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【会員情報】ぢゃむ 杉本昭生さん|活版小本 新作 ── ジョージ・オーウェル『 絞 首 刑 』発表紹介

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作者のジョージ・オーウェル(1903ー50)は、『動物農場』や
『1984年』で有名な、インド生まれのイギリスの作家です。
『絞首刑』は、彼がビルマで警官として勤務していた二十代のころ、
現地で見た死刑執行の様子をもとに書かれたといわれています。
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今回は、はじめに絞首台の縄を作りました。
これが実物のように見えることがポイントでした。
縄は糊で貼りつけてあるだけなので剥がれるかもしれません。
表紙の文字は直接刷ると潰れるので、別紙に刷りました。
本文の印刷は何度やっても均一にならず、限界を感じています。
それでも、本という形になっていくのは楽しいものです。
それがたとえ幼稚なものだとしても …… 。
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【会員情報】ぢゃむ 杉本昭生さん|活版小本 新作 ── 森 鷗 外『 團 子 坂 』

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森鷗外の一幕物のひとつ「團子坂」です。
登場人物は学生(賢そうなのでだふん帝大生)と、
女学生(銀行とか大企業の偉い人の娘のよう)。
推しの強い女学生と、生真面目すぎる男学生との会話がもどかしい
明治時代の男女交際の話です。
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制作はあまり考えずにできました。
すんなりできたふん「味のない本」になってしまった気がします。
美しい装幀が本の価値を高め、内容のグレードを上げることはわかりますが、
きままな一人遊びゆえ、外注するほどのこだわりもなく。
手持ちの紙や布を選んで仕上げているので
変わり映えがしないのも むべなるかな、というところです。
下駄買って

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[ 参 考 : 活版アラカルト〔展覧会〕文京区立 森鷗外記念館|特別展  写真の中の鷗外  人生を刻む顔|’22年1月9日-4月17日 ]

【会員情報】ぢゃむ 杉本昭生さん|活版小本新作 ── ドーデ『嘘をついていた女』

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ドーデ(1840-1897年)は、「月曜物語」や「風車小屋だより」などで知られる
一九世紀のフランスの作家です。
今回の「嘘をついていた女」は『世界の文学52 フランス名作集』(中央公論社)
に掲載されていたものです。ネットで調べてもほとんど情報がない作品ですが
ストーリーが何となく印象に残り制作しました。
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表紙は女性の絵を使ったデザインにするつもりでしたが、直前で気が変わり、
これを扉ページにして、内容があまり具体的内でない 花柄 に変更しました。
(扉ページの絵は、ムンクの The Brooch. Eva Mudocci この女性の眼差しは
小説の中に登場する女性のイメージに近いと思います)
あいかわらずツメの甘い仕事でうんざりですが
読んでいただければ幸いです。

杉本あさがお

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【会員情報】ぢゃむ 杉本昭生さん|活版小本新作 ── サ キ『開いた窓』The Open Window

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今回はサキの『開いた窓』です。
ご存知のようにサキ(本名:ヘクター・ヒュー・マンロー、1870-1916年)は
ブラックユーモアと、意外な結末を得意としたイギリスの短編作家です。
『開いた窓』はサキの志向がよくあらわれた作品で、
簡潔な文章と自然な話運びで、いつのまにか読者を恐怖の世界へ誘います。
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いまさらサキを取り上げるのもどうだろうと、作るのを迷っていましたが
別の作品も思い浮かばないので、気持を入れ替え作りはじめました。
今回は丸背にしたくて、面付を変えて、一枚(4ページ)ずつ かがり ました。
いつもの二枚(8ページ)より少し開きやすくなった気がします。
相変わらず作業は雑ですが……。
いま出来上がりを見ると表紙の文字を、左ヘ1ミリ移動したくてたまりません。

あじさい

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【会員情報】ぢゃむ 杉本昭生さん|活版小本新作 ── 井伏鱒二『へんろう宿』

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井伏鱇二『へんろう宿』です。
この作品は井伏が 室戸岬へのバスの中で見かけた小さな宿に着想を得て
空想で書いた作品といわれています。
しかしその設定や登場人物は、強い存在感とリアリティがあり、
井伏が実際に見聞した宿の女性たちを 世間の好奇心から守るために、
「空想による作品」としたのだろうといわれています。
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いつのまにやら新年になりました。
前の『流渦』とおなじ体裁にしようと 絣の古布を探していたのですが
適当な布がすぐ見つかるはずもなく、あっても高くて手がでないので
あきらめて紙にしました。
同じ色目の函をつくり、別紙でタイトルを貼付けました。
海の色をイメージしたのですが 伝わっているでしょうか。
方言が読みづらいかもしれませんが いい作品です。

