カテゴリー別アーカイブ: 艸木風信帖

【小川一真 撮影資料紹介】古写真 新吉原大門-しん よしわら おおもん|福地櫻痴揮毫 春夢正濃満街桜雲 秋信先通両行燈影|撮影 小川一真

0247_02_2「古写真」 新吉原大門 撮影者:小川一真(長崎大学 附属図書館)
 活版アラカルト掲載図版のほとんどは  図版画面をクリック or タップすると拡大表示されます 

明治14年(1881)に建てられた新吉原の大門前から、吉原の中央を貫いていた通り、仲之町方向に向かって撮影されたもの。門上にガス燈と思われるものが置かれ、鉄製の門柱には福地櫻痴の書「春夢正濃  満街櫻雲   秋信先通  両通燈影」* が陽刻で彫りつけられ(鋳込まれ)ている。
この明治初期の時代、写真撮影は魂を抜きとるという俗信があって民衆から警戒されたが、中央に配された人力車夫ほか数人の人物がカメラの方を見ている。
中央の植栽は大きなものではあるが人工花壇で、四季折折の樹木や花卉に植え
かえられていた。

明治中期、東京、撮影者:小川一真、クレジット:長崎大学附属図書館所蔵/共同通信イメージズ 
※この説明文は、画像の委託時につけられた情報です。研究の進展により記載の情報が変わる可能性があります。
提供元:長崎大学附属図書館[整理番号6‐21‐0] 
* 上掲写真の転用はご遠慮ください。
平野* 長崎大学附属図書館から提供をいただいた吉原大門の写真と説明文を紹介した。吉原大門は上方風に「おおもん」と呼ぶのがならわし。現在はわずかに都バスの停留所にその名をのこす。それに対して芝増上寺の大門は「だいもん」と呼ぶ。これを混同すると「粋ならず 不粋」とされた。
いまやこちらも地上の大門は存在感がうすいが、都営地下鉄浅草線と大江戸線の乗換駅「大門ーだいもん」で、地下空間は巨大化している。
向かって右の門柱には「春夢正濃 満街櫻花」と解説があったが、実際の画像を確認すると「春夢正濃 満街櫻雲」であった。
福地櫻痴は書芸家では無いが、いかにも粋人らしく、咲きほこる大輪の牡丹の花のように豊饒な書をいくつかのこしている。ここに読みやすく紹介した。[図版協力:青葉水龍]

Genichiro_Fukuchi福地 源一郎 櫻痴(国立国会図書館所蔵)

【 福地 源一郎  櫻痴 ふくち げんいちろう  おうち 1841-1906 】
明治の新聞記者、文学者。本名源一郎。櫻痴は号。天保12年3月23日長崎の医師の家に生まれる。幼少時から秀才の誉れ高く、長川東洲-おさがわとうしゅう-に漢学を学ぶ。ついで名村花蹊-なむらかけい-に蘭学を学び、江戸に上る。
1859年(安政6)森山多吉郎の塾に入って英学を修めた。同年幕府に出仕し、通訳として累進。1861年(文久1)と1865年(慶応1)の二度にわたり幕府使節に従って渡欧、国際法などを研究したほか、欧州における新聞の速報性と影響力にも関心をもつ。
明治維新に際しては、大政奉還に反対する建言をしたが入れられなかった。また数次に及んだ海外渡航経験からヨーロッパ文明に傾倒し、幕政改革を画策したが不首尾に終わり「江左風流第一才子」と自称して遊蕩に耽った。

幕府の瓦解により失職し、68年(慶応4)『江湖新聞』(木版摺印)を出して余憤を吐いたが、佐幕的内容のために明治政府により発行を禁止される。福地は入獄したが短期日で釈放。また売文・遊蕩生活を続けるうち、渋沢栄一の紹介もあって、伊藤博文に認められ、70年大蔵省に出仕した。同年、伊藤に従って渡米、財政制度の調査研究にあたる。いったん帰国ののち、岩倉使節団の一員として再度洋行。このころ、木戸孝允-きどたかよし-の知遇を得る。

1874年大蔵省を辞職し『東京日日新聞』に主筆として入社。おりからの自由民権論に対抗して漸進主義を主張した。御用記者と非難されながらも「吾曹-ごそう」と自称する福地の社説は、岸田吟香の「雑文 ≒ 社会面」とともにつねに注目された。
この岸田吟香による「雑文」が、長崎の本木昌造の訃報を電報で受信して、東京築地活版製造所への弔問報告とともに翌日の記事として紹介した。いずれ本稿でも紹介したい。
福地は1877年西南戦争に従軍して長崎にくだり、開戦時にこちらも長崎から電報をもって「只今戦争始まり候」とする簡潔な戦況報道によって新聞の声価は高まった。しかし1883年に『官報』が発行されてからは経営不振となり、1888年『東京日日新聞』を退社した。
以後は小説家、劇作家として活躍。政治小説、歴史小説を著した。歌舞伎の改良にも尽力し、歌舞伎座(初代)を現在地に創立したり、『春日局-かすがのつぼね』『侠客春雨傘-きょうかくはるさめがさ』などの戯曲(脚本)を書いた。
1900年(明治33)『やまと新聞』顧問となり、多くの論説、小説を同紙に発表した。また『幕府衰亡論』、『懐往事談 付新聞紙実歴』など貴重な史論を残した。その生涯は先駆者の悲喜劇をみごとに体現した一生であった。明治39年1月4日死去。墓地は東京谷中霊園にある。

VigH1L00『ヴィネット00号 櫻痴、メディア勃興の記録者』(片塩二朗、160頁 並製本 定価・本体3000円+税)
激動の明治初期に勃興した、新聞、活字版印刷、書物、雑誌を記録した福地櫻痴。忘却されていた記録を発掘してその原点に帰り、鋭く原点をえぐった渾身の力作。

4-19-49107長崎市崇福寺通りに「福地櫻痴生誕の地」碑がある。福地櫻痴はとかく毀誉褒貶のおおい人物だが、毎日新聞の前身『東京日〻新聞』主筆兼社長、衆議院議員・東京府府議会議員(議長)・初代歌舞伎座の創設・戯作家・文筆家など多方面で活躍した、激動の明治ならではの怪物である。稿者は訪崎に際しては寸暇をぬすんでこの碑の前にたつことが多い。
稿者の後方、坂をくだると、もうそこは江戸の新吉原、京都の島原とならび、三大遊郭のひとつとされた丸山遊郭である。放蕩に耽った櫻痴の源泉をみるおもいのする碑である。
即ち稿者にとっては、明治、もっとも興味ぶかい人物は、福地源一郎こと、福地櫻痴である。

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【艸木風信帖】空中庭園|Lingua Florens|ひそひそと秋がきた|10月神無月、神〻は出雲に集うているのに霜月11月がきた|寒いのは苦手である

寒いのは苦手である。例年長月ーながつき-終盤 9月28日にはストーブを焚いたし、エアコンを暖房に切りかえて嫌われてきた。逆に暑いのは平気だと信じていたが、10月神無月ーかんなつきーは暑かった。よろづの神が出雲に参集して宴に興じているのを幸、武蔵の国江戸のこおりに南方の神が潜入したらしい。エアコン暖房はいまも家ではつかっていない。ただ家人が便座の暖房を入れてくれて嬉しかった。それは神無月の終焉の日であった。武蔵の国神は宴をおえて帰國したらしい。

バジルの花バジルの花-地味な花だけど、なぜか蝶と蜂には大人気。
文字どおり、日の出から日没まで4-5匹の蟲が蜜をあさっている。ときには雀も忍び足。

空中庭園の香草類はしばしば食卓にのるが、ノー学部はさすがにバジルは繁茂にまかせているようだ。その分隣の鉢のルッコラは鋏でチョッキンだけでなく、農薬をつかわないのでこのごろは青虫がムシャムシャやっている。吾輩のお気に入りのトロロアオイの花は豪華絢爛に咲きほこるが、こちらは蝶も蜂も寄りつかない。それだけではない、夕まぐれになると花は摘まれ、サラダやおひたしの具材になっている。無上、モトイ、無情かつ残酷をきわめるのである。10月ー神無月の花実である。

1日に4つも咲いたトロロアオイ1日に4つも咲いたトロロアオイの花

ウツギの実ウツギの実
オカワカメの花オカワカメの花
ハナミズキの実ハナミズキの実
メドーセージ(サルビア・ガラニチカ)メドーセージ(サルビア・ガラニチカ)
ヤブガラシヤブガラシ
源平菊(エリゲロン)源平菊(エリゲロン)
トレニアトレニア

【展覧会】深沢紅子 野の花美術館|生誕120年記念 深沢紅子 野の花によせて展 + イベント 野の花さんぽ|’23年6月28日-10月23日

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深沢紅子 野の花美術館
生誕120年記念 深沢紅子 野の花によせて展
期  間  2023年6月28日[土]- 10月23日[月]
      会期中無休
会  場  深沢紅子野の花美術館
      軽井沢タリアセン内
      389-0111 長野県北佐久郡軽井沢町大字長倉217 電話:0267-45-3662
      * 軽井沢高原文庫から 徒歩5分 の所にあります。
開園時間  軽井沢タリアセン 午前9時 - 午後5時  * 12月・1月は 午前10時 - 午後4時
入  館  料  深沢紅子野の花美術館入館券 大 人 600円  小中学生 300円
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軽井沢にゆかりをもち、野に咲く花を描き続けた洋画家・深沢紅子(ふかざわ こうこ 1903-1993)は、今年生誕120年を迎えます。
深沢紅子は、1964年ころから約20年間、軽井沢の堀辰雄1412番山荘(現在、軽井沢高原文庫に移築)を借用して夏を過ごし、高原の野の花を多く描きました。同美術館がこれまで収集した作品群と、近年あらたに寄贈された作品の中から水彩・油彩約50点を選び、ご紹介します。

◆ 深沢紅子 プロフィール ◆
深沢紅子は1903(明治36)年、岩手県盛岡市に生まれました。16歳の時上京し、女子美術学校日本画科に入学、その後同校の西洋画科に転科、岡田三郎助に師事して西洋画を学びました。1922(大正11)年、同郷の画家・深沢省三と結婚。1925(大正14)年には二科会に初入選、その後、一水会、女流画家協会などで活躍、1952年からは一水会委員として、1993(平成5)年に亡くなる直前まで創作活動を続けました。
◆ 軽井沢との関わり ◆
19358(昭和10)年、詩人・津村信夫の詩集『愛する神の歌』の装画を依頼されたことをきっかけに、深沢紅子は初めて軽井沢を訪れました。堀辰雄、立原道造など、軽井沢ゆかりの文学者たちと親交を持った紅子は、信州・軽井沢の清冽な自然に魅せられ、戦後、堀辰雄の別荘を借り受け、約20年間夏の間を過ごすようになりました。軽井沢では、幼い頃より魅了されて以来、生涯にわたり愛した、高原に咲く野の花を描きました。

※ 下掲詳細公式サイトで最新情報を確認の上ご観覧を。
[ 詳 細 : 深沢紅子 野の花美術館 軽井沢タリアセン

深沢紅子野の花美術館  軽井沢タリアセン山野草ガイドツアー
野の花さんぽ
2023年6月-10月 第4土曜日の恒例イベント
深澤0703深沢紅子野の花美術館  軽井沢タリアセン山野草ガイドツアー
野の花さんぽ
2023年6月-10月 第 4 土曜日の恒例イベント
日  時  2023年6月24日㈯、7月22日㈯、8月26日㈯、9月23日㈯、10月28日㈯
      * 小雨決行
料  金  深沢紅子野の花美術館入館券(大 人 600円、 小中学生 300円)
定  員  10名程度  * 要予約
ガ  イ  ド  軽井沢サクラソウ会議・自然観察指導員
集  合  当日、深沢紅子野の花美術館入館券またはミュージアムセット券ご購入のうえ、
      12時55分に深沢紅子野の花美術館までお越しください。
予約方法  電 話 0267-46-6161 または FAX 0267-45-3663まで連絡ください。
      (予約は 前日15時まで 受付けております)

