月別アーカイブ: 2016年2月

新宿私塾第27期 意欲満満、順調に講座が進行中 ― +次期新宿私塾28期公募状況のお知らせ

27期順調《 新宿私塾第27期は、爽秋の風のなか、意欲満満で2015年09月末にスタートしました 》
新宿御苑の遊歩道に金木犀のかおりがかすかにただよい、さまざまな秋の艸花が咲きそろった2015年09月29日[火]、新宿私塾 第27期が開塾いたしました。
DSCN1556爾来ほぼ五ヶ月が経過し、講座は第21回までを順調に消化してきました。
新宿私塾第27期は、めずらしく男性が多い塾生で構成されました。それでもはじめのころのかたさは消えて、休憩時間や講座の終了後は和気藹藹としたふんいきに教場は包まれるようになりました。

27期カリキュラム部分WEB第27期入塾《新宿私塾第27期第07回特別講座 フィールドワーク 理想社》
2015年11月14日[土]、特別講座で理想社でフィールドワーク。田中宏明さん(社長)の一時間にわたる講義ののち、二班にわかれての工場見学にのぞみました。
理想社の印刷機器は大型で、商業印刷というより、図書印刷が大半を占めます。大手出版社との長年の取引をつうじて醸成された、独自の組版術、ハウスルールなどの紹介で、塾生諸君は熱心にメモをとっていました。

DSCN5420DSCN5425DSCN5422《新宿私塾第27期第08回講座 名刺のデザインとその製作実務》
2015年11月17日[土] 通常講座。永野有紀さんによる「名刺デザインとその制作実務」。
まず名刺の歴史と役割、基本構成などの講義があり、そのあとはふたりずつにわかれての、名刺製作の交流・交換がはじまります。
この講座のあとは、たがいにその趣味やデザイン嗜好までを知りますので、塾生同士の親密度はぐっと増します。まして講師の永野さんご自身が、新宿私塾第二期生とあって、教場はいっきになごやかなふんいきに変わります。

DSCN5429DSCN5431《新宿私塾第27期第09回講座 欧文組版の基礎》
2015年11月24日[火]講義  このころは暖冬だとされて、冬とはおもえないおだやかなまいにちでした。この日の講師:河野三男さんは新宿私塾開塾以来のベテラン講師。ページ物の欧文組版を中心に、行間と行長の設定、組版テクスチュア、段落の意味と種類などをユーモアを交えてわかりやすく解説。
DSCN5475DSCN5470《新宿私塾第27期第15回講座 構造としての造形言語》
2016年01月19日[火] 特別講座 新年をむかえ、暖冬気味ではありましたがとかく天候不順な日日でした。新春二回目の講師は、新宿私塾の開塾以来講師を担っている板東孝明さんによる特別講座でした。
タイポグラフィにおける構造的視点を、リートフェルト、ミース・ファンダルローエ、バックミンスター・フラーなどを例として、豊富な資料と画像を駆使しての講座。
後半部には地域社会に根ざしたコミュニケーション・デザインのあり方と、板東さん製作のたくさんのタイポグラフィ作品の実物を眼前にしながらの講座となりました。
DSCN6254DSCN6248板東02板東孝明さんの新著作  板東孝明編『ホスピタルギャラリー』 深澤直人・板東孝明・香川征著 武蔵野美術大学出版局 

《新宿私塾第27期第20回特別講義 洋書の姿:印刷と折り丁/書物の構造と造形言語》
2016年02月16日[火] 特別講義 二月にはいると東京にも積雪をみました。また数十年ぶりという、南国九州の長崎や鹿児島でも、降雪のためほとんどの交通機関が三日間ほど停止を余儀なくされるほどの異常気象でした。
それでも新宿私塾は淡淡と設定カリキュラムを消化していました。02月16日は書誌学の定番書ともいえる『洋書の話 第二版』の著者:ベテラン講師の髙野 彰さん。
ベラムと紙から説きおこし、書写から書物の誕生、見開き・一対の紙葉、そのたたみかた、ページ割り付け、印刷用活字書体の誕生、タイポグラフィの進展と、熱い講義が続きました。
DSCN6342DSCN6335プリント髙野 彰著『洋書の話 第二版』(朗文堂

《新宿私塾第27期第21回特別講義 フォーマットとグリッドの概略史とその展開》
DSCN6377DSCN63822016年02月23日[火] 特別講義 02月最後の講座。寒い日でしたが新宿私塾開塾以来の講師:白井敬尚さんの担当。タイポグラフィは活字版印刷術を源流とするだけに、グリッド(格子)構造は避けては通れない課題となります。さまざまなケーススタディの紹介に教場は熱い熱気につつまれていました。

《間もなく如月キサラギ二月がおわり、艸花の開花をみる弥生ヤヨイ三月を迎えます》
ことしにはいってから、竜巻・異常降雪・突風など、どこか妙な気候がつづきましたが、まもなく花の弥生三月となります。
新宿私塾第27期はのこすところほぼ一ヶ月、四講座、まだまだ重要な講座がつづきますが、03月22日[火]第25回演習講座をもって終了をむかえます。
ことしの菜の花