虚子

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【会員情報】ぢゃむ 杉本昭生さん|活版小本新作 ── 内田百閒『 流 渦 』

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『流渦』(りゅうかと読むのでしょうか)は百閒の処女短篇集『冥土』の中の一篇です。
漱石の『夢十夜』に触発されて書いたといわれる掌編群は、不気味な幻想に満ち、
底知れない恐怖と、不条理な夢の世界を、イメージ豊かに描き出しています。
とちらかといえば随筆家として知られている 内田百閒 の、
怖くておかしい、夢の話を味わってみてください。
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相変わらずの仕上がりです。
いつも行くリサイタルショップに、着物コーナーがなくなり
袋に突っ込んであった二、三枚の中から、一番ましな生地を選んで作りました。
本当なら、一枚の布を探して京都中の店を訪ね歩くぐらいのこだわりが
あったほうが面白いと思うのですが、私にはそこまでの熱意もなく、
まあこれでも変じゃないかな、という程度の安直な判断で決めています。
自分さえ納得できればいいので、とても楽ちんです。
箱庭

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【会員情報】ぢゃむ 杉本昭生さん|活版小本新作 ── 志賀直哉『 老 人 』

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志賀直哉の「老人」です。
題材からすればゴタゴタが起ってしかるべきところですが、
志賀直哉はそれらを描くことはせず、淡々と老人の気持を書いています。
素人考えですが、同業の小説家に志賀直哉が尊敬される所以は
文章の巧拙だけでなく、登場人物の描き方に彼独特のヒューマニズムを
感じさせるところにあるのだろうと思います。

古くさい装幀になりました。
渋い感じを出そうとしてうまくできてないような印象です。
タイトルは活字の方が良かったと思います。
この文章を書きながら、また違う装幀のものを作ろうかなと思っています。
世の中は

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【会員情報】ぢゃむ 杉本昭生さん|活版小本新作 ── 中島 敦『寂しい島』

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中島 敦『寂しい島』です。
彼が赴任したパラオ諸島に子供が生まれない離島がある。
原因はわからない。二十歳以下は五歳の女の子が一人いるだけで
やがて島民は一人残らず居なくなるだろう。
人気のない浜で満天の星空を見ながら、人類の絶えてしまった後の世界を思い描く。
「誰も見る者も無い・暗い天体の整然たる運転」の世界を……。

前回、前々回と寄り道をして、小さい本に挑戦しましたが、
やはり自分にはこれぐらいの大きさが適当だと思いました。
愛玩される豪華な本はつくれないので、
コース料理なら「お浸し」。
少年野球なら「八番ライト」ぐらいの位置をめざします。
あじさい

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【会員情報】ぢゃむ 杉本昭生さん|活版小本新作 ── ヨハン・ペーター・ヘーベル『暦物語』

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ヨハン・ペーター・ヘーベルの「暦物語」より、「思いがけぬ再会」と
「恐ろしい事件が平凡な肉屋の犬によってあばかれた話」です。
「暦物語」とは、カレンダーに添える短い挿話や教訓話のことで
ベーベルは多くの物語を執筆しました。二百年前のことです。
機知とユーモアに富んだ物語は、現在も読み継がれているということです。

今回は連休があったので、思ったより早くできました。
印刷もわりと上手くでき、きれいな本になると思ったのですが
できてみると、前回「無人島」のおさらいのような感じで、新鮮さに欠けるものでした。
やり直すほどでもないが、喜べるほどでもない、宙ふらりんの満足感です。
次回は日本の作家を予定しています。
ご期待ください。
あじさい

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【会員情報】ぢゃむ 杉本昭生さん|活版小本新作 ── マッチ箱大の読める丸背上製本|マルセル・アルナック『無人島』

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「無人島」は堀口大學の翻訳集「花売り娘」(昭和十五年・第一書房)に掲載の小品です。
作者はマルセル・ファナックという人ですが、若くして自動車事故で
亡くなったということ以外わかりません。
お話は外国のコメディにあるお決まりの物語で、新鮮さは感じられませんが、男性はちょっとわくわくするかも知れません。

