◯ 日 時 : 2015年08月29日[土] 15:00/18:30(二回公演 終了しました)
◯ 会 場 : 全労済ホール/スペース・ゼロ
◯ 出 演 : 水嶋一江/篠原もとこ/KIKU/鈴木モモ/蓮見郁子
◯ 音 楽 : 水嶋一江
◯ 衣 装 : 仲村祐妃子
◯ 料 金 : 大人2,500円
◆「Stringraphy――ストリングラフィ」とは
1992年、作曲家の水嶋一江によって考案されたオリジナル楽器と、その演奏スタイルの総称であり、水嶋によってネーミングされました。
この楽器は、絹糸をもちいた糸電話の原理を応用しており、絹糸の両端に紙コップを取りつけたとてもシンプルなものです。
演奏者が手で擦ったり、はじいたりして音を出し、演奏をおこないます。
ピンと張られた絹糸は、一本ずつドレミファソラシドに調弦されています。一セット15-22本で、ソプラノ、アルト、ベースの三セットが基本となります。
基本的に長調の音階にチューニングされていますが、曲によってはこのセットに半音階の「Stringraphy」がプラスされることもあります。糸の長さは一番短いもので約1 m、長いものは 約13 m もあります。
会場本体を巨大な弦楽器のようにセッティングすることもあり、その場合、観客はその楽器の内部で演奏を聴くことになります。
◯ 写真撮影 : 田村 収 ―― この情報は、会員:森 郁男さんから頂戴しました。
【 水嶋一江 プロフィール 】
1964年東京生まれ。桐朋学園大学作曲科卒業。1992年カリフォルニア大学作曲科修士課程修了。帰国後はアコースティックな数多くの実験的現代音楽の作品を発表。
1992年にオリジナル楽器『ストリングラフィ』を考案、八重樫みどりと共にスタジオ・イヴを結成。以来、『ストリングラフィ』を軸とした舞台作品を制作する。1996年から『ストリングラフィ』アンサンブルを結成し、複数の奏者による演奏活動精力的におこなっている。
【 公演詳細情報 : ストリングラフィ 】
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新 宿 餘 談
ふしぎな音色だった。楽器にあたるものは、ほんとうに絹糸と紙カップだけで、さまざまな演奏をたのしむことができた。
絹糸をこすれば弦楽器のようになり、はじくと打楽器のように変幻自在に音色は変化した。ステージの楽器だけでなく、客席にまでのびた絹糸が鳴りひびくと、まるで繭玉のなかにいるような幻覚にとらわれるからおもしろかった。
夏のゆうべ、不可思議なコンサートをたのしんだ。
このコンサートは、ふるい友人の森郁男さんから情報をいただき、夜の部の公演にかけつけた。会場のどこかに森郁男さんがいるのではとおもって探したが、見あたらなかった。
ところで森さんは、若くしてデビューした詩人であった。そして90年代のどこかでバイク事故に遭遇し、いっときは生命の危険すらあったひとである。
その詩は、みずからことばを紡ぎだし、そのことばを、縦横に、大胆にコンポジションする作風で、一世を風靡した。それはひとのことばではなく、あくまでみずから紡ぎだしたことばでである。
ところで、森郁男さん ―― でパソコン上で検索してみた。まったくヒットしなかった。
そういえば森さんは、電子メールも、ケイタイ電話もつかわれていないようである。
いまはただ、森郁男という、すごい詩人がいる ―― ということにしておこう。