新宿私塾では、タイポグラフィにおける 「 知 ・ 技 ・ 美 」 のみっつの領域で、バランスのよい学習をモットーとしています。 それはまた 「 知に溺れず、技を傲らず、美に耽らず 」 という、つよい自戒をともないます。
この半年のあいだ、塾生の皆さんがおおきな収穫が得られるように、講師陣はもとより、200名を優にをこえた 「新宿私塾修了生」 の皆さんも、精一杯の努力と応援をいたします。

──────────
《新宿私塾第28期のお申し込み状況の報告と、ご予約のおすすめ》

新宿私塾では次期以降の入塾申込を随時受けつけております。
2016年04月開講予定の<新宿私塾 第28期>には相当数のご予約をいただいおりました。二月の声を聞くと、改めて入塾お申し込みの連絡が増加したため、02月下旬から、ご予約順に、予約の再確認、入塾者確定作業をおこないました。

その結果<新宿私塾第28期>は、一般公募をへずに、ご予約者で定員となりました。
したがいまして恐縮ながら、今後の新宿私塾入塾お申し込みは、2016年09月開講予定の<新宿私塾第29期>、ないしは、2017年04月開講予定の<新宿私塾第30期>へのご予約とさせていただきます。
ともあれ<新宿私塾>に入塾希望のご意向があるかたは、下記詳細情報をご覧いただき、 朗文堂担当鈴木 robundo@ops.dti.ne.jp
  までご一報ください。
演習・フィールドワーク以外の講座は見学申込も随時受けつけております。

【 詳細 : 朗文堂 タイポグラフィ・スクール 新宿私塾

【会員情報】 上海の畠中 結さんから春節あけにカレンダーをご送付いただきました

本コーナーではお馴染みの上海の会員、版画家の楊 黙 さん、畠中ハカケナカ 結さんからのお便りです。
畠中さんは出産のため、実家の京都にもどられ、無事に出産されて最近上海に戻られました。そんなおふたりから<2016年 カレンダー>をお送りいただきましたのでご紹介します。

【 関連 : 活版 à la carte 中国 上海の活字製造と活版印刷関連情報 ── 畠中結さんからのご報告,   <在時間的某処>, Somewhere in time, ある日どこかで。】  

DSCN6388 DSCN6396 DSCN6393楊 黙  Yang Mo ┊ 1980年中国うまれ
中国上海在住。日常生活のすべてを芸術、デジタル・デザイン、版画製作に捧げているアーティスト。
楊氏は南京芸術大学を卒業し、そののち版画製作の最先端の研究を、ドイツ中央部、芸術と大学都市、カッセル(Kassel)で続行した。同地で日本から留学中の畠中ハタケナカ 結さんと知り合い結婚した(中国では夫婦別姓がふつう)。

中国に帰国後は上海にアトリエを開設して、中国各地でいくつかの展覧会を開催した。また2012年の東京TDC賞にも選ばれ、畠中さんは最近ご実家の京都で出産・帰国された。
楊氏はおもにデジタル・デザイナーとして活躍しているが、常に彼自身の版画作品をつくって、現代中国では顧みられることの少ない、あたらしい版画芸術を提案し続ける、意欲にあふれる造形家である。
上海/楊黙さん・畠中結さん夫妻

あなたの桜餅はどちらですか? 道明寺桜餅・長命寺桜餅。一概に関東風・関西風とはいえずまだらに混在する春の和菓子

あなたの桜餅はどちらですか? DSCN8369[1]

昨春、関東を中心に展開する ◯ A クレープ型「長命寺桜餅」と、中京以西を中心に展開する ◯ Bおはぎ内外逆転型「道明寺桜餅」を紹介した。
寒い毎日がつづいたので、きょうは『早春賦』を紹介しようと準備していたが、陽光にめぐまれたので、一転「ふたつの桜餅」の再紹介。
下戸で甘党のやつがれは信州信濃の山奥の出身。ここではAB混在型。いまはふかい雪に埋もれているが、『早春賦』を口ずさみながら、花咲く春をまち、A B いずれかの桜餅をおいしく食す風趣が奥ゆかしくかんずるこのごろ。

【詳細/花筏 ふたつの桜餅

 

【イベント紹介】 第16回広島国際アニメーションフェスティバル 2016年8月18日-22日 JMSアステールプラザ

top_main_2016a_1[1] top_main_2016b_1[1]広島国際アニメーションフェスティバルは、2 年に一度、広島市で8月に開催される、国際アニメーションフィルム協会(Association Internationale du Film d’Animation - ASIFA) 公認の映画祭です。
『愛と平和』の精神の下、アニメーション芸術の発展を通した国際異文化交流を促進しながら、映像メディア文化の振興・発展に寄与しています。