マッチ箱に入れた小さな本は前にも作りましたが、
あまりにひとい出来だったので再挑戦してみました。
いつもの大きさだとページ数が少ないので、丸背の本は無理でしたが、
今回は小さくしてページ数を増やし、丸背の本に挑戦しました。
しかしいい加減にやり始めたので、当然うまくできるわけもなく、
ツメの甘い、気の抜けた仕上がりです。
たくさん学ふところがあったので、次はすこしましなものを作ります。

◉ 杉本昭生さん: 文香-ふみこう を同封しました。すこし甘い香りが強いかもしれません。玄関にでも置いておたのしみください。
◉ 吾輩のつぶやき: 今年に入って杉本昭生さんは、『活版小本』の郵送に文香を同封されています。封をきると奥ゆかしい香りがただよいます。重苦しい気分を払底するのには最適です。杉本さん曰く「文香は平安時代のドラッグ」だそうです。
ひらひらと

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【会員情報】 ぢゃむ 杉本昭生さん|活版小本新作 ── 川端康成『有難う』

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川端康成の『有難う』を作りました。
掌編小説を収録した作品集『掌の小説』の中の一篇です。
ストーリーは簡単ですが、私の読みが浅かったのか
運転手と娘が結ばれたとは思わず。娘の憧れの人と最後の一夜を
同室で過しただけだと思っていました。
簡潔な文体と描写が印象に残る作品でした。

柔らかい布の表紙にしようと作りはじめたのですが、
途中から道に迷ったような気持になりました。
出来あがってもすっきりとせず(いつものことですが)
どこで間違ったのか確かめるため。同じ工程を初めから辿りました。
けっきょく二種類の本が出来ました。
読んでいただければ
「ありがたう。」
とにかくなんでも
「ありがたう。」

杉表紙

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【会員情報】 ぢゃむ 杉本昭生さん|活版小本新作 ── ライナー・マリア・リルケ『 駆 落 』森 鷗外(森 林太郎)訳

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森 歐外(森 林太郎)訳、リルケの「駈落」です。
「駈落」の筋は単純です。
交際を禁じられたアンナとフリッツは相談し
明日の朝、駅で待合せて二人でどこか遠くへ行くことにしました。
しかし時が近づくにつれてフリッツの気持は動揺してきました。

先日古書市で第一書房(長谷川巳之吉)の本をまとめて見る機会がありました。
だれかの蔵書で、表紙はすべてパラフィン紙がかけられ、
大切に所蔵されていたことが窺えました。
洋書のような凝った装丁は出版社のこだわりを強く感じさせるものでした。
印象が消えない内に今回の扉を作ってみました。(フーツラが太すぎますが)
作りながら、アナログの単純な色分けのなかに
久しく忘れていた、古くて新しい美しさがあることを感じました。
同時にそれを表現する技術が自分にないことも……。

◉ 杉本昭生のつぶやき:生の葱を囓ったような苦い味がする作品でした。(個人的な感想です)
◉ 吾輩のつぶやき: 京都吉田山山麓で製作に勤しむ杉本昭生さん。西のみやこ:京都盆地は、夏暑く、冬は冷えこみます。そんななかで創作欲を保つだけでも敬服に価します。みやこの雪たよりとともに、活版小本新作が登場しました。

下駄買って

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【会員情報】 ぢゃむ 杉本昭生さん|活版小本新作 ── 松尾芭蕉『幻住庵記』評釈ゟ

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だれも読まないであろう『幻住庵記』評釈です。
芭蕉の文章だけだと短くて本にならないので、解説を入れました。
自分の程度にあわせて理解しやすいようにしましたが
まず今の時代、これを読む人がいるかどうか、少し不安です。

本体は割とすんなりできました。
慣れてきたのでしょうか、要領がよくなった気がします。
苦労しなかった分、何か物足りなく、貼箱を作ることにしました。
いつもの調子でいい加減にはじめたら、やはり失敗し三回作り直しました。
はじめは、箱と本の寸法が微妙にきつくていやになり、
次は蓋をしたときの指にかかる感じが気になり、
三度目でやっと納得できるものになりました。
ときとき箱から出して眺めていただければ幸いです。

すぐるるや

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【会員情報】 ぢゃむ 杉本昭生さん|活版小本新作 ── 小川未明『ペストの出た夜』ゟ

