【公演】森 郁 男さんゟ|薩摩琵琶 正 絃 会|琵琶演奏大会|2019年5月11日

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薩摩琵琶 正 絃 会
琵琶演奏大会
日  時  2019年5月11日[土] 正午開演
会  場  日本橋社会教育会館ホール

      日本橋社会教育会館(日本橋小学校等複合施設8階)
      〒103-0013 中央区日本橋人形町一丁目1番17号
      TEL 03-3669-2102・2794
入  場  料  無 料

主  催  薩摩琵琶 正 絃 会
      〒248-0007 鎌倉市大町3-20-11
      TEL・FAX  0467-25-1420
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日頃は、私ども正絃会に対しまして、力強いご支援と、あたたかいご声援を賜り誠にありがとうございます。
本会では、数百年来、鹿児島で培われてきた薩摩琵琶および中世芸能としての平曲という二つの琵琶楽の伝統を守り、師伝の芸風を次の世代に伝えていくことを目標に、毎月の定例演奏会を継続しております。

おかげ様にて近年は琵琶楽に興味を持つ若い力も加わり、会員一同その研鑚に励んでおります。その日頃の成果を多くの皆様にお聞きいただき、ご批評を賜りたいと存じまして今年も演奏大会を企画いたしました。
出演者一同、元気な演奏をご披露致したいと存じますので、どうぞお誘い合わせの上、ご来場賜りますようよろしくお願い申し上げます。

【 森郁男さんからのお便り + 薩摩琵琶とは 】

[ 森  郁 男 ]
新元号「令和」施行を前に「平成」の歳月を振り返りつつ、新たな季節の彩りを感じる今日この頃です。
御無沙汰致しておりますが、皆様に於かれましては、お変わりございませんでしょうか。
私は、少しずつ外出の範囲も広がり、今回御案内をさせて戴きます薩摩琵琶 ── 正絃会の月例演奏会にも昨年十月より二年振りにお伺いができる状態になりました。

さて、早いもので今年も薩摩琵琶正派正絃会の『琵琶演奏大会』が近づいて参りました。
正絃会の皆様が一堂に会する『琵琶演奏大会』は、毎月開催されております月例演奏会によって培った日頃の研鑚結果を皆様にお聴き戴く演奏大会として毎年、五月に開催されております。日本の語り芸の中でも勇壮で力強い撥音と琵琶歌が織り成す薩摩琵琶の世界が、時空を超えて胸に迫って参ります〔中略〕。

第一部では、薩摩琵琶と共に平曲の御指導もされていらっしゃいます須田誠舟先生の御指導の下、平曲の演奏をお楽しみ戴きます。かつて琵琶法師が語り継いできた平家物語を往時の世界を描くかのように弾き語る世界は、まさに中世芸能に於ける歴史絵図を想起させます。

第二部の魂の叫びにも重なる薩摩琵琶の弾き語りと、琴線に触れる平曲の調べを是非、御鑑賞戴きたいと思います。
入場は無料でございますので皆様お誘い合わせの上、御来場戴けましたら幸いでございます。
尚、正絃会では、月例演奏会を築地社会教育会館(中央区築地四-一五-一)で開催しております。是非、月例演奏会にもお運び戴けましたら幸いです。御希望の方は、受付で御連絡先をお知らせ下さいませ。月例演奏会の御案内をさせて戴きます。[森 郁男]

[関連:花筏 【造形詩集】 森 郁 男 造形詩集 『 青 春 の 虜 』

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【薩摩琵琶-さつまびわ】
[参考:日本大百科全書 小学館]
琵琶楽の一種目、およびそれに用いる楽器の名称。筑前-ちくぜん-琵琶とともに琵琶楽の二大流派をなす。
室町時代末、薩摩(鹿児島県)の島津藩主島津忠良(ただよし 1492-1568)は武士の闘争心をそそる目的で教訓的な歌詞をつくり、薩摩盲僧-もうそう-三十一代淵脇寿長院-ふちわきじゅちょういん-にこれを作曲させた。同時に寿長院は、盲僧琵琶を改良して新しい琵琶歌のための楽器をつくった。これが薩摩琵琶の音楽と楽器の起源であるが、当時は薩摩琵琶とはいわず、琵琶歌とのみ呼称していたらしい。

戦国時代を通じて、弾奏を薩摩武士にしか許さなかったが、江戸時代中期以降町人も演奏するようになった。質実剛健な前者を「士風琵琶」、艶麗優美な後者を「町風琵琶」とよぶ。江戸時代末期、池田甚兵衛という名手がこの士風と町風を融合し、今日の薩摩琵琶の様式を確立した。明治維新以後、東京では薩摩の名士が多かったため薩摩琵琶が東京を中心に広まっていった。

明治後期、東京の永田錦心-きんしん-は艶麗な技法を豊かにし、錦心流を開いた。この流派は大正から昭和初期にかけてもっとも人気を集めた。以後、在来の薩摩琵琶の伝統を正派とよぶ。
さらに昭和初年、錦心流の水藤錦穣-すいとうきんじょう-は琵琶を改良して錦琵琶-にしきびわ-をうみ出し、分派した。また、第二次世界大戦後は錦琵琶の鶴田錦史-きんし-が鶴派をおこすなど多くの流派が生まれ、こんいち薩摩琵琶は、正派、錦心流、錦琵琶の三派に大きく分かれている。

古来の薩摩琵琶は、全長約91センチメートルで雅楽の楽琵琶―がくびわ―よりやや小ぶりであるが、海老尾-えびお-はすべての琵琶類と比べて大きい。腹板は凸面をなし、柱-ちゅう-は非常に高くて、撥-ばち-は扇を広げたように広い(最大約30センチメートル)。
正派と錦心流の琵琶は4弦4柱で、錦琵琶と鶴派では5弦5柱のものも使用する。楽器を立てて構え、弾奏する。もっとも目だつ弾法は、撥で弦を鳴らして腹板にあてる「打ちバチ」で、大きい音を出す打楽器的効果をあげる。

音楽的には歌いながら楽器で伴奏せず、歌詞の句と句の間だけ奏するのが本来の形である。曲には『桜井の駅』『白虎隊』『城山-しろやま』などの悲壮な戦争物語を語るものが多い。なお歌詞のない秘曲「門琵琶-かどびわ」があり、近年これを復興する試みがある。