※ 下掲詳細公式サイトで最新情報を確認の上ご観覧を。
[ 詳 細 : 深沢紅子 野の花美術館 軽井沢タリアセン

【艸木風信帖】サラマ・プレス倶楽|Lingua Florens-ことばの花園|’23年7月27日 猛暑のあいまに + 新宿餘談 輝安鉱・アンチモン・伊予白目|東京大学総合研究博物館 若林鉱物標本展 会期末

紫 陽 花 の 末 一 色  と な り に け り  一  茶

ビルの谷間、人工地盤、五坪ほどの小庭、植えも植えたり、数十種の艸木
Lingua Florens  2023年07月  猛暑のなかでの開花報告
朗文堂 サラマ・プレス倶楽部

カラスウリ1カラスウリの花
カラスウリ2カラスウリの花   花冠は夕方から開き裂片の先は細く裂けて房状に垂れる。
雌雄異株で花期は8-9月。写真は雄花。(カラスウリ画像集 外部リンク
ハニーサックル(スイカズラ)ハニーサックル(スイカズラ)
合歓の花1合歓の花2合歓の花
紫陽花ドライフラワー 紫陽花の干物紫陽花ドライフラワー
六月の小庭 を豊饒に飾ってくれた 紫陽花 は、斬るな、切るなの堂主の願いもむなしく、ノー学部愛用の農機具:鋏を縦横に駆使、逆宙づりにされてしまった。これはドライフラワー也という。いや「紫陽花の末一色となりにけり 一茶」と詠じた俳人よろしく、干物のようでどうにもこうにも。
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下掲写真はプレビュー。近日中に稚拙ながら画像大量使用で紹介予定。
東京大学総合研究博物館東京大学総合研究博物館 東京本郷
輝安鉱 兵庫県1-2東京大学 若林鉱物標本展 安輝鉱(アンチモン、アンチモニー、伊予白目とも)
輝安鉱 熊本県天草1-6東京大学 若林鉱物標本展 安輝鉱「熊本県天草市天草鉱山」産出の輝安鉱原石
東京大学総合研究博物館2東京大学 若林鉱物標本展 標本展示室のほんの一部
東京大学総合研究博物館 鉱物データーベース東京大学総合研究博物館 鉱物 データーベーストップ

[ 参 考 : 活版アラカルト 【展覧会】東京大学 総合研究博物館|特別展示「東京大学・若林鉱物標本:日本の鉱山黄金時代の投影」|’23年3月23日-9月1日 ]

【艸木風信帖】活動再開 根岸子規庵|サラマ・プレス倶楽:桐島カヲル|Lingua Florens-ことばの花園|’23年6月29日 梅雨のあいまに

siki01ご て ご て と  草 花 植 ゑ し 小 庭 か な

── この小園は余が大地にして 草花は余が唯一の詩料となりぬ 子規庵 ──
正岡子規(俳人・歌人 1867-1902)「小園の記」より
{ 活版 à la carte   根岸 子規庵 子規庵公式サイト }
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Lingua Florens - ことばの花園

ビルの谷間、人工地盤、五坪ほどの小庭、植えも植えたり、数十種の艸木
Lingua Florens  2023年06月の開花報告
朗文堂 サラマ・プレス倶楽部:桐島カヲル

DSCN3101紫陽花と八重咲きドクダミ
クサノオウクサノオウ
ジギタリス1 ジギタリス2ジギタリス
ナスタチウムナスタチウム
ヒメウツギヒメウツギ
フェイジョアフェイジョア
メリアンサス・マヨール花メリアンサス・マヨール 花
メリアンサス・マヨール実メリアンサス・マヨール 実
葉と水滴メリアンサス・マヨール 葉

ランタナ1ランタナ2ランタナ
夏椿(ヒメシャラ)1 夏椿(ヒメシャラ)3夏椿(ヒメシャラ)
柏葉アジサイ柏葉アジサイ
八重ドクダミ八重咲きドクダミ
藍姫藍姫(アジサイ)

【会員情報】ぢゃむ 杉本昭生さん|活版小本 新作 ── 森 鷗 外『 團 子 坂 』

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{ ぢゃむ 杉本昭生 活版小本 一筆箋 }

森鷗外の一幕物のひとつ「團子坂」です。
登場人物は学生(賢そうなのでだふん帝大生)と、
女学生(銀行とか大企業の偉い人の娘のよう)。
推しの強い女学生と、生真面目すぎる男学生との会話がもどかしい
明治時代の男女交際の話です。
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制作はあまり考えずにできました。
すんなりできたふん「味のない本」になってしまった気がします。
美しい装幀が本の価値を高め、内容のグレードを上げることはわかりますが、
きままな一人遊びゆえ、外注するほどのこだわりもなく。
手持ちの紙や布を選んで仕上げているので
変わり映えがしないのも むべなるかな、というところです。
下駄買って

【 詳 細 : ぢゃむ 杉本昭生 活版小本 】 { 活版アラカルト 活版小本 既出まとめ 
[ 参 考 : 活版アラカルト〔展覧会〕文京区立 森鷗外記念館|特別展  写真の中の鷗外  人生を刻む顔|’22年1月9日-4月17日 ]

【初春イベント】高知県立美術館|高知県立美術館 能楽堂にて 幡多神楽を舞う|’23年1月3日|終了企画

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高知県立美術館
イベント 高知県立美術館 能楽堂にて 幡多神楽を舞う
日  時  2023年 1月3日[火]
      開 演 13:00 / 終演予定 15:00 (開場 12:30)
      * 終演時間が前後する可能性がありますのでご了承下さい。
会  場  高知県立美術館 能楽堂
料  金  無 料(出入り自由)
出  演  幡多神楽保存会(高知県高岡郡四万十町)
問い合せ  高知県立美術館
      781-8123 高知県高知市高須353-2 TEL 088-866-8000
主  催  高知県立美術館(公益財団法人高知県文化財団)
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高知県高岡郡四万十町十和地区(旧十和村-とおわそん)に伝わる、国の重要無形民俗文化財「幡多(はた)神楽」。
旧十和村久保川の神職であった平野清記が、津野山神楽より伝授されたものを基本として、他の演目を加え安政元年(1854)の秋祭りに奉納したのが始まりといわれています。
能楽堂を舞台に、厳かに、時にユーモラスに舞われる神楽を、ぜひお楽しみください。

■『幣舞-へいまい』
基本とされる舞 で、1番から5番まである。
■『金山彦の舞』
山探しの舞とも呼ばれる。金山彦(かなやまひこ)の神が宝物を探して旅に出て、宝物の剣を手にし、喜び勇む舞。
■『長刀の舞』 
長刀(なぎなた)を持ち、腕や腰、膝のまわりを、自由自在に操りながら舞う。
■『鬼神払(きじんばらい)の舞』
須佐之命(すさのおのみこと)が鬼神たちの退治に出かけ、退治した鬼神の首をかかげて五方の神々に捧げる舞。
■『弓の舞』 
弓・矢を持ち、五方の悪魔たちを射払う舞。
■『盆の舞』
盆を持ち、体のまわりを華麗に操りながら舞う。
■『稲荷・大国(だいこく)の舞』 
稲荷(いなり)の神と大国主(おおくにぬし)の神との舞であり、豊年の舞とも呼ばれる。

※ 感染症予防対応実施中です。下掲詳細を確認の上ご観覧を。
[ 詳 細 : 高知県立美術館 ]

【イベント】国立科学博物館 附属自然教育園|企画展「フィールドとつながる絵本原画展 草の根と落ち葉」|’22年11月3日-’23年1月15日

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国立科学博物館 附属自然教育園
企画展「フィールドとつながる絵本原画展 草の根と落ち葉」
開催期間  2022年11月3日[木・祝]-2023年1月15日[日]
休 園  日  11/4㈮、11/7㈪、11/14㈪、11/21㈪、11/24㈭、12/19㈪、12/26㈪、12/28㈭-1/4㈬、1/10㈫
入  園  料  一 般 320円、高校生以下・65歳以上 : 無  料
開園時間  9:00-16:30(入園は16時まで)
主  催  国立科学博物館 附属自然教育園
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「草の根のたんけん(おくやまひさし 文・絵)」と「落ち葉のふしぎ博物館(盛口満 文・絵)」。2つの絵本に描かれた原画を楽しみながら、実際に園内で植物を観察できる、絵本原画と自然教育園のフィールドをつなぐ企画展。
絵本が伝える自然の魅力。フィールドだから気づくこと。その相乗効果から、自然の「おもしろさ」と「不思議」をより感じていただけるような工夫を散りばめました。

※ 感染症予防対応実施中。下掲詳細を確認の上参観を。
[ 詳 細 : 国立科学博物館 附属自然教育園

【 参考動画 YouTube 自然教育園ってどんなところ? 国立科学博物館公式 かはくチャンネル 】
自然教育園は、大都市「東京」の中心部:港区白金台にあって、今なお豊かな自然が残る、都会の中のオアシスともいえる貴重な緑地。なぜ、緑地は残されたのでしょうか? 自然を守るために、どのような維持管理をおこなっているのでしょうか?  スダ爺 と めばえん が紹介します。

【会員情報】ぢゃむ 杉本昭生さん|活版小本新作 ── 中島 敦『和歌でない歌』

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{ ぢゃむ 杉本昭生 活版小本 一筆箋 }

今回の「活版小本」は小説ではありません。
中島敦の『和歌(うた)でない歌』から34人を選び、
見開き1ページにその人の言葉とシルエット、かんたんな解説を加えたもので、
何と呼んでいいのかわからない代物です。
内容がこんなものなので、体裁が決められず、
ぐずぐずしていたら時間がたって、今になってしまいました。

版代の節約のため、しかたなく本文を2つ折りにしましたが、
紙が厚くなり、これは失敗でした。
何も決められないまま、タイトルに引かれて簡易な装丁にしましたが、
これも適正かどうか判りません。
というところで、作る時間より迷っている時間のほうがはるかに多かった
厄介な作品でした。まちがいなく消化不良の一冊です。
2、3ページ眺めて頂けたら幸いです。

行く秋

【 詳細 : ぢゃむ 杉本昭生 活版小本 】 { 活版アラカルト 活版小本 既出まとめ 

【艸木風信帖】感染症が猛威を奮っていた昨今、Lingua Florens に咲いていた花〻をソッと紹介

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 ハニーサックル
ハニーサック(画像集リンク)はウィリアム・モリスの壁紙のモチーフにもみられる、つる性植物である。Lingua Florens のハニーサックルは アメリカンドリーム という栽培品種で、ピンクとオレンジ色の花びらが合わさった色をしている。
ハニーサックルは、日本固有種のスイカズラやニンドウとおなじスイカズラ属の仲間である。

スイカズラは、花の蜜を吸うと甘いことから「吸葛-すいかずら」という名前がついた。花の形が特徴的で、上下に大きく分かれた花びらの真ん中から、雌しべと雄しべが飛び出すように付いている。スイカズラの英名は Japanese Honeysuckle で、日本原産の野草に近い植物だったが、ヨーロッパで品種改良され、香りの良さと強靭さから人気が出た植物とされる。

スイカズラの花は品種によって咲き始めから次第に色が変化するものがあり、1本の株に白花と黄花が咲いているようにみえることから「金銀花」という別名を持つ。また、冬も緑の葉を絶やさないので「忍冬-ニントウ」という別名もあり、ノウゼンカズラとともに、気候が峻厳な北京紫禁城の花園でも、容易に外出できない妃嬪らに大層好まれていたとされる。

IMG_20220707_150524桔 梗
桔梗が花をつけると、秋のはじまりを感じ、秋桜-コスモスが開花すると、秋の終わりを感ずる。

本来は日中両国が原産地らしいが、いまや原種はほぼ消滅して、栽培品種になっているようだ。
いまは、もう秋……、を感じさせる花である。

IMG_20220825_144056柳葉ルイラ草(ヤナギバ ルイラソウ)
長崎の市内を中島川が貫流している。その上流を辿ると、諏訪神社の近くで中島川は左に蛇行し、右側から西山川が合流してくる。西山川を辿るとすぐに右岸に松の森神社がある。
「長崎松ノ森ナル千秋亭ニテイト厳粛二」(千秋亭は1889・明治22年、総理大臣伊藤博文の命名により富貴楼と改名)ときいて、ハッと反応するような奇妙人を、長崎では〝ふうけもん〟という。

