【展覧会】武蔵野美術大学 美術館・図書館|生誕100年 大辻清司|眼差しのその先 フォトアーカイブの新たな視座|’23年9月4日-10月1日|終了

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武蔵野美術大学 美術館・図書館
生誕100年 大辻清司 眼差しのその先
フォトアーカイブの新たな視座
会  期  2023年9月4日[月]- 10月1日[日]
時  間  11:00 - 19:00(土・日曜日は 10:00 - 17:00)
休  館  日  水曜日
入  館  料  無 料
会  場  武蔵野美術大学 美術館・図書館 展示室 3・4・5
      187-8505 東京都小平市小川町1-736
主  催  武蔵野美術大学 美術館・図書館
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武蔵野美術大学 美術館・図書館では、展覧会「生誕100年 大辻清司 眼差しのその先 フォトアーカイブの新たな視座」を開催します。同館では、写真家大辻清司(おおつじ・きよじ 923-2001)が残したプリント、撮影フィルム、作品掲載誌や蔵書などから「大辻清司フォトアーカイブ」を構成し、15年にわたって研究を重ねてきました。
本展では、研究の軌跡、とりわけ撮影フィルムの内容の精査によって得られた視座を軸に、大辻清司の真髄に接近します。作品として制作されたオリジナルプリントとともに、フィルムに残されたまま未発表だった作品を多数展示する本企画は、アート・アーカイブ活用の在り方、その先に何を見出すことができるのかを模索するひとつの試みでもあります。

< 本展の構成 >
Ⅰ 原点/Ⅱ シアター/Ⅲ シークエンス/Ⅳ 他者たち

< 作家略歴 >
大辻清司(おおつじ・きよじ)
写真家。1923年東京生まれ。1940年代末にシュルレアリスムからの影響を色濃く窺わせる写真作品《いたましき物体》を発表して創作活動を開始。1950年代にはインターメディアの前衛芸術グループ「実験工房」に参加。さまざまな芸術ジャンルのアーティストと交流し、20世紀末まで約半世紀にわたり制作と思索の営みを続けた。同時代芸術の貴重かつ膨大なドキュメントを撮影したことでも知られる。
長年携わった写真教育の場でも重要な業績を残し、高梨豊、潮田登久子、牛腸茂雄、畠山直哉をはじめ多くの優れた才能を見出し、世代を超えて感化を及ぼしあった。また、写真というメディアの特性と新しい表現への可能性を考察した優れたエッセイを数多く執筆。主著に『写真ノート』(美術出版社、1989)。代表作に《陳列窓》(1956)、《無言歌》(1956)、《東京むかし》(1967)、《日が暮れる》(1975)ほか。2001年に逝去。享年78。

※ 感染症予防対応実施中。下掲詳細を確認の上ご観覧を。
[ 詳 細 : 武蔵野美術大学 美術館・図書館 ]


戦後日本の前衛芸術グループ「実験工房」や「グラフィック集団」のメンバー、美術・音楽・演劇・ダンス・建築にわたる同時代の多様な動向に立ち会い、ドキュメントを撮り続けたカメラマン、『アサヒカメラ』『カメラ毎日』などの誌上で独自の視点から才筆をふるったエッセイスト、写真教育の前線で多くの後進を育てた教育者 ── 大辻清司(おおつじ・きよじ 1923-2001)は、諸分野で確かな功績を残しながら、たゆみない探究心のもと実験精神溢れる写真表現を追究し続けた写真家です。
一方で、大辻の仕事は幅広く多面的な様相を見せたがゆえに一言では捉え難く、生誕100年を迎えた現在でもなお、その表現の本質を探る可能性を秘めた存在だといえます。
当館では、大辻が半世紀にわたって制作したプリント、撮影フィルム、蔵書、直筆の制作メモや原稿などにより「大辻清司フォトアーカイブ」を構成し、2008年の寄贈受入より整理・研究に取り組み続けてきました。作品そのものと周辺資料の包括的な検証によって制作過程を追うことは、写真家が何を見つめ、どのように対象に迫ったのか、その関心の在りどころと思考を明らかにする重要な足がかりとなります。なかでもフィルムに記録された撮影コマの連続からは、作品の背景にある試行の跡や、被写体との間に醸されていた機微までもをうかがうことができます。
本展では、これまでのアーカイブ資料検証によって得られた視座を軸として、「原点」「シアター」「シークエンス」「他者たち」からなる四つの章によって、大辻清司とはいかなる表現者だったのか、その真髄へと迫ります。オリジナルプリントと撮影フィルム上の未発表作品、印刷メディアでの仕事や執筆テキスト ── 多彩な広がりを見せた写真家の実践の数々を、互いに連関しあうものとして捉える構成は、本展を特徴づけるものといえるでしょう。また、フィルムに残された多くの知られざる作品に光をあて展観することは、アーカイブ活用の大きな試みになります。本企画は、新たな大辻像の輪郭を辿るとともに、アート・アーカイブのひとつの在り方を示し、その先に何を見出すことができるのかを探る行程の一歩でもあります。