アヌシー、オタワ、ザグレブと共に、世界4大アニメーションフェスティバルの一つとして知られ、アカデミー賞公認の映画祭でもあります。

主催 : 広島国際アニメーションフェスティバル実行委員会、広島市、公益財団法人広島市文化財団
共催 : 国際アニメーションフィルム協会日本支部(ASIFA-Japan)

【 詳細 : 広島国際アニメーションフェスティバル

【展覧会】 根津美術館仏教名画コレクション展〝ほとけの教え、とこしえに。〟

nedubijyutukann「ほとけの教え、とこしえに。」は、釈迦如来、阿弥陀如来、大日如来、未来に如来となる弥勒菩薩、そして現在と未来を結ぶ羅漢を描いた仏教絵画の名品をご覧いただく展覧会です。
この世に生きた人間として悟りを得た「釈迦如来」、56 億7千万年の後にこの世に現れ、如来になる「弥勒菩薩」、臨終の間際に西方浄土から迎えに来てくれる「阿弥陀如来」、あるいはまた、仏教の絶対的な真理を尊格化した「大日如来」など―仏教では、時空を越えた如来の信仰世界が展開しています。
さらに、弥勒菩薩が出現する時まで、この世で仏法を守る聖僧の姿を描いた「釈迦三尊十六羅漢像」(19幅 常盤山文庫所蔵)も見どころのひとつです。

◯ 期     間  2016年2月27日(土)-3月31日(木)
◯ 休  館 日  月曜日 ただし3/21(月・祝)は開館し、翌3/22(火)は休館
開館時間  午前10時‐午後5時(入館は午後4時30分まで)
入  場 料   一般1000円、学生[高校生以上]800円 *中学生以下は無料
◯ 会   場   根津美術館 展示室 1 ・ 2

【 詳細 : 根津美術館

異なモノ発見! NHK朝ドラ〝あさが来た〟で一躍人気者に―五代友厚関連鹿児島の金鉱山凡そ百二万坪を販売か 

DSCN6352 DSCN6353朗文堂と世界堂の中間「新緑苑街」の角に古物商が店を設けている。ほとんど従業員の出入りをみたことはないが、その店頭に、五代友厚(通称才助)旧蔵、薩摩三金山のひとつ凡そ百二万坪を販売すると告知している。
五代は「若き薩摩藩士」をひきいて江戸時代末期に英国に密航し、通称『薩摩辞書』の発行につよい関わりをもった。『薩摩辞書』の初版は上海で製造したが、再版を日本国内での製造をめざして大阪活版製造所を開設し、それを請けおった本木昌造一門に再版刊行を委託した。

しかしながら当時の大阪活版製造所の力量では『薩摩辞書』の増刷作業は不可能で、中途で作業を放棄せざるを得なかった。このとき本木は五代から相当の借財を背負ったが、その借財は本木にかわり、のちに平野富二が利息を含めて返済した。
印刷関連ではほどんど知られない人物、五代友厚を成果のないままおって15年ほどになる。これをみると苦笑するしかない。
鹿児島商工会議所前五代友厚立像 DSCN5673 DSCN5682

【会員情報】 しおた まこ{色、まとう春}~ストーリーを持つストールたち~

しおた まこ絵柄面 20160223165809982_00023月16日(水)-4月3日(日)、新潟のカフェギャラリー「シロネプレッソ」にて
春のストール展開催します! 
しおた図案の型染ストール、今、百貨店を中心に展開している
Drore² さんメイドの
mako 柄もあります。
──────────
<Viva la 活版 Let’s 豪農の館>の出展者、協力者として大活躍していただいた「しおた まこさん」のプロフィールをご紹介。
{  しおた まこ プロフィール/新潟在住のユルいイラストレーター。三人の男の子に君臨するアマゾネスの母、そして自称キュートでセクシーな妻 }

【 情報 : しおた まこ URL  Twitter

【会員情報】 ペンギンパレード2016 ― ペンギンと一緒に未来を生きよう 新宿伊勢丹

20160221173220457_0001 20160221173220457_0002
本コーナーで皆さまおなじみの出原速夫さんをはじめ、ペンギンをこよなく愛し、絶滅危惧種を含むペンギンの存続や保護のために活動する六名のアーティストによる企画盛りだくさんのイベントが新宿伊勢丹で開催されます。

【展覧会】 明治の浮世絵師ー清親-光線画の向こうに 町田市立国際版画美術館

20160221173220457_0003 20160221173220457_0004 明治に活躍した浮世絵師、小林清親(1847-1915)は、光と影を印象的に表現した「光線画」と呼ばれる木版画のシリーズで知られます。
明治初期、赤や紫の合成染料を用いた、いわゆる「赤絵」のような派手な色づかいが大勢を占めるなかで、季節や天候の繊細な移ろいを淡い色彩で表現した清親の作品は、浮世絵に新たな風を吹き込みました。