その富貴楼の前の西山川河川敷から一本の野草を抜いてきた。吾輩は「因幡の白兎」に登場する蒲ーがま-かとおもったが、ノー学部は河川敷をうめる淡紫の花「ヤナギバルイラソウ」であろうとして Lingua Florens の片隅に植えた。
それから6-7年、すでに富貴楼は廃業して取りこわ
されたが、Lingua Florens に移した「ヤナギバルイラソウ」は花も実もつけなかった。そして今年、はじめて柳葉ルイラ草は小さな花を次次とつけた。きくところによれば、柳葉ルイラ草は繁殖力が強すぎるがゆえに駆除の対象になっているという。ゆとりと寛容さの無い時代になったものだ。

【イベント】軽井沢高原文庫|<深沢紅子 野の花美術館 イベント>|「2022 野の花さんぽ」|9月24日 

野の花軽井沢高原文庫
イベント <深沢紅子 野の花美術館 イベント>関連情報
「2022野の花さんぽ」
軽井沢の自然の多様性と、軽井沢タリアセンに残された里山を発見する「野の花さんぽ」を3回、開催します。自然観察指導員の案内で一緒に塩沢湖周辺を歩きながら、四季折々に咲く植物を探します。
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「2022野の花さんぽ」
① 5月21日[土]ー終了、② 7月16日[土]-終了、③ 9月24日[土] 各13時-14時半
料  金  大 人 1500円(小・中学生 500円、未就学児無料)
定  員  10名程度 * 小雨決行 * 要予約
講  師  軽井沢サクラソウ会議・自然観察指導員
集  合  軽井沢タリアセン中央ゲートに 12時55分集合
予約受付  随時。電話、FAXで受け付けます(※前日までの予約が必要)。
TEL:0267-45-3663  FAX:0267-45-6466
※ ③ 9/17 開催分は 都合により9/24に変更となりました。ご了承下さい。

※ 感染症予防対応実施中。下掲詳細を確認の上参観を。
[ 詳細 : 軽井沢高原文庫

【良書紹介】ミツカン 水の文化センター|『水の文化』71号|特集 南西諸島 水紀行|’22年07月

20220808144704_00001表紙1
20220808144704_00002目次ページ

ミツカン 水の文化センター
『水の文化』71号
特集 南西諸島 水紀行
  2022年 07月
  A4判 表紙とも60ページ フルカラー あじろ綴じ
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コロナ禍で不自由な生活を強いられるなか、「遠くへ行きたい」という欲求が募ることはないだろうか。その目的地を考える際、「南の島」を思い浮かべる人は多いかもしれない。
日本は島国だ。海上保安庁は日本の構成島数を6852と公表し、国土交通省は有人島を416とする。その島で人が暮らせるかどうかは、「水(淡水)を確保できるか」が左右する。古来、湧き水のそばに人びとは住み着き、集落を形成した。今も祭祀の場は湧き水と分かちがたくある。

今回は数多ある島のなかから、九州以北の「ヤマト」と沖縄島以南の「琉球」の文化的要素が混在する南国の島々、南西諸島(琉球弧)に目を向けた。
島々を巡りながら、その魅力や文化、環境、そこに暮らす人びとと水のかかわりに目を向けることで、本来あたりまえに得られるわけではない「水」への眼差しと、島国・日本のあり方について思いをはせたい。

【 詳細 : ミツカン 水の文化センター 】 { 活版アラカルト 既出まとめ }

【会員情報】ぢゃむ 杉本昭生さん|活版小本新作 ── ドーデ『嘘をついていた女』

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{ ぢゃむ 杉本昭生 活版小本 一筆箋 }

ドーデ(1840-1897年)は、「月曜物語」や「風車小屋だより」などで知られる
一九世紀のフランスの作家です。
今回の「嘘をついていた女」は『世界の文学52 フランス名作集』(中央公論社)
に掲載されていたものです。ネットで調べてもほとんど情報がない作品ですが
ストーリーが何となく印象に残り制作しました。
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表紙は女性の絵を使ったデザインにするつもりでしたが、直前で気が変わり、
これを扉ページにして、内容があまり具体的内でない 花柄 に変更しました。
(扉ページの絵は、ムンクの The Brooch. Eva Mudocci この女性の眼差しは
小説の中に登場する女性のイメージに近いと思います)
あいかわらずツメの甘い仕事でうんざりですが
読んでいただければ幸いです。

杉本あさがお

【 詳細 : ぢゃむ 杉本昭生 活版小本 】 { 活版アラカルト 活版小本 既出まとめ 

【イベント】国立科学博物館 筑波実験植物園|きのこ展 ─ 絶滅の恐れのある菌類たち ─|’22年10月22日-10月30日|9日間限定開催|終了企画

きのこ01 きのこ02

国立科学博物館 筑波実験植物園
きのこ展 ── 絶滅の恐れのある菌類たち ──
会  期  2022年10月22日[土]-10月30日[日] 9日間短期開催  * 期間中毎日開園
開園時間  9:00-16:30 * 入園は 16:00 まで
開催場所   国立科学博物館 筑波実験植物園
入  園  料  一 般 : 320円、高校生以下・65歳以上 : 無 料
      障害者手帳をお持ちの方及びその介護者1名無料
会  場  独立行政法人国立科学博物館 筑波実験植物園
      茨城県つくば市天久保4-1-1
お問合せ    電 話 029-851-5159
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きのこって何の仲間? どんな形のきのこがある? きのこって、どこで何をしているの?
そんな不思議がいっぱいの きのこ ワールド。
今回は大量の野生および栽培きのこを展示するだけでなく、きのこ・カビ・地衣類の世界にもしのびよる「絶滅」について特集します。すでに絶滅してしまったと考えられているきのこ、数十年ぶりに再発見されたきのこ、絶滅の危機に瀕している菌類など、標本、写真、その他の展示物とともに菌類の多様性の奥深さにせまります。

※ 感染症予防対応実施中。下掲詳細を確認の上参観を。
[ 詳 細 : 国立科学博物館 筑波実験植物園

◉ 国立科学博物館公式 かはくチャンネル
【 参考動画:YouTube 植物多様性を知る・守る・伝える 筑波実験植物園  02 : 43 】

◉ 国立科学博物館公式 かはくチャンネル <季節外れのオマケですが ……>
【 参考動画:YouTube「クレマチス園」編 筑波実験植物園  00:52 】

【艸木風信帖】春、うらら-花は 咲けども ちりぬるを Ⅰ ── 空中花壇

カイラン菜の花 日本で流通するカイラン(高知県産) ウィキペディアゟカイラン(芥藍菜、英:Chinese Kale
空中庭園の春を華やかに彩ったのは、この カイラン だった。カイランは フェンネル(茴香、ウイキョウ)と並んで、それぞれ中ぐらいの鉢植えで、数本が緑の葉をつけていた。ノー学部はときおり、それらを市販の菜っ葉よりちいさいうちに摘んで、サラダや温菜にしていたらしい。
そのうちにカイランの一本だけが急成長して、ちいさいブロッコリーというか、野球のボール大の花芽になった。
「これも食べるのか」と聞いたら、<菜の花>として鑑賞するという。この球が花になるのかと疑問だったが、優に一メートルを超える<菜の花>になって愉しませてくれた。ただし、花の色は白く、種子はちいさく、菜種油は採れそうにない。

アネモネ、ムスカリ、ラッパ水仙大鉢寄せ植え(ラッパ水仙、アネモネ、ムスカリ)
本命のチューリップが咲く前に、大きめの植木鉢にゴシャゴシャと植え込んだ球根類が慌ただしく花をつけている。ことしは水仙の当たり年で、大きな花弁をつけている。赤いアネモネ、薄紫のムスカリは、チューリップに押しのけられる前に、可憐な花をつけた。DSC_0653八重咲きの水仙が咲いたが、水遣りの際に誤って花茎を折ってしまった。かわいそうなので花瓶に入れて鑑賞している。それをこんな風に写真を撮ると、ヘタなインスタグラムのようになるのでいやなのだが、せっかく咲いた水仙を記録した。

DSCN2245モッコウバラ
カイランが盛りをすぎたとき、たわわに淡い黄色の花をつけたのが モッコウバラ 。中国原産でバラ科の仲間とされるが、蔓にトゲがなく、香りもまろやかである。

鉢がちいさいのに、直射日光をもとめて茎が長く成長した。したがっていまは空中花壇を脱出して、文字どおり空中に浮遊しているので、拙い写真紹介となった。DSCN2273

【良書紹介】「ミツカン水の文化センター」機関誌|『水の文化』 第70号発刊|特集 みんなでつなぐ水 火の国 水の国 熊本|’22年02月

ミツカン水

ミツカン 水の文化センター
『水の文化』70号
特集 みんなでつなぐ水 火の国 水の国 熊本
  2022年 02月
  A4判 表紙とも60ページ フルカラー あじろ綴じ
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日ごろ使っている水がどこからきてどう届くのか。それを知る人は少ないかもしれないが、水を起点に自らの地域を見つめると、それまで知らなかった新たな面が見えてくる。
熊本県は水道水源の約 80 %を地下水に依存しているという。環境省の「名水百選」に8カ所もの名水が選定されるなど、熊本県は地下水が豊かなことで知られる。県庁所在地・熊本市は生活用水のほぼ全量を地下水に頼っている。

ただし地下水は無尽蔵ではない。そこで熊本市を含む 11 市町村は、行政区域を超えて共同で地下水を守り育てる取り組みを進めている。
熊本の人びとはどのようにして水を守っているのか。そして、そうした人びとをつなぐ水とはどのような存在なのかを考えたい。

intro70号特集「みんなでつなぐ水 火の国 水の国 熊本」取材エリア 同誌URLゟ

【 詳細 : ミツカン 水の文化センター 】 { 活版アラカルト 既出まとめ }

【会員情報】『 雪 乞 い 』 郝 麗敏さん|第55回キヤノンフォトコンテスト 自然部門 |ゴールド賞受賞

郝 丽敏さん出展作品『 雪 乞 い 』
郝   麗 敏(埼玉県)

mainキヤノンフォトコンテスト
第55回キヤノンフォトコンテスト 自然部門
ゴールド賞 ── 『 雪 乞 い 』 郝 麗敏

郝 麗敏さん face受賞者の声 ── 郝   麗 敏
夢のような受賞の朗報に感激しております。ニホンザルをテーマに撮り続けて、今年で10年目。作品は世界で唯一、温泉に入るサルで有名な 地獄谷野猿公苑 で撮影しました。
季節は早春、桜の開花便りがチラホラ聞こえても、一年の三分の一が雪に覆われるこの地では、まだ冬から抜け出せません。突然降り出した雪に、一頭のサルが何度も立ち上がって雪粒を取ろうとしていました。まるで、雪乞いのように見えた瞬間でした。受賞を励みに、今後も撮影を続けていきたいです。

[ 詳細 : キヤノン 第55回キヤノンフォトコンテスト 自然部門 ]

【良書紹介】「ミツカン水の文化センター」機関誌|『水の文化』 第68号発刊|特集 みずみずしい果実

ミツカン68

ミツカン 水の文化センター
『水の文化』68号
みずみずしい果実
2021年 07月
A4判 表紙とも52ページ フルカラー  あじろ綴じ
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水分をたっぷり含む果実は、食後のデザートとして大好きな人が多い。旬に贈答品としていただいてもうれしいものだ。しかし、ふだんから食べている割に、私たちは果実のことをあまりよく知らない。
例えば、今ある果実の多くは、明治時代以降に導入されたものであることや、海外では水分を得るために果実を食べ、また野菜と果実を特に区別せずサラダとして混ぜて食べていることなど。

