{ぢゃむ 杉本昭生 一筆箋}
中島敦『狐憑』をつくりました。
平凡な若者であったネウリ部落のシャクは、
弟の無惨な死をきっかけに譫言(うわごと)をいうようになりました。
はじめは弟を失った悲しみを語っていた彼でしたが、
やがて自分の望んだものになった時の哀しさや楽しさを語るようになりました。
異色な題材を巧みにあつかう作者の才能に感服しました。
正直に云いますと、この本を作りながら、
「いまは自分だけがこの小説の面白さを知っている。
だから完成するまでそのことに誰も気がつかないでいて欲しい」
こんな屈折した思いがありました。
そのぶん以前のものより少し丁寧に作ったつもりです。
製作後のなんとなく気が抜けた感じはその反動かもしれません。
ぜひご一読ください。
【 詳細 : ぢゃむ 活版小本 】