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【Lingua Florens】ひよどりが巣をかけた。孵化と巣立ちが待たれる日〻……そして残念な報告 ……

わが家のクマガイモリカズ《新型ウイルス感染症「COVID – 19」で外出自粛の日々
新型ウイルス感染症が世界規模で拡大しているために厳重に警戒せよという。不急不要の外出や、人混みをさけ、ひとと会うのも、会食も自粛せよという。
2020年4月7日から5月6日のあいだ「新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言」が{ 発 出 }された[リンク:内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室 PDF]。

もともとが出不精だから、外出を避けるのはさほどいとはないが、8月中旬のいまもって「自粛のお願い」は続いている。
そんな無聊の慰めにもってこいの、猫のひたいほどの庭があり、ここを「Lingua Florens」と呼んでいる。ここは「ことのは の 花園」の意から、河野三男さんが名づけられた、四坪ほどの小庭とテラスで、人工地盤の浅い土壌の上にある。ともかくゴシャゴシャと様〻な艸花が植えてある。

《七月下旬、隣家の庭木にビニール紐がからまって、鳥がしきりに鳴いていた》
7月23日-26日は四連休であった。「自粛要請」のため、逆に連日出社して「Lingua Florens」の手入れにあたった。その折り大石が、

「お隣さんの庭木-レッドロビン-に、ビニール紐が変なふうにからまっている」
と珍しそうに見上げていた。

もともと レッドロビン とは「赤いコマドリ」の意。園芸植物のレッドロビンは、カナメモチとオオカナメモチを掛け合わせた園芸品種で、都市部の垣根としては近年もっとも一般的に見られる樹種のひとつとなった。
面白いのは、季節を問わず剪定をすると真っ赤な新芽が発生する。そしてふつうの植物とは逆に、新芽は開く前から赤いのが特徴で、生長すると緑化する。 春には真っ白の小花を咲かせ、秋には赤い実をつける。ただし、頻繁に刈り込まれることが多いため、花や実を楽しむ木という印象は乏しいのが現実である。
お隣さんのレッドロビンは垣根ではなく、珍しい立木仕立てになっていて、その枝の間に梱包用のビニール紐がからんでいた。

そこに番いらしき二羽の鳥がいて、「ピィーヨ、ピィーヨ」 と盛んに鳴きかわしていた。前述のレッドロビンを含め、植物に関してはおおかた大石からの受け売りであるが、鳥類にかけては悪童時代にいろいろな鳥を育てた経験があり、吾輩もうるさい。なによりもひよどりは、ホオジロ、ムクドリ、メジロなどと並んで「空中庭園」の定連の鳥でもある。

ひよどりは、波打つように上下しながら飛来して、「空中庭園」の花の実や果肉を啄んでいく。ともかく甘党の鳥で、ノー学部が黒ポットにはいったイチゴの苗をふたつ買ってきて、植木鉢に定植した翌朝、まず果肉を食べ、翌朝にはひと株を根こそぎひき抜いて持ち去った。
ノー学部はカラスを疑っていたが、吾輩は「逆毛のモヒカン鳥-ひよどり」の犯行だと知っていた。つまり「逆毛のモヒカン鳥」が、もうひとつのイチゴの苗も持ち去ろうとしている犯行現場を「ロダンの椅子」でそっと不動のまま見ていたからである。
「ロダンの椅子」の別名は「喫煙席」ともいう。

レッドロビン-赤いコマドリ(紅カナメモチ)ヒヨドリの巣
00194294000301ヒヨドリ科で最北限に分布する日本列島特産種。暗青灰色で、頭頂から後頸-こうけい-にかけての羽毛の先端はとがる。全長約 27.5 cm。ヒヨドリ科 (『日本大百科全書』 ゟ © 相 澤 弘)

ボサボサ頭に茶色いほっぺ
「ヒーヨ ヒーヨ」と名を名乗る
[参考:サントリー 日本の愛鳥百科 ヒヨドリ]豊富な写真があり、鳴き声の音声が聴ける。

お庭でバードウォッチング中のヤツガレ2抱卵中のひよどり給餌するひよどり0819《ひよどりーオヒョイー観察録》
◉ 08月01日[土]
ビニールテープを混用した巣が完成した。雄はこの時点から見かけなくなった。追い出されたか?
◉ 08月03日[月]
雌が巣にこもりはじめた。産卵か。どこからか飛来してレッドロビンの枝に止まり、ヒョイ、ヒョイと枝を伝って身軽に巣に入り、あとはスフィンクスのようにジーッと不動。まったく鳴かなくなった。オペラグラスで連日の観察の結果、枝をヒョイヒョイと飛び歩くさまが面白く、「オヒョイ」と名づけた。

◉ 08月18日[火]
オヒョイが「ピィーヨ」と鳴く。雄らしき鳥がしきりに枝にとまる。雛が孵化したらしく、大石が裸眼で三羽の雛の嘴が見えるという。オヒョイは採餌のためか巣を出る時間が伸びる。

◉ 08月19日[水]
オヒョイの給餌風景の撮影に大石成功。ヤブ蚊がいるからとしばらく「Lingua Florens」に出なかったのに、オヒョイの戻りを待って撮影。二羽の雛の嘴がのぞいている。

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◉ 08月21日[金]
隣家の庭のレッドロビンで、夕方にいつもの地鳴き「ピッ、ピッ」ではなく、三羽のひよどりが激しく鳴きかわす。なにか異変がおこった予感。その後オヒョイの姿が見られなくなった。
◉ 08月23日[日]
おヒョイが気になったせいもあって出社した。遅れて出社した大石が
「廊下の突きあたりのレッドロビンに、オヒョイがとまっている」
と、あわたしくデジカメをもって撮影に走る。吾輩もあとを追った。

ふつうひとが近づくとひよどりはすぐ飛びさるが、ジッと動かない。ふと下をみて足がすくんだ。そこには息尽きた雛鳥が一羽。おそらくオヒョイとその番いだったひよどりの雄は、よその雄との営巣争いに負けたものとおもわれた。
このレッドロビンの近くに雛を埋めてやった。ここには春にスミレが咲くが、ひよどりの好きな甘い実のなる草木も植えることにした。悲しい週末となった。

悄然とするおひょい

ひよどりの こぼし去りぬる 実の赤き 蕪村

〔本稿の初出は2020年08月19日であった。09月17日追加補充して再紹介する〕


【 ヒヨドリ ひよどり / 鵯 】
 『日本大百科全書』(ニッポニカ 小学館)
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