日本の果実のあり方は世界的に見るとやや特殊だ。甘みと見た目が重視される結果、高価になりがちで、日本人の果実摂取量は欧米人の半分以下といわれる。そして国内の果樹農家は稲作農家以上のスピードで減っているという。
人口爆発による食糧不足や気候変動など、地球が抱えている課題からも果実が果たす役割は重要となる。それは世界中でたくさんの果実を食べればその分だけ果樹が増え、緑地も広がっていくはずだからだ。おいしくて楽しい気分にさせてくれるみずみずしい果実が、私たちにもたらすであろうことについて考えたい。

intro湧き水に浮かべたスイカ(撮影 前川太一郎)

『水の文化』68号で取り上げる「果実」について
農林水産省が定める果樹(クリやウメ、ミカン、ナシなど=おおむね2年以上栽培する草本植物及び木本植物で果実を食用とするもの)のほか、文部科学省が「日本食品標準成分表」で定める「果実類」(草本植物から収穫されるものであっても通常の食習慣において果物と考えられているイチゴやメロン、スイカ)とする。ちなみに、メロン、イチゴ、スイカは、総務省の「家計調査」でも「生鮮果物」として扱っている。

【 詳細 : ミツカン 水の文化センター 】 { 活版アラカルト 既出まとめ }

【艸木風信帖】花こよみ|春が来た|ヘレボリス-クリスマスローズ|チューリップ|ルッコラ

昨年は新型感染症「COVID-19」への対応で、陽だまりの《空中庭園》と、陽の射さない《Lingua Florens》の「庭園主」としての時間が増えた。
そこでしばし愚考した。冬の花火ではないが、両方の花壇にあたえていた液肥の効果が強すぎたため、季節外れに艸木がひょろひょろと成長し、無理矢理花をつけているようだった。

その対応として、昨年の晩夏から液肥の使用をやめ、晩秋に固形有機肥料を多めに与えて、両方の庭をすこし休ませることにした。どうやらこの作戦は成功したようで、土中で冬ごもりしている虫たちが、春の気配を感じて動きだす3月5日、「啓蟄-けいちつ」のころ、西洋スミレが花をつけ、カタバミは旺盛に茂り、さまざまな艸木が花をつけだした。
本稿はすこし報告が遅れたが、「啓蟄」のころの艸木の姿である。

《ヘレボルス/クリスマスローズ》
DSCN1655
DSCN1660 DSCN1662 DSCN1643 DSCN1647 DSCN1650DSCN1652この春ようやく本格的に咲きだした「ヘレボルス(学名: Helleborus)」。この花はノー学部がつよいこだわりをもっていて、春先に新品種の苗を少しづつ購入しているらしい。

へレボルス(ウィキペディア グーグル画像集)は、キンポウゲ科クリスマスローズ属に分類される植物の総称でヘレボラスともいう。「クリスマスローズ」という呼称は、クリスマスのころに開花するヘレボルス・ニゲル (Helleborus niger) だけを指した呼称であるが、日本の園芸市場では、「レンテンローズ」と呼ばれるヘレボルス・オリエンタリス (Helleborus orientalis、ハルザキクリスマスローズ)なども「クリスマスローズ」の名前で出回る。別名雪起こし、寒芍薬(カンシャクヤク)の和名も持つ。
花に見える部分は、植物学上では「花」ではなく「萼片-がくへん」という部分である。そのため、鑑賞期間が比較的長い。以上ほとんどノー学部とウィキペディアからの受け売り。

《チューリップ》
たれもがよく知るチューリップ。第二報でもう少し詳細に紹介したい。
IMG_20210310_140454 DSCN1684 DSCN1686 DSCN1673 DSCN1679

《ルッコラ》
ルッコラ(伊: Rucola、Eruca vesicaria)は、アブラナ科キバナスズシロ属(エルーカ)の1種の、葉野菜・ハーブである。地中海沿岸原産の一年草(ウィキペディア グーグル画像集)。

日本ではイタリア料理の普及とともに一般に知られるようになったため、園芸分野で広まった英語名のロケット(rocket) よりも、イタリア名のルッコラの方が知名度が高い。

葉はイタリア料理によく用いられ、ゴマのような風味と多少の辛み・苦みがあり、成長とともに苦みが強くなる。栄養素としてはカルシウム・鉄分・ビタミンCが豊富である。
「キバナ」という和名にもかかわらず、花は白色ないし薄いクリーム色である。花は春に咲き、クリーム色をしている。アブラナ科に特有の4花弁の十字型をしており、花弁には紫色の脈が入っていて、中央部は黄みがかっている。
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【良書紹介】「ミツカン水の文化センター」機関誌|『水の文化』 第67号発刊|特集 みずからつくるまち

2021-03-15

ミツカン 水の文化センター
『水の文化』67号
みずからつくるまち
2021年 02月
A4判 表紙とも52ページ フルカラー あじろ綴じ
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北海道の旭川空港から車で10分ほどの場所にある東川町(ひがしかわちょう)。この人口減少社会にもかかわらず、近年は人口が増加傾向にある。また、約8300人の町民全員が地下水だけで暮らす、日本でも珍しい町だ。
過去およそ25年以内に転入した「移住者」比率は56.6%。つまり今の町民の2人に1人が「よそから移ってきた人」だ。移住した人たちは、東川町にどんな魅力を感じたのだろうか。

いっぽう、もともとこの地に住んでいる人たちは、1985年(昭和60)に「写真の町」を宣言するなど一風変わった施策を講じるこの地にどんな愛着をもち、地域にかかわっているのか。
美しい大雪山連峰に育まれた水を守り、教育に力を入れ、住民主体のイベントも活発な東川町を探り、今後の地域社会のあり方と、そこに「水」がどうかかわるかについて考えたい。

intro上空から見た東川町。遠くにそびえるのはこの地の象徴、大雪山連峰(提供:東川町)
ミツカン 水の文化センター WebSite ゟ

東 川 町  [ ミツカン 水の文化センター WebSite ゟ ]
人口は8328人、世帯数は3879世帯(2017年12月31日時点)。面積は247.06km2(東西36.1km・南北8.2km)。
北海道のほぼ中央に位置し、北海道北部の中核都市・旭川市に隣接する。日本最大の自然公園「大雪山国立公園」の区域の一部であり、大雪山連峰の最高峰・旭岳(2291m)は東川町域となる。
1894年(明治27)、旭川村字忠別原野の殖民地として区画整理が行なわれ、1895年(明治28)に香川、富山、愛知、徳島県人などが入植し開拓が始まる。1897年(明治30)12月、旭川村から分割して東川村と称するまでの2年半は旭川村の一部だった。「平成の大合併」(1999年から政府主導で行なわれた市町村合併)では「単独自立」の道を選択した。
[ 参考 : 東川町 ウィキペディア

【 詳細 : ミツカン 水の文化センター 】 { 活版アラカルト 既出まとめ }

【会員情報】 ぢゃむ 杉本昭生さん|活版小本新作 ── 川端康成『有難う』

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{ ぢゃむ 杉本昭生 活版小本 一筆箋 }

川端康成の『有難う』を作りました。
掌編小説を収録した作品集『掌の小説』の中の一篇です。
ストーリーは簡単ですが、私の読みが浅かったのか
運転手と娘が結ばれたとは思わず。娘の憧れの人と最後の一夜を
同室で過しただけだと思っていました。
簡潔な文体と描写が印象に残る作品でした。

柔らかい布の表紙にしようと作りはじめたのですが、
途中から道に迷ったような気持になりました。
出来あがってもすっきりとせず(いつものことですが)
どこで間違ったのか確かめるため。同じ工程を初めから辿りました。
けっきょく二種類の本が出来ました。
読んでいただければ
「ありがたう。」
とにかくなんでも
「ありがたう。」

杉表紙

 【 詳細  ぢゃむ 杉本昭生 活版小本 】 { 活版アラカルト 活版小本 既出まとめ 

【ニュース&プレスリリース】モリサワ OPENType フォントの共同開発で株式会社写研と合意|2021年01月18日

2021-01-27 (1)

2021年01月18日
モリサワ OpenTypeフォントの共同開発で株式会社写研と合意
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株式会社モリサワ(代表取締役社長:森澤彰彦 本社:大阪市浪速区敷津東2-6-25、以下モリサワ)は、 株式会社写研(代表取締役社長:笠原義隆 本社:東京都豊島区南大塚2-26-13、以下写研)の保有する書体を、両社共同で OpenType フォントとして開発することに合意しました。

写研の書体は、幅広いバリエーションと洗練されたデザインが特徴で、専用のシステムを通じて多くの媒体で利用されています。この度の OpenType フォント開発を通じ、より幅広い用途でご利用いただけるよう両社で取り組みます。
フォントは2024年より順次リリースする予定です。2024年は、写研の創業者である石井茂吉氏とモリサワの創業者である森澤信夫が、写真の原理で文字を現して組む邦文写真植字機の特許を、1924年に共同で申請して100周年の節目にあたります。

今回の取組みについて両社の代表は次のように述べています。

株式会社写研 代表取締役社長 笠原義隆 氏
「共に邦文写真植字機を世に送り出したモリサワ社と共同事業を開始できることに、深い感慨を覚えます。 今後写研書体がより多くの皆様にご利用いただけますよう、鋭意努めてまいります。」

株式会社モリサワ 代表取締役社長 森澤彰彦
「邦文写真植字機発明100周年に向けて、両社共同でフォントを開発できることを心から嬉しく思っています。長年にわたって愛される写研の書体をこれからも多くの皆様にご利用いただけるよう、グループ一丸となって誠心誠意取り組んでまいります。」

フォントのラインナップやご提供形態は今後随時ご案内します。

◯ 本件に関するお問合せ
株式会社モリサワ 東京本社 経営戦略部 広報宣伝課

[ 詳細 : 株式会社モリサワ

{新宿餘談}
本稿は、論評無しで紹介いたします。

【艸木風信帖】「空中庭園」の わっせクン に仲間が増えた|名はまだ無い

わっせが増えた《 わっせクン + ◯◯◯ 》
吾が空中庭園を六年余にわたって占拠している異物が < わっせクン > である。
< わっせクン > は、バレンタイン モトイ ハロウィンのときに、ノ ー学部がなにかのついでに100円ショップで買ってきた。今回調べてみたら2014年のできごとであった。

「わっせクン」は、雪だるまに、ハロウィンの赤カボチャを乗せたようなもので、ソーラーパワー ( 太陽電池 ) がどこかに内蔵されているらしく、価格は安いが構造が簡単だから、六年余のいまなお、陽射しがつよい日には 「 わっせ、わっせ 」 と左右に躰をはげしく振動させる。
ただそれだけのものだが、「空中庭園での」目覚めの一服のさなかは、天気予報係りとして、またたったひとりの朋輩であり、見飽きることがない。 だからベランダにでると勝手に名づけた「わっせクン」と挨拶、顔合わせをつづけている。
[参考:活版 à la carte よき日がいつも-日日之好日*01 春を待つ日日。わっせクン、才助とかわす朝の挨拶  2015年2月10日]
わっせ01
わっせ02餘談ながら、バレンタインのから騒ぎには参った。好きでもない義理チョコをもらい、ホワイトデーにも苦しめられた。だからここのところの「ハロウィン・ブーム」も、どこかで仕掛け人がほくそ笑んでいるような気がしないでもない。それでもカボチャをくり抜くわけでもなく、ボディペインティングをして街に繰りだすわけでもない。なにせ100円ショップからやってきた愛らしい代物が増えただけである。

ワッセくんが来たころは「サイスケ-才助」の鉢の下にいた。いまは移動した「オカワカメ」の蔓が巻いている下に鎮座した。気のせいか「COVID – 19」騒ぎがはじまってから、カラッと晴れた日が少ないようにおもう。なによりも、真夏のモクモクと湧く入道雲をほとんど見ないまま晩秋を迎えた。
名を考えている。「赤カボチャ」では藝が無いし、Red pumpkin では、たれかにせせら笑われそうだ。そうこうしているうちに「ハロウィン」が近づいた。ハロウィンは10月31日、古代ケルト人の祭をルーツとするという。