空が赤らむ夕暮れ時や、街灯の灯りがにじむ雪夜の景など、光と影の巧みな操作で明治の空気感と人々の息づかいを今に伝えています。

清親は明治14年を境に、光線画の制作をやめ、風刺画や戦争画に取り組むようになります。「清親ポンチ」や「新版三十二相」シリーズでは、風刺を込めつつ人々の表情を豊かに描き分け、光線画とは異なる手法で人間像を捉えています。日清戦争、日露戦争に取材した戦争画では、光線画で築いた情趣溢れる光の表現を活かし、他の絵師との差異化を図っています。

本展覧会では、清親の没後100年を記念し、光線画に加えてこうした風刺画や戦争画の試みにも光を当てるとともに、町田市立国際版画美術館所蔵の光線画約90点を一堂に展示します。
さらには井上安治、小倉柳村、野村芳国ら、清親に影響を受けた絵師達にも着目し、画業を多角的に辿ります。
【 詳細 : 町田市立国際版画美術館

【会員情報】 第六回「手で作る本の教室」展 世田谷美術館区民ギャラリーA

20160221155515821_0001 20160221155515821_00021997年に教室を始め、今回が6回目の教室展。
今回もまたいろいろなものが並びます。

山崎曜の製本教室「手で作る本の教室」展

◯ と き : 3月1日(火)-6日(日)まで
初日の1日(火)は午後1時オープン、最終日6日(日)は午後4時半まで。

それ以外の日は、午前10時-午後6時までです。
◯ ところ : 世田谷美術館の区民ギャラリーA

口上
手作りすることから「本」を考えていくと、人間が加工の限りを尽くした末端にある材料や言葉を取り合わせて思いを形にしたものが「本」だ、と感じる。すると、あらゆる素材が興味の対象となり、取り合わせた結果が「本」でない場合もでてくる。それでかまわない。
ここは自由な実験場だから。
【 詳細 : 山崎曜製本アーティスト

【展覧会】 恩地孝四郎展/東京国立近代美術館 会期末迫る & 恩地家三代公式記録 multirhythm WebSite紹介

国立近美恩地孝四郎展日本における抽象美術の父にして木版画近代化の立役者、そして時代に先駆けたマルチクリエイター恩地孝四郎、過去最大規模の回顧展。
日本で最初の抽象表現《抒情『あかるい時』》はもちろん、海外美術館所蔵の重要作62点を含む約400点を一挙公開します。
──────────
日本における抽象美術の先駆者であり木版画近代化の立役者でもある恩地孝四郎の、20年ぶり3回目、当館では実に40年ぶりとなる回顧展です。

恩地は抽象美術がまだその名を持たなかった頃、心の内側を表現することに生涯をかけた人物です。
彼の創作領域は一般に良く知られ評価の高い木版画のみならず、油彩、水彩・素描、写真、ブックデザイン、果ては詩作に及ぶ広大なもので、まるで現代のマルチクリエイターのような活躍がうかがえます。
本展では恩地の領域横断的な活動を、版画250点を中心に過去最大規模の出品点数約400点でご紹介いたします。

また見逃せないのは、里帰り展示される62点。戦後、特に外国人からの評価が高かった恩地の作品は、その多くが海を渡っていきました。
本展では海外所蔵館(大英博物館・シカゴ美術館・ボストン美術館・ホノルル美術館)の多大な協力のもと、現存作が一点しか確認されていない作品や摺りが最良の作品など恩地の重要作をご覧いただきます。
【 詳細 : 東京国立近代美術館
──────────
この 【展覧会】 恩地孝四郎展 ―― 形はひびき、色はうたう 東京国立近代美術館 に関する情報は、東京国立近代美術館からの情報をもとに、本コーナーには02月08日に紹介した。
その際別途に、恩地孝四郎嫡孫・恩地元子様からも封書で、長文の文書と招待券を頂戴していた。
忙しさに取り紛れて文書をじっくり拝読していなかったことが悔やまれるが、とても貴重な資料をご提供いただいていたことを改めて確認したのでここに皆さまにご紹介したい。

恩地家三代――恩地孝四郎(1891-1955)、恩地邦郎(1920-2001)、恩地元子(現当主)は、いずれも東京藝術大学にまなび、才能と個性と造形力がゆたかなかたばかりであるが、やつがれは荻窪の恩地邸にしばしば押しかけ、恩地邦郎氏とそのご夫人展子様にたいへんお世話になった。

恩地孝四郎は1935年(昭和09)04月創刊の『書窓』(アオイ書房、志茂太郎)の第一号から1944年06月、志茂太郎が官製の国民運動「変体活字廃棄運動」に抵抗したため、強制疎開によって郷里の岡山に帰郷したための終刊号、『書窓』(第17巻第05号、通巻103号 日本愛書会書窓発行所)まで、一貫して編輯・執筆・造形・装本にあたっていた。
つまりやつがれは、わが国における近代版画家、抽象絵画の祖としての恩地孝四郎ではなく、印刷・出版人としての恩地孝四郎像を追っていた。