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「ペストの出た夜」は前に作った「橋の上」という作品と同じ本に載っていた
小川未明の小品です。どこで読んだのか思い出せなくてずいぶん探しました。
隣町にペストが発生したと聞き、神経質な主人公は慌てふためきます。
その様子ははたから見れば極端でヒステリックなものでした……。

今回は予定していた作品を変更して作りました。
和木の体裁にして三冊目で、いろいろな作業の段取がやっと掴めてきた感じです。
足らないところも確認できたので、次の制作に活かしたいと思っています。
二ヶ月前には想像すらできなかった事態が世界中を巻きこんで進行しています。
覚悟を決めて、くれぐれもご用心、ご用心。
一葉
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【会員情報】 ぢゃむ 杉本昭生さん|活版小本新作 ── レオナルド・ダ・ヴィンチの手帖より

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レオナルド・ダ・ヴィンチは多くの分野に足跡を残した「万能の天才」といわれています。
今回は残された手稿の中で、人や動物に関する文章を選び
「哲学」「動物訓話」「諧謔」に分け一冊にしました。
もちろん彼の思考は広範で、こんなところにおさまる人ではありません。

外国の作家の作品を和本で作るとどうなるだろうと思い今回は和本にしました。
表紙は軽く、明るく、天才ダヴィンチのイメージとは少し違いますが
思っていたほと違和感はありませんでした。
勝手な思い込みかもしれませんが、一般に流通している書籍にはない
アートブックとしての可能性を感じました。
センスのいい人が作ればですが。
 * 参考「レオナルド・ダ・ヴィンチの手帖」(昭和18年、六興商會出版部)

うめ【 詳細  ぢゃむ 杉本昭生 活版小本 】 { 活版アラカルト 活版小本 既出まとめ 

【会員情報】 ぢゃむ 杉本昭生さん|活版小本新作 ── 菊 池 寬『 母 』

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菊池寛の「母」を作りました。
なぜ菊池寛なのか。ひとことでいえば彼の短編小説が好きだからです。
今回の『母』もごく短いものですが、強く印象に残りました。
 母が亡くなり葬式に出るため故郷の実家へ向かう清三は
 幼いころ見た或る光景が忘れられず、母に対して複雑な思いを抱き続けています。
無駄な描写がなく、短編小説のお手本のような作品だと思います。
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本文は十二字詰め五行、一頁六十文字でゆったりと組んでいます。
それに合わせて判型も窮屈にならない程度に小さくしました。
装幀は我ながら野暮ったい感じがします。
本文を読むとあまり冒険もできず、手元にあった安物の着物地で
作りましたが、もう少し品よくできたのではと反省しています。
お読みいただければ幸いです。

秋の夜の

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活版小本
2019年9月25日水曜日
次の本が出来るまで その140
『仮名世説』
『仮名世説』は蜀山人が「世説」に倣い近世の逸話、名言を蒐めたものです。
近松門左衛門の辞世の文章を掲載します。
近松{杉本昭生つぶやき:そろそろ辞世の準備をしないと …… といいつつ何年過ぎたことやら}

【会員情報】 ぢゃむ 杉本昭生さん|活版小本新作 ── 石兮-せっけい『芭蕉翁附合集評注』

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今回は『大地炎上』(マルセル・シュウォッブ/矢野目源一訳)か
『原爆被災時のノート』(原 民喜)にするかずいふん迷いました。
そうこうしているうちに気持が変わり『芭蕉翁附合集評注』を作ることにしました。
参考にしたのは『俳諧注釈集 下巻』(俳諧叢書第二冊、昭和二年、博文館)で
活版で組んだ紙面が美しく、組版職人たちのレベルの高い仕事を感じさせるいい本です。
──────────
今回も失敗を重ねています。
はじめ本文用紙をもう少し厚い紙で印刷したところ、束が一センチほどになり
ぶかぶかした締りのないものになったので、紙を薄くして再度刷り直しました。
二色刷なので見当を合わせるのが大変でした。
製本の時には久しぶりに「本のつくり方」を読み直し
できるだけ忠実に作りましたが、精度が甘く不満です。