[参考:活版 à la carte【おかわかめ倶楽部】妙な会が結成されたらしい|活版カレッジ・アッパークラス|独身男性中心に食用植物{おかわかめ}の育成をはかる| 2016年10月28日]

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【艸木風信帖】空中庭園とその付属庭園|梅雨の長雨・夏の炎暑に負けず秋の艸花が開花|志茂太郎没後40年

デュランタ2【デュランタ】
デュランタは藤色や白の小花が集まって房状に垂れ下がって咲く人気の熱帯花木で、夏の鉢物としてよく流通しています。丈夫で開花期間が長く、楽しめる花木です。
[ 参考 : NHK みんなの趣味の園芸
黄色いリコリス【彼岸花/曼珠沙華】
中国原産で、彼岸花、曼珠沙華といった名前で昔からわが国でも知られていますが、これは栽培種でリコリス。開花期を迎えると、葉もなく、またたれ
に知られることもなく地中から突然に花芽が姿を現します。 その先端は見る見るうちに天に向かってまっすぐ伸び、大胆に反り返った花弁、突き出した雄しべ雌しべの神秘的な花姿とともに私たちを驚かせます。

[ 参考 : ウィキペディア 彼岸花DSCN0716 DSCN0719 下のトロロアオイ【 吾が空中庭園の秋の女王|トロロアオイ 】

歩きゐて  日暮るる  黄蜀葵かな  澄雄

吾が空中庭園の女王 : トロロアオイが次〻に大輪の花をつけている。
寝起きに「ロダンの椅子」に腰をおろしてこの花をみるのが最大の朝のよろこびである。
空中花壇にはトロロアオイを二鉢植えてあるが、ひとつは五年物、ひとつは四年物で、ときおりみる一年草という紹介とはすこし違うようである。

もうすこし秋がふかまると、蒴果-サクカ(種子)は黒ずんで硬くなり、風に吹かれておもく揺れる。中にはごま粒ほどの種がみっしりと入っている。今回もみずからの復習と整理をかねて、辞典的な説明をさせていただいた。
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トロロアオイは中国原産のアオイ科の多年草で、漢名を「黄蜀葵 オウショクキ」と呼ぶ。
その根は胃腸炎・喉頭炎などの薬用となり、また手漉き紙の流し漉き用の「ねり 粘剤」の原料、あるいは観賞用に栽培される。
「ねり」は楮 コウゾ や 雁皮 ガンピ などの紙料の繊維を、水中に均等に分散して漂浮させ、均等な厚みと強靭な紙をつくるのに利用する。工業用には化成品もあるが、手漉き紙にはトロロアオイかノリウツギの根から抽出する粘液が好適とされる。

矮性種もあるが、ふつう茎は高さ 1-2m。葉は長い柄があり、手のひら状にヤツデのように 5-9 に深裂する。
夏から秋にかけて直径10cmほどのおおきな花を、茎の上部にまばらな穂状につける。花は朝顔のように短命で、朝方に開花し、午後には下掲写真のようにしぼむ一日花で、淡い黄色。中心部に鮮やかな赤紫色の目が入り美しい。おしべは多数、花柱は5本に分かれ青紫色。蒴果サクカは角ツノで5稜あり、剛毛があって熟すと硬くなる。
根部は長さ20cmほどの紡錘形に肥大する。根は粘液を多量に含み、打ち砕いて(叩解)水につけたものを手漉き紙の「ねり」とする。本来は多年草であるが、「ねり」にもちいるためには蕾をとり、根に養分をたくわえる。したがって農家での栽培上は一年草として扱う。
[ 参考 : ウィキペディア トロロアオイ ]{ 活版 à la carte  トロロアオイ 既出まとめ

kazari-upper20201006183115_00001志茂太郎  1900年(明治33)8月23日-1980年(昭和55)9月2日
岡山県久米南町山の城-くめなんちょうやまのじょう-の豪農兼酒造家にうまれ、東洋大学卒。
東京中野区に伊勢元酒店を営むかたわら「アオイ書房」を設立。愛書誌『書窓』ほか多くの図書を刊行。活字の一部を兵器に転用するとした政府の施策に異を唱え、それがもととなって1945年東京を追われ。帰郷して「日本書票協会」などを設立。そのまま岡山に歿す。山の城の志茂家専用墓地には、志茂太郎が植えたとされるトロロアオイが無数に自生しており、秋には大輪の花をつける。

[ 参考:『活字に憑かれた男たち』「変体活字廃棄運動と志茂太郎」PDF ]

【かきしるす】新刊『Parenthesis』-パレンヂスィス/丸括弧-を持参|アンドリューさん Andrew Schullers/ジェニーさん Jenny Corbett 夫妻がご来社

p38-cover-768x1022fpba-top-parens《新刊『Parenthesis 38』を持参され、アンドリューさん・ジェニーさんのカップル来社》『Parenthesis 38』( Fine Press Book Association )は、高度な印刷と図書に関する逐次刊行図書(ジャーナル)である。
刊行は年二回、装本は標準版と特装版がある。また、その活力と多様性をもたらすために、春号はイギリスで、秋号はアメリカでの交代制で刊行されている。
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昨2019年の晩夏、アンドリューさん ( 出版コンサルタント Andrew Schullers ) が数次にわたって新宿二丁目時代の小社に来社された〔以下敬称略〕。取材対応はほとんど大石があたったが、当時のアンドリューはこうかたっていた。
「日本の活字版印刷の歴史と現状を調査して、イギリスのジャーナルに報告する予定でいます」
その報告が「Letterpress in Japan|Andrew Schuller」として『 Parenthesis 38 』に掲載され、その掲載号をご夫妻で持参していただいた。
アンドリューさんジェニーさん

右)アンドリューさん  Andrew Schullers / 左)ジェニーさん Jenny Corbett
お庭にて(動)

《 Lingua Florens は 花のときから 深い緑のとき。紅珊瑚にも似た ハゼラン がふたりをお迎え》
アンドリューとジェニーさんが朗文堂/サラマ・プレス倶楽部の住吉町の新事務所にお見えになったのは六月下旬、梅雨の晴れ間の夕方であった。
アンドリューとの久しぶりの再開と、はじめてジェニーとの出会いの場となった。大石は来社予告メール交換である程度知っていたようだったが、ジェニーはどんな資料をみても、Professor Jenny Corbett と記されるほどの、経済と金融、そして国際関係の碩学で、国際金融機関、国際機構の要職を歴任し、現役の大学教授でもある。
さらに、アンドリューはまったく日本語を解さないが、ひとりで平気で朗文堂に押しかけていた。ところが、ジェニーは流暢な日本語をかたる。

再会の挨拶もそこそこに、
「神楽坂から自転車できました。すこし息切れしているが、ここではマスクは必要か」
とふたりはたずねてきた。
「きょうは天気もいいし、よろしかったら、狭いですけど、テラスでお話ししましょう」
大石の提案にホットしたのは自由人:アンドリュー。
ここ新宿区住吉町と新宿区神楽坂は、ともに、地勢学でいうところの多摩丘陵・住吉台地にあり、地盤は強固で、防衛省・大日本印刷・市ヶ谷八幡神社などがある。しかしとかく台地にありがちな起伏と坂道が多い。テラスで大石がそれを指摘すると、

「わたしの自転車は補助のモーターがあるので坂道でも平気だけど、アンドリューは登り坂は汗だくで押してあがっている」
とジェニーは屈託がなくコロコロと笑っていた。本物の碩学は偉ぶることはまったくなかった。
短時間ではあったが、ミニテラスでの語らいは、なごやかで知的なよろこびがあった。

アンドリューはいくぶんリタイヤ気味であるが、ふたりはオーストラリアのキャンベル、英国のロンドン、日本の東京・神楽坂に、それぞれ独自の根拠地を有し、プロジェクトにあわせて滞在地としているそうである。
おりしも日本滞在中に、世界規模での感染症「COVID – 19」の猖獗をみるにいたったようである。昨年から東京大学を根拠地とする大きなプロジェクトが、ジェニーが枢要メンバーとなって展開しており、そのさなかに「COVID – 19」の警戒状況となって出入国が困難になり、神楽坂に「巣ごもりしている」とジェニーは笑ってかたっていた。
このふたりのような、国境をこえて飛び回るひとには不幸なときともいえた。

「Lingua Florensーことのはの花園」で、赤い花柄のワンピースをまとったジェニーの足もとで咲いていたのは、西インド諸島原産、わが国には明治初期に鑑賞用に輸入されたとされる、通称:ハゼラン-爆蘭 である。ジェニーは時折その花をみていたが、オーストラリアにもこの花があるのかは聞きそびれた。

ハゼランはまた、シュッコンハゼラン -宿根爆蘭 、サンジソウ -三時草、ハナビグサ -花火草、サンジカ -三時花、珊瑚草、コーラルフラワー、fame flower、Jewels – of – Opar などの多くの異名をもつ。
午後三時ころから咲きはじめるので三時花、線香花火の火花にも似たバラバラの花をつけるので花火草、紅珊瑚のような枝ぶりと花から珊瑚草などである。吾輩は花火艸と呼んでいる。

ハゼラン(爆蘭、三時草、三時花、花火草、コーラルフラワー )1《 ふたりが帰ったあと Parenthesis/パレンヂスィス/丸括弧 に問題が 》
やっかいな問題は、アンドリューが寄稿した『Parenthesis』のタイトルである。吾〻はふるくからこれを、もっぱら「パーレン」と呼んできた。アメリカにはスペル違いの同義語もある。

これを主張すると、言語学におけるイギリス人特有の必殺キックが飛んでくるので困惑する。
「女王陛下は、そのようなことばはお使いになりません」

◉『広辞苑』(第六版 岩波書店)
ちなみに国語事典として『広辞苑』(第六版 岩波書店)の「パーレン」をみると、いかにも辞書的ないいまわしで、次のようにある。
    パーレン
    (Parenthesis の略訛) 丸括弧。( )
辞書における「略訛ーりゃっか」とは、「転訛-てんか」とともに、使用時には注意すること、あるいは消極的ながら、あまり使わない方が良いことを含意している。すなわち パーレン とは Parenthesis の略語であり、訛っている-標準的ではない-としている。

◉ 『研究社 新英和大辞典』(第6版第5刷、研究社、ともにp.1798  2007年11月)
    paren.     ((略)) parenthesis
    parens.   ((略)) parentheses
大型英和辞典として『研究社 新英和大辞典』の「パーレン」に相当する語を調べてみた。ここには ((略語)) とされる parenthesis と parentheses が紹介されている。
注目したいのは、これらの省略にあたっては「 . -ピリオド」が必要なことである。また同じページにそれぞれ parenthesis , parentheses も紹介されているが 長文にわたるので、いずれ別項を設けて紹介したい。

したがって、ここでも「Parenthesis → パレンヂスィス」と表記するのにも勇気が必要だった。近ごろの電子辞書やスマホには、一部に音声表示機能があるが、それをカタ仮名にするのにも難儀した。ここで「パレンヂスィス」とカタ仮名表記の参考にしたのは『印刷術教科書 第二学年用』(ヨゼフ・ナジ著、帝都育英工業高等学校、昭和29年4月1日)によった。
──────────────
しばらく本コーナーでも、アンドリューが寄稿した『 Parenthesis 』を契機に、「パンクチュエーション/句読法」といった、古くて新しいテーマを、のんびり取りあげてみたいとおもいたったゆえんである。
もちろん吾輩の取り組みゆえ、「こうすべきだ」「こうすべきではない」といった「べき論」は避けて、読者諸賢と歩んでみたい。

◉ 『英和 印刷書誌百科辞典』(日本印刷学会、印刷雑誌社、昭和13年1月15日)
『英和 印刷書誌百科辞典』から parenthesis ,  punctuation mark を紹介した。同書はいまなお『印刷事典』の名称のもとに印刷学会出版部から刊行されており、第五版までの刊行をみるが、本書を第一版として位置づけている。今後の展開の参考に記録した。

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【Lingua Florens】ひよどりが巣をかけた。孵化と巣立ちが待たれる日〻……そして残念な報告 ……

