるか」をテーマに構成されています。

文筆、建築、デザインなどの各界で活躍する第一人者によって選ばれた、「デザイン」を感じる本と、その本の中でもっとも印象に残るテキスト、それら本来は目に見えない言葉というものを展示会場で視覚化し、感じてもらいます。また、選ばれた本は、展示会場内で来場者が実際に手に取って読むことができます。
本そのものに加えて、本の中のことばが空間性を伴ったデザインによって表現されることで、人々により豊かにことばのもつ力が届けられるとともに、デザインの力を実感していただける場となることをめざしています。
【詳細」URL : 東京ミッドタウン・デザインハブ第47回企画展 「本 ・ ことば ・ デザイン」展

アメリカの若き活字鋳造工/マーク夫妻 アダナ・プレス倶楽部訪問 帰国後の図書プレゼント。

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2014年06月25日の午後、アメリカの若き活字鋳造工/マーク ( Mark Sarigianis ) & クリスティーヌ夫妻がアダナ・プレス倶楽部を訪問した。このことはすでにお知らせしている。
【 関連情報 : 活版 à la carte アメリカの若き活字鋳造工/マーク夫妻アダナ・プレス倶楽部訪問

マークは学生時代にはグラフィックデザインをまなんだそうである。ところがアメリカではすでにグラフィックデザインで食べていくことはとても難しい状況にあり、卒業後、地元のビール会社に就職。そこで資金をためて、三年前からサンフランシスコの活字鋳造所に活字鋳造工として勤務している。

クリスティーヌはマークとは同郷で、幼児教育のスペシャリストとして勤務する傍ら、趣味として版画製作に取り組んでいるそうである。
夕方になると、
仕事を終えたアダナ・プレス倶楽部会員の皆さんがつぎつぎとかけつけて賑わった。そこでのマーク夫妻との一問一答を再度ご紹介しよう。

  • アメリカでは趣味程度で活字鋳造をしているひとはたくさんいるが、ビジネスとして営業している活字鋳造所は、アメリカ全土でも現在は三ヵ所のみである。
  • マークとおなじ活字鋳造所で働いていた先輩も、最近独立して、自分で活字鋳造をやっている。将来はマークも活字鋳造所としての独立を目標としている。
  • 活字母型製造が頭痛の種である。アメリカでは活字母型製造所は現在一ヵ所だけが稼動しているが、技術には難点がある。
  • 流行の強い印圧に関しての意見。
    クリスティーヌ : わたしは版画みたいで好き! わたしの場合は活字がどんなに磨滅しても、マークがいくらでも鋳造してくれるから大丈夫 ♡
    マーク : 活版印刷の製作は、自分の好きにやれるのが魅力。でもあんなに強い印圧では活字がつぶれてもったいないね。
    米国西海岸のカードを印刷するひとは 「 bite impression 」 が好きみたいだけど、僕はおもに本を印刷するから 「 Kiss impression 」 で印刷しているよ。

《日本におけるたくさんの活版造形者、とりわけ図書製作に驚愕。ふかい感銘を受ける》
翌日、
マーク夫妻は活版カレッジ修了生の宗像氏(DODO 主宰)のご案内で、活版アトリエ愛花アイカさん、印刷博物館、佐々木活字さんなどを訪問した。
マークはもともと造形者であり、また活字鋳造工でもあるので、アダナ・プレス倶楽部会員の製作物と、諸施設での見学をつうじて、日本語組版における活字フォント(ひと揃いの活字セット)の膨大さ、すなわち、漢字 ・ ひら仮名 ・ カタ仮名 ・ 欧文数字など、日本語組版に必要とされる活字の多様さと、その数量には真底驚愕したようである。

またどちらかというと、各種の凸版類でのカード印刷が中心の、アメリカ西海岸でのいわゆる <活版印刷> とはちがって、膨大なキャラクター数の活字をそれぞれが苦心して入手し、小型とはいいながらも図書印刷に立ち向かう、わが国の数少なくない活版造形者の姿勢にふかい感銘を受けたようである。

「皆さんの活字と活版印刷へのモチベーションはともかく凄い。あのパワーはどこからくるのだろう」
マークがぽつりとやつがれにのこしていった発言である。

帰国からしばらくして、マークから活字鋳造の先輩であり、最近 Sharp Teeth Press という名称で活字鋳造と活版印刷工房を開設したばかりの David Johnston 氏が製作した一冊の書物が届いた。
デビットは、かつては大石とも商用メールをしばしば交わしていたひとでもある。
そしていまや、マークからたくさんの日本の活版印刷情報を仕入れたこのひとも、マークと同様に、いずれ飄飄と朗文堂 アダナ・プレス倶楽部に登場する日がおとずれる
のだろう。
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書   名 : 2BR02B
製   作 : Sharp Teeth Press, Oakland 2014 (活字鋳造 ・ 印刷 ・ 手製本)
製作部数 : 80 部 (上製本/軽装本は別途)
主要仕様 : 革装上製本、総活字版印刷  本文用紙/ドイツ製耳付きハンドクラフト紙
        本文用紙寸法 /天地 ≒253mm, 左右 ≒194mm  24 ページ
組版仕様 : 活字サイズ・書体=12pt  DeVinne  組幅=28 picas  行間=4pt  leading

