【公演】東京オペラシティ コンサートホール|N響 Music Tomorrow 2024|’24年5月28日|チケット前売り開始

オペラシティN響5月 オペラシティN響5月B

東京オペラシティ コンサートホール
N響 Music Tomorrow 2024
公演期日  2024年5月28日[火] 開演 7:00pm [開場 6:15pm]
会  場  東京オペラシティ コンサートホール  ▶ 座席表 PDF  
      〠 163-1403 東京都新宿区西新宿3-20-2
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抽象絵画、猛々しい自然、哀惜の心 …… 森羅万象を音に純化する、匠たちの技に耳を傾ける。
毎年〈MusicTomorrow〉で演奏される「尾高賞」(N響制定)の受賞作品として今回選ばれたのは、湯浅譲二の《打楽器、ハープ、ピアノ、弦楽オーケストラのための哀歌(エレジィ)》。湯浅の作品が同賞を受賞するのは5回目である。玲子夫人を喪った悲しみを乗り越えようともがく湯浅が一音一音に込めたエネルギーと、人間的で温かい眼差しが聴く人の心を打つ。
湯浅は1970年の大阪万博で、2つのパビリオンの音楽を担当していたが、このときドイツ館で演奏していたシュトックハウゼンのアンサンブルのメンバーに、その後作曲家・指揮者として大成したペーテル・エトヴェシュがいた。「ロシア・アヴァンギャルド」の芸術家、マレーヴィチ(1879–1935)の抽象絵画を題材にした《マレーヴィチを読む》では、種々の楽器を知り尽くしたエトヴェシュの熟練の技が、色彩感に富んだ絢爛たる響きを作りだす。《ハープ協奏曲》は、今年80歳を迎えた作曲家の活気と躍動感にあふれた新作。世界的名手グザヴィエ・ドゥ・メストレの妙技が冴えわたる。
エトヴェシュはかつて、トリスタン・ミュライユの代表作となった《デザンテグラシオン》(1982–83)の初演を指揮していた。音響を分析し作曲するスペクトル楽派の中核を担ったミュライユは、理知的な創作手法にもかかわらず、水や風といった自然をしばしば発想の源とする。煌びやかな音と瑞々しい抒情が魅力的なピアノ協奏曲《嵐の目》のソリストは、作曲者が厚い信頼を寄せるフランソワ・フレデリック・ギイ。エトヴェシュに学んだ現代音楽に定評ある指揮者、ペーター・ルンデルの鮮やかな手腕にも期待したい。
                                                                                                   平野貴俊(音楽学・音楽評論)

※ 感染症予防対応実施中。下掲詳細公式サイトで最新情報を確認の上ご観覧を。
[ 詳 細 : 東京オペラシティ コンサートホール   NHK SO TOKYO ]

< 曲 目 >
◆エトヴェシュ/マレーヴィチを読む(2018)[日本初演]
◆湯浅譲二/打楽器、ハープ、ピアノ、弦楽オーケストラのための 「哀歌(エレジィ) ―for my wife, Reiko―」(2023)[第71回「尾高賞」受賞作品]
◆エトヴェシュ/ハープ協奏曲(2023)[NHK交響楽団、フランス放送フィルハーモニー管弦楽団、ベルリン放送管弦楽団・合唱団有限会社、スイス・ロマンド管弦楽団、ウィーン楽友協会、ポルト・カーザ・ダ・ムジカ 共同委嘱作品/日本初演]
◆ミュライユ/「嵐の目」―ピアノとオーケストラのための幻想即興曲(2022)[NHK交響楽団、ラジオ・フランス、BBCラジオ3、NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団 共同委嘱作品/日本初演]

※ 6:30pmより尾高賞授賞式・プレトークがございます

◆ペーテル・エトヴェシュ│作曲
1944年セーケイウドヴァルヘイ(ハンガリー、現ルーマニア)出身。幼少期から作曲を始め、リスト・フェレンツ音楽大学でヤーノシュ・ヴィシュキ、ケルン音楽大学でB. A. ツィンマーマンに師事。シュトックハウゼンのアンサンブルで鍵盤楽器などを演奏(1968–76)。アンサンブル・アンテルコンタンポラン音楽監督を長年務め(1979–91)、指揮者としても活躍。《三人姉妹》(1996–97)など、これまで14作を数えるオペラの創作が広く注目を集めた。

◆湯浅譲二│作曲
1929年福島県出身。慶應義塾大学教養学部(医学部進学コース)在学中に作曲を開始、武満徹らとともに芸術家グループ「実験工房」に参加(1951)。音楽を人間のコスモロジー(宇宙観)の表明、また音響エネルギーの推移とみなす独自の哲学にもとづく音世界を、伝統的編成のみならず電子音、邦楽器、声など種々の媒体を駆使しながら、長年にわたり開拓。カリフォルニア大学サンディエゴ校作曲科教授(1981–94)、文化功労者(2014)。

◆トリスタン・ミュライユ│作曲
1947年ル・アーヴル(フランス)出身。パリ国立高等音楽院でメシアンに作曲を師事(1967–72)、同級生のミカエル・レヴィナスらとアンサンブル・イティネレールを設立(1973)。音(響き)の成分を分析し作曲に応用する手法を確立。グリゼーらとともに、20世紀末のフランスで大きな影響をふるった潮流「スペクトル楽派」の旗手となった。
IRCAM(フランス国立音響音楽研究所)で教育と作曲支援ソフトの開発に携わる(1991–97)。コロンビア大学教授(1997–2010)。

< 出演者 >
指 揮  ペーター・ルンデル※
ハープ  グザヴィエ・ドゥ・メストレ
ピアノ  フランソワ・フレデリック・ギイ
     * 当初出演予定のペーテル・エトヴェシュ(指揮)から変更いたします。

※ 感染症予防対応実施中。下掲詳細公式サイトで最新情報を確認の上ご観覧を。
[ 詳 細 : 東京オペラシティ コンサートホール   NHK SO TOKYO