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韓国全羅道光州市に<国立アジア文化殿堂>完成。その一画にアダナ・プレス倶楽部がご発注をいただき「活版工房」が設置・開設されました

IMG_1117 IMG_1123 朴志勲さん  協力 ・ 写真提供

韓国・光州市に「国立アジア文化殿堂」が誕生

朴志勲さんの仲介をいただきアダナ・プレス倶楽部が設備一切を担当

韓国光州の複合文化施設「国立アジア文化殿堂」が、2015年11月25日に全館オープンを迎えました。「国立アジア文化殿堂」は五つの主要施設からなる建物群からなり、延べ16万平方メートルに達するおおきな施設です。

同館のアジアのデザイン」をテーマに企画展示を開催している「文化情報館」に「活版工房」を開設したいとのご希望があり、<水曜会 ちいさな勉強会>の会員として、ともに研究をつづけている仲間、「朴志勲 Park Ji Hoon 」さんの協力をいただきながら、小型活版印刷機 Salama-21A をはじめ、活版木工品、欧文活字、邦文活字、込め物、活版インキなど、すべての設備を新製品でアダナ・プレス倶楽部が納入させていただきました。

すこしく苦労があったのは木工製品でした。 活版印刷にもちいる文選箱をはじめとする木工製品は「活版木工」とされ、大工・建具の工匠とはことなった特殊な専門技芸者の手によっていました。ところが数年前に「活版木工所」はすべて閉鎖され、管見ながら東アジアのどこの国でも活版木工製品が製造できなくなっていました。

アダナ・プレス倶楽部では、最末期の活版木工士からの伝承をつたえ、木工製品の供給を途絶することなく、意欲のある木工所で継続製造の道を徐徐に拡張してきました。 そのため「韓国国立文化殿堂 情報文化館」からご発注があった、文選箱・ゲラ・ゲラ棚・活字ケース・込め物ケース・活字馬棚・組版台などのすべてを、活版印刷全盛期の1970年代とほぼ同等の 10.5 pt. をすべての基準寸法とする品質での納入ができました。

下掲写真五点は木工所で組み立て完成後、塗料乾燥待ちの状態 DSCN1082 DSCN1080 DSCN1084 DSCN1097 DSCN1090

韓国国立文化殿堂 情報文化館」への納入に際しては、同館担当者はもとより、友人でもある朴志勲さんの仲介の労があずかって大なるものがありました。ここに篤くお礼を申しあげます。
あわせて、活版印刷機の製造とともに、五号活字 10.5 pt をすべての寸法基準とする「活版木工」の伝統の継続のためにも、わが国の大型施設などからも、こういう本格的な「活版木工」のご発注をお待ちしているところでございます。

──────────   朴志勲さんからのおたより
m_paku 韓国の「光州(クァンジュ)広域市」は韓国南西部、全羅道にある代表的な都市です。
光州では二年に一度、芸術祭<光州ビエンナーレ>が催されるいっぽう、過去には「光州学生独立運動」や、軍事政権に抵抗した「光州事件」の地としても知られています。

光州を含む全羅道全体は、食事がおいしく、おかずもたくさん出されることから、光州は「芸術の都、義の都、味の都」とも呼ばれています。
この光州に2004年の事業開始からおよそ10年をへて、アジアの歴史、文化、芸術、教育、展示を共有する複合文化施設「国立アジア文化殿堂」が、2015年11月25日に全館オープンを迎えました。「国立アジア文化殿堂」は五つの主要施設からなる建物群からなり、延べ16万平方メートルに達するおおきな施設です。

その中でもアダナ・プレス倶楽部の皆さんにご紹介したいのは、「アジアのデザイン」をテーマに企画展示を開催している「文化情報館」です。 アジアのデザインといえば、やはり漢字文化圏特有の文字づかいが象徴的におもい浮かびます。このブースでは西洋から受け入れた活版印刷術が、漢字文化圏に定着されていった様子を知ってもらうために、近代印刷物の展示および活版印刷の体験工房を設けて、一般人に向けたワークショップを展開する計画をたてています。ちなみに、この工房施設の設備には朗文堂 アダナ・プレス倶楽部のご協力とアドバイスを受けました。

実際に「国立アジア文化殿堂 文化情報館」の最初のプログラムとして、「誰かにあげたいカードをつくろう」というテーマで、本格オープンに先立って2015年10月16-17日に簡単なワークショップを実施しました。
出版関連の人から、幼稚園の先生、大学生、主婦、子供 …… まで、さまざまな分野の人が、2 時間かけて自分オリジナルのカードを制作しました。 18ポイント活字/1 色のみのシンプルな印刷物ですが、はじめて体験する人にとってはかなり集中力を要する2 時間でした。

それでも自分でハンドルを操作、プレスして、活版印刷物ができたときは大声を出して喜びました。  民間人向けの体験施設とはいっても、安全性を含め、細やかな管理が必要な空間です。まだまだ課題の多いプロジェクトではありますが、韓国でもこのような風景が見られるようになったことだけで嬉しい気分になります。