【展覧会】京都工芸繊維大学 美術資料館|長谷川潔版画作品展|’22年5月9日-6月18日

京都芸工史料館

京都工芸繊維大学 美術資料館
長谷川潔版画作品展
開催期間  2022年2月11日[月]-4月23日[土]
      2022年5月9日[月]-6月18日[土] * 好評につき会期を延長します
休  館  日  日曜日・祝日
開館時間  10-17時(入館は16時30分まで)
入  館  料  一般 200円、大学生 150円、高校生以下 無 料
会  場  京都工芸繊維大学 美術工芸資料館
      606-8585 京都市左京区松ヶ崎橋上町 電話 075-724-7924
主  催  京都工芸繊維大学 美術工芸資料館
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本展覧会では、日本の近代版画を代表する銅版画家である長谷川潔(1891-1980)の作品を紹介します。神奈川県横浜市に生まれた長谷川潔は、日本で油彩や素描そしてエッチングの技法を学んだのち、1918年に版画技術習得のためにフランスへと渡ります。1923年からサロン・ドートンヌ(秋のサロン展)などに出品するようになり、25年にはパリで個展を開催するなど早くからパリで人気作家となります。
第二次世界大戦中には疎開を余儀なくされたり苦労も多かったようですが、1966年には フランス文化勲章、翌年には日本で 勲三等瑞宝章 を受勲するなど世界的な版画家としての地位を確立しました。渡仏後いちども日本に帰ることなく、1980年12月に パリで亡くなりました。

長谷川の版画で最も注目されるのは、マニエール・ノワール(メゾチント)と呼ばれる古典技法による作品です。17世紀半ばにオランダで考案された銅版画の技法で、主にイギリスで発達しましたが、版画技術の発展、様々な技法の開発の流れの中でいつしか廃れてしまい、20世紀にはヨーロッパでマニエール・ノワールを実践する版画家はいなくなっていました。この古い技法を長谷川は試行錯誤を繰り返しながら復活させたのです。
ニードル(針)で細い線を刻んでいくエッチングは、細かい線描表現が特徴ですが、ロッカーという器具で板全体にささくれを作り、それをヘラでならすことによって絵を描く マニエール・ノワール は複雑な明暗効果を生み出すことができます。特にその名前(マニエール・ノワール=黒の技法)が示している通り、背景部分を黒く沈ませることができるため、描かれている事物が浮かび上がるような、幻想的な効果をもたらすことができます。とりわけ長谷川が作り出す黒はただの漆黒ではなく、彼自身が「黒には七色の色がある」といったように、微妙な色調が現れています。
マニエール・ノワールで有名な長谷川ですが、ドライポイントやアクアチントなど、他の銅版技法にも積極的に取り組み、数多くの傑作を残しています。それらの技法による作品も黒の世界と合わせてご覧いただき、長谷川潔の銅版画をご堪能ください。

※ 感染症予防対応実施中。下掲詳細を確認の上参観を。
[ 詳細 : 京都工芸繊維大学 京都工芸繊維大学 美術工芸資料館 ]