芭蕉のつけ句に興味をもつ人が世間にどれほといるかわかりませんが、
かくれた名作という点においてはふさわしい一冊だと思っています。
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『芭蕉翁附合集評注』は江戸時代の俳人、大島蓼太(おおしまりょうた)が編集した「芭蕉翁附合集」に石兮(せっけい)という人が一句ごとに短く解説を附したものです。つけ句を学ぶ人には必携の教科書だったようで、確かにこれを読めば芭蕉が極めて優れた言葉の使い手であったことがよくわかります。
ひとつふたつ抜き出して掲載します。 ← 続きは{活版小本 8月27日

鳴き立てて

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【会員情報】 ぢゃむ 杉本昭生さん|活版小本新作 ── 小泉八雲『人形の墓』

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小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は日本の地方に伝わる伝説や風習を採集し、
日本人の倫理観や死生観を研究した人です。
「人形の墓」もそのひとつで、この地域では一家内で同年に二人の葬式が
あったら、必ず三人目に死ぬ人があると信じられており、人々は藁人形を入れた
三番目の墓を造りこの厄災からのがれようとしました。

表紙はリサイクル店で見つけた羽織(五〇〇円)を使いました。
柔らかい生地なので裏打ちのホットメルト紙が定着せず、
ボンドで和紙を貼り付けました。
今年の目標はちゃんとしたものが作れること。
私はその辺がいい加減なので
今年はもっと謙虚に丁寧に取り組みます。
(あれ、とこかで聞いたフレーズだ)[杉本昭生]

箱根こす

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【会員情報】 ぢゃむ 杉本昭生さん|活版小本新作 ── 太 宰 治『 朝 』ゟ + α

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心を入れかえ作った太宰治「朝」です。
作家の経歴についてはご存知でしょうから省略します。
彼の作品は悩みをかかえる青年の気持をつかむところがあり
わたしも若いころ心酔した時期がありました。

今回は冊数を少なくして慎重につくりましたが、見た目は変わりません。
表紙の布も、もう少し選択の余地があった気がしています。
外箱も考えましたが、角背の本にはあわないと思い採用しませんでした。
遅まきながら、作る過程の楽しみはこれらの取捨選択にあることが分かり
これからは制作第一主義(とこかの国のことではなく)でいこうと思っています。
近所の書店にて

太 宰 読 む 娘 (こ) の 横 顔 が 気 に か か り

かしこまりて

次の本が出来るまで その109 ── 2018年10月23日 火曜日
天行病(はやりやまひ)

天行病 天行病3「閑窓瑣談」より
※今年はインフルエンザの予防接種を受けることにした。

次の本が出来るまで その108 ── 2018年10月15日 月曜日
気になった文章
其碩
『假名世說』 太田蜀山人
※蜀山人が書いたものではなく編輯したもの。江戸の匂いが漂います。

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【会員情報】 ぢゃむ 杉本昭生さん 活版小本新作 ── 北条 民雄『続 癩院記録』より

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北条民雄「続 癩院記録」です。
北条民雄は十九歳でハンセン病を発病し施設に収容されます。
隔離生活の中で、自身の体験にもとづく名作『いのちの初夜』を執筆。
二十四歳で亡くなるまで創作を続けました。

前回の「エセー」と同時に作っていたので、あまり間を置かず出来上がりました。
中身に寄り添った本の体裁を考えると、どうしても無難なものになり、
(すべては自分の想像力のなさによるものですが…… )

つくりながら「地味すぎる」「ツメがあまい」「しまりがない」「他にないのか」
と心の声がしきりに聞こえてきます。
そんな声を「ああ、また言ってる」と聞き流して今回もつくりました。
ぜひご一読ください。
蕪村──────────

活版小本
次の本が出来るまで ── は、ついに-その100-を迎えました。

ご訪問をおすすめいたします。

次の本が出来るまで その100
年 号
* 間違っていたらすみません[杉本昭生]。

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【会員情報】 ぢゃむ 杉本昭生さん 活版小本新作 ── モンテーニュ『随想録』より

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{ ぢゃむ 杉本昭生 活版小本 一筆箋 }

モンテーニュの「随想録」より抜粋しました。
十六世紀のフランスのモラリスト、モンテーニュが著した「随想録」は
深く広い思索を平易な文体で書きとめたもので、
新しい散文様式として後世に大きい影響を及ぼしました。
抜粋した部分はお金にまつわる彼の経験談です。
「うん、そうだよね」と思わせるものでした。