アオイ書房/志茂太郎と、『花あしび』(堀辰雄、2000年10月06日、朗文堂)の刊行を企画していたころ、堀辰雄関係の知人の紹介を得て、荻窪の恩地邸(遠藤 新 アラタ 設計)をはじめて訪問したのは、恩地邦郎氏が長年にわたった明星学園での教職をはなれた直後のことであり、おそらく1990年ころであったとおもう。
恩地邦郎氏ご夫妻はこころのあたたかなかたで、いつも居間でくつろぎ、展子夫人のピアノ演奏もたのしませていただいた。
やがて当時の「金曜かい」の若手の諸君(いまは50代初頭の中年になっているが)も恩地邸に押しかけるようになり、お庭のアカンサスを愛で、孝四郎氏と邦郎氏の二代にわたるアトリエや、入口の書庫の隅隅までも拝見させていただいた。

それからは、毎年のように銀座の画廊で個展を開催されたので、そこでお会いしたりしていたが、ご著作『随想 春の雪』(恩地邦郎、1997、ぶんしん出版)を頂戴した。それからまもなく2001年に行年81をもって恩地邦郎氏は逝去された。
近年になり、宇都宮美術館の企画で<恩地孝四郎邸見学会>があり、そのグループの一員として、やつがれと大石とで懐かしい荻窪の恩地邸をおとづれた。
およそ15年ぶりほどの訪問であったが、恩地家第三代・恩地元子様が、故邦郎・展子ご夫妻とほとんど変わらぬ笑顔で、隅隅まで恩地邸をご案内されていた。
──────────
前置きがながくなった。恩地家三代 ―― 恩地孝四郎(1891-1955)、恩地邦郎(1920-2001)、恩地元子(現当主)の三人の活動について、お知らせ、報告するWebSiteが開設されている。

URL :  multirhythm

管理・運営は恩地元子氏によるもので、いわば恩地家公式WebSiteといえるものであるが、とても丁寧なつくりこみがなされており、情報も正確でゆたかである。
初代・恩地孝四郎の歿後60年余、二代・恩地邦郎の歿後15年余のときが経過した。ともすると記憶はしだいに鮮明さをうしない、精度を欠くようになる。
このWebSiteの誕生を欣快とし、皆さまにご紹介するゆえんである。

【会員情報】 botaniko press 宗則和子さん 工房開設から五年、順調です

 

P1010759 P1020181 (1) P1020455 P1020484 (1)


botaniko press   宗則和子

ギリシャ語で「植物の」を意味する「botaniko」を、アトリエの名称と
工房名とされている名古屋在住の 宗則和子 さん。
1981年 武蔵野美術大学 日本画科卒
アダナ・プレス倶楽部のふるくからの会員で、 Adana-21J  のユーザーです。

──────────
宗則さんは2010年にアトリエ botaniko を開設され, 活版印刷機 Adana-21J を2011年に導入されて 工房名を botaniko press としてカード制作をはじめられました。
botaniko press では、おもに植物をテーマとされ、 Adana-21J をもちいて、絵はがき、グリーティングカード、レターセット、ブックカバーなどを活版印刷によって制作されています。
カスタムメイドの名刺、ショップカード、ウェディングのインビテーションなど、個人的なご注文にも対応されていますので、お気軽にご連絡してみてください。

【 URL:http://www.botanikopress.com  @mail : botanikopress☆gmail.com 】 ☆→@

今週末に神田で開催の「ものことひと市」にもご出展の予定です。

20160215143410476_0003 20160215143410476_0004

ときのたつのははやいもの。久しぶりに薩摩隼人・薩摩おごじょの皆さんと熱い交流

adana トップページつい最近のこととおもっていたのに、もうあれから一年半ほどのときがたちました。
3日間5,000人ほどのお客さまを迎えた活版礼讃イベント<Viva la 活版 薩摩 dé GOANDO>開催の地、櫻島を至近にあおぐ鹿児島「尚古集成館・仙巌園」に2月13日[土]-14日[日]の週末に、商用もあって一泊二日の日程でいってきました。

【 関連情報 : Viva la 活版 薩摩 dé GOANDO - Report 15  いまも続く薩摩隼人, 薩摩おごじょとの協働作業 DSCN6311 DSCN6293 DSCN6311 DSCN6293 DSCN6291 DSCN6318 DSCN6320 DSCN6325 DSCN6328 DSCN6329DSCN6333仙巌園の菜の花2014年11月開催の<Viva la 活版 薩摩 dé GOANDO>以後、おおきな変化は2015年(平成27)7月5日に、尚古集成館(旧集成館・旧集成館機械工場を含む「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」が世界文化遺産に登録)が世界遺産に登録されたことでしょうか。

そのために「尚古集成館」「仙巌園」ともどもサインや施設の一部に変更がみられました。
また二月の初旬に数十年ぶりにみた降雪のため、「尚古集成館」も特別休館を余儀なくされ、植栽にも被害があったそうですが、二月中旬のこのとき、館内庭園には避寒櫻が花をつけ、名をしらぬ大きな鳥が憩っていました。

