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活版礼讃{Viva la 活版 ばってん 長崎}05 5月8日「ふたつのハンドモールドで活字鋳造・印刷体験会」 テキスト二冊と貴重動画紹介

長崎タイトル

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 {Viva la 活版 ばってん 長崎}
05月08日[日]、10時・11時から、主会場・長崎県印刷会館三階において、復元された二種類の手込み活字鋳造機(ハンドモールド・かつては割り鋳型とも)をもちいての活字鋳造(かつては流し込み活字とも)と、その試作活字による印刷体験会を開催いたします。

初期鋳型研究家・伊藤伸一氏は、米国スミソニアン博物館による復元鋳型をもちいての活字鋳造をおこないます。
タイポグラフィ学会会員・渡辺 優氏には、グーテンベルクの使用したと想定されている復元鋳型を製作し、実証的に活字鋳造ができることを証明しました。
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各回とも先着10名様、参加費3,000円(テキスト、活字付き)。見学はご自由です。

初期活字版印刷者の苦心と工夫を知る得がたい機会です。ふるってのご参加を。
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【字学】 活字鋳造 ― ハンドモールド、次世代機ポンプ式ハンドモールド 五月連休に長崎で動画紹介 続報にご期待を

Federation British Industries(略称:FBI  英国産業連合)が1925年(大正14)に製作したもので、博覧会での上映のために一般に向けてわかりやすく紹介した貴重な動画資料です。
写真上掲二点は「手鋳込み式ハンドモールド」。
わが国でも嘉永年間に本木昌造らのグループがすでに実験的にもちいたとみられ、残存部品が長崎諏訪神社、国立博物館でみられます。

ほかにも薩摩藩の依頼で極秘裏に活字鋳造に成功した、江戸の技芸士/第三代木村嘉平がもちいたハンドモールドが鹿児島尚古集成館に保存されており、重要文化財の指定をうけています。
鹿児島の資料も断片的なものですが、行間を形成するインテル鋳造器や、大型の込め物(フォルマート)を製造するための鋳造器もあり、実用性がみられます。
ここでハンドモールドを理解するために、復元版活字ハンドモールド(伊藤伸一氏所有)をご紹介したい。
ハンドモールド1 ハンドモールド2 ハンドモールド3[1]これらの「ハンドモールド」の技術は特殊技術として秘匿されることがおおかったっため広くは知られず、明治から昭和前期の資料には、鋳造部がふたつに割れることから「割り型・割り鋳型」としるされることが多い。
また熔解した活字地金を小型のヒシャクですくい取り、それを湯口に流しこむ動作から、ハンドモールドで製造した活字を「流し込み活字」とも呼称していた。
ブルースその後、半自動機のポンプ式ハンドモールド、手回し式のブルース型活字鋳造機が登場すると、ハンドモールド式は「手鋳込み」とされ、昭和中期ころまで、大型活字や特殊活字製造のために、細ぼそながらもちいられていた。
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したがってこの1925年発表の英国産業連合の動画でも、「こうしたハンドモールドは、現在はほどんどもちいられていない」と解説している。
鋳造に際しては、鬆スの発生をふせぐため、上体と腕を激しく上下動させ、相当な速度で鋳造を続けている。

下掲写真は「ポンプ式ハンドモールド」。近年のアメリカの研究書でも
「実機はすべて失われ、写真もスミソニアン博物館が所有する一葉だけである」
とされていた機器であり資料です。
今回ご紹介するこの機器の「動画」は、パラパラ漫画のように静止画像を連続したものですが、活字鋳造が、手技から機械製造への過渡期の記録としてやはり迫真力があります。

「ポンプ式ハンドモールド」は、明治最初期、長崎の活版伝習所にもたらされ、印刷局系の組織がこれを継承して東京に移設しました。
本木の事業を継承した平野富二は独自資金でこの装置を購入し、上京直後から、まだ「手鋳込み式ハンドモールド」をもちいていた在京の民間鋳造業者を圧倒しました。
動画公開は五月連休後半に長崎で。 続報にご期待ください。
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