【展覧会】奈良国立博物館|修理完成記念特別展 糸のみほとけ ─ 国宝 綴織當麻曼荼羅と繍仏 ─7月14日-8月26日|終了企画

title_itoこの奈良国立博物館における展覧会は、国宝「綴織當麻曼荼羅」(つづれおりたいままんだら-奈良・當麻寺蔵)の修理完成を記念し、綴織と刺繡による仏の像を一堂に集める特別展です。
国宝「天寿国繡帳」(てんじゅこくしゅうちょう-奈良・中宮寺蔵)、国宝「綴織當麻曼荼羅」(つづれおりたいままんだら-奈良・當麻寺蔵)、国宝「刺繡釈迦如来説法図」(ししゅうしゃかにょらいせっぽうず-奈良国立博物館蔵)の国宝3点が一堂に会する空前の企画です。
本展を通して絵画とも違う「糸」の仏の世界の魅力をご鑑賞いただければ幸いです。

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奈良国立博物館
修理完成記念特別展

糸のみほとけ ── 国宝 綴織當麻曼荼羅と繍仏 ──
会  期  平成30年7月14日[土]-8月26日[日]
会  場  奈良国立博物館 東新館・西新館
休  館  日  毎週月曜日 * 7月16日・8月13日は開館
開館時間  午前9時30分-午後6時 
      * 毎週金・土曜日と8月5日[日]-15日[水]は午後7時まで 
      * 入館は閉館の30分前まで 
観覧料金  一般 1,500円 高校・大学生 1,000円 小・中学生 500円
主  催  奈良国立博物館、読売テレビ、日本経済新聞社

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日本では刺繡や綴織-つづれおり-など「糸」で表された仏の像が数多く作られました。とりわけ、古代では大寺院の一堂の本尊とされる花形的な存在でした。綴織當麻曼荼羅〔つづれおりたいままんだら 国宝 奈良・當麻寺蔵〕や、刺繡釈迦如来説法図〔ししゅうしゃかにょらいせっぽうず 国宝 奈良国立博物館蔵〕は、その隆盛のさまを伝える至宝です。
また、糸を縫い、織る行為は故人の追善につながり、聖徳太子が往生した世界を刺繡で表した天寿国繡帳〔てんじゅこくしゅうちょう 国宝 奈良・中宮寺蔵〕が生み出されました。
鎌倉時代以降、刺繡の仏は再び隆盛を迎えますが、その背景には綴織當麻曼荼羅を織ったとされる中将姫に対する信仰がありました。極楽往生を願う人々は 中将姫-ちゅうじょうひめ-に自身を重ね、刺繡によって阿弥陀三尊来迎図-あみださんぞんらいごうず-や、種子阿弥陀三尊像-しゅじあみださんぞんず-を作成しました。

この展覧会は綴織當麻曼荼羅の修理完成を記念し、綴織と刺繡による仏の像を一堂に集める特別展です。天寿国繡帳、綴織當麻曼荼羅、刺繡釈迦如来説法図の国宝3点が一堂に会する空前の企画です。本展を通して絵画とも違う「糸」の仏の世界の魅力をご鑑賞いただければ幸いです。

【詳細: 奈良国立博物館   特別展コーナー 】   

{ 新宿餘談 展示図録入手前の予習:中将姫・當麻曼荼羅 }  

【 中将姫 ちゅうじょうひめ 】
奈良當麻-たいま-寺に伝存する曼荼羅を織ったと伝える伝説上の女性。横佩-よこはぎ-右大臣豊成-とよなり-の娘であった姫は、仏を敬う心が厚く、剃髪して當麻寺に入り、阿弥陀仏や観音の化身である比丘尼-びくに-などの助力を得て、蓮の糸で1丈5尺の曼荼羅を織り、やがて諸仏の来迎を受けて極楽に往生した。
これと同系の伝説は、『諸寺縁起集』、『古今著聞集-ここんちょもんじゅう』、『私聚-しじゅ-百因縁集』、『元亨-げんこう-釈書』などのほかに、御伽草子-おとぎぞうし-『中将姫本地』や、謡曲『当麻』、『雲雀山-ひばりやま』にもあり、また當麻曼荼羅を用いた絵解き説教にもこの伝説はしばしば語られたらしいことがわかる。
ただ、ほかの類話では伝説の冒頭が継子譚-ままこたん-に変わっていたり、中将姫の名が別名であったりして、曼荼羅を織る部分を除いては多様に変化している。巫女的な女性唱導者が姫に仮託して、この伝説を広めたことも考えられる。

【 當麻曼荼羅 たいままんだら 】
阿弥陀浄土変相-あみだじょうどへんそう-図の一種。『観無量寿経-かんむりょうじゅきょう』のうち、とくに善導-ぜんどう-の四帖疏-しじょうしょ-に基づく図解であるから、観無量寿経変相図、または観経変(観経曼荼羅)という。
原図は現在も藕糸-ぐうし-本図と呼称するものが伝存しているところから、當麻曼荼羅と通称している。綴織-つづれおり-で、縦 395センチメートル × 横 397センチメートルの大幅。図の中央下辺に縁起銘文を記す。

曼荼羅の由来は『古今著聞集-ここんちょもんじゅう』巻二の説話に詳しい。天平宝字-てんぴょうほうじ-7年(763)に出家した横佩-よこはぎ-の大臣-おとど-の女-むすめ、(中将姫)が生身の阿弥陀仏を見ようと祈願すると、ひとりの比丘尼が現れ、百駄の蓮茎-はすぐき-を用意せよと告げた。勅奏により集められた蓮糸は、化女の助けにより一夜のうちに曼荼羅に織り上げられ、阿弥陀の浄土を観想することができたといい、姫はのちに極楽から来迎を受けたという。
當麻寺には、文亀-ぶんき-年間(1501-1504)慶舜-けいしゅん、専舜によって板曼荼羅(1243年作)から模写された文亀曼荼羅がある。ほかにも縮尺図が多く流布する。

〔 参考資料:『日本大百科全書』小学館 〕