今回もいろいろなトラクタが発生して思った以上に時間がかかりました。
表紙を見ても誰の何の話かわからないので。帯をつけるつもりでしたが
文言が気に入らずやり直すか、付けないか考え中です。
少し背を丸くしたくて1ミリ厚のボール紙を指で曲げていたら
次の日指先が痛くて痛くて泣きました。
今はもう回復しています。
お読みいただければ幸いです。

暑き日──────────
活版小本
次の本が出来るまで ── は、ついに-その99-になっています。百の大台はもう目前です。
ご訪問をおすすめいたします。

次の本が出来るまで その99
『百人一首』より
明治二十一年発行の本より抜き出したものです。その頃は万葉仮名を読める人がまだ世間におおぜい居たのでしょうね。

天智天皇【 詳細  ぢゃむ 杉本昭生 活版小本 】

【会員情報】 ぢゃむ 杉本昭生さん 活版小本新作 ── 『芭蕉終焉記 花屋日記抄』『枯野抄』

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{ ぢゃむ 杉本昭生 活版小本 一筆箋 }
『芭蕉終焉記 花屋日記』は、芭蕉の臨終に立ち会った弟子たちの

記録をもとに、僧文曉が再構成したものです。
子規がこれを読んで感動の捩をこぼした話はよく知られています。

この『花屋日記』をもとに芥川龍之介は小説『枯野抄』を書きました。
重苦しい臨終の場面を一幕物の舞台のように仕上げ
弟子たちの聖と俗、悲と喜をシニカルに描いています。

『花屋日記』の弟子たちが『枯野杪』の中で動き出ず様子が面白く
「二冊をまとめて帙に納めよう」と作り始めましたが
自分の思いつきに縛られ、なかなか出来上がりませんでした。
二冊を読むのは、特に『花屋日記』は昔の文体なのですらすらと読めない
と思いますが、お暇な時に目を通していただければさいわいです。

neko【 詳細  ぢゃむ 杉本昭生 活版小本 】
──────────
活版小本
次の本が出来るまで ── もいつの間にか-その96-になっています。
{ 活版小本 }のサイト、トップページは四季折折の写真と、芭蕉・漱石などの句や詩歌を丁寧に組みあげて紹介しています。そのまとめが以下にまとめられています。ご訪問をお勧めします。
◯ 次の本が出来るまで その79 トップページ集(上) 2017年12月08日
◯ 次の本が出来るまで その80 トップページ集(下) 2017年12月14日

【会員情報】 ぢゃむ 杉本昭生さん インフルエンザを克服 活版小本新作 ── シャルル=ルイーフィリップ『めぐりあい』紹介

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シャルル=ルイーフィリップの「めぐりあい」を作りました。
パリの街角で別れた妻と偶然出会うお話です。
はじめは喧嘩腰のやりとりですが、やがて二人が仲良く暮らしていた頃を思い出し
過ぎ去った時間を切なく振り返る男女の心情が短い文章にまとめられています。

これは初めからドッ卜(水玉)を使おうと決めていました。
別の布地を探しに行った時お店で見て「これ面白いな、草間彌生みたいで」と思いました。
帯は幅を広くし内容がわかるように作りましたが、一番上の欧文は別の色のほうがよかったと思います。
頭の中ではもっと垢抜けた本になるはずでしたが……。[杉本昭生]
ねこ

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【会員情報】 ぢゃむ 杉本昭生さん 活版小本新作 ── 寺田寅彦『どんぐり』 紹介

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寺田寅彦の『どんぐり』です。

物理学者の寺田寅彦は随筆家としてその名を知られています。
この作品は漱石の推薦により明治三十八年四月の「ホトトギス」に掲載されました。
随筆などという筆にまかせて書いたものとは違う、いい作品だと思います。

今回は頁数をふやし窮屈にならないよう心がけました。
両面にまず枠を刷り、次に文字を印刷し、なかなか骨の折れる仕事でした。
裁断面の不揃いを解消するため手動の断裁機を買いましたが
まったく期待はずれで結局ぜんぶ手で切りました。
あまり美しくはありませんが今のところこれが限界です。
何冊作っても課題が見つかるばかりで技術の蓄積は皆無です。
しかし作品は名作です。ぜひお読みください。
※ 二色印刷は手間がかかります。でもなんかこれでないと駄目な気がして。
雨[1]

ぢゃむ 杉本昭生 活版小本】 {文字壹凜 まとめ