Viva la 活版 薩摩 dé GOANDO - Report 11  講演会:田村省三館長、展示紹介:加久本真美さん、渡辺 絵弥子さん


仙岩園マップ

DSCN7916 DSCN7912 DSCN7914 DSCN7918 DSCN7926 DSCN7927

【 特別講演会 】
◆ 尚古集成館 館長 : 田村 省三氏による

 < 尚古集成館所蔵/重要文化財 『 木村嘉平活字 』 と 薩摩藩集成事業について >

◯ 薩摩藩集成事業と 『 木村嘉平活字 』  研究の第一人者 : 田村省三館長に、講演とギャラリー ・ トークをご担当いただきました。
◯ 11月02日[日] 14:00-17:00 仙巌園会議室、尚古集成館別館展示場
──────────

幕末の英傑とされた島津斉彬ナリアキラ公の指揮の下、薩摩藩は集成館を中核として、近代工業化に向けての歩みを急速に展開しました。 これに際して島津斉彬は、一藩主義に陥ることなく、ひろく各地から人材をもとめ、また衰亡していた幕府からの資金が枯渇気味だった長崎との連携もはかっていました。

この集成館事業と、殖産興業のことは、その後の維新史における、戊辰戦争の混乱や、軍略にたけた西郷隆盛、行政手腕にたけた大久保利通などが脚光をあびた反面、いつの間にか歴史の一齣としてあつかわれる存在に後退していました。

田村省三館長は長年にわたり地元鹿児島にあって、なによりも集成館事業の積極的な保存と公開に尽力され、またその研究を各種の専門学会誌に記述 ・ 発表されてこられました。
<Viva la 活版 薩摩 dé GOANDO> 開催に際しては、島津斉彬の功績のひとつとして看過できない、重要文化財 「 木村嘉平関係資料 」 を尚古集成館別館に特別展示をしていただきました。
また <尚古集成館所蔵/重要文化財 『 木村嘉平活字 』 と 薩摩藩集成事業について >  と題して仙巌園会議室で講演をしていただき、その後尚古集成館別館での特別展示の解説をしていただきました。

この講演会とギャラリーツァーが開催されたのは11月02日[日]、三日間の会期の中日でした。 おりしも 尚古集成館に隣接する仙巌園では 「 菊祭り 」 が開催され、市内では 「 おはら祭 」 が開催され、尚古集成館にもあふれんばかりのご来客がありましたが、講演会場の会議室には、終始 静寂と緊張がただよっていました。
会場の都合で、最初から限定20名の聴講者を募りましたが、直前になって地元からのご参加もあって、補助椅子を出す騒ぎとなりましたし、なによりも参加者全員が聴講を希望しており、イベント会場に残留するのはたれだ、という笑えない争いの一幕もありました。

ともあれ、田村省三館長のご配慮にふかく感謝するとともに、<尚古集成館所蔵/重要文化財 『 木村嘉平活字 』 と 薩摩藩集成事業について> の研究が、これからは多くの皆さんも研究に参画され、より深度を増していくことが期待されます。

< 特別展示 重要文化財 「 木村嘉平関係資料 」 >
三代木村嘉平肖像 20141111144022982_0001 川本幸民 遠西奇器術 国立国会図書館蔵

DSCN8365 DSCN8392 DSCN8398DSC02507 DSC02511 DSC02506
────────────
【 テーマ 】  活版印刷とデザイン教育
【 作品名 】 『 24pt. の活字見本帳 』
【 作者名 】 加久本 真美 ( 東洋美術学校 タイポグラフィ ・ サークル  QP 卒業生 )
【 版式 ・ 技法 】  文字 : 凸版 ( 活字版印刷 )
今秋から東洋美術学校に残された金属活字の整理を開始。 掃除 → 分類(書体 ・ 活字サイズ別) → 印刷の手順で、活字の状態と種類を調査している。
その
手はじめとして、今回は 24pt. の活字を使用した活字見本帳を制作した。
DSCN7744 DSCN7745 DSCN8067