【 関連情報 : Sharp Teeth Press. David Johnston 動画がたくさんあり見飽きません 】
【 動画URL: 2BR02B Making Books-Part One  1:49

【 動画URL: 2BR02B Making Books-Part Two  2:41 】
【 関連情報 : 活版 à la carte アメリカの若き活字鋳造工/マーク夫妻アダナ・プレス倶楽部訪問

【会員情報】 杉本昭生 小型本の世界 Ⅳ

朗文堂 アダナ・プレス倶楽部会員、京都在住の杉本昭生さん製作の小型本(いわゆる豆本)紹介の第四弾です。今回はステージを<活版 à la carte>にかえて、以下の三冊をご紹介します。

◎ 杉本昭生小型本 第12作 『 冬日の窓 』 永井荷風
◎ 杉本昭生小型本 第13作 『 舞鶴心中の事實 』 高浜虚子

◎ 杉本昭生小型本 第14作 『 マーク・トウェインの箴言集 』 (第一作の改作)

ともすると小型本の製作者は、なによりも小型であることと、装本のおもしろさにこだわりがつよいあまり、そのテキストや、読書のための判別性と可読性を失っていることがみられます。
ところが杉本昭生さんは、もともと読書家ですので、たとえ小型本であろうと、テキストを厳選し、みずからも読み、読者にも読んでもらおうというつよい意志を感じます。

ところで、ご本人は照れているのか、なにもお知らせがありませんでしたが、京都御所のちかくの <一晴画廊> で、杉本さんの小型本がこの夏に展示されていたようです。
20140821140054[1] 20140821140211[1]
杉本昭生さんの小さな本/「夏休みの木陰」展
京都御所南 一晴画廊のブログ 2014年08月21日

「夏休みの木陰」展
色鉛筆画 小さな本 日本画 染織
2014年08月19日[水]-08月24日[日]
一晴画廊

604-0951  京都市中京区晴明町660(二条通富小路西入る南側の京町屋)
075-212-3484  080-5714-3753

「なんて美しいものが、ひっそりと世に生み出されていたのだろうか」
杉本昭生さんの本を手に取った時、ため息と共に漏れた言葉です。
こんな作品を、一晴画廊にお寄り下さるお客様へお届けできれば……
その一心で、杉本さんへお願いしました。

じつは、このちいさな本は販売用にお作りになったものではありません。
主に、本が好きな親しい方への、贈り物にされていました。
それを画廊で扱わせていただくことが、本当に良いことなのか
散々考えあぐねた結果、画廊のなかへ
「ひっそりと置かせていただく」ことになりました。

製本も、言葉選びや配置も、すべてが杉本さんの手でなされています。

まるで、杉本さんの言葉に祝福された魂が、
この世にカタチとなって顕れたかのようです。―― 一晴画廊

お送りいただくたびに添付されている、杉本昭生さんの味わいのある「製作メモ」から、テキストの一部を抜粋して、写真とともにご紹介します。
なおこのアダナ・プレス倶楽部 <活版 à la carte/活版アラカルト> のページは、任意の写真をクリックしていただくと、フォトギャラリーをお楽しみいただけます。 cropped-column.jpg

 ◎ 杉本昭生小型本 第12作 『 冬日の窓 』 永井荷風

『冬日の窓』は荷風晩年の随筆です。
東京大空襲で家を焼かれた荷風は、友人の助力を得て、
明石、岡山と疎開生活を続けました。
何年か先には、わたくしも彼とおなじ年齢になります。
幸いにも戦争体験はありませんが、近ごろの世間の動向には
漠然とした不安を感じています。
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◎ 杉本昭生小型本 第13作 『 舞鶴心中の事實 』 高浜虚子

高浜虚子は俳人であり、俳句雑誌『ホトトギス』の編集者として知られています。
また一方で『俳諧師』や『風流懺法』のような味のある小説も書いています。
この作品が虚子の文学の傾向をあらわしているものではありません。
もっといい作品がほかにもあります。作者のために一言付け加えておきます。
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◎ 杉本昭生小型本 第14作 『 マーク・トウェインの箴言集 』 (第一作の改作)

三年前、たいした理由もなくちいさな本をつくりはじめました。

最初につくったのがこの『マーク・トウェインの箴言集』です。
嬉しくて、たれかれなく渡していたら、気づくと手元には
乱丁の一冊がのこっているだけでした。
今回は再版でもあり、簡単だろうとおもっていたら
なかなかそうもいかず、やり直しをくり返す始末でした。
[表紙タイトルは銀色です]
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本を読まない者は
本を読む能力のない者と
少しも変わるところがない
──
飢えた犬を拾ってきて
大切に育ててやれば
決して噛むことはないだろう
そこがいちばん違うところだ
犬と人間の
──
人間はみな月だ
誰にも見せたことのない
暗い面をもっている

【リンク:アダナ・プレス倶楽部ニュース 杉本昭生 小型本の世界Ⅰ】
【リンク:アダナ・プレス倶楽部ニュース 杉本昭生 小型本の世界Ⅱ】
【リンク:アダナ・プレス倶楽部ニュース 杉本昭生 小型本の世界Ⅲ】