<Viva la 活版 薩摩 dé GOANDO>で併催された、尚古集成館 館長 : 田村 省三氏による特別講演会 < 尚古集成館所蔵/重要文化財 『 木村嘉平活字 』 と 薩摩藩集成事業について >で薩摩藩(鹿児島)の、そして長崎の活版印刷事業の嚆矢となった俗称『薩摩辞書』と五代友厚に関しては、NHK 連続ドラマ『朝がきた』が話題となったことで、すっかり著名な存在となっていて、田村館長ともどもすこし笑いました。
【 関連情報 : Viva la 活版 薩摩 dé GOANDO - Report 11  講演会 : 田村省三館長、 展示紹介 : 加久本真美さん、渡辺 絵弥子さん
DSCN7916 DSCN7912 DSCN7914 DSCN7918 DSCN7926DSCN7927《鹿児島の夜は、いつものところで、いつものメンバーとご一緒しました》
鹿児島にはアダナ・プレス倶楽部の会員がたくさんいらっしゃいます。
今回も六花窯:横山博さんの肝煎りで、鹿児島市役所ちかくの「いつものところ-店主のご希望で店名表示はご容赦を」で、松山先生、前田さんご夫妻、早川さん、稲留さん、橋口さんらの様様な造形者の皆さんとの熱い交流。

お料理いっぱい、薩摩焼酎どっさりのせまい会場では、地元の皆さんでも数年ぶりという再会があったり、前田夫人の詩吟もとびだして、鹿児島の夜はしんしんと更けていきました。
いずれにしても、各所で活版印刷が始動しています。
鹿児島にも一粒の種子がちいさな芽をだしました。こんどまた鹿児島を訪問するのはそう遠くはないようです。 DSCN6286 DSCN6277 DSCN6276

【会員情報】 『名家遺詠集』 京都活版小本、ぢやむ杉本昭生氏が新作発表

活版小本
ともすると小型本の製作者は、なによりも小型であることと、装本のおもしろさにこだわりがつよいあまり、そのテキストが、読書のための 判別性 Legibility と、可読性 Readability を 失っていることがみられます。

ところがぢやむ 杉本昭生さんは、もともと読書家ですので、たとえ小型本であろうと、テキストを厳選し、みずからも読み、読者にも読んでもらおうというつよい意志を感じます。
これからゆっくりご覧ください。 なおこのページはスライドショーでもお楽しみいただけます。
──────────

『名家遺詠集』をつくりました。
「人の将に死なんとする其の言や善し」などといわれ、死を前にしたひとのことばは
おろそかにできないものです。(中略)
これはまったく自分のためにつくった本で、なるべく簡単に仕上げようとおもいました。
そんなとき、和とじは勝手のいい製本方法だとおもいました。
みなさまも、いよいよというときには、ぜひ本書を参考に
末代まで語り継がれる、とっておきの辞世をおつくりください。  合掌  [杉本昭生]

【詳細:ぢやむ 杉本昭生 活版小本

{新宿餘談}
「辞世を集めた本は以前から多く出版されていますが、武士や軍人の勇ましい歌が多く、なかなかこころに響くというものではございません」
杉本昭生氏はこう述べて、むしろ無名のひとの遺詠をまとめているが、やつがれは、よりとりあげられることのすくない、印刷・出版人をおってきた。
遺詠とはいえないが、谷中永久寺にある酔狂人・仮名垣魯文の墓標に刻まれた、自筆とされる「遺言 / 遺言本来空 財産無一物 假名垣魯文」は、書風といい、あっぱれなひらきなおりといい、おもしろいものだ。
仮名垣魯文墓標 法名:佛骨庵獨魯草文 仮名垣魯文遺言S秀英舎(現DNP)の創業者・佐久間貞一には、『佐久間貞一小伝』、『追懐録』のふたつの追悼集がのこされているが、そこには、
「裸で生まれてきたのだから、裸で死ぬさ」
という佐久間貞一の「つぶやき」が、子弟ともいえる庭契会の会員によって記録されている。(『秀英体研究』片塩、p.611)。
やつがれ、なにもいわず、なにものこさず、かくありたいとおもう次第である。

恭賀新禧 萬事如意 香港商務印書館 毛 永波さんから{春節祝い}のカード到着

20160215143410476_0007 20160215143410476_0006

左) 李 晨光( 中華書局  デジタル出版センター主任 ) 右) 毛 永波( 商務印書館〔香港〕有限公司 取締役 ・ 副編集長 ) 2015年04月03日 於:朗文堂