アダナ ・ プレス倶楽部 「活版カレッジ」 修了生で、今回の参加者のうち最年少であった加久本さんでした。
ところがその存在感はおおきく、また先輩のおばさまからは、「カクちゃん、カクちゃん」と呼ばれて、ちゃっかりと面倒を見てもらっていたようです。

展示会場での印刷担当としての奮戦ぶりと、B級グルメ 横ちゃんとの <天文館むじゃき しろくま 試食会 > での、 <ほんとに食べられる~?> の模様を報告します
DSCN7837 DSCN7817 DSCN7818 DSCN7824 DSCN7826DSCN7805
《 天文館 むじゃき-ねぇ~、本当に食べられるの !?  グルメ 横ちゃん-気合いを入れて!》
グルメ 横ちゃんも、会場では印刷担当として大活躍でした。 会期中、鹿児島のお酒と食事を堪能するあまり、翌週の会社での定期検診スケジュールをわすれるほどだったようです。

どういうわけか、グルメ 横ちゃんの迫力ある飲食光景は グーグル画像集 ( 担当者 ? ) のお気に入り画像のようで、あちこちでみかけます。
天文館むじゃき本店で 「 しろくま 」 をたべたときも、ひとり特大サイズ( 右奥 ) を注文。 カクちゃんはおとなしく小サイズ( 左奥 ) でした。
【 関連情報 : 花筏 Viva la 活版 薩摩 dé GOANDO-Report 00 番外編 しろくまは カゴンマ de ゴアンド !

DSCN7852 DSCN7851 20141106162032434_0006 DSCN7855 DSCN7805 DSCN7858 DSCN7860 DSCN7867 DSCN7868 DSCN7869 DSCN7871 DSCN7872 DSCN7873 DSCN7880 DSCN7878

──────────
【 テーマ 】    グラフィックデザインと活版印刷
【 作品名 】   『 Paper Moon 』
【 作者名 】   渡辺 絵弥子
【 版式 ・ 技法 】  凸版 ( 活字版印刷 )   図版 : 版画 ( アダナ小型卓上活版印刷機のインキディスクを使用 )
DSCN8068 DSCN8069 DSCN8072 DSCN8074RexOD0o7FtcThZJxCuagK4kV3pLJ-s0SFR-9cZy6E0c t4bR0aqTaPs325cQKiPpNkPCrVk1hDL_BGrX3OTRjd0小型活版印刷機のインキディスクを、お月さまにみたてた作品です。
Adana-21J,  Salama-21A のばあいですと、直径221mmになっています。このインキディスクの製造に際しては金属成形品に独特な熱変形、俗にヒケが発生して、中央部が凹んだりしますので、機械製造メーカーはその対応に苦慮します。

なお、上掲図 <おーけすとらは いさだん> は、金属活字版印刷ならでは、そしてありがちな誤植の一例です。 つまりひら仮名の 「 ち  さ 」とが、裏文字 [鏡文字] をひろうことになる活字組版では、とかく間違えやすい 「 字 」 となります。
本番の展示では、しっかりと < おーけすとらは いちだん > に差しかえられていました。
sala22630 sala22663活版印刷実践者のかたは、使用後の清拭のときに、紙の上にインキディスクを押しつけてお掃除をはじめますから、その姿がちょうどお月さまのようにみえたようです。
お月さまにそえられたテキストも厳選されたもので、若い女性からは 「 かわいい!」 の声があがっていました。

渡辺 絵弥子さんは会場受付と接客担当係でしたが、その会場内での姿は、玉井一平さんによる主催者カメラとタイミングが合わずにほとんどとらえていません。
渡辺 絵弥子さんがにわかに存在をおおきくするのは、飲食、酒席のときです。なにしろ斗酒なお辞せずで、グイグイお酒がすすみますから……。
楽しい交流の席の紹介は後半にゆずりますので、ここでは初期活字鋳型研究家/伊藤伸一さんと、 渡辺 絵弥子さんとのかたらいの姿を、タイポグラフィ学会の春田ゆかりさんのカメラからご紹介しましょう。
DSCN7959 DSC02378 DSC02382