わが家のクマガイモリカズ《新型ウイルス感染症「COVID – 19」で外出自粛の日々
新型ウイルス感染症が世界規模で拡大しているために厳重に警戒せよという。不急不要の外出や、人混みをさけ、ひとと会うのも、会食も自粛せよという。
2020年4月7日から5月6日のあいだ「新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言」が{ 発 出 }された[リンク:内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室 PDF]。

もともとが出不精だから、外出を避けるのはさほどいとはないが、8月中旬のいまもって「自粛のお願い」は続いている。
そんな無聊の慰めにもってこいの、猫のひたいほどの庭があり、ここを「Lingua Florens」と呼んでいる。ここは「ことのは の 花園」の意から、河野三男さんが名づけられた、四坪ほどの小庭とテラスで、人工地盤の浅い土壌の上にある。ともかくゴシャゴシャと様〻な艸花が植えてある。

《七月下旬、隣家の庭木にビニール紐がからまって、鳥がしきりに鳴いていた》
7月23日-26日は四連休であった。「自粛要請」のため、逆に連日出社して「Lingua Florens」の手入れにあたった。その折り大石が、

「お隣さんの庭木-レッドロビン-に、ビニール紐が変なふうにからまっている」
と珍しそうに見上げていた。

もともと レッドロビン とは「赤いコマドリ」の意。園芸植物のレッドロビンは、カナメモチとオオカナメモチを掛け合わせた園芸品種で、都市部の垣根としては近年もっとも一般的に見られる樹種のひとつとなった。
面白いのは、季節を問わず剪定をすると真っ赤な新芽が発生する。そしてふつうの植物とは逆に、新芽は開く前から赤いのが特徴で、生長すると緑化する。 春には真っ白の小花を咲かせ、秋には赤い実をつける。ただし、頻繁に刈り込まれることが多いため、花や実を楽しむ木という印象は乏しいのが現実である。
お隣さんのレッドロビンは垣根ではなく、珍しい立木仕立てになっていて、その枝の間に梱包用のビニール紐がからんでいた。

そこに番いらしき二羽の鳥がいて、「ピィーヨ、ピィーヨ」 と盛んに鳴きかわしていた。前述のレッドロビンを含め、植物に関してはおおかた大石からの受け売りであるが、鳥類にかけては悪童時代にいろいろな鳥を育てた経験があり、吾輩もうるさい。なによりもひよどりは、ホオジロ、ムクドリ、メジロなどと並んで「空中庭園」の定連の鳥でもある。

ひよどりは、波打つように上下しながら飛来して、「空中庭園」の花の実や果肉を啄んでいく。ともかく甘党の鳥で、ノー学部が黒ポットにはいったイチゴの苗をふたつ買ってきて、植木鉢に定植した翌朝、まず果肉を食べ、翌朝にはひと株を根こそぎひき抜いて持ち去った。
ノー学部はカラスを疑っていたが、吾輩は「逆毛のモヒカン鳥-ひよどり」の犯行だと知っていた。つまり「逆毛のモヒカン鳥」が、もうひとつのイチゴの苗も持ち去ろうとしている犯行現場を「ロダンの椅子」でそっと不動のまま見ていたからである。
「ロダンの椅子」の別名は「喫煙席」ともいう。

レッドロビン-赤いコマドリ(紅カナメモチ)ヒヨドリの巣
00194294000301ヒヨドリ科で最北限に分布する日本列島特産種。暗青灰色で、頭頂から後頸-こうけい-にかけての羽毛の先端はとがる。全長約 27.5 cm。ヒヨドリ科 (『日本大百科全書』 ゟ © 相 澤 弘)

ボサボサ頭に茶色いほっぺ
「ヒーヨ ヒーヨ」と名を名乗る
[参考:サントリー 日本の愛鳥百科 ヒヨドリ]豊富な写真があり、鳴き声の音声が聴ける。

お庭でバードウォッチング中のヤツガレ2抱卵中のひよどり給餌するひよどり0819《ひよどりーオヒョイー観察録》
◉ 08月01日[土]
ビニールテープを混用した巣が完成した。雄はこの時点から見かけなくなった。追い出されたか?
◉ 08月03日[月]
雌が巣にこもりはじめた。産卵か。どこからか飛来してレッドロビンの枝に止まり、ヒョイ、ヒョイと枝を伝って身軽に巣に入り、あとはスフィンクスのようにジーッと不動。まったく鳴かなくなった。オペラグラスで連日の観察の結果、枝をヒョイヒョイと飛び歩くさまが面白く、「オヒョイ」と名づけた。

◉ 08月18日[火]
オヒョイが「ピィーヨ」と鳴く。雄らしき鳥がしきりに枝にとまる。雛が孵化したらしく、大石が裸眼で三羽の雛の嘴が見えるという。オヒョイは採餌のためか巣を出る時間が伸びる。

◉ 08月19日[水]
オヒョイの給餌風景の撮影に大石成功。ヤブ蚊がいるからとしばらく「Lingua Florens」に出なかったのに、オヒョイの戻りを待って撮影。二羽の雛の嘴がのぞいている。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◉ 08月21日[金]
隣家の庭のレッドロビンで、夕方にいつもの地鳴き「ピッ、ピッ」ではなく、三羽のひよどりが激しく鳴きかわす。なにか異変がおこった予感。その後オヒョイの姿が見られなくなった。
◉ 08月23日[日]
おヒョイが気になったせいもあって出社した。遅れて出社した大石が
「廊下の突きあたりのレッドロビンに、オヒョイがとまっている」
と、あわたしくデジカメをもって撮影に走る。吾輩もあとを追った。

ふつうひとが近づくとひよどりはすぐ飛びさるが、ジッと動かない。ふと下をみて足がすくんだ。そこには息尽きた雛鳥が一羽。おそらくオヒョイとその番いだったひよどりの雄は、よその雄との営巣争いに負けたものとおもわれた。
このレッドロビンの近くに雛を埋めてやった。ここには春にスミレが咲くが、ひよどりの好きな甘い実のなる草木も植えることにした。悲しい週末となった。

悄然とするおひょい

ひよどりの こぼし去りぬる 実の赤き 蕪村

〔本稿の初出は2020年08月19日であった。09月17日追加補充して再紹介する〕


【 ヒヨドリ ひよどり / 鵯 】
 『日本大百科全書』(ニッポニカ 小学館)
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【艸木風信帖】空中花壇-艸木ながら 初夏の庭園でさんざめく ローズマリーとルッコラ

ローズマリーとルッコラ◉ ローズマリー(匍匐性 モーツアルト・ブルー)
ハーブや香草が好きなノー学部が、三年ほど前、立木性と匍匐性のローズマリーを「空中花壇」の植木鉢に植えた。

写真左隅に匍匐性ローズマリー「モーツアルト・ブルー」が紫色の花をつけている。立木性のローズマリーはさらに右奥に棒状のものがあるが、花の紹介にはいたらない。

本来は香草で、多様な用途があるというが、葉と花を囓ってみたら松ヤニくさかった。それでも花の少ない晩秋から初夏にかけて、紫のちいさな花を房状にたくさんつけて楽しませてくれる。
吾が「空中花壇」は南面しているので、どうしても南側(ベランダの外側)に枝をのばし、そこで開花する。時折(気まぐれに)ノー学部がエイヤッと向きを変えるので、いまは仕方なく北面して花をつけている。まもなく花のときを終えるので、枝を刈り込んで来年に備えることになる。

ローズマリー(英:rosemary  仏:romarin)[参考:ウィキペディア
地中海沿岸地方原産で、シソ科に属する常緑性低木。和名マンネンロウの漢字表記は「迷迭香」であるが、これは中国語表記と同一である。生葉もしくは乾燥葉を香辛料、薬(ハーブ)として用いる。花も可食。水蒸気蒸留法で抽出した精油も、薬として利用される。
属名  Rosmarinus  は「海のしずく」を意味する。ヨーロッパでは、教会、死者、生者を悪魔から守る神秘的な力を持つといわれ、また記憶や友情を意味する。
キリスト教以前のヨーロッパで祝典や結婚式、葬儀に用いられたとされ、「変わらぬ愛」や「貞節」の象徴とされる。その生育はキリストの生涯を象徴し、多くの伝説では聖母マリアと結びついているという。

様々な品種があり、立性と匍匐-ほふく-性種に分かれる。花の色は、青から紫色のものがほとんどだが、白や桃色のものもある。 野生のローズマリーには純正種は少なく、ほとんどは変種である。
立性のものは、成長すると高さ1.8メートルに達する常緑灌木となる。暑く乾燥した気候を好むが、耐寒性も高い。縁が厚くなった細長い葉を付け、こするとマツに似た香りがする。冬から春にかけて青や紫がかった白い花が咲き、観賞用としても人気がある。

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◉ ルッコラ (伊: Rucola) [参考:ウィキペディア
ルッコラは、アブラナ科キバナスズシロ属(エルーカ)の1種の、葉野菜・ハーブである。地中海沿岸原産の一年草。施肥が効いたのか、ことしは四花弁の薄いクリーム色の花をつけた。

ところが、このように薹がたって花をつけると、葉が硬くなって食用には適さなくなる。
そのためノー学部は、花をつけさせまいと画策し、花芽の兆しがみられると、すぐにチョキンと切ってしまっていた。そのたびに開花を待っているやつがれが嘆き悲しむため、いまは種子の結実をまって、播種して育てなおそうとノー学部育種科は路線変更し、ようやく開花をみるにいたった。
ルッコラは1年草で発芽率が高く、また病気もほとんどないため比較的栽培しやすいという。また種子は強壮作用があるとされ、ハーブティーに好んで用いられているそうである。

ルッコラは20世紀後半、イタリア料理の普及と共にわが国でも知られるようになり、その葉はゴマのような風味と、多少の辛み・苦みがあり、成長とともに苦みが強くなる。栄養素としてはカルシウム・鉄分・ビタミンCが豊富だという。
種の和名は「キバナスズシロ」という。「キバナ」という和名にもかかわらず、花は上掲写真のように、白色ないし薄いクリーム色である。

主にサラダとして葉を生食する。ホウレンソウやオランダガラシなどと共にサラダに混ぜて使われる。おひたしや炒め物にも使われる。独特の辛み・苦みは加熱によって消える。
イタリアでは、焼きあがったピザに載せる具材としてごく一般的に用いられている。また、カルパッチョなどの肉料理やパスタにも向いている。ステーキ・ハンバーグや魚のムニエルなどの添え物としても昨今のわが国でもよく見られる。

【艸木風信帖】畳半分ほどのスペースか ── ことし「坪庭」 の春を彩った植物たち

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◉ 坪 庭
近隣のマンションの畳半分ほどのスペースの「坪庭」。薄暮になると点灯する常夜灯と、各階のベランダの雨水を集めた排水管が設置されている。焦点があまい写真ながら記録したい。
ここの女王は枝垂れ櫻。昨春は赤味のつよい馥郁とかおる花をつけたが、ことしはなぜか開花をみなかった。すでに花の盛りは終えているが、黄色の花は八重山吹。左側の房状の白い花は小手毬、地面をおおっているのは源平小菊(エリゲロン Erigeron)。
ほんとうに狭い花壇であるが、近隣の人もよく足をとめて、四季折折の花を楽しんでいる。
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◉ 近隣のマンションの小庭
ここもわが輩お気に入りの鑑賞スポット。散歩がてらに時〻のぞいている。
マンションのファサードの一画であるが、北面ながら園芸用の多孔式給水管が敷設されており、おそらく園芸業者が手を入れているとみえて、いつも手入れが行きとどいている。上掲の坪庭の狭隘感はなく、適度なスペースに植栽された季節の花は楽しいものだ。

山吹、小手毬、エリゲロン ウツギらしいひとんち上)白い山吹  下)姫ウツギらしいが詳細不詳

【艸木風信帖】こころはいつもカレル・チャペック|Lingua Florens と 空中花壇

IMG_20200424_150535写真上)Lingua Florens での艸むしり
下)空中花壇でことしはじめて開花した白バラ  フィンブリアータ Fimbriata
空中庭園ごてごてと 草花植ゑし小庭かな