◎ 毛 永波 さん  香港商務印書館 取締役・副編集長
商務印書館は中華人民共和国の代表的な印刷会社 兼 出版社。
上海租界(外国租借地)にあった米国美華書館(American Presbyterian Mission Press)の職員であった、夏 瑞芳、鲍 咸恩、鲍 咸昌、高 鳳池ら四人が、米国籍の長老会牧師 George Field Fitch ( 中国表記 : 費啓鴻、1845-1923 ) の支援をえて、1897年(清朝光緒期 ・ 明治30 ) 02月11日に上海において設立された。
現在は本社を北京王府井におき、支社網を全土に置き、商業印刷にとどまらず、総合出版 ・ 印刷所として中国第一の規模をほこる。
【 関連情報 : [お客さまご訪問]中華書局:李 晨光氏、商務印書館(香港):毛 永波氏

【舞台公演】 雲を掴む-青年劇場第114回公演 前売り開始 04月21日-30日 紀伊國屋サザンシアター

20160215143410476_0002 20160215143410476_0001受注激減に苦しむ家族経営の町工場。
武器輸出規制緩和の知らせに、それぞれの思いが軋み出す。
「みすてられた島」(20142年)に続き、
青年劇場+中津留章仁が〝今〟に挑む!!
──────────
<ものがたり>
とある家族が経営する町工場。
武器輸出が拡大されそうな昨今、需要が増えそうだと喜ぶ社長。
これに乗じて設備投資を主張する弟の専務。
投資には慎重だが、受注は積極的に受けろと言う経理担当の妻。
そして武器以外の受注を望む長男と、この仕事に誇りが持てない次男。
それぞれの思いが交錯する中、
国会議員と防衛装備庁の人間が視察に訪れて…… 。
【 詳細 : 青年劇場

【良書紹介】 竹内整一 『やさしさと日本人』 ―日本精神史入門(ちくま学芸文庫)

20160212203105309_0001ゆえありて著者の 竹内整一 氏とは友人です。ですから竹内氏が「やさしい」ひとだということは十分知っています。
ところがこのあまりにもふつうにもちいられてきた「やさしい」ということばは、ときとしてなにを意味するのかが判然としません。そのために竹内氏は万葉の時代から現代までの「やさしい」の語義の変遷を丁寧にたどり、日本人の倫理の根底にひそむ「やさしい」をあぶりだしています。
皆さまに本書をお薦めします。

【 詳細: 筑摩書房

【展覧会】 春日井市道風記念館 館蔵品展 - 書の魅力|’16年2月3日-4月24日|終了

20160210203559869_0001 20160210203559869_0002 春日井市立道風記念館 同館サイトより道風記念館 館蔵品展
書の魅力

平成28年2月3日(水)-4月24日(日)
「書はわからない。」
そう感じている方に、観ていただきたい展覧会です。
──────────
春日井市道風記念館は、平安時代の能書、小野道風の誕生伝説地に建つ〝書〟専門の美術館です。昭和56年に開館してから34年。ひとすじに〝書〟のみをテーマとした展覧会を開催してきました。
今回の館蔵品展「書の魅力」では、多彩な魅力をもった館蔵の近現代書作品をご紹介します。
芸術の鑑賞方法はひととおりではなく、人それぞれが好きなように楽しめばよいものですが、書を楽しむ方法をいくつかご提案したいとおもいます。
この展覧会をきっかけとして、ひとりでも多くの方が書の魅力を感じていただければ幸いです。

【 詳細 : 春日井市 道風記念館

【会員投稿】 掃苔会新会員/時盛 淳さん、平野家塋域 単独代参参上の記録

DSC_1010東京谷中霊園中央園路に面して建立されているおおきな石碑が、平野富二の十三回忌に際して、株式会社東京築地活版製造所有志、株式会社東京石川島造船所有志の拠金による「平野富二君之碑」(甲01号01側)である。
篆額の揮毫は榎本武揚、碑文の撰幷書は福地源一郎(福地櫻痴)による。
この項の詳細は古谷昌二『平野富二伝』(p.810 – 18)を参照願いたい。

DSC_1012 DSC_1013 DSC_1014 平野富二の墓所は東京都谷中霊園の東北部、乙11号14側にある。
中央の平野富二の墓石の表面には、吉田晩稼の筆になる「平野富二之墓」が陰刻され、向かって右側面には、法名の「修善院廣徳雪江居士」が刻まれている。
吉田晩稼(1830-1907)は長崎興善町うまれ。陸軍・海軍に奉職したのち辞して書芸をもっぱらとした。大楷書を得意とし、筆力雄勁にして並ぶものなしと評された。また本木昌造とは歌友であり、東京九段の靖国神社の標柱、大阪四天王寺の本木昌造像の台座の書も晩稼による。
──────────
{新塾餘談}
「平野富二墓」は太平洋戦争の際、上野駅周辺に無数に投下された焼夷弾をあびており、焼損が見られるのは残念である。平野家一門には再建の議論もあったが、この墓石は本来浅草雷門再建のために切りだされた房州の小松石をもちいた由緒あるものであり、また吉田晩稼の書の典型例としてやつがれは再建には反対してきた。
それでも近年碑面にも剥落がみられるようになり危惧をいだいている。なにかよい保存法があればご提案いただけたら幸甚である。
DSC_1032

DSC_1036 DSC_1024 DSC_1025平野家塋域はいってすぐ左脇に法名「妙清古登童尼」と陰刻されたちいさな墓標がある。
裏面には「平野富二長女 古登子 享年三歳 明治八年七月七日歿 大正二年三月再建」とある。
明治05-08年という、もっとも平野富二が多忙をきわめた時期にうまれ、そして夭逝した「長女 古登子 琴 コト」の墓である。戸籍が未整備な時代だったため、明治五年の何月のうまれかは記録にない。

塋域右奥には「平野鶴類墓」がある。のちに平野家を継承した平野津類は長女古登の逝去から三ヶ月後の1875年(明治08)09月30日に誕生した。明治12年ころに編成された京橋区戸籍記録には長女:古登の記録はなく、二女津類が「長女」として記録されている。
──────────
平野津類は青森県出身の勇造(旧姓境、のち離別)と結婚して嫡孫:平野義太郎が1897年(明治30)03月05日に誕生して、平野家第三代を継承した。平野義太郎は高名な法学者であったが、その妻嘉智子とともに、塋域右奥にねむる。

DSC_1022 DSC_1023DSC_1045

【 参考資料 : 花筏  平野富二と活字*13 掃苔会の記録 『苔の雫』Ⅰ 平野家関連 】

【展覧会】 書道博物館 書のスケッチ「臨書」の世界 ―― 手習いのあとさき、王羲之から不折まで

20160208152306222_0001 20160208152306222_0002
 書のスケッチ「臨書」の世界
―― 手習いのあとさき、王羲之から不折まで

◯ 会       期  02月16日[火]ー05月29日[日]※期間中一部展示替えあり
◯ 開館時間  09:30-16:30
◯ 休  館  日   毎週月曜日(特別休館日・開館日あり)
◯ 観  覧  料   一般・大学生 500円
【 詳細 : 書道博物館 】

 

【展覧会】 恩地孝四郎展 ―― 形はひびき、色はうたう 東京国立近代美術館

20160208152306222_0003 20160208152306222_0004日本における抽象美術の父にして木版画近代化の立役者、そして時代に先駆けたマルチクリエイター恩地孝四郎、過去最大規模の回顧展。
日本で最初の抽象表現《抒情『あかるい時』》はもちろん、海外美術館所蔵の重要作62点を含む約400点を一挙公開します。

──────────
日本における抽象美術の先駆者であり木版画近代化の立役者でもある恩地孝四郎の、20年ぶり3回目、当館では実に40年ぶりとなる回顧展です。

恩地は抽象美術がまだその名を持たなかった頃、心の内側を表現することに生涯をかけた人物です。
彼の創作領域は一般に良く知られ評価の高い木版画のみならず、油彩、水彩・素描、写真、ブックデザイン、果ては詩作に及ぶ広大なもので、まるで現代のマルチクリエイターのような活躍がうかがえます。
本展では恩地の領域横断的な活動を、版画250点を中心に過去最大規模の出品点数約400点でご紹介いたします。

また見逃せないのは、里帰り展示される62点。戦後、特に外国人からの評価が高かった恩地の作品は、その多くが海を渡っていきました。
本展では海外所蔵館(大英博物館・シカゴ美術館・ボストン美術館・ホノルル美術館)の多大な協力のもと、現存作が一点しか確認されていない作品や摺りが最良の作品など恩地の重要作をご覧いただきます。

【 詳細 : 東京国立近代美術館

【展覧会】 版の上にも7年 筑波大学版画研究室

20160208152306222_0005 20160208152306222_0006
版の上にも7年

筑波大学で版画を専攻している学生による展示です。
毎年03月に展示しているこの展覧会もことしで07回目になります。
学群生 2, 3,4 年と大学院生総勢14名が
銅版画・木版画・リトグラフ・スクリーンプリントの各分野で表現した版画作品
およそ30展を展示いたします。ご高覧いただければ幸いです。

武蔵野美術大学美術館図書館企画で、京都府立総合資料館『圓光寺所蔵伏見版木活字の実見』の機会を得た

京都府立総合資料館 伊勢物語(嵯峨本 国立国会図書館蔵)奈良朝―室町末期の九世紀におよぶ印刷文化は、ほとんど仏教文化の影響下にあったが。それが秀吉の朝鮮出兵によってもたらされた活字印刷器具を採用するや、様相を一変させ『平家物語』『枕草紙』など重要な古典のおおくが古活字版印刷で一斉に花が開いた。
図示した『伊勢物語』も1608年(慶長13)に書写を脱して古活字版で刊行された。
150年ほど先行したグーテンベルクの高度な印刷術と同様に、わが国でも古活字版登場初期に出現した、伏見版・嵯峨本などの古活字版製品群を超克するのは、現代の高度な技術でも容易ではない。