── この小園は余が大地にして 草花は余が唯一の詩料となりぬ 子規庵 ──
正岡子規(俳人・歌人 1867─1902)「小園の記」より

子規庵には及びもつかぬが、やたらに植物を密植するという悪弊においては、吾が「Lingua Florens」と「空中庭園」は良い勝負をしそうである。また、チェコの作家にして戯曲家・造園家:カレル・チャペックに、及ばぬのは百も承知ながら、密かな対抗心がある。DSCN0027 DSCN0017 DSCN0005
《兄・造形家:ヨゼフ・チャペック Josef Čapek 弟・作家:カレル・チャペック 
Karel Čapek》
かねて『園芸家12カ月』(カレル・チャペック 小松太郎訳 中公文庫)を読んでいた。
2014年晩夏、三泊五日のあわただしい日程でチェコ、プラハにいった。
そのとき、画家にして装本家:兄 ヨゼフ・チャペック と、作家・戯曲家:弟 カレル・チャペック の墓をチェコプラハの民族墓地にたずねた。
カレルの墓標は、「ロボット」ということばを創出したこのひとらしく、まさに現代の多段式ロケットの形態そのものであり、ヨゼフの墓はその背後に、戦争収容所で没したために、没した年月日の表示のないままにひっそりと佇んでいた。
891ebad257c3d67fdff8b3805a300815[1]弟:カレルは造園家としてもしられ、植物愛に満ちた著作をいくつか残している。ノー学部はこの短い滞在中に、プラハの古書店を巡ってチャペック兄弟の著作漁りに忙しかった。その間わが輩はカフェでの長~い一服。ウエイターが怪訝な表情になるので、パフェやケーキをやたらと注文。
この『園芸家12カ月』の日本語訳は丁寧な翻訳書であるが、原版のチェコ版にみられる、兄:ヨゼフの挿絵や、作庭図などは、文庫版では仕方ないとはいえ一点をのぞいてすべて脱落している。
また表紙の写真は、カレルが本書を執筆した当時の家と庭とはことなり、結婚して晩年に居住し、ドイツ軍がチェコ領に侵攻する直前に逝去したときの家である。

かつてヨゼフとカレルの兄弟が居住していた住居は、それぞれ門を構えた連棟式のおおきな二世帯住宅で、プラハ10区に「記念公園予定地」として非公開ながら現存している。
上掲写真、向かって右側が弟・カレルの住居で住人はいない。養蜂箱がおかれている左側の玄関が、兄・ヨゼフの住居であり、現在も住人がいるらしい。
ふたりはこの連棟式の建物に、いっとき二世帯としてともに住んでいた。そしてカレルは結婚後に郊外に住居を求めて移転し、ドイツ軍ゲシュタポの襲撃のわずか前に病歿した。兄・ヨゼフはゲシュタポにとらわれ、収容所で歿した。
それでもヨゼフの子孫が現在もここに居住しており、プラハ市10区は、とりあえずカレルの住居跡を購入・管理しているが、まだ一般公開はされていない。したがって主が逝去して七十余年を経たカレルの庭園は、壁の崩壊部にデジタルカメラを突っ込んで、無理矢理撮影したものである。思いでの一枚となった。

[ 参考:[ボヘミアン、プラハへゆく】 03 再開プロローグ:語りつくせない古都にして活気溢れるプラハの深層

【艸木風信帖】Lingua Florens|クサノオウとチューリップ|きれいな花には毒があるというけれど|

くさのおうとチューリップ02「Lingua Florens」とは、「ことのは の 花園」の意から、河野三男さんが名づけられた三坪ほどの小庭で、人工地盤の浅い土壌の上にある。
既報のとおりゴシャゴシャと様〻な艸花が植えてあるが、写真左、黄色の花をつけたクサノオウと並んで、チューリップが花をつけている。
──────────────
「クサノオウ Chelidonium majus はユーラシア大陸一帯とその周辺に広く分布する、ケシ科クサノオウ属に属する一年生(越年草)の草本植物。わが国でもほぼ全国でみられ、またヨーロッパから北アメリカへも移植され、アメリカにも広く分布している。

「クサノオウ」は繁殖力が旺盛で、植えた記憶はなく、おそらくなにかの花卉といっしょに紛れ込んで、Lingua Florens のあちこちに勝手に自生しているらしい。したがっていつの間にか五株ほどのクサノオウをみるまでになった。
ところがこの艸は意外に厄介で、茎や花といった植物体を傷つけると、有毒アルカロイド成分を含む黄色い乳液を出し、これが皮膚に触れると炎症を起す。そのため皮膚の弱い人は、植物体そのものに触れるとかぶれる危険がある。日曜園芸家などはゴム手袋の着用がお勧めだそうである。

「クサノオウ」には多様な別名もあるが、和名クサノオウについては以下の命名由来説がある。
・植物体を傷つけると黄色の乳液を流すので「草の黄-クサノオウ」。
・皮膚疾患に有効な薬草とされていた時代があり、その意味で「瘡-くさ-の王」。
・鎮痛剤として内臓病に用いられた時代があり、そこから「薬草の王様-草の王」。

ところでチューリップ。水仙、ムスカリといった早春の球根艸が咲き終わったあと、春の王者登場といった趣で、小庭のあちこちで威勢良く開花した。
いまやチューリップは、鑑賞用だけではなく、食用や化粧品の原料としても採用されていると聞くが、多くの品種で全草に心臓毒であるツリピンを含み毒性がある。すなわち食用に適するものは専用の品種で、一般の園芸品種は灰汁-あく-が強く、また農薬などの問題もあり食用は避けるべきとされている。
古人曰く「きれいな花には毒がある」

[参考:ウィキペディア/クサノオウ  グーグル/画像集
[参考:ウィキペディア/チューリップ グーグル/画像集

【珍客訪問】有朋自遠方来、不亦楽乎|バウマン&バウマンの愛娘 カルラが訪問|フランスで建築家になっていて吃驚仰天

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ドイツのバウマン&バウマンはふるい友人。かぞえてみたら優に30年を越える交際になる。
12月某日、そのバウマン夫妻の愛娘カルラが、トートーバックひとつと、スマートフォンを片手にひょっこりと訪問。少女からすっかりレディーになっていてびっくり。
カルラは現在パリの著名な建築家の事務所に勤務しており、ビジネスで日本にやってきたとのこと。弟のレオンともどもいまだに結婚はしていないそうだ。オヤジのゲアドは頭が痛くて、頭髪の養生には悪影響があろかと心配する。

20191217154727_00015 20191217154727_00018ドイツ中西部にあるシェベービュッシュ・ギュムントの街。ふるい城壁に囲まれた石畳の街
バウマン家は街の郊外、小高い丘の中腹にあり、大型の荷物は専用ケーブルカーで運ぶ
20191217154727_00019 20191217154727_00020カルラとレオンの姉弟。亡妻と野面で花冠をつくって遊んでいた少女がカルラだった。

カルラのスマホ画面でバウマン一家の近影を拝見。即スカイプ接続で日独テレビ電話の強制。ゲアド・バウマンは顎髭までまっ白になって、まるでサンタクロース。おまけにレオンまでオヤジに似て頭髪の大部分を失っていた。不覚ながら懐かしさのあまり涙がにじんだ。

ちょうど移転作業中で社内は散らかっていたが、古い写真もでてきた。あわせて紹介したい。
ふるく中国でいう ── 

有 朋 自 遠 方 来、不 亦 楽 乎
朋有り遠方より来る、亦た楽しからずや

バーバラ・バウマン+ゲアド・バウマン b+b WebSite
『文字百景』バウマン02【 文字壹凜まとめ 】
【 文字百景26  バウマン+バウマンと私たち PDF moji-hyakkei 26 B&B_1 】

20191217154727_00017 20191217154727_00016 バーバラ・バウマン バウマン01バウマン初来日のとき。1994年10月10日、イベントの秋、体育の日で、講演・展示会会場探しで往生した記憶。 上)バーバラ・バウマン 下)ゲアド・バウマン。早速あだ名がついた。「逆さダルマ」。ゲアド・バウマンも気に入って各地でダルマを買いあさっていた。

【会員情報】紙のことならなんでもこい|原 啓志さん カレンダー|咲いた - Bloomed 2020 Calendar

20191217154727_00012 - コピー20191217154727_0001320191217154727_00014【 原  啓志さん   一筆箋 】
2020年のカレンダーをお届けします。
2019年一年間お世話になりました。その感謝と「2020年も宜しくお願いいたします」のご挨拶に
代えさせて頂きます。
綴じ糸をオリンピックの年に合わせて赤色にして、ガンバレニッポン。
会話の中に植物を愛する気持ちを感じ、そこに咲く季節の花々をスケッチして歩いた道、庭。
開いた一枚目の頁に、2019年12月の暦と、春の始まりに咲く縁起の良いマンサクを配し、健康にも
良いとされる柚子の香りに立ってと願った表紙です。
2020年が皆様にとって佳い年でありますよう、お祈りいたします。
2019年師走   原 啓志
原さんresized

【 原 啓志 はら-ひろし さん プロフィール 】
・ 1949年  佐賀県生まれ 幼少時より東京北区で育ち、王子の「紙の博物館」が遊び場だった
・ 1973年  東京農工大学卒業  三島製紙株式会社入社
・ 1984年  農学博士(東京大学)
・ 2008年  日本製紙グループの事業再編に伴い、三島製紙株式会社が日本製紙パピリア株式会社となる
・ 2013年  日本製紙パピリア株式会社常務取締役を退任
・ 2014年  高知県製紙工業会紙産業特別技術支援員(2017年3月契約終了)

この間、三島製紙株式会社・日本製紙パピリア株式会社の、開発室長兼開発研究所所長、吹田工場長、原田工場長、本社技術開発本部長、高知工場長を歴任。
1981年と1989年に紙パルプ技術協会賞受賞。
和紙、非木材繊維、パルプ、紙の表面性、吸液挙動等の研究、シガレットペーパー、情報記録用紙、薄葉印刷用紙、ケナフ紙などの特殊印刷用紙、透き入れ紙、特殊紙の開発を手がけるほか、ISO 9000 シリーズ、PL 法対策にも関与。
紙や特殊紙の講演、執筆も多数。
ヨーロッパの手漉き紙に日本の山野草や小動物などを描いた個展を開く。
洋風の食材をモチーフにしたイラストとデザインで、1997全国カレンダー展日本印刷産業連合会会長賞を受賞など趣味も多い。
著書 : 『紙のおはなし』(日本規格協会)、『印刷用紙とのつきあい方』(印刷学会出版部)
共著 : 「最新加エガイド」、「特殊機能紙」、「現代デザイン事典」、「おもしろい繊維のはなし」、「紙パルプ技術便覧」、「紙パルプ事典」ほか

kazari-upper{ 新宿餘談 }
師走とはいいながら、あまりに時の経つのがはやくて驚きます。
原啓志さんを講師にお迎えして{朗文堂 ちいさな勉強会 紙}を開催したのは、てっきりことしの前半のことかと思っていたら、2018年4月-9月のことでした。あのあつい勉強会から、はやくも一年余のときが経ったのですね。
また長期「リニューアル休館」に入っていた紙の博物館は、久しぶりに2020年3月から企画展を再開し、2020年6月には創立70周年を迎えます。来春のたのしみのひとつです。

そんな慌ただしい世相をよそに、原 啓志さんはいつもの優しいタッチの水彩画で、 A 3 判 4 枚 二つ折りのカレンダーを製作。ご恵送たまわりました。
できたら艸花(ひとにより雑艸ともいう)でいっぱいの「空中花壇」に掲出したいほどのものですが、それでは風雨にさらされますので、枕元に飾って一年をともにしたいと存じます。なつかしい勉強会の記録と共にご紹介いたします。

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【イベント】江戸東京たてもの園|夜間特別開園 紅葉とたてもののライトアップ| 2019年11月22日・23日・24日

  • 20191107182602_0001020191107182602_00011江戸東京たてもの園
    夜間特別開園
    紅葉とたてもののライトアップ
    期  間  2019年11月22日[金]・23日[土]・24日[日]
    時  間  16:30-20;00
          * 開園は9:30から、入園は19:30まで。荒天時は中止
    主  催  東京都、江戸東京たてもの園
    ──────────────
    あかりの灯った歴史的建造物と、色づきはじめた木々をほのかなあかりで美しく照らします。
    深まりゆく秋の中、日中のたてもの園とはちょっと違う、
    夜のたてもの園を楽しめる
    特別な3日間です。

[ 詳細: 江戸東京たてもの園

【さようなら】勝井三雄さん お別れの会が開催されました|2019年11月1日

20191107201829_00001 20191107200551_00003勝井三雄さん お別れの会
日  時  2019年11月1日[金]

場  所  東京都青山葬儀所
主  催  「勝井三雄さん お別れの会」実行委員会
20191107200551_00004

記念品:グリーティング・カード|1985年の勝井三雄作品の覆刻版

【展覧会】宇都宮美術館 企画展|視覚の共振・勝井三雄 visionary ∞ resonance : mitsuo katsui|2019年4月14日ー 6月2日 終了企画 参考掲示

勝井三雄先生の最後の大型展覧会となりました。ここに万感のおもいを込めて再掲載いたします。

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【公演】I H I ステージアラウンド東京|ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」|素晴らしいステージに血が騒ぐ

ウエストサイドストーリー世界中で再演を重ねている「ウエスト・サイド・ストーリー」が2019年、夏、I H I ステージアラウンド東京にて来日公演を開催!
DSCN0758 DSCN0759 DSCN07622019年10月26[土]、豊洲の「 I H I ステージアラウンド東京」で、ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」鑑賞。
もうあれから半世紀になることに驚く …… 。まだ田舎の高校生だったころ、70 mm 超大作映画「ウエスト・サイド・ストーリー」にはまって、封切館にたしか 7 回は通ったおぼえがある。
移民の対立という、アメリカが内包する重い悲劇などをおもうことなく、アップテンポのダンスと、バーンスタイン作曲による「マンボ」「マリア」「アメリカ」「トゥナイト」などのコーラスとダンスにただただ陶酔した。

のちに N Y に行くようになり、酒を呑まない身、夜の無聊のなぐさめに、何度かブロードウェイでミュージカルを観た。それでも何故か「ウエスト・サイド・ストーリー」は観なかった。マリア役のナタリー・ウッドはあくまでも可憐だったし、SHARKS,  JETS の移民団の若者の強烈な印象はソッとしておきたかったのかもしれない。

「 I H I ステージアラウンド東京」では、さすがブロードウェイの演出家の手腕に感心した。客席が回転し 360° にわたるステージ一杯に、あたらしい「ウエスト・サイド・ストーリー」が展開していた。好運なことに坐席は中央三列目、ライブの魅力を十分に堪能した。

DSCN0766 DSCN0773カーテンコールでは撮影が許可された。1300人余の観客は総立ちで拍手喝采

帰宅後から映画「ウエスト・サイド・ストーリー」のサントラ盤をなんども聴いているが、どうしてもマリアはナタリー・ウッドであり、アントンはリチャード・ベイマー、そしてジョージ・チャキリスの「指パッチン」が忘れられない今である。
「 I H I ステージアラウンド東京」では、ブロードウェイのスタッフによる上演に続き、2019年11月6日-2020年5月まで、引き続き
日本人キャストによる上演が予定されている。

【 YouTube West Side Story in STAGE AROUND 4:40 】

【 YouTube West Side Story – Prologue – Official Full Number-50th Anniversary (HD) 8:59】

【 YouTube ウエストサイド物語~トゥナイト(Tonight)5:20 】

【 I H I ステージアラウンド東京 と ウエスト・サイド・ストーリー】

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【艸木風信帖】空中庭園に謎のキノコが大量発生|連日異常繁殖展開中|灼熱の夏よ早く来たれ

コガネキヌカラカサタケかねがね雑艸という名の艸は無いといいつづけてきた。ところがことしの異常気象 ── 気温の低下と長雨にはいささか困惑している。「海の日」を過ぎても梅雨があけず、吾が空中庭園では、なんと謎のキノコが大量発生した。

高層階のベランダの内側に固定して設置してある小型の植木鉢だが、写真は鉢植えのランタナ(パニックドーム)の咲き終わりの姿で、右は蚊よけの「蚊連艸」である。
長雨で水遣りは控えていたつもりだったが、昨週週末にニョキッとキノコの発生をみた。7月21日[日]は参議院議員選挙で、投票から戻ったらニョキニョキと、もっとたくさん生えていた。

さっそくノー学部が「きのこ図鑑」で調べたところ「コガネキヌカラカサコケ」ではないかと診断した。

ウィキペディア ゟ
和名:コガネキヌカラカサタケ 英名:flowerpot parasol ,  plantpot dapperling
コガネキヌカラカサタケ (黄金絹唐傘茸  Leucocoprinus birnbaumii )は、ハラタケ目ハラタケ科に属するキノコである。 
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熱帯性であり、沖縄などでは夏から秋にかけ、植え込み、芝生の上、室内の植木鉢などあらゆる場所に発生する。傘は綿くず状の片鱗に覆われ、高さは 7 cm ほど。腐葉土など養分の多い土壌を好み、本州でも見られるが、自生はせず、熱帯地方から持ち込まれた腐葉土に混ざった菌から発生することが多い。子実体の色はおおむね白褐色から黄色になる。
<食  毒>
本種に関する詳しい文献はまだ少なく、食毒不明として扱われているが、その一方で非常に美味であるともいわれる。詳しいことはわかっていないので食べるべきではない

サラマ・プレス倶楽部では、かつてはこの「海の日」の三連休にさまざまなイベントを実施していた。ところが地球温暖化がやかましくなり、2013年のこの時期のイベントは、東京をはなれ、北海道美唄市で<Viva la 活版  Viva 美唄>を展開した。このときは北海道でも例年にない暑さということで、来場者もスタッフも疲労困憊状態となったので、それ以降夏のイベントは控えるようにしていた。
[ 関連: 活版 à la carte Viva la 活版  Viva 美唄

最近は新潟での地震があり、長崎五島列島では渇水をうれえていたら、集中豪雨に見舞われ、全島避難騒ぎとなったという。全国各地にサラマ・プレス倶楽部の会員が増えてきた今、どの地域・地方でも、つつがなく梅雨が明け、蟬がうるさく啼きつのる猛暑の夏を待つきょうこのごろである。
[関連:活版 à la carte 【Lingua Florens 草木風信帖】雨にうたえば|合歓木/サルビア・ガランチカ/ニオイバンマツリ(匂蕃茉莉)|ことしも元気に開花中

【Lingua Florens 草木風信帖】雨にうたえば|合歓木/サルビア・ガランチカ/ニオイバンマツリ(匂蕃茉莉)|ことしも元気に開花中

IMG_2259ネムノキ(合歓木)この時期もっとも楽しめる大型の花。

天候不順の日々が続くきょうこのごろ、 Lingua Florens では艸木が懸命に花をつけています。
ここはビルの谷間で、直射日光は快晴でも一日に十五分ほどしか射し込まず、水はけも好ましくはない小庭です。

こちらの Lingua Florens へ朗文堂の移転計画を発表してから早くも半年余が経過。ところが計画は遅遅としてすすまず、いまだに活版印刷関連機器と、相当量の活字で溢れかえっています。
とりわけ欧文活字は大型のダブル・ケースに入ったまま積みかさなっているために、その特別収納ケースを活版木工所に依頼して製作しています。別寸特製となるため価格も馬鹿にならず、追加でいくつ製作してもまだまだ収納が済む見通しがたちません。
それでも艸木は吾関せずとばかり、長雨もものともせずに花をつけています。

IMG_2262日照時間が少なくても、今一番元気なサルビア・ガランチカ

IMG_2252 IMG_2255 IMG_2257ニオイバンマツリ(匂蕃茉莉)── 癖のある独特の匂いがするが花は可憐
開花直後は赤紫であるが、次第に純白になっていく。
合歓木と同様に、どちらも巨木になるので、大型の鉢植えにしている。

【艸木風信帖】吾が空中花壇の女王|トロロアオイとウィキョウ|ことしも元気に開花です

トロロアオイ写真

ごてごてと 草花植ゑし 小庭かな

正岡子規(俳人・歌人 1867-1902)「小園の記」ゟ

吾が空中庭園 ── 失礼千万ながら、ひとにより「ベランダ鉢植え雑艸園」ともいう ── の女王「トロロアオイ」が花をつけている。もともと晩夏のころに咲いていたが、徐徐に開花時期がはやくなり、ことしの開花のはじめは6月6日で、それからほぼ毎日、一輪から三輪ほどのおおきな花をつけている。
この種子のもとは2009年05月に、都下あきる野市五日市町の軍道紙-ぐんどうがみ-工房からわけていただいた数株の苗にはじまった。あれから10年にもなるのかと驚くばかりである。もちろん中途に種子から育苗したので、これが何代目かわからないが、すくなくとも越冬年越しすること三回の古株である。

正岡子規の旧宅「子規庵」は、筋向かいの「書道博物館」ともども、鶯谷駅からしばらくの通路の環境はちょっとアレだが、お気に入りの場所でときおり訪れている。子規庵の庭には、いまなら朝顔が咲きはいめているだろうし、晩夏になると糸瓜-へちま-がぶらりと垂れさがっているのもよい。

フェンネル NHK趣味の園芸NHK 趣味の園芸 ゟ

ところでトロロアオイの左うしろでひょろひょろと咲いているのは「フェンネル ウイキョウ・茴香」である。吾が郷里信州では茴香と呼んで、新芽は茎ごとゆがいて食していたし、その根はタマネギにも似て、大きく甘みがあってなかなか良い。実家の庭に茫茫と勝手に生えていたので、野生かとおもっていたら栽培植物だった。もちろん空中庭園では一株だけの栽培である。

【トロロアオイ/黄蜀葵】
アオイ科の一年草。中国原産。草丈は本来2メートル近くになるが、最近は0.5-1メートルの丈の低い品種が多く栽培されている。葉は互生し、葉柄が長く、掌状に深く裂ける。
夏から秋、淡黄色で中心部が濃赤紫色、径15-20センチメートルのおおきな五弁花をつける。花は1日でしぼむが、茎の下位から上位へと順に次〻と開く。植物体全体、とくに根に粘質物を多く含み、これを手漉き紙を漉くときの糊剤(ネリ)として利用する。また花を観賞用・食用ともする。糊原料をとるための栽培では、開花・結実させないために、つぼみがついたら先端部を刈り取って根に養分をたくわえる。
活版 à la carte トロロアオイまとめ

【フェンネル、ウイキョウ(茴香、学名: Foeniculum vulgare)】
セリ科ウイキョウ属の多年生草本である。別名ショウウイキョウ(小茴香)。英語名からフェンネル(Fennel)またはフェネル、仏語名からフヌイユ (fenouil) とも呼ばれる。
フェンネルの鱗茎(葉柄基部が肥大したもの)はフィノッキオ (finocchio) とも呼ばれ、野菜としてタマネギなどのようにサラダや煮物、スープなどに用いられる。茎・葉は生食されるが、そのほかにも佃煮、シチューなど肉料理の香味野菜として使用される。

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バウハウス+ディスティル-2明治百五十年祭をはじめ、周年事業が盛んである。
オランダの新造詣運動<DE STIJL>は1917-1931、同名の雑誌『DE STIJL』に結集した造形者によって展開された。
<BAUHAUS> はデザイン教育機関で、第一次・第二次世界大戦の狭間にあって設けられた。

どちらも創刊100年であり、学校開設100年を迎えている。
2019年もなかばを過ぎたいま、小規模な展示会や講演会の話題はチラホラしているが、かつてのように大型展開催の情報は管見に入らない。上掲二冊の図書は、二十世紀初頭の混乱期にありながらも熱かった造形界の記録である。この忘れ去られたような二冊の図書をみていると、梅雨寒の昨今の陽気と似て、どこか造形界のモチベーションが低下しているようでさびしいおもいもある。

[画像データー作製:青葉水竜]